Reason (ソフトウェア)

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Reason
開発元 プロペラヘッド・ソフトウェア
初版 2000年12月(13年前) (2000-12
最新版 7.1.1 / 2014年05月21日(4か月前) (2014-05-21
対応OS Windows 7Mac OS X v10.7以降
プラットフォーム WindowsMac OS X (x86)
種別 音楽制作
ライセンス プロプライエタリ
公式サイト Propellerhead Software
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Reason(リーズン)は、WindowsMacintosh用のソフトウェア・シンセサイザー統合型DAWである。スウェーデンプロペラヘッド・ソフトウェアによって開発された。

表記は製品ロゴや日本語版マニュアルでは大文字となっているが、Webサイトなどの文章中やアプリケーションのファイル名などは2文字目以降は小文字となっていることも多いなど、揺らぎがある。本項では特記のない限り「Reason」とする。

概要・機能[編集]

シーケンサーミキシング機能を備え、また独自開発のシンセサイザーエフェクターを多種内蔵する。DAWとしては独自性が高く、「バーチャルラック」システムによる柔軟性のあるシンセサイズ機能が特長で、MIDIReWire用の外部音源としても使用できる。VSTAudio Unitsのプラグインには対応していない。

Reasonは「楽器」として開発されてきた経緯があり[1]、外部音源を取りまとめるホストDAWとしては動作しなかったが、2013年のバージョン7でMIDI出力に対応した。ReWire機能は現在もスレーブ(音源役)動作のみである。唯一の例外として、同社の『ReBirth RB-338』(現在は開発終了し無償配布)に対してはReWireマスター(ホスト役)として同期動作できる。

2014年現在では製品グレードとして、通常版の『Reason』、廉価版の『Reason Essentials』、バンドル専用版の『Reason Limited』(旧Reason Adapted)がある。

バーチャルラック(音源・エフェクト機能)[編集]

「バーチャル・ラック」システムは機材を組み込んだスタジオラックを再現し、シンセサイザーやエフェクターのデバイスを搭載できる。ラックデバイスは実物と同じようにツマミ操作したり並べ替えたりでき、また裏側を表示してオーディオ/CVケーブルの着脱もできる。これによりモジュラー式のアナログシンセサイザーのように、アイデア次第で新しい機能やサウンド表現を与える使い方ができる。

また「ライブサンプリング」機能により、サンプラーは(演奏専用のいわゆるプレイバックサンプラーではなく)実際にマイクなどから音をサンプリングできる。ボタンを押さえて離すだけで録音が完了し、無音部分も自動カットされる。

2012年のバージョン6.5からは「Rack Extension」規格によって純正サードパーティー製のラックデバイスを追加拡張できるようになった。

ミキサー・マスタリング機能[編集]

ミキシング・コンソールSSL 9000 Kを非公式ながらモデルとし、EQセクションやダイナミクスセクション、マスターバス・コンプレッサーのサウンド特性も再現している。

ラックデバイスには標準でマスタリングスイートのMClassシリーズ(イコライザー/ステレオイメージャー/コンプレッサー/マキシマイザー)を内蔵し、ミキサーのインサートとしても使用できる。

シーケンサー[編集]

シーケンサーはピアノロール式のMIDI編集機能とハードディスクレコーディング機能を持つ。またラックデバイス・ミキサーのツマミ操作をオートメーションデータとして記録できる。

MIDIトラックでは「ReGroove Mixer」機能により演奏グルーヴの種類や量をスライダーで非破壊的(元のデータを変えず)に加えたり調整できる。

オーディオトラックはマルチテイク録音やコンピング(テイク差し替え)編集に対応し、タイムストレッチ機能を内蔵する。オフライン編集機能はクリップ単位での音量調節やフェードトランスボーズなどの基本機能に留まる。

また「ブロック」機能により、あらかじめ構築した短いシーケンスを「ブロック」としてソングに並べて簡単に編曲できる。ブロックの内容変更はソング上の分身に反映され、ソング上ではフィルインや変化を付けたメロディを乗せたり、部分ミュートもできる。ブロックは複数のフレーズ候補の比較検討などにも活用できる。

いくつかのラックデバイスはアナログシーケンサーを持ち、ハードウェア感覚で打ち込んだり、パターンを切り替えたり、CV/ゲート信号を活用することもできる。

ライブラリー[編集]

ReasonはReFill(リフィル)と呼ばれるライブラリ形式を使用する。ReFillはパッチファイルやサウンドサンプルを格納したファイル形式で、標準ではプリセット類を収録した『Factory Sound Bank』とオーケストラ音色集『Orkester』が付属する。ユーティリティソフト『ReFill Packer』を使ってユーザーがReFillを自作することもでき、無償有償を問わず多くのReFillが流通している。

そのほかのサンプラー音色としてはWAVAIFFMP3AACファイル、REX/REX2ファイル、SoundFontファイルを読み込める。

かつてはAKAI製サンプラーS1000/S3000用の音色ファイルを取り込むユーティリティソフト『Reload』がユーザーに無償提供されていたが、現在は配布終了している。

著名ユーザー[編集]

著名ユーザーにはビースティ・ボーイズプロディジーブラック・アイド・ピーズ ディレクターのプリンツ・ボード英語版アウル・シティーらがおり、日本ではゲームミュージック作曲家の阿保剛も使用している。楽曲では安室奈美恵WANT ME, WANT ME」(プロデューサーSUGI-V)や、ストロマエ「Alors on danse」のトラックメイキングに使用された。

内蔵ラックデバイス一覧[編集]

デバイス名の表記はReason 6.0日本語版マニュアル目次およびデバイス作成時のメニューによるが、表記にゆれがあるものもある。

オーディオ・シーケンス関係
デバイス名 概要
REASON Hardware Device オーディオ/MIDI/ReWireの入出力デバイス。VU/PPM/ピークメーターや各種状況も表示する。
Combinator コンビネーター デバイスを内包して新しいデバイスを構築するデバイス。
Mixer 14:2 ミキサー ラックマウント型のミキサー。カスケード接続可能。初期にはSSL 9000 Kモデルのミキサーはなく主要なミキサーであった。
Line Mixer 6:2 ラインミキサー ラックマウント型の小型ラインミキサー。
Redrum ドラムマシン サンプルベースのドラムマシン。パターンシーケンサーを備える。
Kong ドラムデザイナー 高機能ドラム音源。音源部とエフェクター部がモジュール化され、物理モデル音源やトランジェントシェイパーも内蔵する。
ID8 インストゥルメントデバイス 音源モジュール。8カテゴリ×4音色の計32音色と4ドラムセットを内蔵する。スタンダードMIDIファイルの読み込みにも使われる。
SubTractor アナログシンセサイザー 減算方式バーチャルアナログ音源
Thor ポリソニックシンセサイザー 高機能ポリフォニックシンセサイザーオシレーター部やフィルター部がモジュール化され、アナログウェーブテーブルFMオシレーターなどを内蔵する。モジュレーション・マトリクスやステップシーケンサーも備える。
Malström グレインテーブル シンセサイザー グレインテーブルシンセシス方式のポリフォニックシンセサイザーウェーブテーブルグラニュラー英語版方式を基にした開発元独自の新方式で、色々なループ波形を周期ごとにスライスし、読み出し順の制御やピッチシフトもできる。
NN-19 デジタルサンプラー サンプラー
NN-XT アドバンストサンプラー 高機能サンプラー。レイヤーサウンドにも対応する。
Dr. Octo REX ループプレーヤー ループプレーヤー。REX形式のスライスループを再生できる。バージョン5で「Dr.REX」から強化・改名。
Matrix パターンシーケンサー パターンシーケンサー
RPG-8 モノフォニックアルペジエイター アルペジエイター。分散和音をプログラムする。
ReBirth Input Machine インプットマシーン ReBirth RB-338入力専用デバイス。Mac OS X版ではReBirthが移植されていないため意味はない。
BV512 デジタルボコーダー ボコーダー。グラフィックイコライザーとしても動作する。
Neptune ピッチアジャスター ボーカル/ソロ楽器用ピッチ補正。指定音階での自動補正のほか、MIDIでの演奏も可能。
External MIDIインストゥルメントデバイス MIDI信号を外部出力する。
エフェクト関係
デバイス名 概要
MClass イコライザー マスタリング用イコライザー。パラメトリック式。
MClass ステレオイメージャー マスタリング用ステレオ音像コントロールデバイス。ステレオ音声の音の広がりを調整する。モノラル音声のステレオ化ツールではない。
MClass コンプレッサー マスタリング用コンプレッサー。サイドチェインも可能。
MClass マキシマイザー マスタリング用マキシマイザー。特殊なリミッター
Line 6 Guitar Amp ギター用アンプシミュレーター。Line 6社の『POD』の技術を採用する。ワウ内蔵。2016年10月に提供終了予定[2]
Line 6 Bass Amp ベース用アンプシミュレーター。Line 6社の『POD』の技術を採用する。コンプレッサー内蔵。2016年10月に提供終了予定[2]
Scream 4 サウンドディストラクションユニット マルチディストーション。CVを入力できるパラメータが多く、フランジャーフェイザーワウのような効果を得ることもできる。
Pulveriser Demolition クランチなサウンド特性の汚し系コンプレッサーディストーションフィルター
Alligator トリプルフィルターゲート リズムパターンで音響効果を加えるトランスゲート。
RV7000 アドバンストリバーブ 高品位リバーブレーター。マルチタップディレイとしても使える。
The Echo テープエコー。音色調整やスタッター効果などもできる。
RV-7 デジタルリバーブ リバーブレーター
DDL-1 デジタルディレイライン ディレイ
D-11 フォールドバック ディストーション ディストーションウェーブシェーピング・シンセシス方式の一種。
ECF-41 エンベロープフィルター マルチモードフィルター。エンペロープ・ジェネレーターとゲート入力を備える。
CF-101 コーラス / フランジャー コーラスフランジャー
PH-90 フェイザー フェイザー
UN-16 ユニゾン コーラスに似たデバイス。4/8/16重の同じ音を重ねてデチューン効果を得る。
COMP-01 コンプレッサー / リミッター コンプレッサーリミッター
PEQ-2 2 Band パラメトリックEQ パラメトリックイコライザ−
Spider Audio マージャー / スプリッター オーディオ信号をマージ/スプリットするデバイス。
Spider CV マージャー / スプリッター CV/ゲート信号をマージ/スプリットするデバイス。
Audiomatic レトロトランスフォーマー テープやレコード、ラジオ、70・80年代ハイファイ機器風など16種のシミュレーションで音に質感を与える。

各バージョン履歴[編集]

1.0(1999年)
初期バージョン。
2.0(2002年)
NN-XT、Malströmの追加。シーケンサーに消しゴムツール、ラインツールの追加。
2.5(2003年)
BV512、Scream 4、RV7000、UN-16、Spider Audio/CVの追加。無償アップデート。
3.0(2005年)
Combinator、MClassマスタリングスイート(イコライザー、ステレオイメージャー、コンプレッサー、マキシマイザー)、Line Mixerの追加。ブラウザーの大幅な仕様変更。
4.0(2007年)
Thor、RPG-8、ReGroove Mixerの追加。シーケンサーの大幅な仕様変更。従来の英語に加え、日本語、ドイツ語、フランス語モードの追加。
5.0(2010年)
Kong、Dr. Octo REX、Big Meter、Blocks、ライブサンプリング機能の追加。マルチコア対応。
6.0(2011年)
Pulveriser、The Echo、Alligatorの追加。姉妹ソフト『Record』の吸収(ハードディスクレコーディング機能、メインミキサー、ID-8、Line 6 Guitar/Bass Amp、Neptuneの追加、USBライセンスキー「Propellerhead Ignition Key」の採用)。64ビットメモリー対応。
6.5(2012年)
Reason自体に変更はないが、拡張形式「Rack Extension」の仕様が公開された。KORGなどサードパーティやPropellerhead自身からも音源やエフェクターなど追加デバイスが多数発売される。無償アップデート。
7.0(2013年)
External MIDI(MIDI出力)、Audiomaticの追加。オーディオスライスやオーディオクオンタイズ、REXループフォーマット保存。MP3AACオーディオの読み込み対応。スペクトラムアナライザ付きイコライザー、グルーピングバス、パラレルチャンネル機能などミキサーの強化。コンピュータ本体のみでのライセンス認証に対応。
7.1(2014年)
Rack Extension SDK 2に対応など。無償アップデート。
8.0(2014年予定)
Softubeアンプシミュレーターの追加。メディアブラウザーの一体化やドラッグ・アンド・ドロップの全体的な採用、MIDIシーケンサーの強化など。

脚注[編集]

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  1. ^ 藤本健, Propellerhead社長に聞くReason開発秘話, All About, p. 2, 2007年10月17日, 2014年8月31日閲覧.
  2. ^ a b Reason 8 よくある質問, プロペラヘッド・ソフトウェア, 2014年8月31日閲覧.

外部リンク[編集]