RQ-4

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動: 案内検索

RQ-4 グローバルホーク

RQ-4

RQ-4

RQ-4 グローバルホーク (RQ-4 Global Hawk)は、ノースロップ・グラマン社によって開発された無人航空機アメリカ空軍などによって使用されており、イラク戦争で実戦に投入されている。

MQ-1プレデターなどの無人航空機とは異なり、攻撃能力を持たない純粋な偵察機である。

概要[編集]

整備中のRQ-4

アメリカ統合軍司令部に偵察情報をもたらす長時間飛行プラットフォームを目指して開発された無人偵察機であり、1995年に先進概念デモンストレーション作業が開始された。

まず2機の試作機と試験ペイロード、1セットの地上統制ステーションが製造され、試作初号機は1998年2月28日エドワーズ空軍基地で初飛行した。

1998年10月1日には、グローバルホークの全プログラムをライトパターソン空軍基地の偵察システム計画局の航空システム・センターが統括することになった。1999会計年度には本格的な自律飛行に関する試験が開始されたが、3月に1機が偵察センサーを搭載した状態で墜落事故を起こし、プログラムは2ヶ月遅延した。なお、グローバルホークの試作・開発機は合計で7機製作されており、その内3機が事故で失われている。

1999年6月からは軍用汎用評価および初期実用活動のため、アメリカ統合軍司令部により一連の演習に投入された。2000年4月20日には試作4号機が『リングド・シー00』と『統合任務軍演習00-02』に参加するためエグリン空軍基地に展開した。また、これら演習期間中には大西洋を横断してヨーロッパへの飛行も実施している。

2001年3月に技術・製造・開発(EMD)フェイズに入っている。2001年12月30日には、試作5号機がミッション飛行中に方向舵アクチュエーター故障によって墜落事故を起こしているが、2002年3月11日にミッションが再開され、試作3号機がアフガニスタンに展開した。

2003年8月1日にRQ-4A量産初号機が完成し、パームデールのノースロップ・グラマン、アンテロープ・バレー製造センターでロールアウトした。量産初号機は、エドワーズ空軍基地で各種試験に使用された後、2004年11月16日ビール空軍基地第9偵察航空団第12偵察飛行隊に引き渡された。

2005年11月7日には第二次発注が行われており、発注機数は55機になった。これらの引き渡しは2006年中期から開始され、2006年8月25日にはRQ-4A(Block20)がパームデールの製造センターで初公開されている。

2011年3月11日に発生した福島第一原子力発電所事故の際には、被害状況の把握の為、施設上空を短時間飛行した。

RQ-4の特徴[編集]

機体[編集]

高高度を長時間飛行するため、全幅とアスペクト比の極めて大きなテーパー翼を持った、グライダーのような外形をしている。胴体後部にターボファンエンジン単発を装備し、機首上部の盛り上がった部分には衛星通信用のアンテナが収められている。翼は炭素繊維複合材でできている。有人機の場合、緊急時の乗員の脱出の為の射出装置を上部方向に設置する必要があり、脱出時に乗員を吸い込む事を防ぐ為に上部にエンジンの吸気孔を設置する事が出来ず、上部がデッドスペースになる。これに対して、無人機である本機は吸気孔を上部に設置可能で、下部を地上探査の為に有効に活用する事が可能となっている。

偵察機器類[編集]

機首先端部

RQ-4は機内に合成開口レーダー(SAR)、電子光学/赤外線(EO/IR)センサーを搭載し、各センサーは広域に渡っての捜索・監視活動が可能で、高解像度のスポット・モードを使用することもできる。

合成開口レーダーはSARストリップ・モードで1m、SARスポット・モードでは30.5cmの解像度を有する。地上移動目標識別(GMTI)モードでは、20~200kmの範囲内を最低4ktの速度で飛行し、移動目標の識別を行う能力を有している。

EO/IRセンサーは1mの分解能で約4万平方nmに渡っての捜索・監視活動が可能で、0.3mの分解能で最大1900のスポット画像を取得する能力を備えている。目標の探知精度は、半数必中界(CEP)が20mとされている。

運用機関[編集]

アメリカ空軍[編集]

前述のとおり、アメリカ空軍で使用されている。2001年アフガニスタン侵攻で行動した。

アメリカ海軍[編集]

アメリカ海軍は、海上哨戒用にMQ-4C トリトン英語版の名称で採用し、P-8と連携して2015年から運用する予定。

NASA[編集]

アメリカ航空宇宙局では、地球温暖化について、高高度で毎日10時間の調査をしている。

使用予定の国[編集]

Flag of NATO.svg NATO
2012年までに8機購入することを計画している。
ドイツの旗 ドイツ
RQ-4Bを電子情報収集用に改良したユーロホークを購入。2010年には最初の機体が配備され、テスト飛行を行っていたが、2013年5月14日に計画はキャンセルされた。理由は、航空交通が過密なヨーロッパ空域での安全性確保が困難だと判明したため。
日本の旗 日本
中期防衛力整備計画(平成16~20年度)で、中期防期間中にRQ-4Bの導入に関する研究を行うことが定められ、中期防の期末となる2016年3月末までにRQ-4Bの導入の可否を決定することとされた。2012年12月16日の第46回衆議院議員総選挙で,当該計画を策定した民主党が大敗し自民党政権交代し、第2次安倍内閣が発足。安倍政権は中期防の見直しを決め,本機の導入を前倒しすることとし,本機を早ければ2015年度までに導入したいとしている。
仮に導入するとなると、日本全域の警戒・監視には3機が必要となり、センサー類を除く機体本体は1機約25億円で、司令部機能を持つ地上施設の整備などと合わせて初期費用の総額は数百億円になる予定である[1]
2013年3月中旬に米国政府より北朝鮮への警戒監視強化にともない米軍三沢基地(青森県)に6月~9月頃に暫定配備すると日本政府へ通達。しかし、4月に入り北朝鮮がミサイル発射準備を進めていることが発覚し、米国政府は配備を前倒しする可能性がある。現在(2013年4月6日)のところ、グアムのアンダーセン空軍基地に常駐している3機のうちの1機を配備する予定である。また、配備する機の飛行計画は、北朝鮮のミサイル発射監視のみに使用され日本海側のみを飛行する予定である。
韓国の旗 韓国
2012年12月26日、アメリカ政府は4機12億ドルにて韓国に売却可能とすることをアメリカ合衆国議会に報告した[2]。報告は販売までの1ステップであり、販売に至らない可能性がある[3]

仕様[編集]

RQ-4A
  • 全幅:35.42m
  • 全長:13.52m
  • 全高:4.64m
  • 空虚重量:6710kg
  • 最大離陸重量:12111kg
  • ペイロード:907.2kg
  • エンジン:ロールスロイス製QE3007Hターボファン×1
  • エンジン推力:37kN
  • 巡航速度:343kt
  • 実用上昇限度:19,800m
  • フェリー航続距離:12,000nm

派生型[編集]

  • RQ-4A:初期生産型
  • RQ-4B:機体大型化型
  • MQ-4C トリトン英語版:アメリカ海軍向けの海上哨戒機型。機体下面のレーダーが可動式になるなどの変更が加えられている。当初の名称はRQ-4N BAMS(Broad Area Maritime Surveillance)

脚注[編集]

  1. ^ 中国・北朝鮮を監視…無人偵察機の導入検討、読売新聞 2010年12月30日
  2. ^ http://web.archive.org/web/20130508210706/http://www.asahi.com/international/update/1226/TKY201212260988.html 米、韓国に偵察機4機売却へ 対北朝鮮、情報収集力強化]、朝日新聞 2012年12月26日
  3. ^ http://www.flightglobal.com/news/articles/south-korea-requests-possible-northrop-grumman-rq-4-global-hawk-purchase-380535/ South Korea requests possible Northrop Grumman RQ-4 Global Hawk purchase 2013年9月22日閲覧

関連項目[編集]