NVIDIA RIVA

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RIVA(リーヴァ)は米NVIDIA社のビデオチップ(グラフィックアクセラレータ)である。 1990年代後半のNVIDIAの成長を支えた。

Canopus RIVA TNT
Canopus RIVA TNT2 Ultra

概要[編集]

1993年に設立されたNVIDIAは、3Dアクセラレーション機能をもつNV1を開発した。NV1は曲面描画エンジンを採用し、専用のソフトウェア製品では高い性能を発揮したものの、マイクロソフトDirectXにおいて多角形(ポリゴン)描画を仕様としたため、DirectXへの対応が不完全なNV1の売り上げは伸びなかった。

NVIDIAは、Windows CEのカスタマイズ版が搭載されたセガドリームキャスト(1998年発売)に向けてNV1を元にしたNV2を設計したが、曲面描画エンジンは、DirectXを利用してゲームタイトルを移植することが難しく、多角形描画が一般的になりつつあったことから途中で中止された。

この反省からNVIDIAは、多角形描画を採用しDirectXに対応、Direct3Dの性能を追求したビデオチップNV3を開発し、1997年にRIVA 128として発表した。RIVA 128の描画品質はあまり良くなかったが、描画速度が非常に高速であり高解像度のディスプレイもサポートしていた。また、RIVA 128は低価格であり多くのOEMメーカーが搭載ボードを販売した。

1998年にNVIDIAは、RIVA 128の後継としてDirectX 6に対応し、マルチテクスチャリング処理が可能となったRIVA TNT(開発コード名はNV4)を発表した[1]。RIVA TNTは2本のピクセルパイプラインを持ち(製品名のTNTはTwiN Texelからとられた)、24ビットのZバッファを採用しており、描画品質も改善されている。また1999年には、RIVA TNTの後継として32ビットのフレームバッファをもつRIVA TNT2(開発コード名はNV5)を発表[2]、後に廉価版のRIVA TNT2 M64とRIVA TNT2 Vanta(ともに開発コード名はNV6)、 チップセットにグラフィックコアを統合したALADDiN-TNT2なども販売された。

RIVA 128 GPU
RIVA 128ZX GPU
RIVA TNT GPU
RIVA TNT2 Ultra GPU
RIVA TNT2 VANTA GPU

RIVA 128[編集]

製品名 コア名 (製造プロセス) トランジスタ数 コアクロック メモリクロック(バス幅) RAMDAC VRAM インターフェイス DirectX
RIVA 128 NV3 (0.35μm) 350万 100MHz 100MHz(128bit) 230MHz SGRAM 4MB AGPまたはPCI 5
RIVA 128 ZX NV3 (0.35μm) 350万 100MHz 100MHz(128bit) 250MHz SGRAM 8MB AGP2xまたはPCI 5

RIVA TNT[編集]

製品名 コア名 (製造プロセス) トランジスタ数 コアクロック メモリクロック(バス幅) RAMDAC VRAM インターフェイス DirectX
RIVA TNT NV4 (0.35μm/0.25μm) 700万 90MHz/125MHz 125MHz(128bit) 250MHz SDRAM 16MB AGP2xまたはPCI 6

RIVA TNT2[編集]

製品名 コア名 (製造プロセス) トランジスタ数 コアクロック メモリクロック(バス幅) RAMDAC VRAM インターフェイス DirectX
RIVA TNT2 Ultra NV5 (0.25μm) 1500万 150MHz 183MHz(128bit) 300MHz SDRAM 32MB AGP2xまたはPCI 6
RIVA TNT2 Pro NV5 (0.25μm) 1500万 143MHz 166MHz(128bit) 300MHz SDRAM 32MB AGP2xまたはPCI 6
RIVA TNT2 NV5 (0.25μm) 1500万 125MHz 150MHz(128bit) 300MHz SDRAM 32MB AGP2xまたはPCI 6
RIVA TNT2 M64 NV6 (0.25μm) 1500万 125MHz 135MHz(64bit) 300MHz SDRAM 32MB AGP2xまたはPCI 6
RIVA TNT2 Vanta NV6 (0.25μm) 1500万 100MHz 110MHz(64bit) 300MHz SDRAM 32MB AGP2xまたはPCI 6
RIVA TNT2 Vanta LT NV6 (0.25μm) 1500万 80MHz 100MHz(64bit) 300MHz SDRAM 32MB AGP2xまたはPCI 6

脚注[編集]

  1. ^ 米NVIDIA、RIVA 128シリーズの後継3Dチップ「RIVA TNT」を発表”. PC Watch (1998年3月24日). 2012年8月30日閲覧。
  2. ^ 米NVIDIA、3Dチップ「RIVA TNT2」発表”. PC Watch (1999年3月16日). 2012年8月30日閲覧。

外部リンク[編集]