RED (村枝賢一)

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RED
ジャンル 西部劇ガンアクション
漫画
作者 村枝賢一
出版社 講談社
掲載誌 ヤングマガジンアッパーズ
週刊ヤングマガジン
レーベル アッパーズKC
発表号 1998年第15号 - 2005年第48号
巻数 全19巻
テンプレート - ノート
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ポータル 漫画

RED』(レッド)は、村枝賢一による日本漫画西部開拓時代末期を舞台にした復讐劇である。

当初の掲載誌は『ヤングマガジンアッパーズ』(講談社刊)で、1998年第15号から2004年第21号まで連載された後、同誌の休刊ののちに『週刊ヤングマガジン』(同社刊)に引き継がれ、2005年第10号から第48号まで連載された。『週刊ヤングマガジン』では、『ヤングマガジンアッパーズ』と同様の隔週連載であった。

連載回数は全151回。刊行された単行本は全19巻(講談社刊)。

概要[編集]

19世紀末のアメリカ合衆国を舞台とし、西部開拓時代やインディアン戦争を物語の背景とした復讐劇である。主人公は騎兵隊に部族を虐殺されたインディアンであり、主人公が騎兵隊員に復讐を行うことが物語の本筋である。

また、もうひとりの主人公が日本人であることが特色である。彼は西南戦争に反政府側として参加した元士族である。総じて、時代に駆逐された側から、日本やアメリカ合衆国の歴史を描写している点が、物語上の特徴である。

本作は、作者の新人時代の作品である “BIBLE” を下敷きとして構成されている。“BIBLE” は未完に終わったが、“BIBLE” で構想された群像劇の要素や、ロードムービー的な要素は本作で生かされている。複数の主人公が設定され、多数の登場人物が登場し、運命の交錯が描かれる。ニューヨークからフロンティアまでのアメリカ合衆国全土(主として大陸横断鉄道の沿線地域)を舞台とし、主人公たちの運命がやがて収束していくまでが語られている。

あらすじ[編集]

1876年のアメリカ合衆国。ダコタ準州ホワイトリバー河畔にて、インディアンの虐殺事件が起きた。居留地へ移送中のウィシャ・スー族を、護衛の任に当たっていた第七騎兵隊ブルー小隊の兵員が、突如として無差別に殺害したのである。ウィシャ・スーは、部族の長であったティヨーレを残して全員殺害された。

虐殺から10年の時が経った。ティヨーレはレッドと名を変え、青年へと成長し、マザスカ・スーのいる居留地で平穏な日常を暮らしていた。しかし、レッドはあることから、ブルー小隊隊員25名の名が記されたリストを手に入れる。復讐心に駆られたレッドは、平穏な暮らしを捨て、復讐と殺戮の旅に出るのだった。

登場人物[編集]

登場人物の名前は、赤・黄・青といった、色の名前を元にしているものが多い。また、実在の人物も登場する。

レッドと仲間[編集]

レッド
物語の主人公。虐殺されたウィシャの生き残りである。
生まれてまもなく両親を亡くし、年の近かったオセオラの一家のもとで育つ。ウィシャの残り少ない男子のひとりであった。
9歳の時にウィシャが居留地へと移送される途上で、ホワイトリバーの虐殺が発生、ウィシャは無差別に殺害され、親友のオセオラも目の前で殺されてしまう。
事件のあと、近くに居留していたマザスカに拾われ、10年間をそこで暮らす。
マザスカに馴染みかけたが、ブルー小隊隊員のリストを入手したことで復讐心を呼び起こし、マザスカを追放される。
追放されてのちは旅芸人として生計を立てていた。ワイルド・インディアン・ショーの演者として訪れた町で伊衛郎とアンジーに出会うところから、物語は始まる。
復讐を心に決めて以降は周囲に心を閉ざしているが、本来であれば快活で情に厚い性格をしている。
並外れた長身の偉丈夫。生まれつき髪の色が白いという身体的特徴を持つ。
モデルとなった人物は香取慎吾
伊東伊衛郎 (いとう いえろう)
肥後藩の元士族。狙撃の名手。柔術は非常に得意だが、剣術は不得手。
風采は短躯。お人好しで、「弱いものの味方」を地でいく人間味に溢れた好漢。
かつて西南戦争に従軍したことがあり、最後は田原坂において仲間が全員自決してしまった中、自分が後を追えなかったことを悔いている。
幼馴染の村崎の強い希望に乗る形で渡米するが、とあるきっかけで村崎とは決別する。
ある町で洗濯屋の下働きをしていたが、旅芸人として町を訪れたレッドと知り合い、行動をともにすることになる。
酒に非常に強く、うぃすきぃのボトルを10本近く空けてようやく酩酊する程度。
最初はレッドの復讐のことを知らず、レッドと同行することで自分の人生を取り戻せると考えていた。
しかし、あまりにも苛烈なレッドの復讐を目の当たりにして、自らの道行きに疑問を抱く。
オーエンとの出会い、ブルーとの邂逅を経て、やがて自らの道行きの理由を見つけることとなる。
モデルとなった人物は川谷拓三
アンジー
伊衛郎と同じ町に住んでいる娼婦
町を訪れたレッドに好意を抱き、行動をともにすることになる。
金髪碧眼。気っ風の良い世慣れた人物であり、強気な性格である。
ギャンブルに非常に強く、特にカードで負けた描写は一度も無い。本人もそれを十分承知しており、道行く先でギャンブルをしかけては旅費を稼いでいる。
射撃の心得があり、遠く離れた的も適切に撃ち抜くことが出来る。
モデルとなった人物はシャロン・ストーン
スカーレット
白人の中で暮らすインディアンの少女。クリスチャン・スタージェスの養子
出生の秘密ゆえにブルーたちに追われることとなる。旅の途中でレッドと出会い、やがて自らの宿命を悟る。
スタージェスの旧知であるグレイを慕っている。
優しさと慈悲心に満ちあふれた少女。
チリカ
アパッチ族の少年。
家族をメキシコ軍に殺され、孤児となったところをジェロニモに拾われる。以後、ジェロニモの団の中で暮らす。
ジェロニモが町を襲撃したときにレッドと出会い、ともに戦ったあと、行動をともにすることになる。
アルコーズを義理の父と慕っている。スカーレットを密かに慕っている。
ジェロニモの下で育ったため、銃器の扱いに慣れている。
グレイ
レッドの復讐を手伝う謎の巡回牧師英語版
アメリカ軍の試作拳銃であるヘイトソングをレッドに手渡し、復讐を加速させる。
スタージェスとは旧知であり、スカーレットを庇護の対象としている。
女たらしで酒好き。既に旧式化しているパーカッションシングルアクションリボルバー(en:Remington Model 1858en:Colt Army Model 1860)の二丁拳銃の使い手。
エドワード・ゴールドスミス
元ブルー小隊隊員。アメリカ陸軍大佐。屈強な、隻眼の老人。隻眼となるまでは狙撃の名手として名をはせていた。
トーマス砦に単身潜入したレッドに捕らえられ、行動をともにすることにになる。
モデルとなった人物は俳優のショーン・コネリー

ブルー小隊[編集]

アメリカ合衆国陸軍第七騎兵連隊ブルー小隊。ブルー大尉を隊長に、4分隊25名から構成される。この物語の元凶である。

1876年、ダコタ準州ホワイトリバーにおいて、居留地に連行中のウィシャ・スーを一方的に殺戮した。エドワード・ゴールドスミスの訴えにより、第七騎兵隊の指揮官であるカスター将軍は、この事件の隠蔽を決定。隊員全員を2階級特進させ強制的に除隊、ブルー小隊を解散させた。なお、リトルビッグホーンの戦いで第七騎兵隊が全滅したのは、ブルー小隊の解散後のことである。

隊の支給品であった コルト・シングル・アクション・アーミー キャバルリー(COLT Single Action Army Cavalry、騎兵向け約7.5インチモデル)を使用する者が多い。

ブルー
ブルー小隊の指揮官。階級は大尉
凶状を持つ人物を惹きつけるカリスマを持つ。
アメリカ合衆国を変容させる陰謀を巡らせており、彼の存在自体がアメリカにとっての脅威となっている。
筆者あとがきに拠れば、仲代達矢を外観のモデルとしている。
ウォーターズ
ブルーの手下で各地にいる元ブルー小隊隊員への連絡員を務める物腰の低い小男。顔は不明。
“A”分隊
ジョン・テレンス
ブルー小隊の副官。“A”分隊隊長。
復讐を開始したレッドを調査し、追跡している。
かつてよりブルーを崇拝していたが、ブルーの真意を知って以降は疑心暗鬼となり、ブルーを怖れることとなる。
残忍な性格で、徹底的な人種差別主義者であり、白人以外の人間を人間と捉えてはいない。
ヒュー・ルーカス、ブライアン・ビショップ、ノーマン・クイン、ビル・キングストン、クリストファー・ナイト
ブルーに「レッドを殺した者をテレンスに代わって副官とする」旨を伝えられ、外輪式蒸気客船に乗るレッドらを襲撃し、返り討ちにあう。
“B”分隊
ハロルド・バーンズ(分隊長)、ハンプトン・ヒル、オーエン・ランディス、アーノルド・コッパー (AC) 、ダニエル・コッパー (DC)、ギルス・グリーンウェル
“C”分隊
マシュー・オコーナー(分隊長)、エドワード・ゴールドスミス(上述)、パトリック・ブーン、バージル・バリー、ロブ・モックリッジ、デニス・シーゲル
長距離支援を目的とする狙撃分隊であり、長銃身のライフルを装備する。
“D”分隊
A・G・ウエスト、コージー・サットン、ケイン、ヒーリー、ライノ、ロイ
ブルー小隊で「最も凡庸」で殺人衝動などが少ない普通の人員で構成されていたが、彼らをモデルケースとして精兵に鍛えるための教育プログラムがブラックヒルズの農場で施された。
村埼の「仕上げ」として、A・G・ウエスト、コージー・サットンを除いて全員が村埼に殺される(コージー・サットンはガブリエルとの交戦で死亡)。
青の猟兵
ブルーが提唱したブラックヒルズの農場での教育プログラムを生き残った軍の精兵。100人を超える。

その他の人物(五十音順)[編集]

オセオラ
ティヨーレ(レッド)の無二の親友。
ホワイトリバーの虐殺時に、ティヨーレをかばって絶命する。死の間際に、部族の仇を討つようティヨーレに言い遺す。
ガブリエル・ウォーカー
スカーレットの付き人。巨漢の黒人。障害のため、言葉を発することができない。
スカーレットが危機に瀕すると身を挺して守る勇敢な人物。
「沈黙の聖人」の二つ名を持つボクシングのアメリカ東部チャンピオンである。
クリスチャン・スタージェス
スカーレットの養親。グレイの旧知。
ホワイトリバーの虐殺時、内務省BIA(インディアン管理局)局員としてブルー小隊に随伴していた。
虐殺発生時に制止しようとするも叶わず、静観を余儀なくされた。
虐殺を止め得なかったことを悔いる気持ちから、スカーレットを養子として育てている。
心労から、年齢以上に老いた外見をしている。
グローバー・クリーブランド
実在の人物。アメリカ合衆国第22代大統領。
作中ではブルーの陰謀を阻止するため、アメリカ全土にエージェントを放ち活動させている。
エージェント
弁護士時代にクリスチャン・スタージェスの訴えを聞き、法にではどうにもならない事態に対し、旧知であったブラウンが非合法な調査、活動を行うために始めた。
死刑相当の罪人など「一度は死んだ者」が多い。
改良型のヘイトソングを所持している者もいる。
ブラウン
リーダー格の女性。クリーブランドやグレイの父親とも旧知の間柄。「ブラウン」は髪の色に由来する偽名である。
ブラック、アッシュ、カーキ、ビリジアン、ネイビー、セピア
エージェントたち。いずれもコードネーム、偽名であり本名は別にある。
シルバーリング
スー族の一部族、マザスカの長。名前は太い腕にはまった銀の腕輪から。この銀の腕輪はシルバーリング死亡後にレッドに託される。
かつては勇猛な戦士として知られていたが、マザスカの敗勢が濃くなってからはマザスカの将来を思い、白人の社会に溶け込めるように取りはからった。情義に厚い人物であり、マザスカの民からは畏敬の念をもって敬われる。
ホワイトリバーの虐殺から生き延びたティヨーレを拾い、レッドという名を与えて保護した。
村崎十字郎(むらさき じゅうじろう)
伊衛郎の幼なじみ。長身を黒衣に包み、整った顔立ちながら無表情で、時として不気味な男。伊衛郎に対して、友情とも愛情ともつかない独占欲を示す。
隠れキリシタンの商家の生まれで一応キリシタンだが、独特の宗教観を持っており、スカーレットをその素性から「まりあ様の生まれ変わり」と見定めて捜索している。
居合いの使い手で、かつては「居合いの村崎」として葦北では名の知れた存在であった。
昔は伊衛郎と非常に友好的な関係を築いており、西南戦争後、自責の念に駆られる伊衛郎をアメリカへ行くこと決心させたが、後にあることを理由に袂を分かつことになる。
“ライトニング”ベーカー
ネブラスカきっての凶悪犯。
強盗や殺人など数々の犯罪を行った賞金首。6フィート半はあるという体躯を持ち、女言葉で喋る黒人男性(オカマ)。
ボクシングのアメリカ西部チャンピオン。
ガブリエルに好意を抱き、ガブリエルを助けるというかたちで、間接的にレッドの復讐に協力する。
オセオラ、ティヨーレ
死んだ牝狼の腹から、行商途中のシルバーリングが救い上げた双子の狼。名付け親はレッド。
白い狼がティヨーレで物語当初からレッドに付き従っていた。
黒い狼はオセオラで、シルバーリングの下に残っていたが、スカーレットがシルバーリングを訪ねたときから、スカーレットに付き従うようになる。
伊東雄廉治(いとう おれんじ)
最終話に登場する現代日本人(アメリカ人の血も混じっている)。
祖先の言に従い渡米。ウィシャ・スー族の居留地を訪れ、白髪の少年と出会うところで、物語は終わる。

作中用語(五十音順)[編集]

ウィシャ
スー族の架空の一部族。ティヨーレ(レッド)が生まれた部族。
かつては白人に猛烈に抵抗していたものの、戦いを経るうちに損耗し、勢力を縮小していた。その結果、アメリカ合衆国の管理下に置かれ、居留地への移動を余儀なくされることとなった。
1876年、ウィシャは居留地への移送のため、ダコタ準州ホワイトリバー河畔を移動していた。そのさなか、ウィシャは、護衛に就いていたアメリカ合衆国陸軍第七騎兵隊ブルー小隊の無差別な発砲を受ける。女性と子供、老人を主な構成員とするウィシャは抵抗することもなく、ティヨーレを除く全員が殺害された。
狭間筒
伊衛郎が使う長銃身の火縄銃。伊東家伝来の肥後銃である。
狭間筒とは実在した銃種であり、城の防衛に用いられるのが一般的である。城の壁にもうけられている狭間(銃眼)に据え置いて使うため狭間筒と呼ばれる。
  • 全長201cm、重量11.61kg、口径13.5mm、総弾数1
ヘイトソング
レッドが使う重厚長大なリボルバー。アメリカ軍が開発した試作型拳銃である。型式番号は "S&W M03A7 HATESONG"。
ヘイトソングは、ライフル用の弾丸である.45-70ライフル弾を発射できるリボルバーである。拳銃の範疇から外れた破壊力を持つが、射手に並外れた反動制御能力や筋力を要求する規格外のモデルである。
独特の機構を持つオートマティックリボルバーであり、弾丸の発射とともに、弾丸のガス圧を利用してフレーム上部を後退させ、シリンダーを回転、ハンマーをコックさせる仕組みとなっている。この機構により、シングルアクションのリボルバーとは異なり、速射を可能にしている。
レッドが用いるM03A7は銃身下部に長大なナイフを取り付けることができ、これにより格闘戦にも対応する。
最終決戦では、威力を減少させる代わりに反動を抑えて使い勝手を良くした改良型のM03A8、M03A9を使用しているエージェントが登場した。
  • 全長43.8cm、重量5.02kg、45口径、総弾数6
ホワイトリバー / ホワイトリバーの虐殺
ホワイトリバーは架空の河川。ダコタ準州を流れる。白い粘土質の土を多量に含むために白く見え、そのためにホワイトリバーと呼ばれる。
ホワイトリバーの虐殺は、ホワイトリバーで起きた架空の虐殺事件。1876年、ウィシャを居留地へと移送中だったアメリカ陸軍第七騎兵隊ブルー小隊が、突如としてウィシャへ無差別な発砲を行った。ウィシャはティヨーレを除き全員殺害された。
アメリカ西部開拓時代には、インディアンの虐殺事件は常態化しており、アメリカ国民から賞賛の声は上がっても、問題視されることはほとんどなかった。
マザスカ
スー族の架空の一部族。ダコタ準州パインヒル居留地に居留している。
かつては白人に対して猛烈に抵抗していたものの、族長のシルバーリングが白人と取引をし、白人の文化を受け入れ、居留を許されている。

単行本一覧[編集]

関連項目[編集]

作品ジャンルについて
歴史的な背景について
社会的な背景について