RCA

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1964年のRCA カラー・テレビジョン・フェア
RCA 74 Jr. ベロシティ・リボン式マイクロフォン
RCA 808 真空管
RCA 放送用のミキシング・コンソール
RCA 2インチ・テープ使用の業務用ビデオ・レコーダー
RCA AR-88 通信機器

RCAは、1919年に創立され、1986年まで存続したアメリカ合衆国エレクトロニクス(電気機器・半導体)事業を中心とする企業であり、そのブランドである。RCAという社名は「Radio Corporation of America」(アメリカ・ラジオ会社)の短縮形。

現在はテクニカラー社(Technicolor SA、旧トムソン)が所有する登録商標であり、商標使用権売却により様々な商品分野でRCAブランドの商品が販売されている。

北米では「蓄音機に耳を傾ける犬ニッパー」の商標を使用していた(もともとは英グラモフォンの商標)。

設立当初は全米各地のラジオ会社の大半を傘下に収めると共に、RCAレコード・NBCなどのメディア事業を有し、ロックフェラー・センターにRCAビル(現・GEビルディング)を竣工。1970年代にはハーツレンタカーなど本業との関連が薄い企業もM&Aで保有していた。

エレクトロニクス部門[編集]

エレクトロニクス部門では、真空管半導体技術に優れ、真空管のメーカーとしては古くから世界的な名門であった。半導体時代に入ってからもGEの特許によるサイリスタなどのパワーデバイス、世界標準となったCMOSロジックIC4000シリーズ、同じくCMOS技術による最初のCPU "COSMAC"シリーズ(CDP1801/CDP1802)などで知られた。CMOSの省電力性に優れた特徴から、CDP1802ボイジャー探査機にも搭載された。

RCA設立以前のGE時代よりテレビ受像器の開発に着手し、世界初のカラーテレビの市販化を手がけた。日本においてテレビ開発が行われていた時期、電気回路に関する特許の使用を日本法人(アールシーエー技術研究所)を通じて容認し、その後のテレビ開発を支えるに土台となった事や、「RCA端子」とも呼ばれるAV端子の規格を作った事でも知られる。

CEDビデオディスク[編集]

同社は、民生用において繰り返し録画再生が出来るビデオカセットレコーダー(VCR)よりも、“絵の出るレコード”と言われたビデオディスクの開発に注力しており、1960年代から着手した静電容量方式のCED開発に50億ドルの開発費用を費やし、1981年に「セレクタビジョン」の商標で北米(NTSC)およびイギリス向けのPAL版が発売された。

RCA及び日立や三洋、東芝などの日本家電メーカーが製造販売し、OEM供給を請けた米国ゼニス(現在はLGの別ブランド)、映写機メーカーのエルモシアーズJ.C.ペニー、タンディー・ラジオシャック(リアリスティック)などのストアブランド、PBブランド他から大量に流通された。[要検証 ]

日本においては、当時VHSビデオデッキをRCAへOEM供給(松下に継いで2代目)していた日立製作所に市販化を要請したものの、VHDレーザーディスク間での規格競争が繰り広げられ、1978年ゼネラルから先行して市販されたTeD方式(独・テレフンケンが開発。ディスク形状はソノシートに近く、収録時間も10分程度)が失敗に終わったことなどから、コレクター向けの直輸入品を除き、日本で市販されることは無かった。

なお、VHDはCEDと同様にキャディーごと再生機に投入してディスクの出し入れを行うが、VHDはディスク上に溝が無いなど、規格は全く別物である。

1984年4月にCED事業撤退が報じられる。莫大な開発費用の回収に見合う収益が見込めないためとされる。1985年まで供給は続けられた。

終焉[編集]

1984年に表面化したCEDビデオディスクの商業的な大失敗により経営が悪化し、1986年12月にかつての親会社ゼネラル・エレクトリックへ買収・吸収された。翌1987年ジャック・ウェルチの方針により、旧RCAの家電部門はトムソンに、RCAの子会社であったRCAレコードはドイツのメディア・コングロマリットベルテルスマンに売却された。

日本でのRCAレコードは、当初はビクター音楽産業(現・JVCケンウッド・ビクターエンタテインメント)が担っていたが、1975年日本ビクター(現・JVCケンウッド)と米RCAレコードの合弁によりRVC株式会社が設立され移管された。その後、親会社の資本構成の変遷(ソニーBMGの発足)により、現在は株式会社ソニー・ミュージックエンタテインメントへ吸収されている。

RCAブランド[編集]

過去、北米市場でトムソンが販売したRCAブランドのビデオカメラなど、高付加価値の商品は日本ビクターからのOEM。デジタルオーディオプレーヤポータブルプレーヤクロックラジオなどはタイのメーカー製。液晶テレビに関しては、トムソンのグループ企業である中国・TCL及び周辺企業から供給されていた。

しばらくは、これらトムソンのデジタルAV機器部門、及び、衛星放送向けのセットトップボックスブランドだったが、デジタルカメラ部門を中国資本のGE Imagesにブランドを貸与(GEブランド)、RCAオーディオアクセサリー部門をAudioVoxへブランド貸与を開始し、トムソンは世界各地で自社ブランドで展開を開始。コンピュータ映像編集関連製品は日本企業のPC周辺機器メーカーであるカノープスを買収したトムソン・カノープス、USBオーディオやゼネラルオーディオはexe mode(エグゼ・モード。デジカメブランドとしてYASHICAAGFA・PHOTOを使用している)が日本市場でのトムソンブランドのセールスを開始。これまでのRCAブランドは一部地域を除き、ほぼ全世界での使用停止を発表、同時に新しいライセンス先を探している。その後トムソン社は2010年にテクニカラー社と社名変更した。

なお、現状のRCAブランドについてはRCAブランド商標管理事業(英語)を参照されたい。

歴史[編集]

  • 1919年 - ゼネラル・エレクトリック(GE)からRadio Corporation of Americaとして分離・独立する。設立にはAT&Tも資本面で関わっている。
  • 1926年 - 放送会社・National Broadcasting Company(NBC)を設立する。
  • 1928年 - ハリウッドの映画会社RKOに資本参画する。
  • 1929年 - ビクタートーキングマシン(当時の日本ビクター親会社)を買収し、RCAビクター(現・RCAレコード)を設立する。
  • 1930年 - 世界最初の電気式蓄音機を発売開始。
  • 1939年 - 米のテレビ試験放送開始に伴い、白黒テレビ受像機(TRK-12・TRK-9・TRK-5・TT-5)を一般発売。
  • 1949年 - 同社初の1/4インチ幅磁気テープ用のオーディオ・テープ・レコーダー(RT-1?)を開発、製造。
  • 1953年
    • 春頃 - 通常の白黒放送と両立性のある新しいカラー方式(Compatible RCA方式)を開発。後のNTSC方式の基礎となる。
    • 中頃 - 1/4インチ磁気テープを使用したステレオ・テープ・レコーダーRT-21を開発、製造。
    • 末頃 - 米連邦通信委員会(FCC)の全米テレビジョン方式委員会(NTSC)にて正式決定した同方式による世界初のカラーテレビ受像機を発売。
  • 1954年 - LP、EP用のアナログ・レコードの録音・再生用カーブとしてNew Orthophonicを開発。同年後にRIAAの標準カーブとして採用され、これは現在も、アナログ・レコードの標準仕様となっている。
  • 1957年
    • 初め頃 - 米NBCテレビ向けに2インチの白黒VTRの製造、販売を開始。
    • 11月頃 - 2インチの白黒VTRを独自に改造した、世界初の実用化2インチカラーVTRを開発、製造。米NBCに於いての運用を開始する。
  • 1958年 - ステレオ・レコードの発売に伴い、同ソフトの再生装置が入ったステレオ・セットを発売する。
  • 1959年初め - 2インチカラーVTRの方式にて、米アンペックスの別の方式(ローバンド方式)に合意。同VTRの製造を同方式の物に切り替える。
  • 1968年 - CMOS標準ロジックIC、CD4000シリーズの販売開始
  • 1969年 - 社名をRCAと改称する。
  • 1981年 - カラーテレビを上回る費用を投じて開発された「CEDビデオディスク(商品名:セレクタビジョン)」の再生機とビデオディスクソフトがアメリカで市販化される。
  • 1984年4月 - CEDの商業的な失敗がCNNなどで報じられる。
  • 1986年12月 - RCAグループ全体をGEが凡そ64億ドル(概算1兆2000億円)で買収する。CED事業の失敗で大損したことが一因とされる。この買収額は当時のアメリカ企業による最高額であり、GEのコングロマリット化を推し進める象徴でもあった。
  • 1987年- GEはNBC事業を残し、その他の事業・資産をトムソンベルテルスマンに売却。
  • 2002年 - トムソンは中国の家電メーカー・TCL社と、RCAブランドのテレビなどの生産・流通の合弁事業を開始。
  • 2003年 - 「蓄音機に耳を傾ける犬ニッパー」の商標をGEからトムソンが買収。但しBMGの持つ使用権は継続。
  • 2006年 - トムソンは家電アクセサリー部門とその分野でのRCAブランドの使用権をAudiovox社に売却。
  • 2007年 - トムソンは欧州域外の家電事業とその分野でのRCAブランドの使用権の売却を決定。

日本での事業[編集]

日本では、RCAのエレクトロニクス機器は業務用機器等ごく一部を除いて市販されなかった。

  • アール・シー・エー・コロンビア・ピクチャーズ・ビデオ株式会社 - 米コロンビア映画とRCAレコードの合弁でビデオソフト事業を手がけるRCA Columbia Pictures International Videoの日本法人として1984年に設立。1989年ソニーによるコロンビア映画の買収により、関係会社を統合した上でソニー・ピクチャーズ エンタテインメントに社名変更し、引き続き事業を行っている。
  • 株式会社トムソン技術研究所 - 仏トムソンが有するMP3や旧RCA社の技術ライセンス管理を行っている日本現地法人。1999年まではGE傘下の「アールシーエー技術研究所」であった。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]

  • RCA(英語):RCAブランド事業の公式ウェブサイト