QSLカード
QSLカードとは、アマチュア無線家が交信したことを証明するため、任意で交信相手に発行するカードのことである。交信証明書とも呼ばれる。
目次 |
[編集] 概要
QSLとは、Q符号で「こちらは、受信証を送ります。」という意味である。 大きさは、はがきと同じ縦148mm×横100mm、もしくはこれより数mm小さいサイズである。
QSLカードは、必ずしも発行する必要(法的な義務)が無い。 しかし、美しい絵や写真など趣向を凝らした物も多く、(「DXペディション」と呼ばれる僻地や孤島からの電波発射の場合は現地や運用中の写真が使われる事もある。) その収集を楽しみにするアマチュア無線家もいる。
[編集] 歴史
無線局の受信を(そして後に互いの双方向の交信を)証明するのにはがきを送るという考えは、独立に数回考案されたようである。 最初期の出典は1916年にニューヨーク州バッファローの8VXから ペンシルベニア州フィラデルフィアの3TQへ送られたカードのようである(当時はアマチュア無線の定義さえなく、ITU のプリフィックスは用いられていなかった。)。コールサイン、周波数、日付等々が標準化されたカードは1919年にオハイオ州アクロンのC.D.Hoffman、コールサイン8UXにより生み出されたようだ。ヨーロッパでは、ビル・コーサム(William E. F. "Bill" Corsham)、コールサイン2UV、が1922年にイングランドのハーレスデンから交信した時に最初にQSLカードを発行した。
[編集] 記載事項
最初の10項目は必須である。場合によっては11以降も重要な情報である。
- 自局のコールサイン
- 相手局のコールサイン
- 交信したことを証明する旨の文言
- 交信した年月日とタイムゾーン
- 交信した時刻(開始時刻、終了時刻も書く場合もある。)
- 相手の信号の状況(RSTコードによる。)
- バンド(周波数帯もしくは波長帯。正確に周波数を書く場合もある。)
- モード(電波型式、共に同じ電波型式で交信した場合はそれも明記:「2x」など)
- 自局の運用場所(地名、場合によっては島名など)
- 発行者の署名(日本の場合は印鑑、スタンプなども使われる。)、オペレーターの名前・ハンドル(社団局の場合は構成員の内の誰が担当したか明示するため必須)
- 自局の運用場所の補助情報(DXCCエンティティー名、ゾーン番号、JCC/JCGナンバー、グリッド・ロケーターによる位置、経緯度など)
- 自局の無線機やアンテナの紹介
- その他
[編集] 交換
QSLビューロー
QSLカードは、相手局に直接郵送するよりも、QSLビューロー(単にビューローともいう。)と呼ばれる各国の機関を経由して交換されることが多い。 コールサインを記入してビューローに送付すれば、受取先毎に仕分けしてまとめて転送される仕組みである。 個別に発送する場合に比べ、格段に郵送料が安く済む。 日本では日本アマチュア無線連盟(JARL)が会員向けにサービスを提供しており、諸外国のQSLビューロー間との転送もとりまとめて行う。
QSLマネージャー
僻地や離島など、交通・運輸事情の悪い地域に常駐するまたはDXペディションを行う局は珍局と呼ばれ、同時にQSLカードを当該地域に送付するにも苦労が伴う。 そこで、通信・運輸事情の良い地域にいるアマチュア局が発行を代行することがある。 これがQSLマネージャーと呼ばれるもので、特定局専属のQSLビューローとも言える。 なお、JARLでは国内局が他の国内局のQSLマネージャーになることは禁止している。
SASE
上記のような珍局と交信した場合、ビューロー経由では転送に時間がかかり、(外国との転送は船便による。) アワード(交信数などの条件を満たした局に発行される賞状)申請の為に一刻も早く入手する為に、本人やQSLマネージャーへ直接QSLカードを送付し、その返信として相手のQSLカードを取得しようとすることがある。 この際に相手に負担をかけないように用いるのがSASE(Self‐Addressed Stamped Envelope、宛名を書いた切手つき返信用封筒)である。 国際的には、SAE+IRC(Self‐Addressed Envelope+International Reply Coupon、宛名を書いた返信用封筒と国際返信切手券)となる。 IRCにかえて米ドル紙幣を同封することもありSAE+グリーンスタンプ(緑色をしていることから)という。 (但し、通常郵便物に紙幣を同封することは郵便法違反である。)
電子QSL
近年ではQSLカードの発行を電子化する試みがある。(電子QSL、eQSLなどと呼ばれる。)
[編集] アワード
アワードの申請には多くの場合、QSLカードを必要とする。 記載内容の必須項目に脱落が無いことは、最低の条件である。 国際的に権威あるアワードは、電子QSLではなく紙のカードを発行者に提示する義務を課している。 (例 ARRL(American Radio Relay League)発行のDX Century Club(通称、DXCC))
[編集] SWLカード
交信相手ではなく、交信を傍受した人(無線局とは限らない。免許等を持たず受信のみを目的としている人も含むため。)からの受信報告が届く場合がある。 これはSWLカード(SWLとはShort Wave Listenerの略であるが、短波での交信に限らず、アマチュア無線の交信を聴くことを指す。[1])と呼ばれる。 これが到着した場合、報告が実際の交信だったかを確認し、受信確認証(QSLカードの記載事項を一部修正して流用する。)を送る。 JARLの准員にはコールサインに似た会員番号が付与されており、SWLはこの番号を自己のSWLカードにあしらっている場合が多い(この場合はビューロー経由の交換も可能である。)。
[編集] 脚注
- ^ 文脈によっては短波の全通信の場合もある。
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
- QSObankメインページ(電子QSLシステム)
- QSL カードの考案者の一人ビル・コーサム 2UV(「CQ ham radio」2009年6月号 p.81)が発行した QSL カード