Pro Tools
| 作者 | アビッド・テクノロジー |
|---|---|
| 最新版 |
|
| 対応OS | Apple Mac OS X, Microsoft Windows |
| 種別 | デジタル・オーディオ・ワークステーション |
| ライセンス | プロプライエタリ・ソフトウェア |
| 公式サイト | http://www.avid.com/JP/ |
Pro Tools(プロ・ツールス)は、アメリカのアビッド・テクノロジー社が設計開発及び販売しているパーソナルコンピュータを核としたデジタル・オーディオ・ワークステーション(DAW)用のソフトウェアの名称であり、音声信号を入出力させるオーディオ・インターフェースと組み合わせて使用されるシステム全体の呼称でもある。
目次 |
概要 [編集]
Pro Toolsとは使用されるアプリケーションの名称であり、使用されるオーディオ・システム全体の名称でもある。Pro Tools Software とコンピューター内部のカードバスにインストールされる HD Core カード、HD Accel カード、オーディオ・インターフェースの 192 I/O などに分類することができ、使用されるコンピューター本体、フィジカル・コントローラなどもセットにしたシステム全体の呼称でもある。
Pro Toolsは音声波形編集ソフトウェア "Sound Designer" とオーディオ・インターフェース(I/O)である "Sound Tools" を組み合わせたモデルを原型として、1990年代初頭にプロフェッショナル向けのハードディスク・レコーディング・システムとして開発された。[1]
当時のパーソナル・コンピュータが持つ演算処理能力では非圧縮でCD品質[2]の音声をリアルタイム処理することが困難だったため、専用のDSP カードをコンピューター内部のカードバスへ増設し、音声処理を専用カードに分担させた。この設計方法は、DSP カードやオーディオ・インターフェースの数を必要に応じて随時追加変更できる柔軟なシステムとしての構築を可能にしただけではなく、コンピューター処理能力にそれほど依存することなくDAW システムの能力強化が実現できるため、現在のパーソナル・コンピューターと組み合わせたDAW システムにおいても様々な応用が行われている。
Pro Toolsはコンピューターのモニター・ディスプレイ上に表示された音声信号の波形(リージョン)部分を視覚的に確認しながらマウスやトラック・パッドなどのポインティング・デバイスを使用することにより、直感的な編集が可能な柔軟さと操作性を備えており、ハードディスク・レコーディングならではの非破壊レコーディング[3]や、コンピューター本体にインストールされた各種プラグインでの処理による実機同様の音声信号処理が可能になるなど、現在では音楽制作現場をはじめ、映画関連や放送局など、オーディオ素材を取り扱う多くの分野において共通する録音再生及び音声編集機材となっている。
現在ではサラウンド音声にも完全対応し、音楽制作だけにとどまらず、アメリカの映画関連企業のスカイウォーカー・サウンドをはじめとする多くの映画の音響製作現場にも標準設備として導入されている。
コンピューターの演算処理能力やカードバスなどの高性能に伴い、専用DSPカードを用いずCPU上での音声処理を行うコンシューマ向けの製品であるPro Tools LEや、その派生としてM-Audio社のオーディオ・インターフェイスで動作するPro Tools M-Poweredも発売されている。Pro Tools LEはオーディオ・インターフェース自体が iLok と同様にドングルの役目になっており、Pro Tools LE用のインターフェースがコンピューター側とUSBまたはFireWireで接続され電源が投入されていないと起動することができない仕様になっている。
Pro Tools ソフトウェア [編集]
主に以下のようなバージョンが存在していて、各々が組み合わされるコンピューター上のOSは限定されたり推奨があったりしていて、OSやコンピューターと連動した開発が行われている。
- Pro Tools v 5.x.x
- Pro Tools|HDシステムが発表及び運用され始めたときのバージョン。
- Pro Tools v 6.x.x
- MacintoshにおいてOS X Panther 発表時期のバージョン。
- Pro Tools v 7.x.x
- MacintoshにおいてOS X Tiger 発表時期のバージョン。Pro Tools|HD上では遅延補正エンジンが機能するようになった。v7.4からはエラスティック・タイムが使用可能になった。
- Pro Tools v 8.x.x
- MacintoshにおいてOS X Leopard 発表時期のバージョン。
- Pro Tools v 9.x.x
- MacintoshにおいてOS X Snow Leopard 発表時期のバージョン。AVIDブランドでのリリース。PPCをサポートしなくなった。また従来LE(ProTools9)のハードウェアがドングルというシステムからiLok方式へ。AudioIFがサードパーティ製インターフェース等でも使用可能になった。自動遅延補正、可変ステレオ・パン・デプス、EUCONを全てのプラットフォームでサポート
Pro Tools システム概要 [編集]
- Pro Tools HD systems
- システム・コアとなる HD Core Cardを中心にプロセッシング用の HD Process カード、または HD Accel カードなどから構成される DSP カード群がProTools|HDシステムとして販売されている。組み合わせる HD Process カードの枚数から、HD1 Accel、HD2 Accel、HD3 Accel という名称が ProTools|HD の後に付く形で構成されている。Process カード無しでCore CardだけがHD1、Core Card 1枚と Process Card 1枚の合計2枚で組み合わされる物がHD2、Core Card 1枚と Process Crad 2枚の合計3枚で構成される物がHD3 となる。エキスパンション・シャーシを導入する事によって、コンピューター本体のカード・バス・スロットが足りない場合も含め、最大で7枚までのProTools HD カード群をインストール可能になるため、よりハイ・スペックのTDM システムを構築する事も可能になっている。
- HDシステムと組み合わされるオーディオ・インターフェースには192 I/O、96 I/Oなどがあり、その他にも各種タイムコードやデジタル・クロック及びMIDI信号とシステム同期させるためのシンクロナイズ機能をもたせた SYNC I/O、マイク・プリアンプ機種の PRE など、規模に応じて様々なシステム構築も可能になっている。また 複数台の 192 I/O を DigiLink ケーブルで接続して、Solid State LogicやNeve などのミキシング・コンソールと併用した巨大レコーディング・システムも構築可能になっていて、大規模スタジオからプライベート・スタジオまで柔軟なシステム構成が可能になっている。
- Pro Tools LE systems
- HDシステムのようにCore カードや Process カードは必要とせず、オーディオ処理とソフトウェアの動作をホスト・コンピューター側のCPUにて全て処理するシステムとなっていて、Plug-Insの動作環境はRTASとなるシステム。LE上で使用できる数種類のオーディオ・インターフェースがdigidesignから発売されているため、想定される様々な環境に応じたシステム構成も可能になっている。HDシステムの場合にはデスクトップ・コンピューターのカード・バス・スロットが必要になってくるためラップトップ・コンピューターとの組み合わせは理想的ではないが、LE システムの場合にはコンピューター本体のCPU処理とインターフェースさえあれば作業可能になるため、可搬性に優れた小規模システムとしても運用されている。
- Pro Tools M Powered systems
- Pro Tools Essential
- Control surfaces
- ProToolsでのオペレーションをフィジカルに行うために、ハードウェアで構成されたUSBまたはFireWireで接続されるフェーダー・ユニットやICON等のように、通常のミキシング・コンソールと同規模のコンソールがオペレーション・インターフェースとなっている物が用意されている。
プラグイン [編集]
各種エフェクトをプラグインとしてインストール及び拡張でき、デジデザインだけではなく多くのプラグイン・ディベロッパーが魅力的なプラグインを発売してきたことも、Pro Tools普及の大きな要因になっている。Antares Audio Technologies社のAutoTune(ピッチ補正)や、Line6社のAmpFarm(ギターアンプ・シミュレータ)は代表的なキラーアプリケーションにもなっている。現在ではエフェクトのみならずソフトウェア・ベースのサンプラーやシンセサイザーといった楽器系プラグインも発売されていて、Pro Tools ソフトウェアのMIDI強化に伴い使用頻度は高くなってきている。
Pro ToolsではTDM、RTAS、HTDMという3種類のプラグイン・フォーマットが使われている。
- TDM
- TDMとは、Time Division Multiplexingの略で、古くからある信号処理規格は、専用ハードウェア上のDSPカードを使って演算処理する方式であり、デジタル及びアナログ信号をビット・ストリーム変換してシングル・パスにてやり取りするPlug-Ins動作方式の事。
- (詳しくは英語版Wikipediaで「Time-division multiplexing」を参照)
- RTAS
- RTASとは、Real Time Audio Suiteの略で、VSTやAudio Unitsと同様に専用のDSPカード上でデジタル処理を行わず、コンピューター側のCPUを使って演算処理するPlug-Ins動作方式の事。IntelMacになってからはCPUパワーが十分であるため、RTASでも数多くのPlug-Insが立ち上がるようになってきた。
- HTDM
- これはTDMとRTASの中間的方式で、コンピューター本体のCPUを間借りしつつTDM用のDSPでいくつかの処理を抱き合わせて行う方式になっているため、TDMとRTASにおけるハイブリッド版ともいえる。[4]
- それ以外のフォーマット
- 上記3種以外にも、FXpansion製の外部ソフト、VST-RTAS Adapterを導入する事により、VSTフォーマットのプラグインもRTASにラッピングしての使用が可能である。
歴史 [編集]
- 1987年 - Pro Toolsの前身である Sound Tools がテープレス・レコーディングシステムとしてリリースされる。
- 1991年 - Pro Tools I リリース。NuBus DSPカードを採用。
- 1994年 - Pro Tools III リリース。サードパーティによるDSPプラグインをサポート。
- 1995年 - デジデザイン社がアビッド・テクノロジー社の傘下となる。
- 1997年 - Pro Tools|24 リリース。48 kHz / 24 bit のLinear PCM 音声フォーマットをサポート。
- 1998年 - Pro Tools|MIX リリース。DSPカードのミックス能力を強化。
- 1999年 - コンシューマ向けの Digi 001、Pro Tools LE リリース。
- 2002年 - プロフェッショナル向けの Pro Tools|HD リリース。96 kHz / 24 bit 及び 192 kHz / 24 bit のLinear PCM 音声フォーマットをサポート。
- 2002年 - コンシューマ向けのDigi 002、Mbox リリース。
- 2003年 - Pro Tools|HD Accel system リリース。追加DSPカードの機能を強化。
- 2005年 - Pro Toolsと連携できるライブサウンドミキシングシステム VENUE リリース。
- 2005年 - コンシューマ向けの Mbox 2 リリース。
- 2005年 - Pro Tools 7 software リリース。
- 2008年 - Pro Tools 8 software リリース。
- 2010年 - Pro Tools HD Native リリース。DSP非搭載型HDインタフェース。
- 2010年 - Pro Tools 9 software リリース。他社製オーディオインタフェースでのソフトウエア利用が可能になる。
- 2011年 - Pro Tools 10 リリース。
関連項目 [編集]
参考文献 [編集]
- 隔月刊プロサウンド、2008年12月 / 第148号。
- 隔月刊プロサウンド、2005年2月 / 第125号。
- 隔月刊プロサウンド、2004年10月 / 第123号。
- 隔月刊プロサウンド、2003年12月 / 第118号。
- 隔月刊プロサウンド、2002年10月 / 第111号。
- 隔月刊プロサウンド、2002年4月 / 第108号。
外部リンク [編集]
- Digidesign (英語) (日本語)