Pouch Attachment Ladder System

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PALS対応のナイフシースとメディカルキットポーチの裏側。装着に使うストラップとウェビングが確認できる。 接合部のアップ。
PALS対応のナイフシースとメディカルキットポーチの裏側。装着に使うストラップとウェビングが確認できる。
接合部のアップ。

Pouch Attachment Ladder System(PALS,パルス,以下PALS)は、米軍ネイティック兵士センターによって、タクティカルベストバックパックといったプラットフォームに、弾倉用などのポーチを取り付ける為に開発されたシステムである。

複数国で使用されており、中には同一規格ではない可能性の物もあるが、本項では全て同様に扱う。

(※米軍MOLLEの項目においては、多くが英語版MOLLE記事の翻訳によって、又はそれを参考に構成されている。)

概要[編集]

インターセプターボディアーマーを着たアメリカ軍兵士。アーマー全体にPALSテープが縫い付けられている。

このシステムの特徴は、なんといってもその手軽さにある。例えば、戦闘用ベストには通常のライフルマン用、SAW用、狙撃兵用など多くのタイプがあり、任務ごとに異なるベストを用意する必要があった。また、同じライフルマン用でも、作る会社によってポーチの位置や数などは多種多様である。PALSでは、好きなポーチを好きなように好きな数配置する事ができるので、一つのプラットフォームでも任務によってポーチを付け換えるだけで対応でき、個人の好みを反映させる事もできるなどの点で非常に画期的である。

縫い付けの方法は、幅1インチ(2.5 cm)のテープ(Mil-W-43668タイプIIIナイロンウェビング、民生品の多くはタイプIIIaを使用)を横間隔1.5インチ(3.8 cm)で縫いつけ、上下のテープとの間隔を1インチ空けるというものだが、国によって若干の違いがある。

単純で華奢な様であるが、CODURA1000ナイロンを使用した製品は、強く引っ張ってもびくともせず、見た目以上に頑丈である。軍用として使うにはこの様な、摩耗に強い強力な素材が不可欠で、縫製も含めた技術の進歩があったからこそ実現できるシステムとも言える。PALSに対応したプラットフォームはウェビングのグリッドにより判別が容易である。

構造[編集]

PALSは、多数のナイロン製のウェビングが縫い付けられたプラットフォーム、それに取りつけるアクセサリー類に縫い付けられたウェビングとストラップによって構成されている。

プラットフォーム[編集]

PALSウェビングのあるプラットフォームには主に、戦闘ベスト、バックパック、ボディーアーマーが挙げられる。また、太ももに取り付けられるプラットフォームも登場するなど、ますます便利になっている。

また、アクセサリーポーチの中には、表面にもウェビングがついている物があり、これらはプラットフォームの様に、さらにポーチを取り付ける事が可能である。

アクセサリー[編集]

アクセサリーポーチは、弾倉手榴弾無線機GPSナイフシース、衛生キット、ガスマスク、書類、警棒水筒コンパス、汎用、果てはスマートフォンまで、多くのメーカーから多様な収納物に対応したものが登場している。

変わったものとしては、旧来のアリス装備や通常のベルトループ固定式のナイフシースをMOLLE装備のパネルに装着する為のアダプターが存在し、これらはALICE装備からMOLLE装備の過渡期にかけて実際に米軍で支給されていた。

ポーチ裏にはパネルとの装着に使うストラップとウェビングがついている。

装着方法[編集]

取り付け方は簡単で、ポーチ側のストラップを、プラットフォームのウェビングとポーチのウェビングに交互に通し、最後にスナップボタンで留めるだけである。

各国での採用例[編集]

アメリカ[編集]

PALS採用例で最も有名なのはMOLLEシステムである。 MOLLEはアメリカ軍が採用した個人装備システムで、MOdular Lightweight Load-carrying Equipmentのアクロニムである。本システムは1997年に導入されたが、初期のMOLLEは、ラックサックの樹脂パーツの破損が目立つことなどから、現在では改良型のMOLLEⅡに移行している。

MOLLEという単語は、特定のシステムを記述するだけでなく、PALSウェビングを使用する全ての荷重システムとサブシステムを表すため、互換的に使われる。

MOLLEは以下の要素から構成される。

タクティカルアサルトパネル[編集]

これはFighting Load Carrierベスト(FLCベスト)のような戦闘用ベスト単体、もしくはIOTVSPCSの様なボディーアーマーと組み合わせて使用される。アサルトパネルはPALSウェビングで覆われている。

ラックサック[編集]

ウェビングが配されており、これにより新たにポーチを取り付ける事が可能である。

ハイドレーション[編集]

外出先での水分補給のためのプラスチック製のハイドレーションパック。1クォートと2クォートのキャンティーンを置き換える。

モジュラーポーチ[編集]

PALSウェビングに取り付けられるポーチ類。MRE3食分を保持するポーチもこれに含む。 また、MOLLEの取りつけ方式に基づいて、MALICEクリップなどのアダプターも開発されており、旧来のアリス装備のポーチもPALSで使用する事ができる。


米軍MOLLE装備は、日本国内の軍用品・米軍放出品の店においても多様な種類があり、他国の物より廉価な事もあって比較的入手しやすいと言える。また、制式採用品でないが同規格のものも多くのメーカーで作られ、こちらも通販などで気軽に購入できる。 PALSを採用する類似システムとしてSPEARも存在する。

イギリス[編集]

オスプレイボディーアーマー

イギリスではオスプレイボディーアーマーにPALSが採用されており、イラク派兵やアフガニスタンで使用されているのを確認できる。オスプレイボディーアーマーはMk1~Mk4まであるが、Mk3から米軍のPALSと互換性を持つインチ幅のウェビングが採用された様である。アフガニスタン派遣部隊に支給されたMk4ではMulti-Terrain Pattern(MTP)の物が採用されているが、これはウェビングの部分にも迷彩が施されているのが特徴的である。

ロシア[編集]

デジタルフローラ迷彩柄の6Sh112ベスト。 ポーチ裏。独特のフック状の部品が確認できる。
デジタルフローラ迷彩柄の6Sh112ベスト。
ポーチ裏。独特のフック状の部品が確認できる。

軍の近代化著しいロシアでも、PALS(もしくは同等の規格)製品が普及し始めており、特殊部隊(軍、武力省庁問わず)では特に普及率が高い。例として連邦軍に制式採用された6sh112ベストが挙げられ、空挺軍や山岳旅団に自動車化狙撃旅団に配備され、南オセチア紛争でも使用が確認されており、今後も広がり続けると考えられる。なお、ロシア軍のPALS装備は米英のそれとウェビングへのポーチ類の固定方法が異なっている。前者はウェビングに通した後にスナップボタンで留める形式だが、ロシア軍のものはフックのような部品をウェビングに引っ掛ける様にして固定する。 また、各社からベスト、対応ポーチ類が出ており、迷彩パターンも多様である。ロシア軍は他国の軍隊に比べて兵士の着用する装具、迷彩の統一感が薄く、各々の兵士が様々な製品を使用している光景がよく見られ、今後は様々な迷彩のPALS装備も官給品と共に普及していくと考えられる。

日本[編集]

防弾チョッキ2型(写真は改良型の防弾チョッキ2型(改))

日本での採用例としては、主に防弾チョッキ2型が挙げられる。これにはPALSと似たウェビングが取り付けられているが、同規格ではなくPALSの装具には対応していない。これは従来のクリップ式の装具を取り付けられるようにする為と思われる。後継の3型ではPALSに変更されている。

また、官給品ではないが、民間メーカーからは自衛隊の迷彩パターンのFLCベストなどが発売されている。

オーストラリア[編集]

イラク戦争以降にオーストラリア軍は装備のPALS化を急激に進めたと言われており、今では相当な数が配備されている。 DPCU・DPDU迷彩のものが官給品として支給されているようで、ベストだけでなく装備ベルトもウェビングがついているものがあり、ポーチの種類も多岐に渡るなど、対応装備のバリエーションも多彩である。

その他の国々[編集]

アメリカと軍事的に繋がりの強い国やアメリカの支援を受けている国に特に使用例が多い。グルジアやイラク、アフガニスタン、ポーランド、台湾でもPALS装備が使用されている。また、中国人民解放軍でも07式と呼ばれるPALS系装備が配備されており、アメリカのFLCベストに似たものを着用する兵士が確認されている。

関連項目[編集]