Orion's Arm

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Orion's ArmOA)は、M. Alan Kazlev が創始した、オンラインでのサイエンス・フィクションの世界構築プロジェクトである。誰でもそのWebサイトに、記事・ストーリー・イラスト・音楽などを投稿できる。メーリングリストがあり、メンバーは架空の世界の方向性について議論したり、追加・修正を議論したり、問題提起したりしている。

設定[編集]

OA は一万年以上後の未来を、もっともらしく、あるいはハードSF的に扱っている。すなわち、ヒューマノイド型異星人は存在せず、超光速航法などの既知の物理学に反した技術も存在せず、海戦をそのまま宇宙戦争に置き換えたようなものも存在しない。架空のテクノロジーとしては、負の質量を持つエキゾチック物質の生成、原子サイズ未満での物質操作などが設定上登場し、「超ハード」SFとは一線を画している(超ハードSFとは、執筆時点で証明済みのテクノロジーのみを前提するもの)。この宇宙の住人は、神のごとき人工知能群 "archailects" に統治されている。これは、人類などが行った人工生命実験で生み出されたものの子孫である。絶大な力を持ち、小型の宇宙を自ら作り出せるほどである。その実体は、惑星サイズのコンピュータネットワーク上の分散知性である。それらのサブルーチン自体が知覚を持っており、"archailects" は個性を持つと同時に、集合的に文明そのものを表してもいる。地球外生命も存在するが、OA での主役はあくまでも地球に由来する生命の子孫であり、それらを総称して "terragen life" と呼ぶ。ノーマルな人類は "baselines" と呼ばれ、絶滅危惧種になっており、遺伝子的か機械的に強化された子孫が、本来の人類に取って代わっている。知的生命体は様々な種類がある。nearbaselines(若干強化された人類)、ポストヒューマンサイボーグ、vecs(知的ロボット)、aioids(知的コンピュータ)、uploads(コンピュータ上に転送された知性)、neumanns(自己複製ロボット。ジョン・フォン・ノイマンにちなんだ名称)、provolves(知性を強化された動物。後述するブリンの知性化シリーズに類似)、rianths(動物のDNAを取り入れた人類)、splices(provolves に似ているが、特に人類のDNAを取り入れて強化された動物)、neogens(一から合成された遺伝子で生み出された生命)xenosophonts(異星人)などである。ナノテクノロジー、ピコテクノロジー、フェムトテクノロジーが一般化している。リングワールドダイソン球といった様々な巨大構造物が存在する。既知の世界はワームホールのネットワークで連結されている。

OA はSFのジャンルとしては、トランスヒューマンスペースオペラである。その世界観は、イアン・バンクスCulture シリーズ、ヴァーナー・ヴィンジの『遠き神々の炎』、デイヴィッド・ブリンの知性化シリーズなどの設定等が影響を与えている。技術的特異点の概念は、直接的にはスタニスワフ・レムの作品から取り入れている。Orion's Arm では、技術的特異点は1度だけでなく、少なくとも6度発生したとされている。これらは必ずしも文明テクノロジーが次の段階に進化したということではなく、個人の意識のレベルが変わったという意味で使われている。

OA の設定を使ったパソコンゲームロールプレイングゲームがコミュニティによって開発されている。

主な架空のテクノロジー[編集]

主な架空の人工物[編集]

巨大な人工物としては、以下のものがある。

  • ダイソン球(恒星を覆う殻) - 小さい構造物の集合体のものと、完全な殻の2種類が登場
  • リングワールド(恒星から約1天文単位の位置にある環状の構造物)
  • Bishop ring(巨大な環状の居住施設) - 非エキゾチック物質で構築可能な最大の回転する環状の居住施設[1]
  • 複雑な軌道リングの一種(恒星周囲のものや惑星全体を覆うもの)はダイソン球と同様の機能を持つ。

ナノテクノロジーに基づく人工物としては、以下のものがある。

  • Utility fog(微細なロボットの群れにより、再構成可能な物体を形成する)
  • Disasemmbler swarms(敵の乗り物などを分解するナノマシンの群れ。グレイ・グーを兵器としたもの)
  • Angelnets(局所環境を完全に制御することを可能にする技術。場合によっては精神転送による不死の実現まで可能であり、ホロデッキのような使い方もできる)

その他の特筆すべき人工物としては、"baseline" 人が原理を知らない特殊なアイテムが多々登場する(クラークの三法則にちなんで、Clarketech と呼ばれる)。

参考文献[編集]

  • Institute of Atomic-Scale Engineering: Open Air Space Habitats (Forrest Bishop)

脚注[編集]

外部リンク[編集]