OUT (桐野夏生)

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OUT
著者 桐野夏生
発行日 日本の旗 1997年7月15日
アメリカ合衆国の旗 2003年
発行元 講談社
ジャンル 犯罪小説
日本の旗 日本
言語 日本語
形態 ハードカバー
ページ数 448
コード ISBN 978-4062734479(文庫版・上)
ISBN 978-4062734486(文庫版・下)
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OUT』(アウト)は、桐野夏生小説1998年日本推理作家協会賞を受賞した。テレビドラマ化、映画化、舞台化もされた。

概要[編集]

深夜の弁当工場で働くパートの主婦・弥生が暴力に耐えかねて夫を殺害したことをきっかけに、平凡な主婦たち4人が自由を求めて日常を離脱・脱社会化し、「OUT(アウト)」してゆく物語である。

バブル経済崩壊後の現代社会で生きる人々の日常生活や、新宿ヤクザ日系ブラジル人出稼ぎ労働者などに対する視線と洞察が注目を浴び、1998年に日本推理作家協会賞を受け、80万部を越すベストセラーとなった。1999年にフジテレビでドラマ化され、映画化もされた。

この犯罪小説は、日本で発表された7年後に米ミステリー界のアカデミー賞といわれるアメリカ探偵作家クラブ主催の2004年エドガー賞 長編賞の最終候補4作品の1つにノミネートされ、日本人作家が同賞にノミネートされた初の小説となった。英訳[1]を手がけた講談社インターナショナルは、2003年8月に単行本で出版し、その年のうちに米国で3刷約18,000部を販売し、ペーパーバック版ではない単行本としては異例な売れ行きであったと伝えている。米国の『ワシントン・ポスト』紙は「日本女性のステレオタイプを打ち砕きながら、日本社会の暗部を描いた」と論評した。2004年4月29日(日本時間4月30日)、桐野は、ニューヨークのグランド・ハイアット・ホテルで行なわれた授賞式に黒いロングドレス姿で出席した。受賞を逃したが、エドガー賞の審査委員長は「受賞作と他の作品との差はカミソリほどの薄さで、どの作品が受賞しても不思議でなかった」と選評を述べている。ノミネートされた際に「7年前の自分で判断してほしくない」と漏らしていた桐野は、授賞式後の記者会見において「家庭の崩壊やパートタイム、外国人労働者の問題などが普遍的だと評価されたと聞きました。日本もだんだん世界に近づいてきたなと思った」と感想を語った。なお、米国では2004年に直木賞受賞作『柔らかな頬』の翻訳出版が決まった。

あらすじ[編集]

東京郊外の弁当工場にて、主婦たちは深夜パートの作業をこなしていた。香取雅子42歳はリストラ亭主と家庭崩壊、吾妻ヨシエ51歳は痴呆症の姑の介護、城之内邦子40歳はカード破産、山本弥生30歳はギャンブル狂の亭主から受ける暴力と、それぞれ4人は悩みを抱えていた。そんな中、弥生が夫を殺したのを期に、4人が複雑に絡み合っていく。

書誌[編集]

テレビドラマ[編集]

1999年、「OUT〜妻たちの犯罪〜」のタイトルでフジテレビにて放送された。ドラマ版のオリジナルキャラクターとして、飯島直子演じる刑事、井ロ則子が登場する。

映画[編集]

OUT
監督 平山秀幸
脚本 鄭義信
製作 古澤利夫
木村典代
音楽 安川午朗
撮影 柴崎幸三
編集 川島章正
製作会社 ムービーテレビジョン
サンダンス・カンパニー
配給 20世紀フォックス
公開 日本の旗 2002年10月29日
上映時間 119分
製作国 日本の旗 日本
言語 日本語
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2002年10月19日に公開された。基本的な設定は残しているが、ブラジル国籍の外国人労働者、宮森カズオが一切登場しない、結末が異なるなど、原作とは違った展開となっている。アカデミー賞の最優秀外国語映画賞に日本代表作品として出品された(ノミネートはされず)。

舞台劇[編集]

2000年新宿スペース・ゼロにて初演された。最も原作に近いとされる。この公演で演出の鈴木裕美が第35回紀伊國屋演劇賞個人賞、第8回読売演劇大賞優秀演出家賞を受賞、主演の久世星佳が第8回読売演劇大賞優秀女優賞を受賞した。これを受け、2002年PARCO劇場で再演された。

脚注[編集]

  1. ^ 英訳者スティーブン・スナイダー(出版元・講談社による日本語表記を採用: http://www.kodansha-intl.com/books/html/jp/4770029055.html)(Stephen Snyder)は日本文学研究者であり、コロラド大学教授。これまでにも、辻邦生の著作『安土往還記』(The signore)、村上龍著『コインロッカー・ベイビーズ』(Coin locker babies)や、柳美里大江健三郎の小説など、多くの英訳を手がけている。

外部リンク[編集]