OPS (野球)

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OPS(オーピーエス)はOn-base plus slugging(オンベース・プラス・スラッギング)の略であり、野球において打者を評価する指標の1つ。セイバーメトリクスの祖、ビル・ジェームズディック・クレイマーピート・パーマーと共同開発した指標。

目次

[編集] 概要

on-baseとは出塁、sluggingとは強打(長打)の意味で、出塁率長打率とを足し合わせた値である。得点との相関関係の強さと簡単な算出方法により、メジャーリーグでは打者成績の公式記録に採用されている。

日本プロ野球でもその相関関係の強さが証明されており[1]2006年よりヤクルト監督に就任した古田敦也(選手兼任=後退団)が前年にリーグ最高のチーム打率ながら最少得点に終わった打線を強化するため、出塁率と共にOPSを重視することを明言した他、2009年広島東洋カープマーティ・ブラウン監督(退団)がOPSを重視した打線を組むと公言したことで注目され[2]、米国球界経験者のG.G.佐藤がOPSに応じた出来高を導入するなど[3]、徐々に認知度が高まりつつある。しかし、各選手のOPSを掲載している選手名鑑やスポーツ紙はまだほとんどなく、浸透度は低いのが現状である。

時代の変遷や環境にもよるが、メジャーリーグでは一般にOPSが.800を超えれば一流、.900を超えるとオールスター級の優秀な打者、1.000を超えると球界を代表する強打者とされている[4]2009年のMLBでは、全選手の打撃成績を合計した際のOPSは.751であった。リーグ別では、DH制有りのア・リーグが.763、DH制無しのナ・リーグが.739である[5]

OPSの開発者であるビル・ジェームズは、OPSを用いて以下のように打者をAランクからGランクまでの7段階に格付けできるとしている[6]

  • Aランク .9000~(Excellent)
  • Bランク .8334~.8999 (Very Good)
  • Cランク .7667~.8333 (Good)
  • Dランク .7000~.7666 (Average)
  • Eランク .6334~.6999 (Fair)
  • Fランク .5667~.6333 (Poor)
  • Gランク ~.5666 (Very Poor)

[編集] なぜ重要視されたのか

アメリカ野球界においてOPSは打者の攻撃力を表す指標として打率打点などの指標と肩を並べる程に重視されている。その最大の要因は、打率や打点などの従来の指標に比べて得点との相関性が高いからである。2000年から2004年のMLBのデータを基にすると、各指標の得点との相関係数は打率が0.849、出塁率が0.910、長打率が0.913なのに対し、OPSは0.955にも達する[4]。日本でも1980年から2010年のデータで得点と打率との相関係数が0.776なのに対し、OPSとの相関係数は0.941に達している[1]

なおかつ、算出方法が簡単であることも大きい。打者の得点力を測る指標にはより相関性の高いRC(Run Created)やXR(eXtrapolated Runs)などがあるが、いずれも計算が煩雑である。

[編集] OPSの注意点

[編集] 走塁能力を測る指標ではないこと

打撃能力のみを測る指標としては優秀なOPSだが、野球の攻撃におけるもう1つの要素・走塁能力は軽視されている。従って、「出塁率にも長打率にも走塁能力の評価が含まれていないため、OPSにおいても盗塁その他の走塁能力は考慮されていない。したがって得点機会を作ることが主な役目であるリードオフマンなどの評価についてはOPSに拘らなくてもいい」という意見もある[要出典](ただし、二塁打三塁打内野安打には走塁能力が必要であり、走塁能力がOPSに全く反映されていない訳ではない)。

俊足選手の場合、走塁能力も考慮した総合攻撃指標RC27の方が、OPSよりも実力を反映しやすい[要出典]イチローの場合、2011年のOPS(.645)はMLB規定打席到達者145人中137位だったが、RC27では122位と大幅に順位を上げている[7]。このように、俊足選手の長所が反映されにくい点がOPSの最大の欠点だと言える。

[編集] 打者のタイプの違いを表す指標ではないこと

2つの数値を足すため「長打はないが出塁率が高い」打者なのか、「出塁率は低いが当たれば大きい」打者なのかは読み取れない。例えば出塁率.400、長打率.400の打者でも、出塁率.300、長打率.500の打者でも、同じ.800という数値が出る。

これに対し、米国のメディアは打率、出塁率、長打率の3指標を「打率/出塁率/長打率」と一まとめにして記載することで問題を解決している(例:2009年のジョー・マウアー「.365/.444/.587」)。出塁率、長打率を併記することで、各選手の特性を把握しつつOPSを容易に算出することができる[4][8]

また、これに関しては、出塁率、長打率の比率を3:1とした数値(NOI:New Offensive Index)を使い出塁率を重視して、この問題の解決策とすることもある。OPSとNOI、この2つの値を比較することで打者のタイプを見極めることは可能になる。

[編集] 記録

[編集] 日本プロ野球

※出塁率は1985年以降採用された方法によって計算

[編集] 通算記録

  • 4000打席以上を対象
  • 記録は2011年シーズン終了時点
順位 名前 OPS
1 王貞治 1.080
2 *松井秀喜 0.995
3 *アレックス・カブレラ 0.993
4 落合博満 0.987
5 *イチロー 0.943
6 *小笠原道大 0.941
7 タフィ・ローズ 0.940
7 *福留孝介 0.940
9 張本勲 0.937
10 *松中信彦 0.936

*は現役選手

[編集] シーズン記録

順位 名前 所属 OPS 達成年
1 王貞治 読売ジャイアンツ 1.293 1974年
2 ランディ・バース 阪神タイガース 1.258 1986年
3 王貞治 読売ジャイアンツ 1.255 1973年
4 落合博満 ロッテオリオンズ 1.244 1985年
5 落合博満 ロッテオリオンズ 1.233 1986年
6 アレックス・カブレラ 西武ライオンズ 1.223 2002年
7 王貞治 読売ジャイアンツ 1.211 1967年
8 王貞治 読売ジャイアンツ 1.210 1966年
9 王貞治 読売ジャイアンツ 1.204 1976年
10 王貞治 読売ジャイアンツ 1.197 1968年

[編集] メジャーリーグ

[編集] 通算記録

  • 記録は2011年シーズン終了時点
順位 名前 OPS
1 ベーブ・ルース 1.164
2 テッド・ウィリアムズ 1.116
3 ルー・ゲーリッグ 1.080
4 バリー・ボンズ 1.051
5 ジミー・フォックス 1.038
6 *アルバート・プホルス 1.037
7 ハンク・グリーンバーグ 1.017
8 ロジャース・ホーンスビー 1.010
9 *マニー・ラミレス 0.996
10 マーク・マグワイア 0.982

*は現役選手

[編集] シーズン記録

順位 名前 所属 OPS 達成年
1 バリー・ボンズ サンフランシスコ・ジャイアンツ 1.422 2004年
2 ベーブ・ルース ニューヨーク・ヤンキース 1.382 1920年
3 バリー・ボンズ サンフランシスコ・ジャイアンツ 1.381 2002年
4 バリー・ボンズ サンフランシスコ・ジャイアンツ 1.379 2001年
5 ベーブ・ルース ニューヨーク・ヤンキース 1.358 1921年
6 ベーブ・ルース ニューヨーク・ヤンキース 1.309 1923年
7 テッド・ウィリアムス ボストン・レッドソックス 1.288 1941年
8 バリー・ボンズ サンフランシスコ・ジャイアンツ 1.278 2003年
9 ベーブ・ルース ニューヨーク・ヤンキース 1.258 1927年
10 テッド・ウィリアムス ボストン・レッドソックス 1.257 1957年

[編集] 脚注

  1. ^ a b OPSSMR Baseball lab
  2. ^ “ブラウン作戦”OPS重視打線で勝負!,スポーツニッポン,2010/03/14閲覧
  3. ^ 西武GGが大トリ更改、OPS出来高導入,ニッカンスポーツ,2010/03/14閲覧
  4. ^ a b c Baseball Numbers 野球を「科学」する ー 李啓充のセイバーメトリクス入門,2010/03/14閲覧
  5. ^ 2009 Major League Baseball Standard Batting
  6. ^ James, Bill. The 96 Families of Hitters. The Bill James Gold Mine, 2009, p.24.
  7. ^ [1]
  8. ^ Talks heating up between Mauer and Twins?,NBC Sports(英語),2010/03/17閲覧

[編集] 関連項目

[編集] 外部リンク

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