N,N-ジメチルホルムアミド

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N,N-ジメチルホルムアミド
識別情報
CAS登録番号 68-12-2 チェック
PubChem 6228
ChemSpider 5993 ×
UNII 8696NH0Y2X チェック
日化辞番号 J1.923B
RTECS番号 LQ2100000
特性
化学式 C3H7NO
モル質量 73.09 g/mol
外観 無色透明液体
密度 0.944 g/cm3, 液体
融点

−61 °C, 212 K, -78 °F

沸点

153 °C, 426 K, 307 °F

への溶解度 混和
蒸気圧 0.3 kPa (20 °C)
屈折率 (nD) 1.4305 (20 °C), εr = 36.71 (25 °C)
粘度 0.92 cP (20 °C)
構造
双極子モーメント 3.86 D (25 °C)
危険性
MSDS JT Baker
主な危険性 可燃性
Rフレーズ R61 R20/21 R36
Sフレーズ S53 S45
引火点 58 °C
関連する物質
関連するアミド アセトアミド
ホルムアミド
ヘキサメチルリン酸トリアミド
関連物質 ジメチルスルホキシド
アセトニトリル
N-メチルホルムアミド
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

N,N-ジメチルホルムアミドN,N-dimethylformamide, 略称DMF)は、示性式 (CH3)2NCHOであらわされる有機化合物。常温では無色で微かにアミン臭(純粋な場合は無臭)の液体。水やほとんどの有機溶媒と任意の割合で混合する。

引火性液体であり、日本では消防法により危険物第4類(第2石油類)に指定されている。作業環境の管理濃度は、10ppmである。

性質[編集]

液体、気体、イオン性化合物、共有結合性化合物を問わず、多くの無機・有機化合物を溶解するので非プロトン性極性溶媒として好んで用いられる。SN2反応はアニオンを溶媒和しにくいので、DMF溶媒下では加速される。ただし強酸あるいは強塩基の共存下で保存していると徐々に一部がギ酸ジメチルアミンとに分解される。

またカルボン酸からカルボン酸クロリドを合成する際に、塩化チオニル (SOCl2) 等の塩素化剤のほかに触媒量のDMFを添加すると、より温和な条件でカルボン酸クロリドを生成できることが知られている。 これは、DMFと塩素化剤から生成するN,N-ジメチルクロロホルムイミニウム(ビルスマイヤー試薬)が触媒的に作用しているためとされる。

DMFの共鳴構造式


製法[編集]

実験室的にはジメチルアミン塩酸塩とギ酸カリウムを加熱し、蒸気として発生するDMFを捕集することで得られる。

工業的には、一酸化炭素を出発原料とするギ酸メチルメタノールとアンモニアから触媒により製造されるジメチルアミンを金属アルコラート存在下反応させてアンモノリシス反応により生成する。

用途[編集]

もっぱら溶媒として使用され、工業的にはアクリル繊維(ポリアクリルニトリル)の合成と湿式紡績の溶媒として大量に利用される。また、石油化学工業で脂式炭化水素から芳香族化合物を抽出したり、アセチレンブタジエンを留分から分離する抽出溶媒としても利用されている。

DMFは100度以上の高温でゆっくりと分解し、ジメチルアミンを放出する。このため高温での反応には他の溶媒を検討すべきである。

反応性の高さ、入手の容易さからホルミル化剤として用いられる(ビルスマイヤー・ハック反応を参照)。

有機リチウムからのアルデヒド合成.PNG
Bouveault Aldehyde Synthesis Scheme.png

安全性[編集]

引火点58℃の可燃性液体である。皮膚に接触すると炎症を発生することがある。皮膚から吸収されやすく、長期に使用していると肝臓障害を引きおこすことが知られている。また人に対する染色体異常試験では陽性の結果を示す。IARC発がん性評価では、グループ2Bの「発がん性の可能性がある物質」として分類されている。

脚注[編集]


関連項目[編集]