Microsoft IME
開発元 | マイクロソフト |
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対応OS | Windows |
プラットフォーム | x86, x64 |
サポート状況 | 開発中 |
種別 | インプットメソッド |
ライセンス | プロプライエタリ |
公式サイト | マイクロソフト 日本語IME |
Microsoft IME(マイクロソフト・アイエムイー)は、マイクロソフトが開発したインプットメソッド(IME)である。MS-IME(エムエス・アイエムイー)と略されることがある。IMEは、Windowsのインプットメソッド全般の一般名称である。
日本語、中国語(繁体字・簡体字)、韓国語など、入力できる言語ごとにMicrosoft IMEが存在するが、ここでは日本語入力システム(日本語IME)としてのMicrosoft IMEについて述べる。
歴史
初代MS-IMEはエー・アイ・ソフトが開発した日本語入力システムWX2 for Windowsであったが実態は相手先(委託者)ブランド名製造による製品(OEM)であり、Microsoft Windows 3.1(マイクロソフトから発売されたパッケージ版と日本IBM製以外のPC/AT互換機のプレインストールモデルのみ。セイコーエプソン製EPSON PC版は同仕様ながらエー・アイ・ソフト側の名称で「WXA-WIN」として添付)およびMicrosoft Office 4.2、Microsoft Word 6.0に標準添付されていた。また、WX2 DOS版をベースにしたものがMS-DOS 6.2/VならびにWindows 9x系にも添付された。
その後、WX3をベースに開発されたMicrosoft IME 95がOSのWindows 95に標準搭載された。その後もオフィススイートのMicrosoft Office、Microsoft Wordなどに標準添付され、日本語入力システムにおけるシェアはこれらに伴って拡大した。
WindowsやMicrosoft Officeのメジャーバージョンアップに歩調を合わせるかたちでMicrosoft IMEのバージョンアップが続けられており、辞書の改良やプログラムの開発・改良など、変換精度や操作性の向上が進められてきたが、2007では変換エンジンの変更などから使い勝手に問題が生じ、「改悪されている」という不満の声も上がった(後述)。
2010年6月には2007の後継版Microsoft Office Input Method Editor 2010が正式リリースされたが、マイクロソフトは2010年4月22日、この最新版IMEを家庭用Office 2010の発売される6月17日から、XP以降のMicrosoft Office正規ユーザー向けに無償提供することを発表した。
Windows 7までは、標準で付属しているMS-IMEは、Officeに付属しているものに比べて若干機能が制限されていた。名称もOfficeに付属しているものとは異なり、Microsoft Input Method Editorとなっている。Windows 8からは、IME 2012が搭載され、機能と性能もOffice IMEを踏襲したものとなった。
機能
再変換
一度確定した文字列を未確定に戻したり再変換したりする機能がMicrosoft IME 98から導入された。Windowsと緊密に連係したMicrosoft IMEならではの機能と言えるものだったが、その後ATOKなどの競合ソフトも同様の機能を搭載している。
再変換機能はMicrosoft IMEだけでなくアプリケーション側も対応している必要がある。メモ帳などWindows 98以降のアクセサリやMicrosoft Office製品を始めとする大多数のソフトで利用できるが、依然として非対応のソフトも存在し、そうしたソフト上で再変換を行うと文字化けしてしまう場合があることが報告されている。
IME パッド
MS-IME 97から導入された拡張入力ツール。文字コード一覧、ソフトウェアキーボード、手書き、漢字の画数や部首による入力ができる。当初から機能は大きくは変わっていない。
クラウド候補
Windows 10から、マイクロソフトの検索エンジンBingの検索候補を予測入力に表示できる「クラウド候補」機能が追加された[1]。この機能により、流行語や専門用語の入力が容易になるとしている。既定ではオフになっているため、IMEの設定画面から手動で有効にする必要がある[1]。
プライベートモード
一時的に、これまでの入力履歴を無効にする機能[2]。プレゼンテーション時など他者にPC画面を見せた状態で入力する際や、他者がPCを操作するときなどに、予期せぬ入力候補が表示されてしまうことを防ぐ。Windows 10 Anniversary Updateより導入された[3]。
廃止された機能
ナチュラルインプット
Microsoft IME 2002にて、新しい入力方法として「ナチュラルインプット」が導入され、文節の区切りなどを意識せずに入力できるようになった。また、マイクをパソコンに接続することで音声認識により日本語文字入力をすることも可能となっている。ただし、ナチュラルインプットの対応アプリケーションはMicrosoft Officeなど一部製品に限られた。
またナチュラルインプットでは自動的に前後の文字列を未確定に戻して変換を行うため、再変換機能が前提にあって実現した機能である。
なお、ナチュラルインプットに対して従来の入力方法を受け継ぐものは「IME スタンダード」という名称になっていた。
Officeアプリケーションを使用しているうちにIMEスタンダード・ナチュラルインプットが勝手に切り替わってしまう現象が多く見受けられた。これはデフォルトでは「Ctrl + Shift キー」が「入力方法を切り替える」ショートカットキーに設定されており、隣り合ったキーの組み合わせであることから誤って押してしまいがちなためである。
これに限らずMS-IMEは、初期設定状態でショートカットキーに(それも多くのユーザーの利き手とは反対側に)各種の入力モード切替機能が割り振られているため、タッチタイピングに習熟していないとキー押し間違いによる意図せざる入力モード切替が多発する。これらは言語のプロパティ(Windowsのコントロールパネル)からショートカットキーを変更または無効にすることで対処できる。
ナチュラルインプットの操作性になじまないユーザーが多い上、勝手に切り替わる現象によるストレスを味わう場合もあることから、評価は概ね低く、ナチュラルインプットは Microsoft IME 2003 を最後に廃止された。
課題
変換効率
問題として、コンピュータの性能によっては入力時の反応が鈍いことや、変換効率の悪さなどが指摘されてきた。これらの問題は生産性の悪化につながることから、他の日本語入力システムを個人的または会社・団体で導入する例も見られる[4]。マイクロソフトは、Office IME 2007に関しては不具合を認め[5]、不具合を修正するプログラムを配布した[6]。
後継版であるOffice IME 2010は、寄せられた大量のフィードバックを基に改良を施し、安定性や実行速度、変換精度など基本性能の向上に注力したとしている[7]。その後のWindows 8に標準搭載されたMicrosoft IME 2012にも、Office IME 2010の機能が受け継がれている。
誤変換
誤報の「MS-IMEは中国開発」
2008年ごろ、誤変換の増加を指摘する声があった[4]。Microsoft IMEの傾向として、単語や単文節変換の多用と、それらに対するバックスペースによる変換候補の修正を多用すると、誤学習の傾向が強くなるというものがあった。特にOffice IME 2007はこの傾向が極端になっていた[4]。そこで「IMEの開発の主体が中国にシフトしており、日本の開発陣が手を出せない」という噂があがったが、マイクロソフト側はそれを否定し、問題の原因は新規開発されたエンジンのチューニング不足に起因するもの[8]と説明した。
バージョン
名前 | 製品バージョン | 付属製品 | 備考・変更点 |
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Microsoft IME 95 | Windows 95 Windows NT 3.51 |
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Microsoft IME 97 | 5.0 | Office 97 Windows NT 4.0 | |
Microsoft IME 98 | 6.0 | Word 98 Windows 98 Windows NT 4.0 SP4 |
再変換機能を導入 |
Microsoft IME 2000 | 7.0.0 | Office 2000 | |
7.0.1 | Office 2000 SR-1 Windows 2000 Windows Me | ||
Microsoft IME 2002 | 8.0 | Office XP | ナチュラルインプットを導入 |
8.1 | Windows XP | ||
Microsoft IME 2003 | 9.0 | Office 2003 | Microsoft Expression Studio関連製品にも付属 |
Microsoft IME | 10.0 | Windows Vista | MS-IME 2003 のエンジンがベース |
Office IME 2007 | 12.0 | Office 2007 | 変換エンジンのアルゴリズムをTrigram/SLM(Statistical Language Model:統計的言語モデル)へ変更 |
Microsoft IME | 10.1 | Windows 7 | MS-IME 2003 のエンジンがベース |
Office IME 2010 | 14.0 | Office 2010 | Office IME 2007の後継版、オープン拡張辞書をサポート |
Microsoft IME 2012 | 15.0 | Windows 8、8.1 | オープン拡張辞書 検索プロバイダーや予測変換などのOffice IME 2010の機能を引き継ぐ |
Windows 10 | クラウド変換導入 |
Windows 10からはMicrosoft IMEのバージョン番号は廃止され、Windowsとともにアップデートされる。
脚注
- ^ a b “日本語 IME”. マイクロソフト. 2020年11月9日閲覧。
- ^ “いつのまにか便利になっていたWindows 10の日本語入力!日付入力にプライベートモードも”. livedoor. 2020年11月14日閲覧。
- ^ “Windows 10 Anniversary Update 日本語入力 (IME) 関連の改善”. マイクロソフト. 2020年11月14日閲覧。
- ^ a b c “最近の「MS-IME」は目に余る――よろしい、ならば「ATOK」だ”. ITmedia. (2008年5月22日) 2015年3月9日閲覧。
- ^ “IME 2007 で入力した日本語を変換するときに文節が細かく区切られて誤変換される、または登録した単語が変換候補の下のほうに表示される”. マイクロソフト (2009年5月20日). 2015年3月5日閲覧。
- ^ “MS、Office付属の「IME 2007」の変換精度を向上させる修正プログラムを公開”. 窓の杜 (2008年10月17日). 2015年3月5日閲覧。
- ^ “Inside IME 2010”. マイクロソフト (2009年12月3日). 2015年3月5日閲覧。
- ^ “修正プログラムで賢くなった? Office IME 2007 6の疑問”. マイクロソフト (2008年12月6日). 2015年3月5日閲覧。