Memex

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MemexメメックスMEMory EXtender すなわち「記憶拡張機」の略)は、ヴァネヴァー・ブッシュが1945年の The Atlantic Monthly 誌の記事 "As We May Think" で発表したコンピュータシステムの概念であり、ハイパーテキストの元となった。memex は後のハイパーテキスト開発や知性増幅を指向したコンピュータシステムの開発に多大な影響を与えた。

目次

[編集] 詳細

[編集] 原始ハイパーテキストシステム

ブッシュの描いた memex は、一種の図書館と電気的に接続され、その図書館のフィルムを表示でき、自動的に相互参照をたどって他の作品(本やフイルム)を表示するデバイスである。

Memex はリンクされた情報をユーザーに提供するだけでなく、新たにリンクを設定するための道具でもある。使われる技術は大きな机に組み込まれた電気機械式制御装置とマイクロフィルム用カメラおよびマイクロフィルム読取装置である。マイクロフィルム化されたライブラリの大部分はその机に組み込まれていて、ユーザーは思いのままにマイクロフィルムを追加/削除可能である。

Memex の技術はハイパーテキストの技術と同一視されることが多い。しかしブッシュの提示した概念がハイパーテキストの創造を触発したのであり、それ自体がハイパーテキストというわけではない。ブッシュの提示したmemexではマイクロフィルムのコマとコマにリンクを設定できる。しかし、現在のハイパーリンクのように文書の中の単語や文節や画像をリンクすることはできないのである。

[編集] 連想の航跡

さらに、ブッシュが大雑把に描いた連想の航跡(associative trails)の観念は今日の大部分のハイパーテキストシステムでは実装されていない。ブッシュの言う連想の航跡とは、リンクによって鎖のようにつながれた一連のマイクロフィルムのコマであり、これは格納されている順番とは全く関係ない。Webブラウザで言えば、あるトピックに関するブックマーク群のリストを作成するようなもので、何らかのメカニズムでブックマークしたWebページ群を自動的にスクロールして表示するようなものである。現代のハイパーテキストでは単語や文節レベルでリンクするため、関連情報の連結はMemexよりも洗練されている。

[編集] その他の機能

memexには他の機能もある。ユーザーは紙を写真に撮ったりタッチ式透過スクリーンを使って新たな情報をマイクロフィルムに格納することができる。Memex はマイクロフィルムベースのパーソナルコンピュータの先駆者であると指摘する者もいる。1945年9月10日の Life誌の記事で描かれたmemexデスクによれば、科学者が実験のときに頭に装着するようなカメラ音声合成によるテキストの読み上げや音声認識の可能なタイプライターが出てくる。これらのmemexマシンは、おそらく我々が未来型オフィスと呼んでいるものの最初期の具体的な記述であろう。

[編集] 欠落している機能: 検索とメタデータ

このシステムには自動検索機能も汎用のメタデータ標準も考慮されていない。それは例えば標準的図書分類Dublin Coreのようなハイパーテキストの要素の集合のことである。代わりに、ユーザーが何らかの文書や画像を新たな項目として登録したときは、そのユーザーのコードブックに追加した項目のインデックスと内容の説明を書き込むことを期待されている。そのコードブックを参照することでユーザーは項目を探して表示できるのである。

[編集] 批判

Michael Buckland は、ブッシュが情報工学をよく理解しておらず、マイクロフィルムについてもよく解っていなかったため、memex は欠陥だらけであると示唆した("Emanuel Goldberg, Electronic Document Retrieval, And Vannevar Bush's Memex"、アメリカ情報科学学会誌43, no.4(1992年5月)、284~294頁)。Buckland はブッシュの調査が不十分であるともしている。ブッシュは似たようなマイクロフィルムベースのワークステーション(1938年 Leonard Townsend が提案)やより具体的なマイクロフィルムと電子工学ベースのセレクター(1931年 Emmanuel Goldberg が提案)などに言及しなかった。

[編集] 後継者

このアイデアは、直接J・C・R・リックライダーダグラス・エンゲルバートに影響を与えただけでなく、テッド・ネルソンハイパーメディアハイパーテキストに関する仕事にも影響を与えている(Engines of Creation (1986年)、K・エリック・ドレクスラー著)。

As We May Think ではハイパーテキストだけでなく様々な未来の発明を予測していた(パーソナルコンピュータインターネットWorld Wide Web音声認識ウィキペディアのようなオンラインの百科事典)。ブッシュは次のように書いている。「全く新しい形式の百科事典が出現するだろう。事前に用意された連想の航跡(associative trails)が項目間を走り、memexにそのまま入れることができ、memexの機能を拡大するものである。」

今日の研究にもヴァネヴァーの影響が現われているものがある。ひとつはゴードン・ベルの MyLifeBits 計画(個人が一生使える情報格納機器を作ろうとする計画)であり、Texas A&M University の Richard Furuta と Frank Shipman が進めている Walden's Paths 計画(教育現場でインターネット上の情報を活用するために、memexの連想の航跡に相当するようなリンクでカリキュラムの順に情報を与えられるようにするもの)である。

[編集] 関連項目

[編集] 外部リンク

いずれも英文

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