マッチ

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燃えるマッチ

マッチ(match、燐寸)はをつけるための道具の一つである。

目次

[編集] 概要

ブックマッチ(ポルトガル語の歌付き)

などでできた細く短い軸の先端に、発火性のある混合物(頭薬)をつけた形状をしている。リンの燃えやすい性質を利用している。19世紀半ばには側面に赤燐を使用し、発火部の頭薬に塩素酸カリウムを用い、頭薬を側薬(横薬とも)にこすりつけないと発火しない安全マッチが登場した。

現在日本で見られるマッチは、通常軸が木製で箱に収まっているものが一般的である。軸木にはポプラシナノキサワグルミエゾマツトドマツなどが使われるが、現在日本で製造されているマッチの軸木は殆どが中国スウェーデンからの輸入品である。箱の大きさは携帯向けの小箱から、卓上用の大箱まで様々なものがある。また、軸が厚紙製で、折り畳んだ表紙に綴じられているブックマッチもある。

かつてはあらゆる着火に用いられたが、現在ではコンロストーブなどの火を使う製品にはほぼもれなく着火装置が付き、タバコの着火用としてもライターが普及、さらに喫煙率の低下もあって、マッチの需要は大きく低下している。実際の用途としては、仏壇のある家庭でロウソクの着火用や、学校などで理科の授業にガスバーナーを点火するためというのが多い。なお喫煙器具の一種であるパイプは炎が横に噴き出る専用のライターもあるが流通が限定されるため、マッチが利用されている。

かつてはどこの家にもマッチがあったことから、大きさの比較対象として、マッチを被写体の横に並べて写真を撮影することは現在でも見られる。

マッチ箱自体に広告を印刷することが可能であるため、安価なライターが普及した現在でも、飲食店宿泊施設等では自店の連絡先等を入れたマッチ(小箱のもの、またはブックマッチが多い)を、サービスで客に配ることが多い。このような様々なマッチ箱を収集の対象とする者もいる。

発火点は、約150度。

[編集] 原料

頭薬の燃焼
頭薬
塩素酸カリウム硫黄(いおう)、(にかわ)、ガラス粉、松脂(まつやに)、珪藻土顔料染料
しばしば頭薬にリンが使われているという表記が散見されるが、少なくとも1900年代半ば頃以降は軸部分にリンを用いていない。
側薬
赤燐(せきりん)、硫化アンチモン塩化ビニルエマルジョン

[編集] 歴史

安全マッチ
硫化燐マッチ

人間にとって火は重要であったが、火をおこすことは手間のかかる作業だった。 1827年(文政10年)にイギリスの化学者ジョン・ウォーカー塩素酸カリウム硫化アンチモンを頭薬とする摩擦マッチを考案した。形態的には現在のマッチとほぼ同じであったが、火付けが悪かった。

このため、1830年(天保元年)に、フランスのソーリアが黄燐マッチを発明した。これは頭薬をどんなものにこすりつけても発火するため普及したが、その分自然発火が起こりやすく、また黄燐がもつ毒性が問題となって、製造者の健康被害が社会問題化した。そのため、19世紀後半に黄燐マッチは禁止されてゆき、1906年明治39年)、スイスベルンで黄燐の使用禁止に関する国際会議が開かれて、黄燐使用禁止の条約が採択され、欧米各国は批准した。しかし、マッチが有力輸出商品だった日本は加盟しなかった。結局、1921年大正10年)になってようやく日本は黄燐マッチの製造が禁止されたが、日本における黄燐による健康被害の実態については、不透明な部分が多い。

その後、赤燐を頭薬に使用し、マッチ箱側面にヤスリ状の摩擦面をつけた赤燐マッチが登場。19世紀半ばには側面に赤燐を使用し、発火部の頭薬に塩素酸カリウムを用い、頭薬を側薬(横薬とも)にこすりつけないと発火しない安全マッチが登場した。 米国では黄燐マッチ禁止後も摩擦のみで発火するマッチの需要があり、安全マッチの頭薬の上に硫化リンを使った発火薬を塗った硫化燐マッチが今日でも用いられている。この硫化燐マッチは強い摩擦を必要とするので、軸木が安全マッチより太く長い物が用いられるのが大半である。


(なお、硫化燐マッチは日本ではロウマッチという名でも知られるが、後述する防水マッチと混同しないように注意。名の由来は、どこですっても発火する黄燐マッチのマッチ棒に塗られた黄燐がロウと外見が似ていたことからであるとされ、黄燐マッチが製造禁止された後に発売された硫化燐マッチもその名で呼び続けられたとされる。なお、諸外国ではS.A.W. (STRIKE ANYWHERE MATCHES)(和訳 :どこで擦っても火がつくマッチ。)や、頭薬の先端部に白色の硫化燐を目玉状に塗布されている外見から、バードアイマッチという名で知られている。)[1][2]   


日本では、当初小箱一個が米4升と見合う高価な輸入品であった。1875年明治8年)4月、フランスに学んだ金沢藩士の清水誠が、マッチ国産製造の提案者であり後援者でもある吉井友実三田別邸に構えた仮工場でマッチの製造を開始、大きな成功を収めた。その後本所に新設した工場で本格的に生産を開始、中国インドへも輸出された。最盛期である20世紀初めには、スウェーデンアメリカと並び世界三大生産国となった。このときは生産量の約80%が輸出にまわされた。日本では家内制手工業での生産が中心であったが、原料の一つである硫黄が大量安価に手に入ったので価格競争力があった。

しかしスウェーデンのマッチ製造会社が進出してきたため、零細企業が次々と廃業した。昭和になると、日本での生産量の70%はスウェーデンの影響下の会社が製造するものとなった。戦後、ライターなどの普及によりマッチ生産は減少傾向にある。現在では兵庫県を代表する産品となり、姫路市周辺で日本の生産量の80パーセントが生産されている。

[編集] 特殊なマッチ

サバイバルキットや救命ボートに入っているマッチには防水マッチが使われることがある。これは頭薬部分にを塗って撥水効果をもたせたものである。また、嵐の中など過酷な状況でも確実に着火させるため、頭薬を多く(長く)使用しているものもある。

ストロンチウムバリウムなどの塩を頭薬に配合し、炎が炎色反応を起こして着色するマッチがある。これはベンガルマッチ着色マッチなどとよばれる。

アウトドア用品では、ファイアスターターと呼ばれる棒状もしくは板状のマグネシウムがある。これはナイフ等の金属片で削って粉状にし、はめ込まれている火打石で火花を飛ばし点火するものだが、綿などの火口が必要となる。

また、オイルライターに似たオイルマッチがある。これは綿芯が仕込まれた金属棒を本体横の石に擦り付けて発火させる。本体にはオイルを充填しておき、そこに金属棒を差し込むことで、綿芯にオイルが染み込む仕組みになっている。金属棒を使用することから、メタルマッチと呼ばれることもある。ちなみにパーマネントマッチAQマッチ(AQは永久語呂合わせ)とも呼ばれるが、オイルは消耗品であり、石や綿芯も交換が必要な場合もあるため、そのままの状態で永久に使えるというわけではない。

[編集] 逸話

  • マッチの語源は『蝋燭の芯』という意味である。
  • 和文通話表で、「」を送る際に「マッチのマ」という。
  • トイレを使用後にマッチを擦ると、リン成分がアンモニア等の臭気成分に反応して匂いを消す効果があるが、火災報知器が感知する場合もあり注意が必要である。
  • マッチ箱のやすり部分の名称を「よこぐすり」とも言う。変わった用途として、製図鉛筆の芯研ぎがある。
  • 小ささを強調するために「マッチ箱」位の大きさという表現が使われる。夏目漱石は『坊っちゃん』において、登場する小さい客車をマッチ箱にたとえて表現している。
  • 安全マッチはJIS規格でJIS S4001に規定されている。
  • アメリカの玩具メーカー、マテル社ミニカーを“マッチボックス(Matchbox)”のブランド名で販売していた。これは「マッチ箱に収まる大きさだが精巧」ということをセールスポイントにしたことから命名されたもので、最初期の製品はその名の通りマッチ箱を模したデザインのパッケージに入れられていた。
    “マッチボックス”ブランドはその後プラモデルを大々的に手掛けるようになり、スケールモデルの代表メーカーとして名を残している。

[編集] 関連項目

[編集] 参考文献

  1. ^ 燐寸倶楽部 - こんなマッチ知ってる? - 「ロウマッチ ―― 名前の由来」 - 黒田 康敬 2003年平成15年)6月9日  (参考文献:1910年明治43年)8月20日発行  石井研堂著「少年工芸文庫・マッチの巻」、1935年昭和10年)8月16日発行  大阪時事新報「竹軸マッチ」):[1]
  2. ^ 燐寸倶楽部 - こんなマッチ知ってる? - 「ロウマッチ ―― バードアイマッチ」 - 黒田 康敬 {{subst:jdate/sandbox|2003|7|1}}: [2]

[編集] 外部リンク

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