第三者無線
第三者無線(だいさんしゃむせん、Third party radio system)は、米国の[1]マルチチャネルアクセス無線 (Multi-Channel Access radio system) 技術を用いた業務無線システムの呼称である。Trunked radio systemとも呼ばれる。
日本では、「MCA無線(総務省)」「MCA(エムシーエー)(移動無線センター)」「エムシーアクセス(移動無線センター)」「アイデン(日本移動無線システム)」「JSMR(ジェイスマー)(日本移動無線システム)」「ネクスネット(日本移動無線システム)」「NEXTEL(米国での携帯電話事業者)」と呼ばれる。
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[編集] 概要
基本的な仕組みは複数の利用者が複数の無線チャネルを制御局の指令により共同使用することで、周波数帯域を有効利用している。指令局・移動局間の直接通信は行われず、全ての通信が制御局で中継されている。
以下は、日本のものについて説明する。
利用者である企業・団体・自治体などが指令局・移動局の免許人となる。それらと異なる第三者である事業者が制御局の免許人となる。制御局は第三級陸上特殊無線技士以上の無線従事者が主任無線従事者として監督することが必要であるが、指令局・移動局には無線従事者は不要である。
指令局・移動局の無線局免許状は局数に係わらない包括免許であり、書類申請だけで平常時には最短1週間程度で開局することが可能である。また、5年周期(5月31日が免許の有効期限であり、当初の免許の有効期間は4年をこえて5年以下となる)毎の再免許時、利用者の無線設備の定期検査は不要である。事業者や代理店が手続きの代行を行うことも多い。 なお、利用にあたっては年毎に電波利用料を納付しなければならない。解約時に無線局廃止届の提出を怠ると免許の日の応当日に納付義務が発生するので注意が必要である。
1982年(昭和57年)の開始当初は、物流業者など一般業務無線には周波数割当が無い、簡易無線ではサービスエリアが狭いといった事業者が主体であったが、1997年(平成9年)より一般的な業務に広く利用できるようになっており、個人事業者も利用可能で最小単位は2局から開局可能である。
災害時などの貸出支援も行っている。阪神・淡路大震災・新潟県中越地震でも、一部のアンテナ用鉄塔に傾きが生じた程度で制御局・システムが正常に利用できた実績があり、緊急通信用のシステムとして企業・地方公共団体・公共機関でも採用されている。
携帯電話、PHSと比較して少数の無線局で周波数帯域を占有している、関連団体が役人の天下り先(電波利権)となっていると言う批判もある。
特徴
- プレストーク(プッシュ・ツー・トーク)と呼ばれる片通話繰り返し
- 1回の通話時間が制限されている。(アナログ1分 - 3分、デジタル2分 - 5分)
- 料金が定額制(例:1局1900円 - 3000円、移動無線センターの平成22年4月1日付約款による)。ただし、移動局1局あたりの延通話時間が一定限度を超えると割増料金が発生する場合がある。
- 携帯電話・PHSに比べて移動用端末が堅牢・高出力・大型で車載が中心である。
- 移動局1局・オフィスの指令局が1局でも全国的に利用可能。
- 一斉同報通信が可能。
- 中継局(制御局)はロケーションが良い山頂や高層ビル上にあり、大ゾーン方式であるため、海上のサービスエリアも広い。
- ほとんどの中継局に耐震性があり(阪神・淡路大震災で実証)、非常用発電装置もあり災害時に有効に使用可能。
- 公衆交換電話網を利用していないので、災害時などの輻輳・障害に影響されない。公衆交換電話網へのアクセスもできビジネスホン等に接続して通話可能。
用途
- 一斉同報通信や位置通報機能の必要なバス・タクシー・貨物自動車などの陸上交通事業者。
- 海上のサービスエリアが広い事を生かした内航海運事業者。
- メンテナンスや営業活動、食品・LPガス・生協などの配送。
- 企業や団体の拠点間の災害通信用
[編集] システム
[編集] デジタル方式
デジタル方式は、端末コストも比較的安価となり主流になりつつある。制御局間をインターネット技術を利用したIP-VPNで結び、全国通信が可能となっている。また、複数の無線スロットを使用したより高速なデータ通信や利用者設置のIP網への接続も技術的には可能である。
| 周波数帯 (GHz) | 商標 | 通信方式 | 通信可能エリア | GPS連動 | 複数企業間通話 | 制御局間ハンドオーバー | ID 管理 |
搬送波 | チャネル当たり速度 (kbps) | 変調方式 | 空中線電力 (W) | 事業者 | サービス開始 | 再編方針 | 備考 | |||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 間隔 (インタリーブ) (kHz) |
チャネル多重数 | 制御局 | 指令局 移動局 |
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| 0.8 | mcAccess e | 二周波数 復信 半複信 |
日本全国の主要都市 | ○ | ○ | 自動 | 無線 | 25 (12.5) |
4 | 8 | π/4 DQPSK | 40 | 10又は2 | 移動無線センター | 2003年10月 | - | - | |
| 1.5 | mcAccess | 東名阪、 北海道、 東北、 中国、 九州 の一部 |
- | - | 自動 | ROM | 6 | 8 | M16QAM | 1994年 | 2007年6月末で新規加入終了、 2014年3月までにサービス停止予定 |
東名阪バンドは、免許失効以降はエヌ・ティ・ティ・ドコモのLTE用の周波数帯へ一部転用予定。 | ||||||
| NEXNET | 東名阪 | ○ | ○ | 自動 | 無線 | 6 | 12 | M64QAM | 日本移動通信システム協会 | 1998年7月 | 2007年11月末で新規加入終了、 2014年3月までにサービス停止予定 |
モトローラのiDEN規格 免許失効以降はエヌ・ティ・ティ・ドコモのLTE用の周波数帯へ一部転用予定。 |
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| 8 | M16QAM | |||||||||||||||||
| 4 | MQPSK | |||||||||||||||||
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[編集] アナログ方式
アナログ方式は、その周波数帯域をデジタル式携帯電話に転用予定であり、現在移行中である。利用者は他のシステムへ移行しなければならない。
| 周波数帯 (GHz) |
通信方式 | 搬送波間隔 (インタリーブ) (kHz) |
変調方式 | 空中線電力 (W) | サービス 開始 |
再編方針 | |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 制御局 | 指令局 移動局 |
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| 0.8 | 二周波数 半復信 |
12.5 (6.25) |
周波数変調 | 40 | 10(ワイド) 30(ナロー) |
1982年10月 | 2007年5月31日までに帯域を大幅に削減 |
| 1.5 | 80 | 5 | 1990年11月 | 2007年9月30日終了 | |||
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[編集] 地域振興用陸上移動通信システム
1993年(平成5年)に制度が開始された、他の無線通信の手段の少ない地域において、地域振興を目的とする団体が基地局・陸上移動局とも無線局の免許人となり、団体の会員となることで使用できるマルチチャネルアクセス無線である。地域振興MCAとも呼ばれる。免許人となれるのは、第三セクター・地域団体(農業協同組合・森林組合・商工会議所・医師会・福祉協議会・観光協会などが単独または共同で設立するもの)であり、営利企業1社のみが会員のものは認められない。
基地局の設置は地域団体の負担で、その維持・管理費は加入者からの会費で、陸上移動局は加入者負担で購入することとなっている。基地局は第三級陸上特殊無線技士以上の無線従事者が主任無線従事者として監督することが必要であるが、陸上移動局に資格は不要である。
地域で一番高い山などに基地局が設置されているため、安定した通信が可能である。また、地域振興が目的であるため、同一組織内だけでなく組合員相互の通信も認められている。
規格
- 周波数 400MHz帯
- 通信方式 : 二周波数半複信
- 搬送波間隔 12.5kHz(6.25kHzインタリーブ)
- 変調方式 周波数変調
- 空中線電力 : 基地局・陸上移動局とも10W以下
- 機能 : 音声通信・同報通信・ショートメッセージ・ページング
- 選択呼出し : 個別選択・グループ選択(移動局に個別識別装置の設置が義務付けられている)
- 特定の制御チャンネルを持たないMCA方式。チャネル数 4(免許人の事務所に基地局の正常な動作を確認する装置の設置が義務付けられている)
[編集] その他
運転中の通話
1999年(平成11年)11月から自動車又はオートバイを運転しながらの無線通話が道路交通法で禁止(2004年(平成16年)11月から無条件で罰則の対象と)され、運転者は停車中以外使用してはならない。
ただし、無線通話装置のうち「その全部又は一部を手で保持しなければ送信及び受信のいずれをも行うことができないもの」に該当しない場合は適用除外とされており、車載型無線機の使用は規制対象とならないものと考えられる。
改正道路交通法と無線の使用について 移動無線センター
しかし、運転中に携帯型無線機を使用したときや無線機・マイク画面を注視した結果、ハンドル等を誤操作したり、他人に危害を及ぼすような運転をしたときには、「安全運転義務違反」として処罰される可能性があり使用には注意を要する。
[編集] 関連項目
[編集] 脚注
- ^ 電波辞典(第2版)郵政省電気通信局電波部監修 p.118
[編集] 外部リンク
- 財団法人移動無線センター : 中継局を全国に整備し、業務用移動通信サービスを提供。
- エムシーアクセスサポート社 : mcAccess e(800MHzデジタル)を中心とした機器を販売する松下電器産業・NEC・三菱電機などが合弁で設立した販売会社。全国9ヵ所に支店を持ち直販の他、販売代理店もある。
- 日本移動通信システム協会 : モトローラ製の通信機器を使用したサービスを提供している。
- ネクスネット : モトローラ製の通信機器を販売する販売会社。直販の他、販売代理店もある。
- ふくおかコミュニティ無線 : 第三者無線を活用した市町村向けの防災無線システム。2005年(平成17年)に福岡県で開発され、同県内市町村を中心に導入が進められている。2009年(平成21年)には、FMラジオ程度の小型の受信機を使用する戸別受信方式も開発された[1]。
- 大夢多コミュニティ無線 : 福岡県大牟田市が2007年(平成19年)から導入した第三者無線利用の市町村防災行政無線システムで、ふくおかコミュニティ無線の改良型[2]。移動系無線機にGPSによる位置管理機能を設けている。