MAS 36小銃

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MAS 36
MAS36 crop.jpg
MAS 36
MAS 36
種類 軍用小銃
製造国 フランスの旗 フランス共和国
設計・製造 サン=テティエンヌ造兵廠
年代 第二次世界大戦
仕様
種別 ボルトアクション小銃
口径 7.5mm
銃身長 575mm
使用弾薬 7.5x54mm
装弾数 5発(内蔵式マガジン、クリップ装填式)
作動方式 ボルトアクション方式
全長 1,020mm
重量 3,700g
銃口初速 868m/秒
有効射程 約300m
歴史
配備期間 1936年-1978年
配備先 フランス軍
関連戦争・紛争 第二次世界大戦
アルジェリア戦争
第一次インドシナ戦争
第二次中東戦争
バリエーション MAS 36 CR39 MAS 36 LG48 MAS 36/51 F1
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MAS 36Manufacture d'Armes de Saint-Etienne Modèle 36)は、ベルティエ小銃ルベルM1886ライフルの後継小銃として、1932年に試作されたMAS 32を改良し、完成した小銃である。1936年フランス軍に制式採用され、その製造はMAS(サン=テティエンヌ造兵廠)で行われた。

概要[編集]

MAS 36は、当時の一般歩兵小銃としてはイタリアカルカノM1938と並んで最も全長が短い部類に属する銃であり、木製銃床マガジンの存在する部分で前後に二分割されている。

弾薬は、軽機関銃と小銃の弾薬の共通化のために、先に採用されていたFM mle1924/29軽機関銃と同じリムレスの、7.5x54mm弾を使用する。これはそれまで使用されてきた時代遅れのリムドの、8x50mmR レベル弾を更新することが主目的であった。

MAS 36のもう一つの特徴は銃剣にあり、一般的な銃剣が剣型をしているのに対してこの銃の銃剣はスパイク(刺)型であり、銃身下部の筒に収納されている。使用するときは引き出してから回転させて固定し、収納する時は逆方向に回転させてから引き込む。

また、この銃には安全装置がないので、携帯時には薬室に弾丸を装填しない状態で携行する必要があった。

運用[編集]

MAS 36は前任のベルティエ小銃やルベル小銃を更新するために設計されたものの、前任の弾薬の互換性がない(ベルティエ小銃やルベル小銃は、8mmレベル弾を使用)ことと、フランス軍自体の規模が大きく多数の植民地軍を維持していたため、1940年5月に始まったナチス・ドイツのフランス侵攻までに小銃を更新できたのは本国の前線歩兵部隊のみに止まり、その他の兵科の兵や予備役兵、植民地兵はまだ旧式のベルティエ小銃やルベル小銃を使用していた。

第二次世界大戦後はフランス軍と植民地軍がインドシナ戦争アルジェリア戦争における対ゲリラ戦、そして第二次中東戦争(スエズ動乱)に新型のMAS 49半自動小銃MAT 49短機関銃)、AA-52汎用機関銃などと共に投入された。特に第二次中東戦争においては、第2植民地落下傘連隊(2er RPC:Regiment Parachutiste Colonial)の狙撃手が望遠照準器を装備したMAS 36を使用してエジプト軍狙撃手の排除任務に従事した。

MAS 36小銃は1960年代初めごろには歩兵用ライフルとしての役目をセミオート式のMAS 49に譲って退役したが、同銃の機関部を利用して製造したFR F1(Fusil Modele F1)狙撃銃が開発・採用された。

現在でも、FR F1を7.62mm NATO弾仕様に改修したFR F2が現役のフランス軍用狙撃銃として使用されている。

派生型[編集]

MAS 36 CR39
空挺部隊向けにアルミニウム製折り畳み式銃床を採用した型。折り畳み時に本体との干渉を極力少なくするために銃床の下面が大きく窪んだ形状をしていたため、展開時に構え辛いと不評で、また、強度面に不安があるとしても現場の将兵には不評であった。

FR F1/FR F2[編集]

FR F1/FR F2
DCB Shooting FR F1 right side.jpg
FR F1
FR F1/FR F2
種類 軍用狙撃銃
製造国 フランスの旗 フランス
設計・製造 GIAT
仕様
種別 ボルトアクション
口径 7.5mm(FR F1)
7.62mm(FR F2)
銃身長 600mm(FR F1)
650mm(FR F2)
ライフリング 4条右回り・11.8インチ1回転(FR F1)
3条右回り・11.6インチ1回転(FR F2)
使用弾薬 7.5x54mm(FR F1)
7.62x51mm NATO弾(FR F2)
装弾数 10発(着脱式弾倉
作動方式 ボルトアクション方式
全長 1,138mm(FR F1)
1,200mm(FR F2)
重量 5,125g(FR F1)
5,100g(FR F2)
有効射程 800m
歴史
配備先 フランス軍
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FR F1(Fusil modèle F1)は、高精度に製造されたMAS 36の機関部に肉厚銃身、ピストルグリップタイプの銃床、望遠照準器を装備した狙撃銃。7.5x54mm弾を使用。1967年制式化。

現用のフランス軍狙撃銃にはFR F1の改良型であるFR F2が使われている(1984年制式化)。これはFR F1を7.62x51mm NATO弾仕様に改修すると共に、銃身と二脚に改良を加えたものである。

銃身を延長の上、レシーバー側で保持されるフリーフローティングとし、ポリマー製のサーマルジャケットで大半を覆っている。サーマルジャケット追加の目的は、太陽による熱での銃身の歪み防止による精度維持と、焼けた銃身から生じる陽炎を抑え照準の際に視界が遮られるのを防止することである。

本銃は、外国への売り込みは成功しなかったが、フランス陸軍や海兵隊、GIGN(フランス国家憲兵隊介入部隊)などで採用されている。フランス陸軍が投入された1996年コソボ紛争では市外戦にて本銃を装備したフランス軍スナイパーが活躍、その他アフガニスタンの戦場でも使用されている。


関連項目[編集]