L-函数の特殊値

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数学では、L-函数の特殊値 の研究は、数論の一分野で、下記のライプニッツ(Leibniz)の π の公式のような公式を一般化することを研究している。

1 \,-\, \frac{1}{3} \,+\, \frac{1}{5} \,-\, \frac{1}{7} \,+\, \frac{1}{9} \,-\, \cdots \;=\; \frac{\pi}{4},\!

この式は、左辺の表現は、L(s) がガウスの有理数体英語版[1]ディリクレ級数としたときの L(1) でもあるという見方をする。この公式は、(解析的)類数公式の特別な場合であり、上記の式はガウス有理数体であり類数が 1 であること[2]を意味し、また、4個の1の冪根をも意味し、ファクタである 1/4 も考慮されている。

予想には 2つのグループがあり、L-函数英語版の一般的なクラス(非常に一般的な設定は数体上の周モチーフ英語版(Chow motive)に関連するL-函数 L(s) である)として定式化されていて、各々の問題を反映する2つのグループは、

(a) どのように π を置き換えるのか。ライプニッツの公式では、他の何らかの「超越的」な数に依存している。(超越性の証明をするためには、超越数論英語版を使うことが可能かどうか)

と、

(b) どのように公式を有理数要素を一般化するのか(類数は 1の冪根の数によって割る)ある有理数の代数的構成が存在して、L-函数値との比率として「超越的」要素を再現するようなある有理数の代数的構成が存在するのではないだろうか。

そのような公式が成り立つことの期待できる整数値 n の L(n) について、さらに必要な説明を加える。

(a)についての予想は、アレクサンダー・ベーリンソン英語版により提出されたので、ベーリンソン予想(Beilinson's conjecture)と呼ばれる。[3][4] アイデアは、数体のレギュレータ英語版からある「高次のレギュレータ」(ベーリンソンレギュレータ英語版)で、代数的K-理論英語版からくる実ベクトル空間の上の行列式の構成である。

(b)の予想のほうは、特殊値についてのブロッホ・加藤予想(Bloch–Kato conjecture)と呼ばれている。スペンサー・ブロッホ英語版(Spencer Bloch)と加藤和也により提出された。このブロッホ・加藤予想の一連のアイデアは、K-理論のブロッホ・加藤予想英語版とは異なる。(K-理論のブロッホ・加藤予想のほうはミルナー予想英語版を拡張したもので、2009年に証明されたとアナウンスがあった。)さらにより詳しく評価するために、それらはまた玉河数予想(Tamagawa number conjecture)とも呼ばれる。バーチ・スウィンナートン=ダイアー予想では、線型代数群英語版玉河数英語版問題の楕円曲線での類似物の定式化から来た命名である。[5] 更なる拡張として、同変玉河数予想 (ETNC) が定式化されていて、岩澤理論とこれらのアイデアとの関連を統合するものである。同変玉河数予想と岩澤の主予想は同値ではないだろうか、と数学的に定式化[6]できるのではないか。[7][8]

これらの予想はすべて、特別なケースについてのみしか知られていない。

脚注[編集]

  1. ^ ガウスの整数Z(i) とするように、Q(i) のことをガウスの有理数体という。
  2. ^ ここでの類数は、類数問題との関連を意識し、ガウスの類数問題(予想)の項目を参照した。
  3. ^ Peter Schneider, Introduction to the Beilinson Conjectures (PDF)
  4. ^ Jan Nekovář, Beilinson's Conjectures (PDF)
  5. ^ Matthias Flach, The Tamagawa Number Conjecture (PDF)
  6. ^ Mathematical Forkloreという単語が使用されているが、定理や定義、証明といった一連の数学的テクニックにより正当性を持つものというような意味である。
  7. ^ E.g. Huber, Annette; Kings, Guido (2003). “Bloch–Kato conjecture and main conjecture of Iwasawa theory for Dirichlet characters”. Duke Math. J. 119 (3): 393–464. doi:10.1215/S0012-7094-03-11931-6. 
  8. ^ Tamagawa Number Conjecture for zeta Values by Kazuya Kato http://arxiv.org/pdf/math/0304233v1.pdf

参考文献[編集]

関連項目[編集]