鴉 -KARAS-

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鴉 -KARAS-
OVA
原作 タツノコプロ企画室
監督 さとうけいいち
シリーズ構成 吉田伸
脚本 吉田伸、本田雅也
キャラクターデザイン 羽山賢二
メカニックデザイン 安藤賢司
音楽 池頼広
アニメーション制作 タツノコVCR
製作 鴉 -KARAS-製作委員会
発表期間 2005年5月28日 - 2007年10月26日
話数 全6話
テンプレート - ノート
プロジェクト アニメ
ポータル アニメ

鴉 -KARAS-』(からす)は、タツノコプロ製作のOVA。また、タツノコプロ創設者の一人・九里一平が製作に関わった最後の作品でもある。

概要[編集]

本作はタツノコプロ40周年記念作品として制作された[1]。全六話構成。

第5回東京アニメアワードオリジナルビデオ部門優秀作品賞受賞作品。

第一話発売時点では毎月発売予定と告知されていたが[1]2005年11月の三話までリリースされた後、続巻のリリースが1年9ヶ月近く途絶えていた。その後アニメエキスポ2007の会場での発表で、四話から最終六話までが、2007年8月24日から3ヶ月連続でリリースされることが発表され、予定通りに発売された。

各巻にオーディオコメンタリーが収録されており、監督らスタッフによる製作話を聞くことができる。なお、四話では鵺役の藤原啓治と炎役の生天目仁美、五話では乙羽役の和田聰宏、ゆりね役の鈴木かすみがコメンタリーを担当。声優らに共通した発言は「見入ってしまう」だった。

ストーリー[編集]

第壱話「鴉 開眼」
夜を忘れた街・新宿。隣り合う妖怪の存在を忘れ、浮かれて暮らす人間たち。古来より、からみ合うこのふたつの世界の秩序は“ゆりね”と“鴉”によって守られてきたが、ここにきてそのバランスは大きく乱れつつあった。「街」の下僕であることをやめ、自らを廻向と名乗り始めた“鴉”。新宿に舞い戻った流浪の妖怪“鵺”。連続猟奇殺人の影に、廻向に生み出された妖怪の正体を見て取った“鵺”がライフルをかまえた時、もう一人の“ゆりね”と“鴉”が現れる。
第弐話「火炎輪」
ハイウェイで連続する怪奇事件。被害者の遺体にはどれも一滴の血も残されてはいない。困惑する呉を尻目に、同僚で妖怪肯定派の鷺坂は現場に残された証拠から、事件の裏に“人外の存在”が絡んでいることを突き止める。一方、新たな鴉となった乙羽は、原因不明の病におかされた街の妖怪たちの治療に追われていた。妖怪たちの健康を管理することは、街の守護人たる鴉のもう一つの役目であった。鵺が街に戻ってきていることを知った廻向は、ハイウェイをテリトリーとする御座・輪入道に鵺を生きたまま連れてくるよう命じる。はたしてハイウェイに鵺をおびき出すことに成功した輪入道は、地の利をいかし鵺を捕獲するが、駆けつけた鴉との戦いに破れ、鵺と共に爆発、炎上する。炎の中から現れたのは、全身を御座化させた鵺だった。
第参話「滅 覚醒」
炎の中から現れた「御座・鵺」を切り捨てるように命じるゆりね。だが、乙羽にはどうしてもその命令にしたがうことができなかった。過去を捨て、「鴉」となったはずの乙羽にわずかに残る記憶の断片。二体の御座を失い、本格的な鴉抹殺にのり出す廻向。特命を受けた鎌鼬と土蜘蛛が向かった先は、乙羽のいる施療院ではなく、新宿区内のある病院だった。一方、深手を負った鵺の傷を癒すため、鵺を兄貴と慕う雨降り小僧は血液パックを求めて病院へと忍び込む。そこで雨降り小僧が目にしたのは、昏睡状態で眠り続ける乙羽の姿だった。人間の霊体がゆりねと契約を交わすことによって鴉は生まれる。そして廻向の狙いは、この乙羽の本体の抹殺にあった。鵺の助太刀もあり本体への攻撃を寸前で食い止めた鴉だったが、その隙にゆりねを奪われ、鴉の契約が切られた瞬間、本体の乙羽が目を覚ます。
第四話「人 乙羽」
御座衆、土蜘蛛・鎌鼬の二対による策略により、ゆりねは何処かへと連れ去られた。同時に鴉への変身能力を失った乙羽は、本来の人間である自分、鷹介として眠りから覚めた。ハイウェイで負った傷の癒えた鷺坂と呉は、事件の起こった病院のモニターに鷹介と鵺の姿を発見し、事件の捜査を再開した。同じころ、東京の異変を調査している他の土地の鴉・炎たちも活動を開始する。鷹介はヤクザの殺し屋であったが、彼がそのまま使い潰されるのを嫌った舎弟の礼治に誘われ足抜けしようとした際、礼治を庇って銃弾を受けて昏睡していた事を思い出す。罠と知りつつ礼治を助けに向かった鷹介は、礼治を殺されながらも実の兄を殺し、その窮地を炎によって救われる。炎のゆりねは、鷹介=乙羽のゆりねがいまだ生きている事を伝えにきたのだ。一方、鵺は囚われた弟を救うため廻向との対決に挑み、その老いた肉体と廻向のゆりねを破壊するが、だがそれこそが廻向の狙いだった。鵺との接触により、巨大な御座となった彼の弟が目を覚ます。
第伍話「幻想区」
ゆりねの呪縛から解放され、他の御座を取り込んだことで自らも御座となった廻向の次なる目的は、新宿という街そのものの改造にあった。新宿の街に突如、出現した機械根が次々と人間を襲いはじめる。それは御座となった廻向の体を支えるための、エネルギーチャージャー、巨大な御座玉だった。外界から新宿を遮断し、街そのものを巨大な御座へと変貌させようとする廻向。それは世界への宣戦布告なのか?  鷺坂と呉は鷺坂の娘よし子を守るため、新宿署署長の誘導でシェルターに向かうが、それは御座・牛鬼である署長が人を捕食するための罠だった。牛鬼から守るべきものを守るため、力を失った乙羽は奮闘する。そして人々、妖怪、乙羽が望む時、ふたたび新宿の街にゆりねが生まれ、乙羽は鴉としての力を取り戻す。
第六話「真伝説」
東京に集結する他エリアのゆりねと鴉たち。事態の収拾が付かない場合、彼らの手によって東京そのものが破壊される……そして、新生した乙羽と廻向の最後の戦いの火蓋が切られた。街そのものを自らの肉体とした廻向に苦戦を強いられる炎と乙羽だが、取り込まれた鵺の言葉を聞き、乙羽は鵺の命と引換えにその力を宿した刀で鵺の弟、御座玉を破壊する。そして御座玉を失った廻向と乙羽の戦いは、乙羽の勝利に終わった。そして妖怪を恐れ銃を向ける副知事に対し、乙羽は「お前もまた守るもののひとつ」と告げて姿を消す。街から去る者もいれば、街に残り続ける者もいる中、鴉とゆりねは変わらず街を守り続ける。そこに暮らす人々の心を信じて。

キャラクター[編集]

街の守人[編集]

主な人間[編集]

主な妖怪[編集]

御座衆[編集]

その他ゲスト[編集]

第壱話[編集]

第弐話[編集]

第参話[編集]

第四話[編集]

第伍話[編集]

第六話[編集]

スタッフ[編集]

主題歌[編集]

エンディングテーマ
セレナイト」(第1話 - 第3話)
作詞・作曲 - Rurutia / 編曲 - Rurutia & 佐藤鷹 / 歌 - ルルティア
「Under Fire」(第4話、第5話)
作詞・歌 - サシャ・アントニス / 作曲 - 池頼広

各話リスト[編集]

話数 サブタイトル 脚本 絵コンテ 演出 作画監督 総作画監督 発売日
第壱話 鴉開眼 本田雅也 中村健治 高田晃
工原しげき(アクション)
橋本敬史(友情)
羽山賢二 2005年5月28日
第弐話 火炎輪 さとうけいいち
荒川眞嗣
鈴木薫 佐光幸恵
まさひろ山根(メカ)
2005年10月29日
第参話 滅 覚醒 吉田伸 さとうけいいち
高木茂樹
橋本敬史(特技)
さとうけいいち
寺沢伸介
小林理
石丸賢一(レイアウト)
工原しげき(アクション)
2005年11月26日
第四話 人 乙羽 玉川真人
さとうけいいち
橋本敬史(特技)
さとうけいいち 工原しげき、初見浩一
松田勝巳、羽山賢二
高田晃
高田晃 2007年8月24日
第伍話 幻想区 本田雅也
吉田伸
片山一良 山崎浩司 高田晃、工原しげき
鈴木勤、初見浩一
柴田淳
羽山賢二 2007年9月28日
第六話 真 伝説 吉田伸 山下明彦
さとうけいいち
さとうけいいち
中村健治
羽山賢二
千葉崇洋
2007年10月26日

オンライン配信[編集]

2006年4月6日からXbox Liveでの公開が開始される(第一話のアバンタイトル部分)。

関連項目[編集]

脚注[編集]

  1. ^ a b 「Visual Radar」『宇宙船』Vol.118(2005年5月号)、朝日ソノラマ、2005年5月1日、101頁、雑誌コード:01843-05。 
  2. ^ 社名変更に伴い4話以降はショウゲート名義

外部リンク[編集]