JRA賞馬事文化賞
JRA賞馬事文化賞(ジェイアールエーしょうばじぶんかしょう)とは、日本中央競馬会(JRA)が、文学・評論・美術・映画・音楽などの文化活動を通じて、馬事文化の発展に顕著な功績のあった個人・団体を表彰する目的[1]で1987年に創設した賞である。
該当年の前年11月から該当年の10月までの1年間に出版・企画・開催された馬に関する文化作品について、文化賞選考委員会において選考される。なお、記者投票などによって決定される競走馬の部門や、成績によって決定される調教師・騎手の部門など、ほかのJRA賞(表彰式は同時・同場所開催)とは性質を異とするものである。略してJRA馬事文化賞、または馬事文化賞と呼ばれることもある。部門賞として、永年に渡り馬事文化の普及発展に貢献した人物・団体を表彰する「功労賞」が設けられている。
歴代受賞者・受賞団体・受賞作
年 | 受賞者・団体 | 受賞事由 |
---|---|---|
1987年 | 宮本輝[2] | 小説『優駿』(馬事文化への貢献)[2] |
1988年 | 坂内誠一[2] | 『碧い目の見た日本の馬』(近代日本の馬文化を発掘)[2] |
長島信弘[2] | 『競馬の人類学』(競馬による各国の比較文化論)[2] | |
1989年 | 内藤律子[2] | 『神威の星 サラブレッド・ファンタジー - 内藤律子写真集』など(幅広い創作活動)[2] |
1990年 | 白井透[2] | 『ファミリーテーブル』[2] |
山野浩一[2] | 『サラブレッドの誕生』(競馬を多角度からアカデミックに分析)[2] | |
1991年 | ウイーン・スパニッシュ・ライディング・スクール[2] | (馬のバレエというべき豪華絢爛な高等馬術演技)[2] |
橋本邦治[2] | 『話のかいば』(競馬の新しい魅力を紹介)[2] | |
1992年 | 渡瀬夏彦[2] | 『銀の夢 - オグリキャップに賭けた人々』(丹念な取材に対する高い評価)[2] |
1993年 | 戸山為夫[2] | 『鍛えて最強馬をつくる - ミホノブルボンはなぜ名馬になれたのか』(馬づくりの真摯な姿勢に対する共感)[2] |
1994年 | 岩川隆[2] | 『広く天下の優駿を求む』(丹念な取材に対する高い評価)[2] |
京都府警察本部地域部「平安騎馬隊」[2] | ユニークな活動で人々の親しみを得る[2] | |
1995年 | 佐藤正人[2] | 『蹄の音に誘われて』(競馬に対する深い洞察力)[2] |
椎名誠[2] | 『白い馬』(映画)(モンゴルの人々の馬とともに生きる日常を紹介)[2] | |
1996年 | 江上波夫・木下順二・児玉幸多[2] | 『馬の文化叢書』(競馬文化を多角的に紹介)[2] |
岩手県競馬組合[2] | 「馬の彫刻コンクール」の開催および受賞作の展示[2] | |
1997年 | 山本雅男[2] | 『ダービー卿のイギリス - 競馬の国のジェントルマン精神』[2] |
彦根城博物館[2] | 「馬〜鞍・鐙から描かれた姿まで〜」(展示)[2] | |
1998年 | フランス国立馬術学校[2] | 「カドルノワール・ド・ソミュール」(日本での公演)[2] |
吉沢譲治[2] | 『競馬の血統学 - サラブレッドの進化と限界』[2] | |
1999年 | 吉川良[2] | 『血と知と地 - 馬・吉田善哉・社台』[2] |
2000年 | 佐藤次郎[2] | 『砂の王メイセイオペラ』(ドキュメントとして高い評価)[2] |
2001年 | 本村凌二[2] | 『馬の世界史』(馬が人間の歴史・文化に与えた影響について解説)[2] |
2002年 | 週刊Gallop編集部[2] | 『週刊100名馬』[2] |
2003年 | ローラ・ヒレンブランド[2] | 『シービスケット - あるアメリカ競走馬の伝説』(競馬を通じた馬文化を一般に広く伝える)[2] |
2004年 | 施丸巴[2] | 『馬映画100選』[2] |
2005年 | NHKスポーツ報道センターおよびNHK大津放送局 | 『NHKスペシャル ディープインパクト〜無敗の3冠馬はこうして生まれた〜』(テレビ番組) |
2006年 | 岩崎徹 | 『馬産地80話 日高から見た日本競馬』 |
ビーワイルド | 『雪に願うこと』(映画) | |
2007年 | 木村李花子 | 『野生馬を追う』 |
城崎哲 | 『カリスマ装蹄師 西内荘の競馬技術』 | |
2008年 | 亀和田武 | 『どうして僕はきょうも競馬場に』 |
2009年 | 立川健治 | 『競馬の社会史1 文明開化に馬券は舞う〜日本競馬の誕生』 |
2010年[3] | NHK・NHKエンタープライズ | 土曜ドラマ『チャンス』 |
2011年 | 島田明宏 | 『消えた天才騎手 最年少ダービージョッキー・前田長吉の奇跡』 |
2012年[4] | NHKメディアテクノロジー及び平成24年度相馬野馬追執行委員会 | 『疾走!相馬野馬追 〜東日本大震災を越えて〜』 |
2013年[5][6] | 梅崎晴光 | 『消えた琉球競馬 幻の名馬『ヒコーキ』を追いかけて』 |
2014年[7] | 石田敏徳 | 『黄金の旅路 人智を超えた馬・ステイゴールドの物語』 |
2015年[8] | 河崎秋子 | 小説『颶風の王』 |
功労賞
馬事文化活動に概ね30年以上携わっている者で、その振興・発展に顕著な貢献があったと認められる人物・団体を表彰するため、2009年度より部門賞という形で「功労賞」が創設された。物故者も選考の対象となる。
年 | 受賞者・団体 | 職能・活動 | 備考 |
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2009年 | 今井壽惠 | 写真家 | 物故者表彰 |
2012年[4] | 法華津寛 | 馬術選手 | |
2014年[7] | 英国ジョッキークラブ |
脚注
注釈
出典
- ^ 日本中央競馬会50年史、320頁。
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y z aa ab ac ad ae af ag ah ai aj ak al am an ao ap aq ar as at au av aw ax ay az 日本中央競馬会50年史、320頁。
- ^ 2010年度JRA賞馬事文化賞が決定!(日本中央競馬会、2011年1月6日)
- ^ a b 2012年度JRA賞馬事文化賞が決定!(日本中央競馬会、2013年1月9日)
- ^ 2013年度JRA馬事文化賞は梅崎晴光氏が受賞(ラジオNIKKEI・競馬実況web、2014年1月7日)
- ^ 馬事文化賞は梅崎氏「身に余る賞」(サンスポ予想王TV、2014年1月8日)
- ^ a b 2014年度JRA賞馬事文化賞が決定!(日本中央競馬会、2015年1月7日)
- ^ 2015年度JRA賞馬事文化賞は「颶風の王」に決定 (netkeibaニュース、2016年1月6日)
参考文献
- 『日本中央競馬会50年史』中央競馬ピーアール・センター(制作)、日本中央競馬会、2005年。