JR貨物HD300形ハイブリッド機関車

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JR貨物HD300形ハイブリッド機関車
新製直後、甲種輸送されるHD300-901(2010年3月30日 / 新秋津駅)
新製直後、甲種輸送されるHD300-901
(2010年3月30日 / 新秋津駅
最高速度 45 km/h(力行時)
110 km/h(回送時)
全長 14,300 mm
全幅 2,950 mm
全高 4,088 mm
車両質量 60.0t
軸配置 B-B
モーター出力 連続:62kW、一時間:80kW
機関出力 270馬力
主電動機 永久磁石同期電動機
制御装置 PWM電圧制御
台車 軸梁式ボルスタレス台車
FDT102(1エンド側)
FDT102A(2エンド側)
製造メーカー 東芝
最大引張力 : 20,000kgf

HD300形ハイブリッド機関車(エイチディー300がたハイブリッドきかんしゃ)とは、日本貨物鉄道(JR貨物)が2010年平成22年)に製造したハイブリッド機関車である。

目次

[編集] 概要

これまで入換機関車として使用されてきたDE10形ディーゼル機関車など、日本国有鉄道(国鉄)から承継された機関車の老朽化が進行しており、これらの車両を置き換えるため開発された。また近年の環境問題に対しての取り組みとして、排出ガスを削減する新しいシステムによる車両の導入が検討され、ハイブリッドシステムを採用した車両の導入が検討され、JR貨物の長期経営計画に基づき、計画が進められている。

[編集] 構造

この機関車は、ディーゼル発電機を動力源とする電気式ディーゼル機関車蓄電池リチウムイオンバッテリー)を動力源とする蓄電池機関車の2つの要素を兼ね備えた、日本初のハイブリッド機関車である。具体的には「シリーズ・ハイブリッド」と呼ばれる、状況に応じて駆動力となるモーターの動力源についてディーゼル発電と蓄電池の両者を切り替える機構を備えている。これにより、ディーゼルエンジンを直接駆動力に用いるDE10形に比べて排出ガスでは30% - 40%、騒音を10デシベルと大幅に削減できるものとしている。また、回生ブレーキの搭載により、排出ガスを削減することを目指している。そのため、形式記号の頭文字にディーゼル機関車を指す「D」や蓄電池機関車を指す「A」[脚注 1]ではなく、ハイブリッド (Hybrid) 方式の機関車であることを表す「H」を初採用し、動軸数4であることを表す「D」と組み合わせた「HD」となっている。ハイブリッドシステムの開発にあたっては国土交通省の鉄道技術開発費の補助を受けている。

車体はセミセンターキャブタイプで、前位側から主変換機モジュール、蓄電池モジュール、運転室モジュール、発電モジュールと、車体を4ブロックに分割したモジュール構造とし、保守の簡略化を目指している。運転台は進行方向に対して横向きとなっている(これはDE10形と同様)。前面の連結器周辺は警戒色の黄色と黒で塗られており、このほかは、EF510形と同じフレート・レッドで塗装されている。なお、ハイブリッド方式の機関車であることを強調するため、車体にはHybridのロゴが描かれている。

主電動機には、全密閉構造の永久磁石同期電動機を機関車として初採用し、センサレスベクトル制御により駆動される。自然冷却方式を採用するため、冷却用送風機は省略されている。永久磁石には、最大エネルギー積41[MGOe]クラスのネオジ-鉄-ボロン系磁石を採用し、全閉構造による温度上昇にも耐えられる耐熱性となっている。また磁極位置は、逆ハの字磁極配置とフラックスバリアを構成することにより、突極性リラクタンストルクを有効に活用する。 主電動機の仕様・諸元は、相数:3極、極数:6極、定格:連続出力62kW/電流90A、一時間出力80kW/電流117A、電圧440V、回転数550rpm、周波数27.5Hz、最高使用回転数1,244rpm(回送時3,040rpm)、重量1,246kgである。

リチウムイオンバッテリーは、ジーエス・ユアサコーポレーション製のLIM30H型を搭載し、電池構成は3並列、公称電圧750V、エネルギー容量は67kWhである。 寒冷地における経年劣化でも起動できるだけの出力容量を確保し、回生エネルギーを吸収可能な容量とした。またバッテリーは複数のバンクで構成し、異常時はバンク開放して走行継続可能となるような冗長性を持つ。

エンジン発電機におけるディーゼル発電機は、国土交通省の定める第3次排出ガス規制に適合したものであり、エンジン出力は騒音や有害排出ガス低減のため、既存の50万台実績のある産業用325HPのエンジンを転用し275HPで使用する。 エンジンの仕様は、定格出力325HP(242kW)-1,800rpm(エンジンラジエータ10HP含む)、定格回転数は1,600rpm、最高回転数は1,800rpmである。 主発電機の仕様は、三相かご形誘導電動機、軸直結駆動形、自己通風冷却方式の定格出力:170kW(一定)、定格電圧AC(線間)440Vである。

ハイブリッド以外の新機構としては、新たに開発した運転士異常時列車停止装置を装備した他、前後のステップを大きく取り、前後と側面の手すりは大型のものを採用するなど、運転士や構内作業員の作業性向上が図られている。また、入換作業時の運転台からの死角解消のため、手すりにカメラが取り付けられている。前照灯は両端の手すりに角形のものが2灯ずつ取り付けられ、連結器直上部には夜間作業時のための作業灯(LED灯)が設けられている。

[編集] 現況と動向

2010年3月、試作機HD300-901が東芝府中事業所で落成し、3月25日に公開された[1]2011年に入り1月下旬からは札幌貨物ターミナル駅構内で寒冷地試験が行われた[2]

その後も道内の別地域や東京貨物ターミナル駅南松本駅等で試験走行を行い、様々な条件下における車両の性能の情報を収集している。

試作機である901号機は、2011年7月11日から入換機として東京貨物ターミナル駅で運用を開始した[3]

2012年1月には量産型1号機となるHD300-1が東芝府中事業所で落成、甲種輸送され[4]、2012年2月8日より、東京貨物ターミナル駅構内で使用開始した。[5]。量産車は警戒色塗装が施されている前面の排障器の幅が試作車より広まり、後部標識等が前照灯下部にまとめられ、作業灯にカバーが設けられる等の形状の差異が見られる。

2012年度以降についても、量産車を順次投入して、老朽化したDE10形機関車を置き換えていく予定としているが、具体的な新製両数や投入駅については未定。また同車の成績を踏まえ、本線用ハイブリッド式機関車の開発を進めることが長期経営計画に明記されている。

[編集] 出典

  1. ^ 国内初のHV機関車 JR貨物が試作車を報道陣に公開” (日本語). 産経新聞 (2010年3月25日). 2010年3月26日閲覧。
  2. ^ HD300-901、札幌貨物ターミナルで寒冷地走行試験”. 鉄道ファン railf.jp. 交友社 (2011年1月26日). 2011年1月26日閲覧。
  3. ^ HD300形式ハイブリッド機関車の営業開始について (PDF) 日本貨物鉄道プレスリリース 2011年7月13日付
  4. ^ HD300-1が甲種輸送される”. 鉄道ファン railf.jp. 交友社 (2012年1月18日). 2012年1月18日閲覧。
  5. ^ HD300形式ハイブリッド機関車「量産車」の運転開始について (PDF)日本貨物鉄道プレスリリース 2012年2月16日付

[編集] 脚注

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  1. ^ 国鉄・JRで蓄電池機関車が実際に存在したのは1927年に製造された「AB10形」のみ(機械扱いのスイッチャーを除く)。1931年には架線集電化改造を施され、「EB10形」に形式名を改めている。

[編集] 参考文献

  • 「JR貨物HD300形900番代」『RailMagazine』2010年6月号、2010年、54 - 57頁
  • 「ディーゼルハイブリッド入換専用機関車HD300形式の電気品について」山田・林・長谷部・氏家・添田著 電気学会 モータドライブ 家電・民生合同研究会 MD-12-008/HCA-12-008 41 - 48頁

[編集] 関連項目

[編集] 外部リンク

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