JR貨物EH200形電気機関車

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JR貨物EH200形電気機関車
EH200-22 cyuou line.JPG
最高速度 110 km/h
最大寸法
(長・幅・高)
25,000 × 2,948 × 3,799 (mm)
車両質量 134.4t(軸重 16.8t)
軸配置 (Bo - Bo) + (Bo - Bo)
軌間 1,067 mm
電気方式 直流1,500V
架空電車線方式
総出力 4520kW(1時間)
5,120kW(30分)
主電動機 かご形三相誘導電動機
FMT-4形 (565kW) ×8基
定格引張力 271.8kN = 27,735kgf
歯車比 16:82 = 1:5.13
駆動装置 1段歯車減速 吊り掛け式
制御装置 VVVFインバータ制御
制動方式 発電ブレーキ併用電気指令式自動空気ブレーキ

EH200形電気機関車(イーエイチ200がたでんききかんしゃ)とは、日本貨物鉄道(JR貨物)が2001年(平成13年)から製作している直流電気機関車である。

概要[編集]

中央本線篠ノ井線などの勾配線区で使用されてきた EF64形基本番台の取替えおよびEF64形重連運転解消を目的として開発された[1]。粘着性能と牽引力を確保するため、EH500形と同じ2車体連結の8軸駆動(H級)とされ、これまでEF64形を重連としていた運用に単機で充当できる[2]

愛称は一般公募により「ECO POWER ブルーサンダー」と命名された。時には鉄道ファンからは「ブルサン」ともよばれることもある。

構造[編集]

外観は車体前面が 25 傾斜した直線基調のデザインで、外部塗色は濃淡ブルー+灰色、運転室側扉はカラシ色(黄緑色)である。

制御装置は、IGBT素子を使用した3レベルVVVFインバータ制御装置を搭載し、EH500形で実績のある高速トルク制御(ベクトル制御)や、1台のインバータで1台の主電動機を個別に制御する 1C1M 方式を採用した[3]。これにより、25 勾配上で 1,100 t の引き出しが可能である[1]。補助電源装置異常時には、主回路インバータの1基をCVCF制御することでバックアップとしている。

1時間定格出力565kWのFTM4かご形三相誘導電動機吊り掛け式で8基搭載し、機関車全体で4,520kWの1時間定格出力を確保しているが、本形式は短時間最大定格出力を 5,120 kWと設定することでEF64形の重連相当の性能を確保している[4]

台車には、軸梁式軸箱支持機構を備えたFD7系空気ばね式ボルスタレス台車を搭載する。これはEF210形などで採用実績のあるもので、台車軸距が 2,500 mm、車輪径が1,120 mmとなっている。1エンド側から、FD7J、FD7K、FD7L、FD7Mとなっている。

制動方式は電気指令式自動空気ブレーキを採用しており、併用して発電ブレーキを停止と抑速の際に使用する。

補機類や計器類の電源を供給する補助電源装置は、1エンド側車体に静止形インバータ(SIV)を1基搭載する。IGBT素子を使用した3レベル電圧形PWMインバータをCVCF制御し、210kVAの容量を持つ[3]

形態区分[編集]

試作機(901号機)[編集]

側面にロゴのない901号機
(2004年6月 / 八王子駅

2001年東芝府中事業所で落成し、高崎機関区に新製配置された。各種試験に供され、2002年10月より中央本線・篠ノ井線で営業運転を開始した。

正面窓にセンターピラー(中桟)があり、サイドピラーは幅広のものが設けられている。車体側面向かって右側に JRF ロゴが描かれ、愛称ロゴはない。側面のナンバー表示は各車体の中央寄りにある。パンタグラフはシングルアーム式の FPS-4 形で、関節部を車端側に向けて設置される。

量産機(1号機 - )[編集]

2003年3月以降、製造中の量産機である。

正面窓のセンターピラーがなくなり、サイドピラーの幅が細くなっている。運転室内機器の配置が見直され、機器室内の主送風機は低騒音のものに変更された。また、連結器の解放テコにカバーが追加設置されている。

車体は窓配置等の変更はないが、車体側面向かって右側に「 Blue Thunder 」の愛称ロゴが、左側に JRF ロゴが描かれる。

側面のナンバー表示は、向かって右側のものが助士席側窓下に移された。

パンタグラフはシングルアーム式の FPS-4A 形で、空気上昇式に変更され、関節部を車端側に向けて設置される。


現況と動向[編集]

量産機は勾配対策の問題が判明し、2004年3月落成の5号機で製造が一時中断されたが、CPU変更・砂箱増設等の対策が施され、2004年12月に製造が再開されている。

本形式は全機が高崎機関区に配置され、塩尻機関区篠ノ井派出EF64形重連運用を順次置き換え、2008年3月ダイヤ改正で全列車の置換えが完了した。さらに2012年3月改正では中央本線(東線)運用はEH200に統一された。中央本線・篠ノ井線、およびしなの鉄道線内で石油専用貨物列車を中心に運用されるほか、高崎機関区への入出区に際して倉賀野駅川崎貨物駅根岸駅岡部駅などの運用もある。2000年代に入ってから設定が増加しているタキ1000形タンク車で組成された最高速度 95 km/h の高速石油列車への充当も多い。

2009年3月14日のダイヤ改正より上越線へ運用を拡大し、高崎機関区のEF64形1000番台に代わって一部貨物列車の仕業を受け持つようになった[5]。また2010年3月のダイヤ改正より上越線の運用はEH200の単一運用となった。近年上越線運用では、高崎操車場での機関車交換を行わず、EH200が隅田川駅東京貨物ターミナル駅 -南長岡駅新潟貨物ターミナル駅間を直通する運用がある。

製作実績は2006年度から2009年度まで毎年度3両[6][7][8]2010年度は2両[9]が製作された。2013年4月現在、試作機のほか量産機が24号機まで製造されている。

脚注[編集]

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  1. ^ a b 鉄道ファン』2001年9月号、交友社、2001年、p.62
  2. ^ 在来機2両を1両で代替できることで機関車の両数が減り、機関車の両数で決まる旅客鉄道会社への線路使用料を抑えられるという、EH500形同様のメリットも生じる。
  3. ^ a b 『鉄道ファン』2001年9月号、交友社、2001年、p.63
  4. ^ モーダルシフトを支える機関車・貨物輸送システム (PDF) 東芝レビューVol.58 No.9(2003年)
  5. ^ 交通新聞2009年1月13日発表。
  6. ^ JR貨物Webサイト ニュースリリース「平成19年度の車両等の設備投資について」 (PDF)
  7. ^ JR貨物Webサイト ニュースリリース「平成20年度の機関車の新製について」 (PDF)
  8. ^ JR貨物Webサイト ニュースリリース「平成21年度の機関車の新製について」 (PDF)
  9. ^ JR貨物Webサイト ニュースリリース「平成22年度の機関車の新製について」 (PDF)

参考文献[編集]

  • 「新車ガイド EH200形901号機」『鉄道ファン』2001年9月号(通巻485号)、交友社
  • 「特集:鉄道貨物輸送の現状」『鉄道ジャーナル』2005年5月号(通巻463号)、鉄道ジャーナル社
  • 「特集:JRFの機関車たち」『鉄道画報』2005年夏季号No.2、誠文堂新光社

関連項目[編集]