JAPANESE GIRL (矢野顕子のアルバム)

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JAPANESE GIRL
矢野顕子スタジオ・アルバム
リリース
録音 1973年5月
1976年2月3月
時間
レーベル 日本フォノグラム
プロデュース 小東洋
矢野顕子
矢野顕子 アルバム 年表
JAPANESE GIRL
1976年
長月 神無月
1976年
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JAPANESE GIRL』(ジャパニーズ ガール)は、矢野顕子の1枚目のアルバム1976年7月25日発売。発売元は日本フォノグラム

概要[編集]

矢野顕子の個人名義でのデビュー作となるアルバム。A面(第1曲-第5曲、AMERICAN SIDEと名付けられている)には、バックバンドにリトル・フィートのメンバーが参加し、アメリカロサンゼルスで収録された。B面(第6曲-第10曲、JAPANESE SIDEと名付けられている)には、細野晴臣林立夫といったティン・パン・アレーのメンバー(第6曲)、あがた森魚かしぶち哲郎鈴木慶一鈴木博文駒沢裕城など、はちみつぱいムーンライダーズ系の演奏者(第9曲)といった、日本国内のアーティストが参加している。

プロデュースは「小東洋」名義で、矢野誠と、矢野顕子が務めている。実務面のディレクターは三浦光紀。ミックスは、2000年代に入っても矢野の音楽の録音を行うことになる、吉野金次が担当している。

本アルバムの特徴のひとつに、矢野が幼少時代を過ごした青森の民謡をカバーしているほか、和楽器を積極的に使用するなど、日本の伝統音楽とロックのクロスオーバーが図られている点がある。タイトルはあがた森魚のアルバム『日本少年』(1976年)に由来し、本作はあがたの作品へのアンサーアルバムにあたる。

本アルバムのA面の録音の際の逸話として、リトル・フィートのリーダー、ローウェル・ジョージが、矢野の才能に驚嘆し、「僕たちの力不足でした。ギャラはいりません。」と語ったとされる[1]

矢野に憧れ、矢野の物真似をしている清水ミチコは本作のオリジナルLPを現在も帯付きで所持し、矢野に見せた時、矢野から帯付きで残してある事に「凄くない」と驚かれた。

収録曲[編集]

American Side:A面[編集]

  1. 気球にのって (作詞・作曲:矢野顕子)
  2. クマ (作詞・作曲:矢野顕子)
  3. 電話線 (作詞・作曲:矢野顕子)
    • ライブ・アルバム『グッド・イーブニング・トウキョウ』、『TWILIGHT』(2000年発売)、ビデオ『矢野顕子S席コンサート』(1994年発売)、DVD『LIVEピヤノアキコ。』(2003年発売)に、ライブテイクが収録されている。
    • 90年代前半頃のライブアレンジで再録音されたバージョンが、シングル『すばらしい日々』(1994年発売)に収録。
    • 2003年のベスト・アルバム『ピヤノアキコ。』にピアノ弾き語りで収録。
    • 2014年には、sasakure.UK編曲で再録音。(『飛ばしていくよ』収録)
    • 2000年代に入ってもたびたびライブで演奏されている、初期の代表作。それを物語る様に発売当時に制作されたプロモーション用シングルのA面に収録された。
  4. 津軽ツアー (作詞・作曲:矢野顕子)
    • 津軽民謡「ホーハイ節」を元にしている。
    • 1977年発売のライブ・アルバム『長月 神無月』に、ライブテイクが収録。
  5. ふなまち唄PartII (作詞・作曲:矢野顕子)
    • 矢野の故郷、青森の民謡(青森ねぶた祭)を元にしている。
    • 2009年発売のDVD『akiko LIVE 2008』に、ライブテイクが収録。

日本面:B面[編集]

  1. 大いなる椎の木 (作詞・作曲:矢野顕子)
    • 録音は、「ザリバ」から数えても矢野のデビュー前にあたる1973年であり、同年に発売が予定されていたアルバムからの流用と思われる。発売当時に制作されたプロモーション用シングルのB面に収録された。
  2. へこりぷたあ (作詞:矢野顕子 作曲:矢野顕子・小東洋)
    • 一部の再発盤では「へりこぷたあ」と表記されているが、また歌詞ではそのように歌われているが、曲名としては誤りである。
    • に、のちに人間国宝となる堅田喜三久が参加。
  3. 風太 (作詞・作曲:矢野顕子)
    • 曲名は矢野誠との間にもうけた長男の名前より。
    • の合奏が特徴的である。
  4. 丘を越えて (作詞:島田芳文 作曲:古賀政男)
    • 藤山一郎の曲のカバー。
    • この矢野バージョンは、映画『卓球温泉』(1998年)の主題歌に用いられた。
  5. ふなまち唄PartI (作詞・作曲:矢野顕子)
    • 日本太鼓、笛に山上進が参加。
    • 楽器にある「吉野バケツ」とは、吉野金次が持っていたバケツの音がよかったため、楽器として採用したもの。

発売履歴[編集]

発売日 レーベル 規格 規格品番 備考
1976年7月25日 フィリップス・レコード LP FW-5012
1976年7月25日 フィリップス・レコード CT LCT-12047
1977年 フィリップス・レコード LP S-7034
1994年5月25日 ジャパン・レコード CD TKCA-70371 CD選書, Q盤Disc
1998年5月13日 ジャパン・レコード LP TKJA-10026 矢野顕子の70'sシリーズ
2002年10月23日 ジャパン・レコード CD TKCA-72459 紙ジャケット仕様
2011年11月23日 Midi Inc. SHM-CD MDCL-1518
2019年3月29日 Wewantsounds CD WWWSCD17
2019年3月29日 Midi Inc. CD WWWSCD17
2019年3月29日 Wewantsounds LP WWWSLP17

脚注[編集]

  1. ^ 矢野顕子『えがおのつくりかた』, オレンジページ, 2006年, p.59.

外部リンク[編集]