iVDR

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iVDRメディア(左)とアダプタ(右)

iVDR(アイブイディーアール)は Information Versatile Disk for Removable usage[1]の略であり、一般社団法人 iVDR コンソーシアムによって策定されているリムーバブルハードディスクの一種。2009年10月25日、ISO/IEC にて iVDR (Standard) が国際標準規格として承認された。

概要[編集]

リムーバブルハードディスクとはいってもカートリッジにはHDDがまるまる一台内蔵されている。

読んで字のごとく、コンピュータのみならず、ビデオレコーダやオーディオ機器、カーナビなど、あらゆる情報機器でのデータ共有を実現することを目指している。現在は世界に先駆けて商品化したアイ・オー・データより USB を用いたパソコン接続用アダプターと iVDR メディアが、また日立より iVDR 対応プラズマテレビ Woooデジタルチューナーが発売されている(子会社日立マクセルがそれに合わせ iVDR メディアの製造販売に参入している[2])。maxell ブランドの iVDR には iV(アイヴィ)という愛称が、アイ・オー・データ機器ブランドの iVDR には REC-iN(レック・イン)という愛称が、それぞれ付けられている。今後、カートリッジ当たりの記録容量を 1.5TB に増やした製品の発売や、HDD に代わり SSD を内蔵することが検討されている。

規格[編集]

iVDR メディアの規格[3]

  • iVDR EX (旧称iVDR Xtreme) 80×127×18mm(幅×奥行×高さ)iVDR の上位規格、3プラッタの2.5インチHDDを使用。
  • iVDR 80×110×12.7mm 2.5インチHDDを使用
  • iVDR mini 80×67×10mm 1.8インチHDDを使用

iVDR EX は規格を表し、それに対応したメディアを iVDR-EX と称する[4]

iVDR 向け著作権保護機能である SAFIA(サファイア、Security Architecture For Intelligent Attachment device)に対応した iVDR-S (iVDR-Secure) メディアがあり、デジタル放送などを録画する為には iVDR-S が必要となる。

このほか、SAFIA に対応し、カートリッジに入っていない規格 (iVDR-Secure Built-in) も存在する。日立の録画機能付テレビにおける「内蔵 HDD」として使用されている。

iVDR と iVDR mini はコネクタが共通化されている。micro についてはその薄さから共通化されていない。なお、規格が誕生した当初はパラレルATA方式のインターフェイスが用いられていたが、2003年シリアルATA 26ピンインターフェイスの iVDR が発表され、以後は置き換わっている。パラレル ATA 方式を用いた規格は iVDR parallel と呼ばれている。

ATA に加え、USB に対応した iVDR メディアは iVDR-i/O(アイ・オー)と呼ばれる。

iVDR-EX は現状、放送業務における、ファイルベースのノンリニア編集向けメディアとして利用されている。USB モードに切り替えられる放送用あるいは業務用ビデオカメラで記録したハイビジョン映像を、USB アダプターを介してケーブル接続した iVDR-EX に転送(コピー・ダビング)し、アダプターごとコンピューターに繋ぎ変え、そこで編集作業を行ったり、あるいは全く手を付けずにオリジナル記録映像のバックアップ・アーカイブとして、カートリッジ単位で放送局のライブラリーに蓄積したりするのである。今後は、iVDR-EX メディアに対して直接、リアルタイム記録のできる業務用カメラ製品の登場が期待される。

利点[編集]

  • DVD や Blu-ray Disc と比べて大容量である。
  • 読み書きが高速である(500GB モデルの転送レートは最大 875Mbps。1TB モデルでは高速化が図られ、1Gbps に迫る転送レートを確保。これは BD の 24倍速に匹敵する)。
  • 機器メーカーを問わず使用したり、保存したデータを再生したりできる。
  • 3.5インチ HDD を使用する機器と比べて、小型で軽量、省電力で耐衝撃性にも優れ、動作時の騒音も小さい。
  • iVDR (Standard) については国際標準規格に認定され (ISO/IEC 29171)、全世界的に機器互換性が保たれている。

課題[編集]

  • iVDR 対応製品を発売するメーカーがまだ少ない。
  • 一般的な 2.5インチ HDD と比べて少々高価である上、市販の 3.5インチ HDD と比べると容量の面で劣る。
  • 設計時の想定を超えるような非常に強い衝撃が加わった際、カートリッジ内の HDD 円板(ガラス製)が粉砕する等の致命的な結果に至る可能性を否定できない(一般的なポータブル HDD と同様に、圧迫する・落とす・ぶつける等の雑な取扱いをしないことが肝要)。

経緯[編集]

2002年
2007年
  • 4月20日 日立「iV ポケット」を搭載した薄型テレビ5機種をはじめ、「Wooo」シリーズ発売
2009年
  • 5月 「iVDR コンソーシアム」に名称変更
  • 7月8日 三洋電機が iVDR 対応デジタルチューナー IVR-S100M を発売
  • 8月19日 初のソフトウェア商品として「オーパス・アルテ ハイビジョンオペラ プレミアムセレクションVol.1」(CC-IV001)発売[5]
  • 10月25日 ISO/IEC ジョイント技術委員会において iVDR カートリッジ規格を国際標準規格として承認(2.5インチサイズのみ)。これは「ISO/IEC 29171」として発行されている。[6]
2010年
2011年
  • 4月12日 日立GST、カートリッジ HDD とアダプタ同梱製品「iS500AD」およびカートリッジ HDD「iS500」単品について、同年4月後半からの販売開始を予定していると発表
  • 6月8日 三菱化学メディア傘下のFREECOM、「Verbatim iVDR-S 500GB HDD」を販売開始
  • 9月29日 日立、iVDR-S アダプター経由で iVDR-S にハイビジョン長時間録画が可能な液晶テレビ「S08シリーズ(L46-S08)」(iVポケット非搭載)/同「V09シリーズ」(32V/37V/42V/47V型、iVポケット非搭載)を発表
2012年
  • 5月30日 HGST、iVDR 規格に準拠した記憶容量 1TB の新製品「iS1000」(iVDR-S)/同「iP1000」(iVDR Non-Secure)を発表。また「iP1000」が1台付属する USB 対応アダプターをあわせて発表
  • 5月31日 アイ・オー・データ、新 iVDR プレーヤーとコンテンツ販売への参入を発表[7]
  • 7月上旬、初の日本国内アーティストによる音楽ライブ映像作品として「桃井はるこしょうわ」歌謡ショー」(IVC-0001)発売[8][9][10]
  • 7月19日 日立、「iVポケット」搭載液晶テレビ「GP1シリーズ」(42V/47V/55V型)を同年9月下旬より発売すると発表[11]

主な製品[編集]

iVDR メディア(著作権保護機能“SAFIA”に非対応[12]。iVDR 応用機器における放送録画用途には後述の「iVDR-S メディア」を使用のこと)
iVDR-Sメディア(著作権保護機能“SAFIA”に対応。iVDR 応用機器におけるデジタルテレビ放送の録画に使用できる)
映像ソフト入り iVDR メディア
ハイビジョンテレビ(製造元:日立コンシューマエレクトロニクス)
ハイビジョンテレビ(製造元:日立リビングサプライ)
録画機能付きデジタルチューナー
  • IV-R1000 -- 日立製作所製。iV ポケットを2つ装備する。生産終了品
  • IVR-S100 -- 三洋電機製。録画モードは TS のみ。生産終了品
  • IVR-S100M -- 三洋電機製。録画モードは TS のみ。生産終了品
  • VDR-R1000 -- 日立マクセル製。録画モードは TS のみ。生産終了品
  • VDR-R1000.PLUS -- 日立マクセル製、iVDR-S が1個付属している。生産終了品
  • VDR-R2000 -- 日立マクセル製、VDR-R1000 の後継品。250GB HDD(iVDR-S Built-in)を内蔵。2番組同時録画に対応[17]。3D 映像の記録/再生が可能。対応録画モードはTS/TSE/TSX4/TSX8。DLNA(DTCP-IP)に対応し録画済み映像の配信および再生が可能。販売中(2012/07/20現在)
  • VDR-R2000.G50 -- 日立マクセル製、VDR-R2000 の内蔵 HDD 容量アップグレード品。500GB HDD(iVDR-S Built-in)を内蔵する他は VDR-R2000 と同等。販売中(2012/07/20現在)
  • VDR-R3000 -- 日立マクセル製、VDR-R2000/R2000.G50 の後継品。1TB HDD(iVDR-S Built-in)を内蔵。高さ寸法を従来比[18]-15mmの51mmとし設置性が向上。外部入力(コンポジット)端子を備え、VHS ビデオデッキや8ミリビデオカメラ、MiniDV ビデオカメラ等のアナログ SD 映像録画に対応。内蔵 HDD/iVDR-S にダビングし他のiVDR 応用機器で再生可能。
iVDR-S 対応レコーディングハードディスク
  • HVL-AVR -- アイ・オー・データ機器製、通称「RECBOX」。1TB HDD を内蔵。ネットワークムーブイン(LAN ダビング・ムーブ)機能に対応[19]。生産終了品、流通在庫のみで販売終了(2012/06/26現在)。後継品は下記HVL-AVS
  • HVL-AVS -- アイ・オー・データ機器製、「RECBOX」の第2弾製品。DLPA NAS Level3 認証[20]取得(ネットワーク経由ムーブアウトが可能な機器として)。内蔵HDD容量が 2TB になり、従来機(HVL-AVR)では出来なかった iVDR-S へのダイレクトムーブ/コピーが可能[21]
iVDR 再生専用機(iV プレーヤー)
  • VDR-P200 -- 日立マクセル製。[22]
  • IV-P1 -- アイ・オー・データ機器製。2012年7月発売。
iVDR 用 USB アダプター
  • USB2-iVDR -- 生産終了品
  • RHDM-US/EX -- 生産終了品[23][24]
  • iP1000シリーズ -- HGSTジャパン製、販売中(2014/07/26現在)カートリッジが1本接続できる「iP1000Z1」、カートリッジ4連装に対応する「iP1000X4」の2機種。
  • RHDM-US/EXP -- アイ・オー・データ機器製、販売中(2014/07/26現在)
  • RHDM-US/TE -- 生産終了品、流通在庫のみで販売終了。後継品は下記RHDM-UT/TE
  • RHDM-UT/TE -- アイ・オー・データ機器製、販売中(2014/07/26現在)USB3.0に対応。PEGASYS TMPGEnc MPEG Smart Renderer 4のライセンスが添付される。
  • RHDM-HD1TH -- アイ・オー・データ機器製、販売中(2014/07/26現在)日立ハイビジョンテレビ Wooo S08/V09/K09/K1/G2シリーズ向けの録画キット[25]
  • M-VDRS-ADP -- 日立マクセル製、販売中(2014/07/26現在)USB3.0に対応。[26]

その他[編集]

HDD 製造最大手の米ウェスタン・デジタル社、同大手の米シーゲイト・テクノロジー社の日本法人(日本シーゲイト株式会社)は、かつてiVDR コンソーシアムの General Member であったが、2014年8月20日現在、当コンソーシアムの会員会社に両社は含まれていない。両社のコンソーシアム脱退に関する件は公式発表されておらず、詳細については不透明である。

シャープは2012年、独自規格のカートリッジ HDD「SHDD」を同社のBDレコーダーの録画容量拡張用途に採用することを明らかにした[27]。iVDR とは異なり、一般的な USB-HDD を繋いで容量を拡張する際のいわゆる「機器バインド」と同様[28]、SHDD 内のコピーガードつきコンテンツは、それを実際に録画したシャープ製 SHDD スロット搭載 BD レコーダーでしか再生できない。iVDR コンソーシアムはこれに不快感を示している[7]。なおシャープは、2014年8月20日現在も iVDR コンソーシアムの Executive Member である。

脚注[編集]

  1. ^ よくある質問(一般社団法人 iVDR コンソーシアム)
  2. ^ 内蔵されるハードドライブは日立GST/HGST 製である
  3. ^ iVDRの規格/仕様
  4. ^ 日立マクセル 業務用製品の例
  5. ^ iVDRコンソーシアム 国内のiVDR製品 コンテンツ 2009年7月31日
    コロムビアミュージックエンタテインメント、クリエイティヴ・コアより、世界初!カセットハードディスク「iV(アイヴィ)」専用ソフト“オーパス・アルテ ハイビジョンオペラ プレミアムセレクション Vol.1”を8/19に発売!~大容量&小型軽量の次世代記録メディア「iV」で楽しむ珠玉の名オペラ集~
  6. ^ iVDRコンソーシアム iVDRの特徴 - どこのメーカーの機器でも再生可能
  7. ^ a b “「iVDR EXPO 2012」開催。USB接続のiVDRも参考展示”. AV Watch. (2012年5月31日). http://av.watch.impress.co.jp/docs/news/20120531_536807.html 2012年6月14日閲覧。 
  8. ^ ナタリー - 世界初!桃井はるこが高画質ライブ映像をiVDRでリリース
  9. ^ アイ・オー、iVDRのHDコンテンツ販売に参入 -AV Watch
  10. ^ 桃井はるこ 「しょうわ」歌謡ショー(限定版) | ポータブルハードディスク | IODATA アイ・オー・データ機器 2014年6月確認
  11. ^ GP1シリーズより、日立のテレビ事業は従前の日立コンシューマ・マーケティングからその完全子会社である日立リビングサプライ(日立LS)に移管された。既に(日立LS)への移管が完了している Wooo ブランドの BD レコーダー(パナソニックのOEM製品)を含め、今後 Wooo ブランドの AV 機器関連事業はすべて(日立LS)が担当する
  12. ^ 別売の USB-iVDR アダプターと組み合わせてパソコンでの読み書きに使用したり、USB-HDD 録画機能つきデジタルテレビ(東芝〈レグザ〉、シャープ〈アクオス〉等)や、外部 HDD を増設できるPVRに接続して放送録画用途に使用したりすることが可能
  13. ^ 上記アイ・オー・データ製iVDR-S80/160シリーズの後継/容量アップ品。
  14. ^ 日立GST (HITACHI) から HGST ジャパン (HGST) への社名・ブランド名切り替えに伴う措置
  15. ^ “クリエイティヴ・コア、世界初の「iVDR」パッケージソフト”. AV Watch. (2009年7月31日). http://av.watch.impress.co.jp/docs/news/20090731_306289.html 2012年6月14日閲覧。 
  16. ^ “アイ・オー、iVDRのHDコンテンツ販売に参入”. AV Watch. (2012年5月31日). http://av.watch.impress.co.jp/docs/news/20120531_536753.html 2012年6月14日閲覧。 
  17. ^ 一方は TS モードで録画される。2番組同時録画中はチャンネル切替不可(視聴用チューナー非搭載のため)
  18. ^ VDR-R2000.G50との比較において。
  19. ^ DTCP-IP 対応機器から本機にダビング・ムーブした映像を、LANに接続されたコンピューターを経由して「RHDM-US/EX」に装着したフォーマット済 iVDR-S へムーブ後、日立 Wooo 等の機器で再生することもできる。
  20. ^ DLPA NAS Levelの規定についてはDLPA NASとは|一般社団法人 デジタルライフ推進協会を参照
  21. ^ 従来機(HVL-AVR)であっても、あらかじめアイ・オー・データ機器のサポートライブラリで配布されているアップデーターを用意し、ファームウェアを更新することにより、REC-iN スロットに iVDR-S を差し込んで利用できる。その他、内蔵HDD容量以外の仕様が HVL-AVS 相当のものに変更される
  22. ^ ハイビジョンテレビ Wooo で TSX24 モードにて録画されたタイトルは本機で再生できない。
  23. ^ かつて日立GST から発売されていた「iS500AD」に同梱されているアダプターと同一仕様品。
  24. ^ HVL-AVR との組み合わせ時、ネットワークムーブイン機能を利用するには、あらかじめアイ・オー・データ機器のサポートライブラリから最新の「I-O DATA iVDR-S Media Server」を入手し、Windows Vista/7搭載コンピューターにインストールしておく必要がある。
  25. ^ 「iVポケット」と2.5型 1TB HDD(iVDR-S Built-in には非対応)を搭載し、iVDR-S による録画番組の持ち出しと、1TB HDD への長時間録画を両立。
  26. ^ 日立ハイビジョンテレビ Wooo S08/V09/K09シリーズに搭載される USB ポートに、iVDR-S メディアを接続した本製品をケーブル接続すると、本製品は Wooo 側から iV ポケットとして認識されるため、iVDR-S 規格に準拠した方式 (iVDR/TV-Recording フォーマット) でデジタル放送を録画することが可能。
  27. ^ “シャープ、独自HDD「SHDD」搭載のBDレコーダ上位機”. AV Watch. (2012年4月17日). http://av.watch.impress.co.jp/docs/news/20120417_526914.html 2012年6月14日閲覧。 
  28. ^ SeeQVault 対応の USB-HDD を除く

外部リンク[編集]