iVDR

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動: 案内検索
iVDRメディア(左)とアダプタ(右)

iVDR(アイブイディーアール)はInformation Versatile Disk for Removable usage[1]の略であり、iVDRコンソーシアムによって策定されているリムーバブルハードディスクの一種。2009年10月25日、ISO/IECにてiVDRカートリッジが国際標準規格として承認された。

概要[編集]

リムーバブルハードディスクとはいってもカートリッジにはHDDがまるまる一台内蔵されている。

読んで字のごとく、コンピュータのみならず、ビデオレコーダやオーディオ機器、カーナビなど、あらゆる情報機器でのデータ共有を実現することを目指している。現在は世界に先駆けて商品化したアイ・オー・データよりUSBを用いたパソコン接続用アダプターとiVDRメディアが、また日立よりiVDR対応プラズマテレビWoooデジタルチューナーが発売されている(子会社日立マクセルがそれに合わせiVDRメディアの製造販売に参入している[2])。日立マクセルのiVDRにはiV(アイヴィ)という愛称が付けられている。また、HDDに代わりSSDを内蔵することも検討されている。

規格[編集]

iVDRメディアの規格[3]

  • iVDR EX (旧称iVDR Xtreme) 80×127×18mm(幅×奥行×高さ)iVDRの上位規格、3プラッタの2.5インチHDDを使用。
  • iVDR 80×110×12.7mm 2.5インチHDDを使用
  • iVDR mini 80×67×10mm 1.8インチHDDを使用

iVDR向け著作権保護機能であるSAFIA(サファイア、Security Architecture For Intelligent Attachment device)に対応したiVDR-S(iVDR-Secure)メディアがあり、デジタル放送などを録画する為にはiVDR-Sが必要となる。

このほか、SAFIAに対応し、カートリッジに入っていない規格 (iVDR-Secure Built-in) も存在する。日立の録画機能付テレビにおける「内蔵HDD」として使用されている。

iVDRとiVDR miniはコネクタが共通化されている。microについてはその薄さから共通化されていない。なお、規格が誕生した当初はパラレルATA方式のインターフェイスが用いられていたが、2003年シリアルATA方式のiVDRが発表され、以後は置き換わっている。パラレルATA方式を用いた規格はiVDR parallelと呼ばれている。

ATAに加え、USBに対応したiVDRメディアはiVDR-i/O(アイ・オー)と呼ばれる。

利点[編集]

  • DVDやBlu-ray Discと比べて大容量である。
  • 読み書きが高速である(500GBモデルの転送レートは最大875Mbps。これはBDの24倍速に匹敵する)。
  • メーカーを問わず使用したり、保存したデータを再生したりできる。
  • 3.5インチHDDを使用する機器と比べて、小型で軽量、省電力で耐衝撃性にも優れる。
  • iVDR (Standard) についてはISO規格に認定されている。

課題[編集]

  • iVDR対応製品を発売するメーカーがまだ少ない。
  • 一般的な2.5インチHDDと比べて少々高価である上、市販の3.5インチHDDと比べると容量の面で劣る。
  • 設計時の想定を超えるような非常に強い衝撃が加わった際、カートリッジ内のHDD円板(ガラス製)が粉砕する等の致命的な結果に至る可能性を否定できない(一般的なポータブルHDDと同様に、圧迫する・落とす・ぶつける等の雑な取扱いをしないことが肝要)。

経緯[編集]

2002年
2007年
  • 4月20日 日立「iVポケット」を搭載した薄型テレビ5機種をはじめ、「Wooo」シリーズ発売
2009年
  • 5月 「iVDRコンソーシアム」に名称変更
  • 7月8日 三洋電機がiVDR対応デジタルチューナーIVR-S100Mを発売
  • 8月19日 初のソフトウェア商品として「オーパス・アルテ ハイビジョンオペラ プレミアムセレクションVol.1」(CC-IV001)発売[4]
  • 10月25日 ISO/IECジョイント技術委員会においてiVDRカートリッジ規格を国際標準規格として承認(2.5インチサイズのみ)。「ISO/IEC 29171」として発行されている。[5]
2010年
2011年
  • 4月12日 日立GST、カートリッジHDDとアダプタ同梱製品「iS500AD」およびカートリッジHDD「iS500」単品について、同年4月後半からの販売開始を予定していると発表
  • 6月8日 三菱化学メディア傘下のFREECOM、「Verbatim iVDR-S 500GB HDD」を販売開始
  • 9月29日 日立、iVDR-Sアダプター経由でiVDR-Sにハイビジョン長時間録画が可能な液晶テレビ「S08シリーズ(L46-S08)」(iVポケット非搭載)/同「V09シリーズ」(32V/37V/42V/47V型、iVポケット非搭載)を発表
2012年
  • 5月30日 HGST、iVDR規格に準拠した記憶容量1TBの新製品「iS1000」(SAFIA対応)/同「iP1000」(SAFIA非対応)を発表。また「iP1000」が1台付属するUSB対応アダプターをあわせて発表
  • 5月31日 アイ・オー・データ、iVDRプレーヤーとコンテンツ販売参入を発表[6]
  • 7月上旬、初の日本国内アーティストによる音楽ライブ映像作品として「桃井はるこしょうわ」歌謡ショー」(IVC-0001)発売[7][8][9]
  • 7月19日 日立、「iVポケット」搭載液晶テレビ「GP1シリーズ」(42V/47V/55V型)を同年9月下旬より発売すると発表[10]

主な製品[編集]

iVDRメディア(著作権保護機能“SAFIA”に非対応[11]。iVDR応用機器における放送録画用途には後述の「iVDR-Sメディア」を使用のこと)
iVDR-Sメディア(著作権保護機能“SAFIA”に対応。iVDR応用機器におけるデジタルテレビ放送の録画に用いる)
映像ソフト入りiVDRメディア
ハイビジョンテレビ(製造元:日立コンシューマエレクトロニクス)
ハイビジョンテレビ(製造元:日立リビングサプライ)
録画機能付きデジタルチューナー
  • IV-R1000 -- 日立製作所製。iVポケットを2つ装備する。生産終了品
  • IVR-S100 -- 三洋電機製。録画モードはTSのみ。生産終了品
  • IVR-S100M -- 三洋電機製。録画モードはTSのみ。生産終了品
  • VDR-R1000 -- 日立マクセル製。録画モードはTSのみ。生産終了品
  • VDR-R1000.PLUS -- 日立マクセル製、iVDR-Sが1個付属している。生産終了品
  • VDR-R2000 -- 日立マクセル製、VDR-R1000の後継品。250GB HDD(iVDR-S built-in)を内蔵。2番組同時録画に対応[16]。3D映像の記録/再生が可能。対応録画モードはTS/TSE/TSX4/TSX8。DLNA(DTCP-IP)に対応し録画済み映像の配信および再生が可能。販売中(2012/07/20現在)
  • VDR-R2000.G50 -- 日立マクセル製、VDR-R2000の内蔵HDD容量アップグレード品。500GB HDD(iVDR-S built-in)を内蔵する点の他はVDR-R2000と同等。販売中(2012/07/20現在)
  • VDR-R3000 -- 日立マクセル製、VDR-R2000/R2000.G50の後継品。1TB HDD(iVDR-S built-in)を内蔵。高さ寸法を従来比[17]-15mmの51mmとし設置性が向上。外部入力(コンポジット)端子を備え、VHSビデオやビデオカメラ等のアナログSD映像録画に対応。内蔵HDD/iVDR-Sにダビングし他のiVDR応用機器で再生可能。
iVDR-S対応レコーディングハードディスク
  • HVL-AVR -- アイ・オー・データ機器製、通称「RECBOX」。1TB HDDを内蔵。ネットワークムーブイン(LANダビング・ムーブ)機能に対応[18]。生産終了品、流通在庫のみで販売終了(2012/06/26現在)。後継品は下記HVL-AVS
  • HVL-AVS -- アイ・オー・データ機器製、「RECBOX」の第2弾製品。DLPA NAS Level3認証[19]取得(ネットワーク経由ムーブアウトが可能な機器として)。内蔵HDD容量が2TBになり、従来機(HVL-AVR)では出来なかったiVDR-Sへのダイレクトムーブ/コピーが可能[20]
iVDR再生専用機(iVプレーヤー)
  • VDR-P200 -- 日立マクセル製。[21]
  • IV-P1 -- アイ・オー・データ機器製。2012年7月発売。
iVDR用USBアダプター
  • USB2-iVDR -- 生産終了品
  • RHDM-US/EX -- 生産終了品[22][23]
  • iP1000シリーズ -- HGSTジャパン製、販売中(2014/07/26現在)カートリッジが1本接続できる「iP1000Z1」、カートリッジ4連装に対応する「iP1000X4」の2機種。
  • RHDM-US/EXP -- アイ・オー・データ機器製、販売中(2014/07/26現在)
  • RHDM-US/TE -- 生産終了品、流通在庫のみで販売終了。後継品は下記RHDM-UT/TE
  • RHDM-UT/TE -- アイ・オー・データ機器製、販売中(2014/07/26現在)USB3.0に対応。PEGASYS TMPGEnc MPEG Smart Renderer 4のライセンスが添付される。
  • RHDM-HD1TH -- アイ・オー・データ機器製、販売中(2014/07/26現在)日立ハイビジョンテレビWooo S08/V09/K09/K1/G2シリーズ向けの録画キット[24]
  • M-VDRS-ADP -- 日立マクセル製、販売中(2014/07/26現在)USB3.0に対応。[25]

その他[編集]

HDD製造最大手の米ウェスタン・デジタル社、同大手の米シーゲイト・テクノロジー社の日本法人(日本シーゲイト株式会社)は、かつてiVDRコンソーシアムのGeneral Memberであったが、2012年2月23日現在、当コンソーシアム会員会社一覧に含まれていない。

シャープは2012年に独自規格のカートリッジHDD「SHDD」を同社のBDレコーダーに採用した[26]。iVDRとは異なり、コピーガードのあるコンテンツは録画した機器でしか再生できない。iVDRコンソーシアムはこれに不快感を示している[6]。なおシャープは2012年4月17日現在ではiVDRコンソーシアムの会員である。

脚注[編集]

  1. ^ よくある質問(iVDRコンソーシアム)
  2. ^ 内蔵されるハードドライブは日立GST製である
  3. ^ iVDRの規格/仕様
  4. ^ iVDRコンソーシアム 国内のiVDR製品 コンテンツ 2009年7月31日
    コロムビアミュージックエンタテインメント、クリエイティヴ・コアより、世界初!カセットハードディスク「iV(アイヴィ)」専用ソフト“オーパス・アルテ ハイビジョンオペラ プレミアムセレクション Vol.1”を8/19に発売!~大容量&小型軽量の次世代記録メディア「iV」で楽しむ珠玉の名オペラ集~
  5. ^ iVDRコンソーシアム iVDRの特徴 - どこのメーカーの機器でも再生可能
  6. ^ a b “「iVDR EXPO 2012」開催。USB接続のiVDRも参考展示”. AV Watch. (2012年5月31日). http://av.watch.impress.co.jp/docs/news/20120531_536807.html 2012年6月14日閲覧。 
  7. ^ ナタリー - 世界初!桃井はるこが高画質ライブ映像をiVDRでリリース
  8. ^ アイ・オー、iVDRのHDコンテンツ販売に参入 -AV Watch
  9. ^ 桃井はるこ 「しょうわ」歌謡ショー(限定版) | ポータブルハードディスク | IODATA アイ・オー・データ機器 2014年6月確認
  10. ^ GP1シリーズより、日立のテレビ事業は従前の日立コンシューマ・マーケティングからその完全子会社である日立リビングサプライ(日立LS)に移管された。既に(日立LS)への移管が完了しているWoooブランドのBDレコーダー(パナソニックのOEM製品)を含め、今後WoooブランドのAV機器関連事業はすべて(日立LS)が担当する
  11. ^ 別売のUSB-iVDRアダプターと組み合わせてパソコンでの読み書きに使用したり、USB-HDD録画機能つきデジタルテレビ(東芝〈レグザ〉、シャープ〈アクオス〉等)や、外部HDDを増設できるPVRに接続して放送録画用途に使用したりすることが可能
  12. ^ 上記アイ・オー・データ製iVDR-S80/160シリーズの後継/容量アップ品。
  13. ^ 日立GST (HITACHI) からHGSTジャパン (HGST) への社名・ブランド名切り替えに伴う措置
  14. ^ “クリエイティヴ・コア、世界初の「iVDR」パッケージソフト”. AV Watch. (2009年7月31日). http://av.watch.impress.co.jp/docs/news/20090731_306289.html 2012年6月14日閲覧。 
  15. ^ “アイ・オー、iVDRのHDコンテンツ販売に参入”. AV Watch. (2012年5月31日). http://av.watch.impress.co.jp/docs/news/20120531_536753.html 2012年6月14日閲覧。 
  16. ^ 一方はTSモードで録画される。2番組同時録画中はチャンネル切替不可(視聴用チューナー非搭載のため)
  17. ^ VDR-R2000.G50との比較において。
  18. ^ DTCP-IP対応機器から本機にダビング・ムーブした映像を、LANに接続されたコンピューターを経由して「RHDM-US/EX」に装着したフォーマット済iVDR-Sへムーブ後、日立Wooo等の機器で再生することもできる。
  19. ^ DLPA NAS Levelの規定についてはDLPA NASとは|一般社団法人 デジタルライフ推進協会を参照
  20. ^ 従来機(HVL-AVR)であっても、あらかじめアイ・オー・データ機器のサポートライブラリで配布されているアップデーターを用意し、ファームウェアを更新することにより、REC-iNスロットにiVDR-Sを差し込んで利用できる。その他、内蔵HDD容量以外の仕様がHVL-AVS相当のものに変更される
  21. ^ ハイビジョンテレビWoooでTSX24モードにて録画されたHD放送番組は本機で再生できない。
  22. ^ かつて日立GSTから発売されていた「iS500AD」に同梱されているアダプターと同一仕様品。
  23. ^ HVL-AVRとの組み合わせ時、ネットワークムーブイン機能を利用するには、あらかじめアイ・オー・データ機器のサポートライブラリから最新の「I-O DATA iVDR-S Media Server」を入手し、Windows Vista/7搭載コンピューターにインストールしておく必要がある。
  24. ^ 「iVポケット」と2.5型 1TB HDD(iVDR規格には非対応)を搭載し、iVDR-Sによる録画番組の持ち出しと、1TB HDDへの長時間録画を両立。
  25. ^ 日立ハイビジョンテレビWooo S08/V09/K09シリーズに搭載されるUSBポートに、iVDR-Sメディアを接続した本製品をケーブル接続すると、本製品はWooo側からiVポケットとして認識されるため、iVDR-S規格に準拠した方式でデジタル放送を録画することが可能。
  26. ^ “シャープ、独自HDD「SHDD」搭載のBDレコーダ上位機”. AV Watch. (2012年4月17日). http://av.watch.impress.co.jp/docs/news/20120417_526914.html 2012年6月14日閲覧。 

外部リンク[編集]