IT'S A POPPIN' TIME
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
| IT'S A POPPIN' TIME | ||||
|---|---|---|---|---|
| 山下達郎 の ライブ・アルバム | ||||
| リリース | LP:1978年5月21日 CD:1986年1月25日 CD:1990年9月21日 CD:1997年6月4日 CD:1999年5月21日 CD:2002年2月14日(リマスター盤再発) LP BOX:2002年2月20日(リマスター盤再発) |
|||
| 録音 | 1978年3月8日~9日 六本木PIT-INN “SPACE CRUSH” & “MARIE”:ONKIO HAUS & RVC |
|||
| ジャンル | ロック ポップス |
|||
| レーベル | RCA ⁄ RVC RCA ⁄ BMGファンハウス(リマスター盤再発) |
|||
| プロデュース | 山下達郎 | |||
| チャート最高順位 | ||||
|
||||
| 山下達郎 年表 | ||||
|
||||
IT'S A POPPIN' TIME(イッツ・ア・ポッピン・タイム)は1978年5月21日に発売された山下達郎通算1作目のライブ・アルバム。
目次 |
[編集] 解説
1978年3月8日・9日に六本木ピットインで行なわれたライブの模様を収録した、2枚組のライブアルバム。
デビュー以来、2枚のフルアルバムをリリースしたにも関わらず、セールスは芳しくなく、シングルカットも行えない状況であった。必然的に、経費にその皺寄せが来るわけで、当時の山下はレコーディングを行うことが困難な状況であった。
そんなとき、小杉理宇造はライブレコーディングによるアルバム制作を提案した。これには以下に示すような背景事情がある。
- 山下のライブは客入りがよく、また長時間の拘束を伴わないライブではミュージシャンのギャラが安かったこともあり、山下自身のギャラを無視すれば赤字を出さずにライブを行うことができた(ちなみに当時の山下の主な収入源はCM音楽制作であった)。
- 山下のライブに参加するメンバーがほぼ固定し、一体化したバンドとしてのサウンドが形成されていた。
- 当時は主にフュージョン系のライブを行うことが多かった六本木ピットインは、ジャズ系のミュージシャンとの交流を持つ山下にとっては、ジャムセッションなどで訪れることもある馴染みのある場所であった。
- 六本木ピットインはCBSソニー六本木スタジオと同じビルにあり、両者の間は音声回線で結ばれていたために、「レコーディング目的のライブ」を行うのに適した場所であった。
このような状況がそろっていたこともあり、山下は、ロック畑のミュージシャンとしては初めて、六本木ピットインでレコーディング・ライブを行い、このアルバムをリリースした。しかし、山下のライブはインタープレイを伴う長時間のプレイが多く、結果的にアルバムは2枚組、しかも1枚目のA面は当時のロック系LPの標準であった23分を超えた収録時間となり、レコード会社からの評価は芳しくなかった。
高品質な作品を世に出しながらも、山下の周辺状況は更に悪化する結果となり、この行き詰まった状況が、次作"GO AHEAD!"収録曲 "BOMBER" のスマッシュヒットで打開されるまで、山下はミュージシャンを引退し、裏方である制作関連に転職することまで考えていた。しかし、そのとき学んだレコードの流通システムや経費管理のノウハウが、その後の自らのキャリアに大きく役立った、と後に山下は語っている。
[編集] 収録曲
[編集] Disc1
アナログ盤では1〜5がA面、6〜9がB面。
- SPACE CRUSH
- スタジオ録音曲。都内を車で移動していたときに、当時完成したばかりのサンシャイン60の上部が雲で隠されている光景を目撃し、バベルの塔を連想した経験にインスパイアされて作ったもの。当時主流であった 16 tr. マルチトラックレコーダー上で、リズムセクションの演奏を2トラックにまとめ、残りのトラックを最大限に使用して録音された多重録音コーラスが圧巻である。
- 雨の女王
- このアルバムのための書き下ろし曲。後になってもライブで好んで演奏している。
- ピンク・シャドウ
- 時よ
- 吉田美奈子のカバーだが、このライブの時点では吉田はこの曲をまだレコーディングしていなかった(後に『愛は思うまま』に収録)。尚、女性を前提とした歌詞の歌であるので歌詞を一部変更し、「あなたは私を抱きしめる」という歌詞を「あなたを僕は抱きしめる」と変えて歌っている。
- シルエット
- このアルバムのための書き下ろし曲。16ビートの裏拍を強調した曲である。
- WINDY LADY
- シュガー・ベイブ後期とも、1st ソロ "CIRCUS TOWN" とも異なる、ジャジーなアレンジで歌われる。
- 素敵な午後は
- "SPACY" 収録のテイクよりゆったりとしたテイクである。
- PAPER DOLL
- 翌年リリースのスタジオアルバム『GO AHEAD!』の収録曲で、レコーディングもスタジオテイクの方が先だったが、その音源を先行シングルとして発売する予定がなくなり、このライブバージョンが先に世に出ることになった。
- CANDY
- オリジナルの印象をそのまま反映したテイクである。
[編集] Disc2
アナログ盤では1・2がA面、3〜5がB面。
- エスケイプ
- このアルバムのための書き下ろし曲。山下は、当時の「シティー・ミュージック」という名の下で自らの作品が括られることに強い抵抗感を持っており、そんな音楽を愛好する「シティー・ボーイ」「シティー・ガール」へのアンチ・テーゼの意味を込めて書かれた曲である。岡澤のベースから曲は始まり、山下のギターソロ、松木のギターソロ、坂本のアコースティック・ピアノソロを経て、松木の緊張感に満ちたギターソロへと至る。
- HEY THERE LONELY GIRL
- ルビー&ザ・ロマンティックスの1963年のヒット曲 "Hey there lonely boy" は、1970年にエディ・ホルマン(スウィート・ソウルの男性シンガー)が "Hey there lonely girl" としてカバーし、大ヒットした。この曲はそのまたカバー、ということになる。
- SOLID SLIDER
- "SPACY" 収録のテイクよりもタイトな演奏である。
- CIRCUS TOWN
- ソロとしてまだ持ち歌が少なかった時代、ライブでの最後の曲はこれだった。
- MARIE
- CM用に制作した曲(こちらはリズム隊入りで、全て山下の演奏によるものであった)を、全編一人アカペラの作品として録音し直した曲である。
※以下は2002年の再発盤のみ収録
- LOVE SPACE
- 収録時間の関係で当初はアルバムに入れられなかった。次の『YOU BETTER RUN』も同様。ソロとしてまだ持ち歌が少なかった時代、ライブでの最初の曲はこれだった。
- YOU BETTER RUN
- オリジナルはヤング・ラスカルズ("Groovin'"に収録)。インタープレイが長く、このテイクの存在を知るファンが山下のラジオ番組にリクエストしても、なかなかかけてもらえなかった。
[編集] 参加ミュージシャン
[編集] “LIVE”
- 山下達郎 : Lead Vocal & Electric Guitar
- 村上“PONTA”秀一 : Drums
- 岡沢章 : Bass
- 松木恒秀 : Electric Guitar
- 坂本龍一 : Keyboards
- 土岐英史 : Alto Sax & Soprano Sax
- 伊集加代子 : Background Vocals
- 吉田美奈子 : Background Vocals
- 尾形道子 : Background Vocals
[編集] “SPACE CRUSH”
- 山下達郎 : Lead Vocal, Electric Guitar(Right), Percussion & Background Vocals
- 村上“PONTA”秀一: Drums
- 岡沢章 : Bass
- 松木恒秀 : Electric Guitar(Left)
- 坂本龍一 : Keyboards
- 土岐英史 : Soprano Sax
[編集] “MARIE”
- 山下達郎 : All Voices
[編集] クレジット (BVCR-170145/6)
- Produced & Arranged by 山下達郎
- Production Co-odinater: 小杉理宇造
- Recording & Mixing Engineer: 吉田保
- Recorded Live at PIT-INN Roppongi, Tokyo in March 8 & 9, 1978
- except “SPACE CRUSH” & “MARIE” Recorded at ONKIO HAUS & RVC,
- Mixed at RVC using MCI 16 Track Recorder & API Mixing Console
- except Bonus Tracks Mixed at PLANET KINGDOM in Sep. 2001
- Assistant Engineer : 伊藤俊郎(ONKIO HAUS)
- CD Mastering Engineer : 原田光晴(On Air Azabu)
- Original Art Direction : 佐藤憲吉
- Original Design : 佐藤憲吉 & 杉山明
- Cover Photographs : 小暮徹
- Inner Photographs : 伊島薫
- CD Design : 高原宏 & 上原加代