IN TERRA PAX

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IN TERRA PAX――地に平和を(イン テラ パックス――ちにへいわを)は、荻久保和明1990年に作曲した混声合唱組曲。または、その組曲の終曲。ピアノを伴う(組曲の第4曲を除く)。後、女声合唱男声合唱にも編曲された。作詞は鶴見正夫

タイトルは、ミサ曲「Gloria」の一文に記されている「Et in terra pax hominibus bonae voluntatis.(そして、地の善き人々に平和を)」による。

目次

[編集] 概要

ベトナム戦争を受けて鶴見正夫が書いた詩「太郎は知った」を、荻久保和明1985年、混声三部合唱曲として作曲し、同年の『教育音楽』7月号に発表。この曲は後に4部に改訂され、「知った」と改題されて組曲の冒頭におさめられた。

「知った」を単品で埋もれさせるのはもったいないという作曲者の意向で「この曲をベースにした連作合唱曲を作ろう」という話が生まれ、音楽之友社を通じて、戦争と平和をテーマにした詩を鶴見正夫に書き下ろしてもらった[1]

1988年には、「OH MY SOLDIER」(後、組曲の2曲目)が、翌年には「IN TERRA PAX」(5曲目)、「花をさがす少女」(3曲目)がそれぞれ混声3部合唱曲として作曲され、「ほうけた母の子守歌」(4曲目)は無伴奏の混声4部合唱として『教育音楽』1989年11月号に掲載された。1990年、混声3部の曲を4部にリライトした上で、それまでに発表した5曲の連作を組曲として構成。コール・フロイントの定期演奏会(杉並公会堂)で初演された。なお、女声版は新座少年少女合唱団、男声版は淀川工業高校グリークラブからの委嘱である。

男声版では「コーラスのパートを美しく聞かせるため[2]」(= 男声合唱の特性をよりよく活かすため)という理由から、主旋律の一部や、拍子・テンポ指定や、ピアノパートの大半などに、組曲全体にわたり編曲の枠にとどまらない大胆な改変がなされている。「ほうけた母の子守歌」に至っては、エンディングが他のバージョンより2小節分短く、終止和音も変更されている。

この組曲を荻久保に書かせたのは、平和への祈りばかりではない。彼が鼎談(参考文献)で語ったところによると、ある時、荻久保ファンの大学生と会った際に、彼から「最近の荻久保和明の作品はマニアックじゃないか、旋律的美しさに欠けるんじゃないか」と指摘されたという(荻久保の初期作品「季節へのまなざし」は、初演指揮者の岩城宏之に美しい曲として絶賛されたが、その後の荻久保は「縄文」「しゅうりりえんえん」「レクイエム」など、美しさよりも激烈さを優先した作風へと変化した)。この言葉がなければ「IN TERRA PAX」は生まれていなかったと言うほどに、荻久保にとっては印象的であったらしい。そこで、「歌も旋律、ピアノも旋律、リズムも旋律、すべてが旋律でできたような曲」を目指して書いたのだと語っている。

なお、混声版出版譜の前書きで、作曲家がこの組曲の作曲の苦労を延々とつづっているが、実際にはフィクションである(彼の母が心配して電話をかけたというエピソードがある)。文章のスタイルは筒井康隆に影響されたとのこと。

荻久保作品の中では「季節へのまなざし」とともによく歌われるものであり、中学生から一般の合唱団まで幅広い層にとりあげられている。男声版出版譜の前書きで本人が記しているところによると、これらの曲のあまりの人気ゆえに自分の本来の作風が理解されていないと嘆いていた時期もあったという[2]。 また、「組曲IN TERRA PAX--地に平和を」はピアノ伴奏がとても難しい事で有名でもある。

[編集] 曲目

  1. 知った
  2. OH MY SOLDIER
  3. 花をさがす少女
  4. ほうけた母の子守歌
  5. IN TERRA PAX 地に平和を

[編集] 楽譜

すべて音楽之友社より出版されている。

[編集] 参考文献

  • 「新・日本の作曲家シリーズ4 荻久保和明」(『ハーモニー』No.111、全日本合唱連盟、2000年)

[編集] 脚注

  1. ^ 三大学女声合唱連盟(日本女子大学合唱団・共立女子大学合唱団・立教大学グリークラブ女声合唱団)第8回ジョイントコンサート 演奏会パンフレット、1993年4月29日、pp.13-14頁
  2. ^ a b 男声版出版譜の前書き

[編集] 関連項目

[編集] 外部リンク

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