IEC 60086

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動: 案内検索

IEC 60086 は、国際電気標準会議 (IEC) が定めた一次電池に関する規格である。以下の文書からなる。

  • IEC 60086-1 PRIMARY BATTERIES - PART 1: GENERAL
  • IEC 60086-2 PRIMARY BATTERIES - PART 2: PHYSICAL AND ELECTRICAL SPECIFICATIONS
  • IEC 60086-3 PRIMARY BATTERIES - PART 3: WATCH BATTERIES
  • IEC 60086-4 PRIMARY BATTERIES - PART 4: SAFETY STANDARD FOR LITHIUM BATTERIES
  • IEC 60086-5 PRIMARY BATTERIES - PART 5: SAFETY OF BATTERIES WITH AQUEOUS ELECTROLYTE

日本では、「JIS C 8500 一次電池通則」(IEC 60086-1に相当)などとして国家規格化されている。

記号[編集]

R20・LR20(単1形)
R14・LR14(単2形)
R6・LR6(単3形)
R03・LR03(単4形)
6F22(9V形)
CR2032

IEC 60086-1 と JIS C 8500 で、電池の形状・寸法・電池系などを表す記号が定められている。以下では、規格以外の情報も適宜補足する。

層数[編集]

積層電池(内部で複数の電池が直列につながれている電池)は、内部の電池の数を表す数字で始まる。単電池は何も付けない。

電池系[編集]

ラテン文字1文字(一部2文字)で、電池系(電池の化学構造)を表す。表は、参考に二次電池の記号も記す。 公称電圧は電池系で決まるが、実際の電圧は公称電圧より高い電圧で始まり、徐々に降下する。積層電池なら電圧は層数倍になる。

一般的なリチウム電池二酸化マンガンリチウム電池 (C) だが、単3形・単4形の「リチウム乾電池」は硫酸鉄リチウム電池 (F) である。オキシライド乾電池ニッケル系一次電池 (Z) に分類される。

  記号 電池系 正極 電解液 負極 公称電圧
一次電池 なし マンガン乾電池 二酸化マンガン 塩化亜鉛水溶液 亜鉛 1.5
A 空気電池 酸素 塩化アンモニウム・塩化亜鉛水溶液 亜鉛 1.4[1][2]
B フッ化黒鉛リチウム電池 フッ化黒鉛 非水系有機電解液 リチウム 3.0
C 二酸化マンガンリチウム電池 二酸化マンガン 非水系有機電解液 リチウム 3.0
E 塩化チオニルリチウム電池 塩化チオニル 非水系有機電解液 リチウム 3.6
F 硫化鉄リチウム電池 硫化鉄 非水系有機電解液 リチウム 1.5
G 酸化銅リチウム電池 酸化銅(II) 非水系有機電解液 リチウム 1.5
L アルカリ乾電池 二酸化マンガン アルカリ水溶液 亜鉛 1.5
P 空気亜鉛電池 酸素 アルカリ水溶液 亜鉛 1.4
S 酸化銀電池 酸化銀 アルカリ水溶液 亜鉛 1.55
Z ニッケル系一次電池 オキシ水酸化ニッケル アルカリ水溶液 亜鉛 1.5
二次電池 H ニッケル水素電池 ニッケル酸化物 アルカリ水溶液 水素吸蔵合金 1.2
K ニッケルカドミウム電池 ニッケル酸化物 アルカリ水溶液 カドミウム 1.2
IC リチウムイオン電池 リチウム複合酸化物 非水系有機電解液 炭素 3.7
PB 鉛蓄電池 二酸化鉛 希硫酸 2.0

形状[編集]

ラテン文字1文字で形状を表す。

R : 円形(円筒形ボタン形、コイン形)
F : 角形、平形
P : 非円形 (組電池)
S : ペーパー

寸法[編集]

数字の列で寸法を表す。正式に規格で定められているのは上限で、下限は参考値となっている。いくつかの寸法は、固有の記号が決められている。

固有の記号には、以下のようなものがある。

記号 寸法 通称
直径 長さ 日本 アメリカ ヨーロッパ
R03 10.5 44.5 単4形 AAA micro
R1 12 30.2 単5形 N lady
R6 14.5 50.5 単3形 AA mignon
R14 26.2 50 単2形 C baby
R20 34.2 61.5 単1形 D mono
R41 7.9 3.6 (ボタン形)  
R43 11.6 4.2
R44 11.6 5.4
R48 7.9 5.4
R54 11.6 3.05
R55 11.6 2.05
R70 5.8 3.6
R-1/3N 11.6 10.8 リチウム
電池
R123A 17 34.5
6F22 48.5×26.5×17.5 9V形
006P形
9V 6F22
  • 廃れた規格が多いため、数字は飛び飛びになっている。
  • R1 - R20(単5形 - 単1形)は、細い順になっている(「単○形」の数字は容量順なので順序が一致しない)。1より細い電池は、番号が足りなくなったため、R03などとなった。
  • それ以降は申請順のため、記号とサイズの間に規則的な関係はない。

固有の記号が定められていない寸法は、数値で表す。形状がR(円形)の場合、ミリメートルを単位とした直径と、0.1ミリメートルを単位とした長さ(または厚み)を続け、3 - 5桁の数字で表す。たとえば、2032なら、直径20ミリメートル、厚み3.2ミリメートルである。

直径と厚みは、以下の値が定められている。ただし、数値は切捨てで表示するため、いくつかは規格の寸法と表示する寸法が異なっている。実際の寸法をカッコ内に記す。

  • 直径 - 4(4.8)、5(5.8)、6(6.8)、7(7.9)、9(9.5)、10、11(11.6)、12(12.5)、16、20、23、24(24.5) ミリメートル
  • 厚み - 1.2、1.6、2.0、2.5、3.0、3.6、5.0 ミリメートル

グレード[編集]

マンガン乾電池の単1形 - 単3形に限り、この後にさらに1文字のラテン文字が続き、グレードを表す。

S : 標準 (standard)
C : 高容量 (high capacity)
P : 高出力 (high power)
PU : 超高性能(※JIS C8501のみで規定)

日本で生産されているのはPとPUである。

[編集]

  • LR6は、単電池、アルカリ電池、円形、単3型である。
  • CR2026は、単電池、二酸化マンガンリチウム電池、円形、直径20ミリメートル、厚み2.6ミリメートルである。
  • 6F22は、6層電池、マンガン電池、平形、9V形である。

出典[編集]

  1. ^ 梅尾良之著、『新しい電池の科学』、講談社、2006年9月20日第1刷発行、ISBN 4062575302
  2. ^ INTERNATIONAL STANDARD IEC 60086-1(pdf、Tenth edition 2006-12、2011年9月26日参照)