IBM 386SLC

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IBM 386SLCインテルがライセンスした386SXの派生であり、1991年IBMによって開発・製造された。省電力管理の能力と、8KBの内蔵キャッシュを備えることにより、より高価である同じクロックの 386DX プロセッサと同じぐらいの性能で動作した。IBMの中では、SLC"Super Little Chip" のイニシャルとして知られ、IBM PS/2 35, 40 56シリーズと IBM PS/ValuePointで使用されたが、あまり大きなシェアを得ることはなかった。 IBM 386SLC は 8086を装備した PS/2 25シリーズの アップクレードオプションとしても出荷された。

設計と技術[編集]

IBM 386SLCは、CMOS技術で構成され、161 mm2ダイを使用していた。IBM 386SLCは16, 20, 25MHzのクロックスピードで利用できた。25MHzのモデルはわずか2.5ワットの消費電力であり、ラップトップや他の携帯機器での使用に適していた。

また、RDMSRWRMSR命令が実装されていた[1]

IBM 486SLC[編集]

IBM 486SLCはIBM 386SLCの改良版であり、インテルのコアに基づいている。IBM 486SLCは134.9万トランジスタ、69 mm2 のダイ、16KBの L1キャッシュを持つ。100ピンのPQFPパッケージ、33MHzのFSBであり、1992年に製造された。

後に外部の2倍のクロックで動作するIBM 486SLC2も登場し、動作クロックも50MHzや66MHzに向上した。

Blue Lightning[編集]

1993年7月以降、IBMは完全な32ビットの、 Blue Lightning という通称で知られるシリーズを相次いでリリースした。これらは0.8μmのCMOSプロセスであり、140万トランジスタを 82mm2 のダイに収めた、改良型のSLCバージョンであったが、報道によっては386DXベースとも486SLベースとも言われている[2]。132ピンのQFPパッケージであり、IBMだけによって販売された。

動作クロックの内部倍率によってIBM486DLC、IBM486DLC2、IBM486DLC3といった製品が存在したが、資料によって名称にばらつきが見られ、それぞれIBM486BLX、IBM486BLX2、IBM486BLX3[3]、あるいはIBM486BL3やIBM486SX3のような名称で扱われることもある。

IBM486SLC/SLC2と同じくFPUは外付けで、Blue Lightningを用いたCPUアクセラレータなどでは387互換のコプロセッサが用いられた。

脚注[編集]

  1. ^ Frank van Gilluwe, "The Undocumented PC, second edition", 1997, ISBN 0-201-47950-8, page 55
  2. ^ 大原雄介 (2009年3月16日). “【マイコンデータ室】その他のx86系プロセサの系譜”. 日経XTECH. 2020年11月23日閲覧。
  3. ^ 大原雄介 (2010年8月23日). “CyrixにIBMにRiSE、マイナー系x86ベンダー総ざらえ”. ASCII.jp. 2020年11月23日閲覧。

関連項目[編集]

参照[編集]