HMV

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HMVグループPLC
HMV Group PLC
種類 Public limited company (PLC)
市場情報
略称 HMV
本社所在地 イギリスの旗 イギリス
メイデンヘッド
設立 1921年
業種 小売業
事業内容 音楽ソフト販売
代表者 フィリップ・ローリー(会長)
トレヴァー・ムーア(CEO)
主要子会社 Fopp
MAMA Group
7digital(50%)
外部リンク http://www.hmvgroup.com/
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HMV仙台一番町(2010年11月閉店)

HMV(エイチエムブイ[注 1]、エッチエムブイ[注 1])は、イギリスHMVグループPLC社が世界展開しているレコード販売店グループである。

もとは英グラモフォン社(現 英EMI)のブランドだった。「His Master’s Voice」のアクロニムであり、これは、グラモフォンの姉妹会社であるアメリカ合衆国ビクタートーキングマシン社(現 米RCA)や、その子会社であった日本ビクター(現 JVCケンウッド)のマスコット「ニッパー」のキャッチコピーだった。

HMV... the music & movie master」などのキャッチコピーを擁する。

概要

本社はイギリス・イングランドバークシャー州メイデンヘッドにあり、社員数は約1500人。イギリスの他に日本香港シンガポールアイルランドオーストラリアカナダに店舗を有する。

黒を基調にした、量販店にしては比較的落ち着いた店舗内装が特徴とされる。

2013年1月14日、資金繰りに行き詰まり、経営破綻した。日本法人はこの時点で既にローソンへ売却(後述)されており、資本関係がないため影響はない[1]

「HMV」の由来

「HMV」とはもともと英グラモフォン社の商標である蓄音機に耳を傾けるニッパー)のマークのことである。「彼の(亡くなった)主人の声(を聞いている)」という意味で“His Master's Voice”(HMV)と呼ばれる。

国際展開

アメリカ合衆国

レコード販売店グループとして、1990年にアメリカ合衆国に進出したが、業績不振のため2004年末に撤退した。

日本

HMVジャパン株式会社
HMV Japan KK
種類 株式会社(消滅会社)
本社所在地 日本の旗 日本
106-0032
東京都港区六本木三丁目5番27号
六本木YAMADAビル
設立 1990年平成2年)2月28日
業種 小売業
事業内容 音楽・映像ソフトの販売および付帯関連事業
代表者 代表取締役社長:坂本健
資本金 29億5350万円
(2011年4月30日時点)
発行済株式総数 5001株(2010年12月1日時点)
売上高 292億5974万1959円(2011年4月期)
営業利益 77億1132万4419円(2011年4月期)
純利益 △45億1242万8945円
(2011年4月期)
純資産 14億8309万3100円
(2011年4月30日時点)
総資産 80億2908万2459円
(2011年4月30日時点)
従業員数 486人(2011年2月28日時点)
決算期 4月末日
主要株主 株式会社ローソン 100%
(2011年2月28日時点)
外部リンク http://www.hmv.co.jp/
特記事項:2011年9月1日、ローソンエンターメディアに吸収合併され消滅
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日本へは1990年に日本法人である「HMVジャパン」を設立して進出したが、同社は2007年8月に大和証券SMBCプリンシパル・インベストメンツの子会社へ売却され、2010年12月にローソンへ再売却された。2011年9月にローソンエンターメディアに吸収合併されHMVジャパンは消滅。ローソンエンターメディアはローソンHMVエンタテイメントへ商号変更。

略史

日本では1990年2月28日に日本法人「HMVジャパン」を設立、同年11月16日には日本第一号店となる「HMV渋谷」を東京都渋谷区ONE-OH-NINE(現在はマルハンパチンコタワー渋谷)内に出店した(HMV渋谷は1998年9月センター街へ移転、2010年8月22日閉店)。タワーレコード新星堂山野楽器TSUTAYAなどと並ぶ大手レコード販売店である。日本法人のマークにはニッパーがなく蓄音機だけが描かれている。

HMVジャパンの2010年4月期売上高約310億円の約半分がネット通販事業で、音楽ソフトではAmazon.co.jpに次ぐ規模である[2]

2007年8月に、大和証券エスエムビーシープリンシパル・インベストメンツ株式会社(大和証券SMBCPI)のSPCである有限会社ディー・エス・エムインベストメンツカトルセがHMV Group plcおよびその完全子会社のHMV Music LimitedからHMVジャパン株式会社とHMV Retail Limitedの全株式を取得した[3]。HMVジャパン株式会社は2009年5月1日にHMVジャパンIP株式会社と合併し、同年7月1日にHMV Retail Limitedより日本事業について事業譲受

2010年3月25日に、カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社が国内全事業の買収について、HMVジャパン株式会社および大和証券SMBCPIとの間で独占交渉権を取得し、6月末までに契約締結する予定であった(発表の時点でスキームは未定)[4]。しかし、その後の大和証券SMBCPIやHMVジャパンとの交渉で事業方針等で対立して、独占交渉期限の2010年6月末までに合意に至らず、事実上、事業譲渡を白紙撤回した。

2010年10月28日、コンビニエンスストア大手のローソンが、HMVジャパンの全株式を大和証券SMBCPIの子会社HMVジャパン・ホールディングスから買収し、完全子会社化することが発表された[5]。取得金額は18億円で、同年12月1日を取得日とする。

事業譲渡後も従前とほぼ同様の体制で運営されていたが、2011年5月31日に、同年9月1日付けでチケット販売事業などを手がけるローソンエンターメディア(LEM)と合併(LEMを存続会社とする吸収合併)[6]、加えて同時期に、ポイントサービスをローソンも参加する共通ポイントサービスPonta」に統合する[7]ことを発表した。合併後の新社名は「ローソンHMVエンタテイメント」で法人としての「HMVジャパン」は消滅したが、店舗やインターネット通販事業では引き続き「HMV」ブランドを使用する。同年8月に両社の通販ウェブサイトを統合。今後は両社合計で約850万人(HMV約500万人、LEM約350万人)の会員基盤を生かしエンタテイメント事業を強化するという。

店舗

店舗はいずれも「○○店」ではなく「HMV○○」を名乗る。ほとんどの店舗がショッピングセンターを始めとする商業施設のテナントとして出店しているため、ショッピングセンター名を冠するケースが大半である(現在、都市名・地域名のみを名乗っているのは一般商業ビル内に出店している「HMV立川」「HMV」「HMV三宮」の計3店舗のみ)。

1990年代前半、旗艦店であったHMV渋谷(ONE-OH-NINE時代)は「渋谷系ミュージック」の発信源として重要な役割を担った。同店でプッシュされたアーティストが、テレビなどで流れるヒット曲を好まない音楽好きの若者に支持され渋谷系というジャンルを生み出す原動力となった。1998年に移転後はJ-WAVEのサテライトスタジオ「渋谷HMVスタジオ」が2009年9月まで存在し、同局の高聴取率番組『GROOVE LINE』が当スタジオより放送されていた。

2008年には最大67店舗まで拡大したが、その後は出店抑制の一方で店舗閉鎖が多くなり、2009年は9店舗、2010年は25店舗が閉鎖されている。旗艦店であったHMV渋谷も2010年8月22日をもって閉鎖された。渋谷の閉鎖は、1998年をピークに販売低迷が続く「CD不況」やインターネットの普及によるネット販売の浸透を象徴する出来事として、新聞各紙・ニュース番組で取り上げられた。なお、渋谷の跡地は京阪電気鉄道の関連会社である京阪流通システムズが建物を賃借し、テナントとしてFOREVER 21を誘致した。また一部店舗の跡地にタワーレコードなど他のCDショップが進出しているところもある。

LEMとの経営統合後は積極策に転じ、年間5から10店舗の新規出店を計画しており[8]、2011年7月から11月にかけて9店舗が相次いでオープンした。その中には逆にタワーレコードの跡地にオープンした店舗もある。

2011年4月にあべのキューズモール大阪市阿倍野区)に小型店舗「HMV SPOT」の1号店を出店(あべのHoopの既存店舗が移転した形)。2012年5月には、コンビニ店舗とHMVの小型店舗(HMV SPOT)を併設した2号店「ローソンHMV表参道」をオープンした。

2014年8月2日には、東京都渋谷区宇田川町(ダンス・ミュージック・レコード渋谷店跡地)に初の中古専門店「HMV record shop 渋谷」がオープン、2010年のHMV渋谷の閉店以来4年ぶりに渋谷に復活した。また2015年11月19日には「マルイシティ渋谷」をリニューアルした「渋谷モディ」内に新たな旗艦店として「HMV&BOOKS TOKYO」を出店している。

中国地方にはかつて2店舗があったが撤退し、その後しばらく店舗がなかったが、2014年4月25日に広島(HMV広島本通)、同年12月5日に岡山(HMVイオンモール岡山)がオープンし、再出店を果たした。

九州地方では各都市中心部から撤退し郊外の大型商業施設店舗のみ残る状態であったが、2016年4月21日開業予定のKITTE博多博多駅前)に入店予定であり、約6年ぶりに都市中心部への再出店を果たすこととなる。[9]

閉鎖した店舗

(2014年2月28日現在)

支払方法

店舗での現金以外の支払方法にはクレジットカードがあり、nanacoQUICPayが利用できる店舗もある。

また、交通系電子マネー[注 2]WAONEdyiDPiTaPaが一部の商業施設内店舗で利用できる。

メンバーズカード

2011年まで発行されていたかつてのHMVのメンバーズカードは、九州地方では2006年11月から、その他の地方では2007年から導入開始したものである。オンラインストアとリアルストア(実際の店舗)でのポイントが共有される(ただし、カード切り替え後1週間以内にオンライン携帯電話もしくはPC)からのオンライン登録が必要)。共通会員限定(新カードでオンライン登録されているカード)のトリプルポイントサービス等のキャンペーンがある(期間や日程は不定)。オンラインで登録したメールアドレスにはメールマガジンが配信された。

ポイントの期限は「カード発行日から1年」ではなく、「ポイントごとにポイント取得から1年」に設定されていた(例:2006年11月15日に10p、同年12月29日に20p取得なら2007年11月15日に10p、同年12月29日に20p失効)。50p→1000円、100p→2500円 のHMVマネー(HMVにおける割引)に任意で交換可能。交換されたHMVマネーは次回の買物の税抜き価格から自動的に割引され、その際残額が発生した場合は次回に繰り越された(希望の額だけ値引きをすることも可能)。HMVマネーには有効期限がない。年間購入記録が10万円を越えると黒からゴールドに移行された(ゴールド会員限定の月一度のトリプルポイントサービスがあった)。 2009年1月中旬からポイント制度が見直され、還元率が従来の4分の1以下に変更された。ポイントが直接割引額に反映されるようになり、クレジット機能付きメンバーズカード「HMV VISAカード」(UFJカード)の発行を開始した。

2011年8月より、HMVメンバーズカードから「Ponta」へポイントプログラムが変更された。

音楽配信

2006年10月より2010年2月まで、オンラインストアでパソコン向けの音楽配信サービス「HMV DIGITAL」を行っていた。ファイルフォーマットWMAATRAC。約150万曲を取り揃えていて、楽曲の中心価格帯は1曲150円であった。

2010年2月21日で、HMV DIGITALはサービスを終了した(購入したライセンスの再発行は同年2月28日までであった)。その後はオンラインストアにiTunes Storeへのリンクを表示し、HMV経由で購入するとポイントが付与されるサービスを行っていたが、ローソンとの通販サイト統合により終了。

脚注

注釈

  1. ^ a b ローソンHMVエンタテイメント社による日本での商標登録で登録された呼称。
  2. ^ 導入店舗ではKitacaSuicaPASMOTOICAmanacaICOCASUGOCAnimocaはやかけんが共通して利用可能。

出典

外部リンク