H5N1亜型
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H5N1の電子顕微鏡画像
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H5N1亜型(H5N1あがた、Influenza A virus subtype H5N1)は、A型インフルエンザウイルスの亜型の一つであり、H5N1、A (H5N1)とも表記される。H5N1亜型内でも、僅かな抗原性の違いによって少しずつ種類(クレード)の違うものであったりするが、一般的にH5N1亜型の形質を保っているものをまとめてH5N1と言う。
H5N1はトリ、ヒト、その他多くの動物においてインフルエンザを引き起こす[1]。高病原性トリインフルエンザ(HPAI)を引き起こす株はHPAI A(H5N1)と総称され、特に東南アジアの多くのトリの間でエピデミック(局地的流行)を起こしている。HPAI A(H5N1)の変異株の1つがアジアで出現した後、世界中に広がった。
動物間で流行が起こった場合、感染の疑いがある多くのトリやその他の動物を殺害して流行を食い止める。そのため、H5N1やトリインフルエンザはよくマスメディアに取り上げられる[2]。
目次 |
[編集] 概要
H5N1は主に野鳥の間で伝染する。H5N1を含むA型インフルエンザウイルスのいくつかの亜型(H7N7など)はトリインフルエンザを引き起こす。トリインフルエンザは症状の程度により、高病原性トリインフルエンザ(HPAI)と、低病原性トリインフルエンザ(LPAI)に分けられる。宿主である野生の水鳥がHPAI株に感染した場合でも発症することはないが、家禽に感染した場合は患畜の多くが死亡する。LPAI株も主に野鳥の間で伝染するが、鳥類に感染した場合の症状は比較的軽いか発症しない。その他にも、ネコ科の動物、イヌ、ブタなどに感染した例がある。
1980年代になってから感染症は予防接種や抗生剤の服用によって治療することができるという、一種の危機感の薄れがあった。しかし、1997年、香港で本来人間に感染することはないとされていたH5N1型のトリインフルエンザが人間に感染した。このウイルスに18名が感染し、うち6名が死亡した。この後も、何度か人間に対して感染が起こっており、現在HPAIを引き起こすアジア株に感染した場合のヒトの死亡率は約60%である。感染者は、ほぼ全てのケースにおいてトリと物理的接触をしたことが確認されている。ヒト同士の間で伝染、もしくはヒトに空気感染すると言う証拠は発見されていない。
また、この後の研究により過去のスペインかぜ、香港かぜなどのパンデミックはトリインフルエンザウイルスに由来するものであった可能性が高いという証拠が発見された。これは次のパンデミックもトリインフルエンザウイルスの変異によって現われる可能性が高いということを表している。
多くのインフルエンザウイルスは増殖の過程で突然変異しやすいものであり、H5N1も例外ではない。さらに、このウイルスは同じトリインフルエンザウイルスであるH9N2と比べても世界規模で広範に家禽に流行しており、ウイルスの個体数から考えてもヒト感染型の変異体の発生の可能性はきわめて高いと考えられる。
また、突然変異でなくとも人間に感染したウイルスが体内でヒトインフルエンザウイルスと遺伝子再集合をした場合、高病原性を保持したまま人間同士での感染力の高いウイルスが生まれる可能性がある。
2005年9月、トリインフルエンザのアウトブレイクにより500万から1億5000万の死者が出る可能性があることが発表された[3][4]。 トリインフルエンザウイルスは進化を続け、パンデミックを起こすことが予想されている。この進化のスピードは当初の予想よりずっと速いものであった。
HPAI A(H5N1)はもともと致死率が高いことに加え、進化によって毒性も高くなりつつある。そのため、世界的なパンデミックに備えた対策が取られつつある[5]。
流行の際の致死率を下げることを目的として、プレパンデミックワクチンが開発された。しかし、プレパンデミックワクチンで感染を確実に抑えることが出来るかどうかは不明であり、実際に効果があるワクチンが製造出来るまでにはパンデミックが起こってから数ヵ月が必要である。変異株の出現後3ヶ月以内に予防ワクチンの本格的な生産開始が望まれ、1年以内に10億人分のワクチンを用意することが要求されている[6]。
H5N1はトリの間で突然変異を続けることにより、人間の集団免疫(Herd immunity)の限界を超えて複数回のパンデミックを起こす可能性がある[7]。その遺伝子子孫によって起こるインフルエンザパンデミックでは、H5N1以外の亜型を含むことも考えられる[8]。
H5N1の遺伝子解析の結果、H5N1の遺伝子子孫によってパンデミックが起こった場合はスペインかぜより致死率が高くなると予想され、スペインかぜ以上の大規模なパンデミックになる可能性がある[9]。
[編集] 遺伝学的解析
HPAI A(H5N1) の最初に発見された株はA/chicken/Scotland/59と呼ばれ、1959年にスコットランドで2つのニワトリの群れを病死させた。しかし、この株と現在流行している高病原性株との違いは非常に大きい。
2004年に主に流行したHPAI A(H5N1)は、1999年から2002年にかけてZ genotypeを持つように進化した[10]。これはアジア型HPAI A(H5N1)(Asian lineage HPAI A(H5N1))と呼ばれている。
アジア型HPAI A(H5N1)は抗原性によって2つのクレード(clade)に分けられる。
- クレード 1
- クレード 2
WHOの発表では、2005年後半から2006年にかけてヒトへ感染したH5N1は主にクレード 2であった。
遺伝子解析により、クレード 2はさらに6つのサブクレードに分けられ、その内の地理的に異なった場所に分布している3つがヒトに感染した。地図
2007年、EMAサブクレードの変異株についての研究が行われた。36の変異株の全ゲノム配列が解析され、現在存在するH5N1の遺伝子の解析が進んだ。この研究が行われる前にも、2004-2006年のヨーロッパの5つの株の全ゲノム配列の解析が行われていたが、中東と北アフリカの株については全ゲノムの解析は行われていなかった。
解析の結果、全てのヨーロッパ、中東、アフリカのサンプルは現代アジアのクレードとは別のクレードに分けられ、共通の祖先が1997年の香港株であることがわかった。図1(リンク先)はHA(ヘマグルチニン)によって分けられた系統発生樹であり、3つの型(lineage)が存在することが示されている。クレードの内2つはベトナムの分離株のみであり、5つの分離株が含まれている小さいクレードはV1、9つの分離株が含まれている大きなクレードはV2と名付けられた。残りの22株はヨーロッパ、中東、アフリカから分離されたものであり、EMAクレードに分類される[14]。
[編集] 用語
分離されたH5N1の変異株には一定の条件で名前が付けられる。例として A/chicken/Nakorn-Patom/Thailand/CU-K2/04(H5N1) の命名法を説明する。
- A - インフルエンザウイルスの型(A、B、C)
- chicken - 変異株が発見された動物種
- Nakorn-Patom/Thailand - 変異株が分離された場所
- CU-K2 - 同じ場所で分離された他の株との区別
- 04 - 発見された年(2004年)
- H5 - ヘマグルチニンの種類
- N1 - ノイラミニダーゼの種類
他にも、A/duck/Hong Kong/308/78(H5N3)、A/avian/NY/01(H5N2)、A/chicken/Mexico/31381-3/94(H5N2)、A/shoveler/Egypt/03(H5N2)という風に命名される[15] 。
他のトリインフルエンザウイルスと同様に、H5N1も高病原性(highly pathogenic:HP)と低病原性(low-pathogenic:LP)に分けられる。HPAIを起こすウイルスの毒性は非常に高く、感染した個体はほぼ100%死亡する。LPAIウイルスの毒性はそれほど高くはないが、このウイルスはHPAIウイルスの祖先である可能性がある。
世界中でトリを死亡させているH5N1はHPAI株である。その他の株はLPAI株であり、病気を引き起こさない北アメリカ株もこれに含まれる。現在確認されているHPAI株はH5亜型かH7亜型のものである。通常HPAIウイルスはヒトと野鳥のどちらか片方にのみ高い毒性を持っている。
[編集] 遺伝子構造と亜型
H5N1はオルトミクソウイルス科A型インフルエンザウイルス属の亜型の一つであり、RNAウイルスである。ゲノムは8つの領域(PB2、PB1、PA、HA、NP、NA、M、NS)があり、マイナス一本鎖型RNAで構成されている。
HAは抗原性糖タンパク質であるヘマグルチニンをコードしている。ヘマグルチニンはウイルスの表面に存在し、感染する対象の細胞にウイルス結合させる働きがある。NAはグリコシダーゼの一種であるノイラミニダーゼをコードしている。ノイラミニダーゼは感染細胞からのウイルスの放出に関係している[16]。
詳細はインフルエンザウイルスを参照。
ヘマグルチニン(HA)やノイラミニダーゼ(NA)は抗ウイルス薬や抗体のターゲットとなるため、医学的に重要な要素である。H5N1はH(ヘマグルチニン)とN(ノイラミニダーゼ)の種類を表している。
A型インフルエンザは度々多数の死者を出す大流行を繰り返してきた。今までパンデミックを起こした主な亜型を死者の多い順に並べると以下のようになる。
- H1N1 - スペインかぜを引き起こした。現在は季節性インフルエンザを起こす。
- H2N2 - アジアかぜを引き起こした。
- H3N2 - 香港かぜを引き起こした。現在は季節性インフルエンザを起こす。
- H5N1 - 現在パンデミックが懸念されている。
- H7N7 - 1人が死亡した。
- H1N2 - 現在ヒトとブタでエピデミックを起こしており、季節性インフルエンザを起こす。
- H9N2 - 3人に感染した。
- H7N2 - 2人に感染した。
- H7N3 - 2人に感染した。
- H10N7 - 2人に感染した。
[編集] 低病原性H5N1
低病原性トリインフルエンザH5N1(LPAI H5N1)は北アメリカ株と呼ばれ、野鳥の間で伝染する。野鳥に感染した場合の症状は軽いか、全く出ないことが多いが、ヒトに及ぼす影響に関しては分かっていない。この株が家禽の間で伝染するようになった場合、伝染していく途中で突然変異を起こす可能性も考えられる。
- 1986年 - LPAI H5N1がオハイオ州で野生のマガモから発見された。
以前は州と大学が野鳥において調査したLPAI H5とH7のことを報告する義務がなかったため、上のリストでは昔のLPAI株のことが含まれていない可能性がある。後に国際獣疫事務局(OIE)はLPAI株のことも報告するように義務付けた。2006年、OIEはLPAI H5とH7が突然変異を起こす恐れがあるとして、確認された全てのLPAI H5とH7を報告するように求めた。そのため、USDAはあらゆる方面でこれらの株のことを調査している[17]。
[編集] H5N1の特性
[編集] 伝染力
| 高病原性H5N1の伝染状況 | |
|---|---|
| → H5N1によって家禽、野鳥が死亡した国 | |
| → H5N1によってヒト、および家禽、野鳥が死亡した国 | |
H5N1は野鳥に感染することによって世界中に広がる可能性がある。H5N1は突然変異と遺伝子の再集合を起こすことにより、今まで感染しなかった動物(ヒトなど)に感染するようになることも考えられる。
H5N1はトリの気道にあるガラクトース受容体の一種に結合する。このガラクトース受容体はヒトには存在しないタイプのものであるが、ヒトでは肺胞の内外でのみ増殖する。そのため、普通の伝達ルートである咳やくしゃみによっては放出されにくい[18][19][20]。
H5N1は主に家禽によって伝染する。家禽が直接移動した場合、鳥肉製品として流通した場合、鳥肉が試料や肥料として利用された場合などに感染が広がると考えられている。
ヒトがH5N1に感染した場合は、トリから伝染したケースがほとんどである。野生のカモ、アヒル、白鳥は発症することなくH5N1を運ぶことがある[21][22]。 多くの哺乳類や鳥類はHPAI A(H5N1)に感染するが、水鳥が宿主としてどのような働きをしているかはわかっていない[23]。 WHOは、肥料の表面に付着したH5N1が世界中に広がる可能性があることを報告した[24]。
[編集] 毒性
突然変異によって様々な毒性を持つH5N1の株が誕生した。一つの動物種にしか病原性を持たないものや、様々な種に病原性を持つものなどが存在する。抗原ドリフトにより、同じクレードの中でも様々な毒性をもつ高病原性株が数十種類誕生したが、現在存在するものは全てgenotype Zに属する[25][26]。
1997年と2001年に香港で分離されたH5N1は、トリの間で伝染せず病気も引き起こさない株であった。2002年に香港のトリから新しい変異株が分離された。この株はカモに対して神経障害を起こして死亡させた[27]。 Genotype Zは、2002年に既存の高病原性H5N1株からの遺伝子再集合によって誕生した[2][28][25][26]。 Genotype Zにはヒトに感染することができるクレードが2つ存在し、東南アジアのトリの間でエンデミックを起こしている。突然変異はこのgenotypeの中で起こっている[29]。
[編集] 伝染と宿主
H5N1に感染したトリは唾液、鼻の粘液、糞、血液などによってウイルスを伝染させる。他の動物はこれらのものに直接接触することによってH5N1に感染すると思われる。
H5N1は0℃で30日、37℃で6日、常温で数週間感染力を保つことが出来る。北極のような環境でも変化することはほとんどない。渡り鳥はH5N1の宿主の一つであり、世界中にウイルスを輸送する。H5N1はこれまで知られていた他の高病原性トリインフルエンザウイルスと違い、家禽以外の動物によっても伝染する。
2004年10月、H5N1はそれまでの予想よりずっと危険なウイルスであることがわかった。水鳥が高病原性H5N1株をニワトリ、カラス、ハトなどに伝染させていることが判明した。さらにウイルス自体も哺乳類に対する感染力を強めていった。パンデミックを遅らせることは出来るが、完全に止めることは不可能であると予想されている。
1997年以降、H5N1の抗原性、遺伝子座が進化し続けていることが判明した。それによって、以前より広範囲の鳥類とネコ科の動物にも感染するようになった。病原性も強力になり、実験用のマウスとフェレットに全身症状を引き起こした。さらに環境に対する安定性も増加している[30]。
2007年8月22日、バリ島でのトリインフルエンザによる2人目の犠牲者として、28歳のニワトリ業者のインドネシア人が入院の4日後に死亡した。インドネシアにおける犠牲者は84人となった。地元の研究所の検査により、H5N1の陽性反応が出た [31]。
2007年9月29日、H5N1は妊婦の胎盤を通過して胎児に感染する可能性があることが判明した。さらに、ウイルスが肺だけでなく消化管、脳、肝臓、血球など全身に影響を与えることもわかった [32]。
[編集] 高い変異率
インフルエンザウイルスはRNAウイルスであるため、突然変異率が高い。同じ宿主に2種類のインフルエンザウイルスが感染した場合、ウイルスゲノムが分割されることによって遺伝子の再集合が起こり、遺伝子組み換えが起こることがある[25][26]。これにより、病原性のなかった株がヒトに対して病原性を持つようになる可能性がある。
ある種の動物にのみ感染するという選択性は、主にウイルスが持っているヘマグルチニンの種類によって決まる。ヘマグルチニンのアミノ酸配列が1つでも変化すると、標的細胞への感染能力に大きな変化が起こる。トリインフルエンザにこのような変化が起こった場合、ヒトに容易に感染するようになることも考えられる[33]。
H3N2(ブタインフルエンザ)はベトナムのブタから発見され、中国のブタの間でエンデミックを起こしている。この亜型は新たな変異種が発生する恐れがある。2006年2月に流行したH3N2はアマンタジンとリマンタジンに対して耐性を示した。H5N1とH3N2が、遺伝子の再集合によって遺伝子交換を行うことが懸念されている。H5N1の中で再集合が起こった場合はH5N1亜型のままであるか、亜型がシフト(抗原シフト)することも考えられる。H3N2はH2N2から抗原シフトによって進化した。
H2N2とH3N2のパンデミックを起こした株は、トリインフルエンザのRNA領域を持っている。1957年(H2N2)と1968年(H3N2)にパンデミックをおこした株は、ヒト由来ウイルスとトリ由来ウイルスが遺伝子再集合を行って誕生した株であった。1918年にスペインかぜを起こしたウイルスはトリ由来のものであったことが判明している[10]。
[編集] ヒトへの影響
H5N1が最初にヒトに感染したのは、香港のトリの間で大流行したのと同じ時期である。この時は中国国内のトリを殺害して流行を食い止めた。
[編集] 症状
トリインフルエンザウイルスのヘマグルチニンはα2-3シアル酸レセプターに結合するが、ヒトインフルエンザウイルスのヘマグルチニンはα2-6シアル酸レセプターに結合する。ヒト型のH5N1は存在しないため、H5N1に感染したヒトは鳥型のH5N1に感染したことになる。
ヒトインフルエンザの一般的な症状は、発熱、咳、咽喉痛、筋肉痛、結膜炎などで、さらに重症化した場合は肺炎などを起こし死に至ることもある。症状の重さは感染者の免疫によって変化し、以前どのタイプのウイルスに感染したかによって大きく変化する。
ヒトが高病原性H5N1に感染した場合の死亡率は非常に高く、WHOの報告によると致死率は60%になる。しかし、トリインフルエンザに感染し、治療を行わない場合でも実際の死亡率がWHOの報告より低い可能性がある[34] [35]。あるケースでは、H5N1に感染した男児が風邪のような症状を示さず、速やかに下痢を伴う昏睡状態に陥った[36]。
H5N1がヒトのサイトカイン濃度に影響を与えることが報告された。感染部位の組織の破壊と他のサイトカイン生産に関係するタンパク質の一種、TNF-α(腫瘍壊死因子α)の濃度がH5N1に感染することによって高くなる。インフルエンザウイルスによってサイトカインの濃度が上がることで、高い発熱、悪寒、嘔吐、頭痛などが起こり、組織の損傷がひどい場合は死に至ることもある[3]。このような免疫系の正のフィードバックによるサイトカインの過剰生産はサイトカイン・ストームと呼ばれ、H5N1に感染した場合は他のウイルスより激しく起こるのが特徴である[37]。
[編集] 予防と治療
H5N1に対する確実な治療法は存在しないが、オセルタミビル(タミフル)を投与することによってウイルスの増殖を抑制することができる。一部の国と組織は、オセルタミビルをH5N1に対する予防薬として使用するかどうかを検討した[38]。
WHOの専門家によれば、オセルタミビルの実際の効果はまだ調査中であり確実なことはわかっていない。ワクチンの製造も新しいウイルスの出現から6~9ヶ月はかかると予測されている。過去90年の伝染病の例を見ても、ワクチンによって流行を止められるかどうかは疑わしい[39]。
H5N1のいくつかの株に対するワクチンがすでに存在する。しかしH5N1は継続的に変化し続けているため、ワクチンの使用は限られている。
H5N1が実際にパンデミックを起こすまでワクチンを作ることは出来ないが、プレパンデミックワクチンが開発された。さらにワクチンの製造会社にも、ワクチンを現状より大量に速く製造できるよう設備を拡大することが求められている[40][41][42][43]。
動物実験により、ザナミビル(リレンザ)がH5N1に効果的であることがわかった。2000年にマウスを使った実験によって、ザナミビルが他のトリインフルエンザウイルスであるH6N1、H9N2に感染した哺乳類にも効果があることが判明した[44]。
ザナミビルがH5N1のパンデミックに対して有効かどうかは定かではないが、タミフルとともにザナミビルを備蓄しておくことはパンデミックの対策になる可能性がある[45]。
2006年9月、WHOはタミフルとアマンタジンに抵抗を持った株を確認したことを発表した[46]。
近年ロンドンの研究所で行われた実験では、アイスランドの会社Zymetechで開発された酵素混合物を使用することにより、H5N1の99%を無力化することに成功した。この混合物は正常な細胞に影響を与えず、5分以内にウイルスを無力化することができる[47]。
[編集] 人間社会への影響
H5N1によってヒトや動物が死亡するケースが出たため、人間社会に与えた影響は非常に大きい。
H5N1のパンデミックに対する研究には数億ドルの予算が費やされている。H5N1の被害によって10億ドル以上の損失があり、被害を抑えるために2億羽以上のトリが殺害された。
パンデミック対策に個人で備蓄を行う人も出てきた。日本においてもパンデミック対策として、家から数週間出なくても生活できるように個人で食料などを備蓄しておくことが推奨されている。
しかし、H5N1のパンデミックをそれほど重大なことではないと考える意見もある。WHO公衆衛生当局者ロバート・ブラウンは次のように語っている。
これまでの統計と比較して、ヒトにおけるトリインフルエンザの被害は大きな問題にはならない。HIVの感染者は世界中に4000万人存在する。トリインフルエンザの死者より多くの人が、ベトナムでの交通事故で死亡している。しかし、トリインフルエンザによる被害は重要な点である。トリインフルエンザの高い死亡率、感染の広がるスピード、家禽産業に与える影響は極めて大きく、まさに新興感染症である。
ブラウンは、H5N1についてはまだわかっていないことが多くあると語っている。まだ完全に研究が完了したわけではないため、さらなる研究と国際的な連携が必要である[48]。
[編集] 関連項目
[編集] 参考
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This was reprinted in 2005:
Li KS, Guan Y, Wang J, Smith GJ, Xu KM, Duan L, Rahardjo AP, Puthavathana P, Buranathai C, Nguyen TD, Estoepangestie AT, Chaisingh A, Auewarakul P, Long HT, Hanh NT, Webby RJ, Poon LL, Chen H, Shortridge KF, Yuen KY, Webster RG, Peiris JS. (2005). “Today's Pandemic Threat: Genesis of a Highly Pathogenic and Potentially Pandemic H5N1 Influenza Virus in Eastern Asia,”, in Forum on Microbial Threats Board on Global Health: Knobler SL, Mack A, Mahmoud A, Lemon SM. (ed.): The Threat of Pandemic Influenza: Are We Ready? Workshop Summary (2005). Washington DC: The National Academies Press, 116-130. - ^ a b Webster, R. G. and Walker, E. J. (2003). “The world is teetering on the edge of a pandemic that could kill a large fraction of the human population”. American Scientist 91 (2): 122. DOI: 10.1511/2003.2.122.
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[編集] 外部リンク
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