日産・GT-R

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

GT-R から転送)

日産・GT-R(にっさん・ジーティーアール)は、日産自動車が製造・販売している自動車である。尚、生産は輸出仕様ともども栃木工場にて行われる。

目次

[編集] 概要

これまで日産のスポーツモデルの象徴であったスカイラインGT-Rの後継車種であり(第1世代のGT-Rから数えて6代目になる)、GT-Rシリーズとしては第3世代に当たる。車両型式は先代のR34型のスカイラインGT-Rからの通し番号となるR35型で、現行型のスカイライン(V36型)とは異なる。先代までは(基本的に)スカイラインクーペをベースにエンジンサスペンションを強化したチューニングカーであったが、R35型は車名から「スカイライン」が消滅して車体やドライブトレインがすべて新開発となるなど、独立した車種となった。

R33型・R34型スカイラインの時代に、台数限定(各100台)ながらイギリスでGT-Rが販売されたという前例はあるが、左ハンドルを用意した世界規模での販売は、R35型が初めてとなる。

2007年10月24日に開催された第40回東京モーターショーで量産型の発表が行われ、日本では12月6日から発売されている。北米では12月のロサンゼルスオートショーで初公開された。

発表後まもなく、「わ」ナンバーのついた(レンタカー登録された)GT-Rが雑誌等で話題になったが、これは日産ギャラリー(銀座)での試乗車であった。 一般市販後、しばらくするとオリックスレンタカーの限られた店舗(六本木ヒルズ店)に導入された。普通免許取得20年以上で、なおかつゴールド免許保有者に限り、レンタルすることができる。

[編集] 歴史

GT-Rの歴史は、2001年の第35回東京モーターショーでのプレスカンファレンスにおいて、当時のカルロス・ゴーンCOOの「世界的に有名な3つのアルファベットがあります。G、T、Rです。私はここでお約束いたします。必ずGT-Rは復活します」とのスピーチに続き、「GT-Rコンセプト」のアンベールが行われたことに始まる。その時点では、まだ新型GT-Rの開発が決定しただけで、仕様を含めた具体的な内容は全くの未定であった。その後2003年の、第37回東京モーターショーにおいて、「新型GT-R市販モデルの、2007年の発表と発売」が宣言された[1]

[編集] 発表前

2001年10月、第35回東京モーターショーに「GT-Rコンセプト」を出品。

2002年1月北米国際オートショーに「GT-Rコンセプト」を出品。3月、第72回ジュネーヴモーターショーに「GT-Rコンセプト」を出品。8月、平成12年度の排ガス規制不適合により、ライバルであったトヨタ・スープラ等と共に、R34型スカイラインGT-Rが生産を終了した。その後は、日産社内でも異例とも言うべき箝口令により、多くの情報がもたらされることはなかった。

2003年10月、第37回東京モーターショーのプレス向け会見で、新型GT-Rの市販モデルの発表と発売が2007年秋になることが、カルロス・ゴーンCOOより明らかにされる。

2005年10月22日、第39回東京モーターショーに「GT-R PROTO」を出品。このプロトタイプはエクステリアデザインのみで、エンジンやトランスミッションは搭載されていなかった。フロントマスクこそ縦型フロントライトの革新的なデザインだったが、丸型テールライトやリヤデッキの形状など、R34型スカイラインGT-Rから踏襲した部分も多かった。

2007年6月22日から24日にかけて、イギリスで行われたグッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード(Goodwood Festival of Speed)のヒルクライムスーパーカークラスに、デモンストレーション(賞典外)ながら、GT-Rのテスト車両が飛び入りで出走した。ドライバーを務めたのは日産の商品・経営企画担当取締役副社長のカルロス・タバレスであった。

9月26日、車名を「日産・GT-R」とすることが正式に発表され、先行予約注文が開始された。日本国外での販売にあたり、インフィニティ・Gとの兼ね合いを考慮し、これまでの伝統を継承しながらもスカイラインとは別の道を歩むこととなった。同日から、グローバルサイト(日本語を含む6ヶ国語)の公開も開始された。

同時に、販売とアフターサービスを行う全国160ヶ所の日産ハイパフォーマンスセンターの設置も発表された[2]

10月21日、フジテレビ「新報道プレミアA」でGT-Rが初公開された。この時点ではまだバンパーに覆面が施されていた。

[編集] 初代 R35型(2007年-)

日産・GT-R(R35型)
フロント
 
 
リア
 
カットモデル(リア側)
 
メーカー {{{メーカー}}}
 
親会社 {{{親会社}}}
 
製造国 {{{製造国}}}
 
製造期間 2007年12月 -
 
設計統括 {{{設計統括}}}
 
デザイナー {{{デザイナー}}}
 
乗車定員 4(2+2)名
 
ボディタイプ 2ドア クーペ
 
ハイブリッド
 
エンジン VR38DETT型 3.8L V6 ツインターボ 480ps
 
モーター
 
最高出力/トルク {{{最高出力/トルク}}}
 
最高出力 {{{最高出力}}}
 
最大トルク {{{最大トルク}}}
 
変速機 6速AT
(GR6型デュアルクラッチトランスミッション
 
駆動方式 4WD
 
サスペンション 前:ダブルウィッシュボーン
後:マルチリンク
 
全長x全幅x全高 {{{全長x全幅x全高}}}
 
全長 4,655mm
 
全幅 1,895mm
 
全高 1,370mm
 
最低地上高 {{{最低地上高}}}
 
ホイールベース 2,780mm
 
車両重量 1,740kg
 
乾燥重量 {{{乾燥重量}}}
 
総重量 {{{総重量}}}
 
最大積載量 {{{最大積載量}}}
 
燃料タンク容量 {{{燃料タンク容量}}}
 
燃費 {{{燃費}}}
 
タイヤサイズ 前255/40ZRF20
後285/35ZRF20
 
 
別名 {{{別名}}}
 
先代 スカイラインGT-R
 
後継
 
姉妹車/OEM
 
車台共有車 日産・PMプラットフォーム
 
同クラスの車 ポルシェ・911ターボ
BMW・M3
アウディ・R8
シボレー・コルベットZ06
レクサス・IS Fなど
 

キャッチコピー:THE LEGEND IS REAL

日本での販売価格は777万円からとなり、12月6日より販売を開始した。日本仕様ではベースモデルに加え、専用の内装色とレザーシートが選べる「ブラック・エディション」、BOSEプレミアムサウンドシステムや盗難防止装置を標準装備する「プレミアム・エディション」が用意される。

[編集] メディアへの露出

2007年10月24日、第40回東京モーターショーのプレスデーで除幕、車種の全貌が明らかとなった。発表前にはメディア向けの技術説明会が行われ、さらに、異例とも言える、ワールドプレミアを直前に控えてのメディア向け事前発表会も行われた。

10月30日テレビ東京系の日経スペシャル ガイアの夜明けで、GT-R開発の模様の一部が取り上げられた。

その反面、テレビCMは一切製作・放映されておらず、新聞広告なども掲載されていない(日産発行のチラシにはGT-Rの広告が掲載された)が、一方でプレイステーション3用ソフト「グランツーリスモ5プロローグ」のテレビCMには登場している(走っているGT-Rが実車からゲームCGに切り替わる演出がされている)。

[編集] エンジン

詳細は日産・VR38DETTを参照

エンジンは、VR38DETT型 3.8L V6 ツインターボエンジンを搭載する。最高出力は480ps(353kw)/6,400rpm、最大トルクは60.0kg・m(588N・m)/3,200-5,200rpmである。

[編集] デザイン等

このR35GT-Rでは第三世代GT-Rの初期モデルとしてデザインもR34型で見られた武骨なデザインは抑えられているが、全長及び全幅など大幅に増えている。

車内においては、340km/hのスピードメーターとタコメーター、ギア数表示が装備されている(なおR34GT-Rの場合タコメーターが左でスピードメーターが右と言う方式を採っていた)。

また、このR35型でもR34型スカイラインGT-Rの特徴の1つとも言えるマルチファンクションディスプレイ(MFD)を引き続き搭載、R34型に搭載されているMFDよりも大型で多機能なものとなった。MFD画面のデザインはグランツーリスモシリーズを開発しているポリフォニー・デジタルが担当した。

エンジンの始動・停止は、センターコンソールにある赤いボタンで行う。 ドアノブは収納式となっており、外側からドアを開ける際にはノブを押し込み、反対側から突き出てきたノブを引き開ける形をとっている。

[編集] ドライブトレイン

従来のATTESA E-TSを踏襲[3]。また、クラッチトランスミッション、トランスファーを車両後方に置き、リヤデフと一体化させた「独立型トランスアクスル4WD」を採用。フロントミッドシップに配置されたエンジンと合わせて「プレミアム・ミッドシップ・パッケージ」と呼ばれている。また、機械式1.5WayLSD(リミテッドスリップデフ)をリアデフに持つ為、サーキット走行が容易である。

トランスアクスルの後輪駆動車は数多く存在し、クラッチとトランスファーをリアに配したものもFR時代のアルファロメオなどに存在し、トランスアクスル式4WDについても1980年代にデリバリーされたフォード・RS200によって実現されているが、RS200のドライブトレインではクラッチはエンジン側に装着されているため、クラッチトランスミッション、トランスファーをセットで独立させた「独立型トランスアクスル4WD」としては世界初となり、これに関しては日産が特許を取得している。これは軽量でイナーシャが少なく、振動吸収性が高いカーボンFRP製のドライブシャフトを採用した事により実現した。また、全天候型スーパーカーを標榜するGT-Rゆえ、「VDC-R」と呼ばれる、3つのモードを持つ、専用チューニングの横滑り防止機構を装備する。

トランスミッションは非トルクコンバーター式の6速オートマチックトランスミッションを採用。ボルグワーナーの6プレートデュアルクラッチシステムを採用し、1,3,5速、2,4,6速それぞれに湿式多板クラッチを備え、最速0.2秒で自動変速が可能である(Rモードにおいて)。デュアルクラッチはボルグワーナーから購入しているが、変速機やチューニングは日産で行っている[4]

[編集] リミッター

ナビゲーションシステムと連動させた国産車初のスピードリミッター解除機能(国土交通省承認済み)も持つ。日産が登録したサーキット(十勝インターナショナルスピードウェイSUGO仙台ハイランドレースウェイエビスサーキットツインリンクもてぎ筑波サーキット富士スピードウェイ鈴鹿サーキットTIサーキット英田オートポリスなど)の特定エリアに入り、ナビゲーションの操作(この際、「保証の対象外となる事を承諾する」旨のメッセージが出るが、ハイパフォーマンスセンターで所定の点検整備を行えば保証は継続出来る)をすることにより、180km/hを超えるスピードを出すことが可能である。なお、リミッターに装着されたメモリには随時、車両の速度が記憶されるようになっており、不正な手段によるリミッターカットが整備時にチェックできるシステムが取り入れられており、不正が発覚した場合は保証の対象外となる。

[編集] 足回り

サスペンションは、前:ダブルウィッシュボーン式、後:マルチリンク式ビルシュタインとの共同開発による電子制御式ショックアブソーバー「Bilstein Damptronic」を採用し、「R」「NORMAL」「COMFORT」と3つのモードを選択することが可能。大入力を支えるサスペンションメンバーは、ヨロズ製でパイプを主要骨格とし高剛性化を図り、高精度のサスペンションジオメトリおよび軽量化に寄与している。

ブレーキは、前後380mmのフルフローティング ドリルドローターに、フロント対向6ポット リヤ対向4ポットのブレンボ製モノブロックブレーキキャリパーをラジアルマウントで装着しており、ノーマル状態でもサーキット走行に適応できる状態となっている。

タイヤは、日産としては初めてランフラットタイヤを標準装備としている。標準でダンロップ製SP SPORT 600 DSST、オプションではブリヂストン製RE070Rをラインナップ。このランフラットタイヤは走行中にタイヤがパンクしても80km/h走行で80km走れる。また、ブリヂストン製ブリザックLM-25をベースにランフラット化されたGT-R専用のスタッドレスタイヤも純正オプションとしてラインアップされる。

ホイールは、RAYS製の鍛造20インチアルミホイール。タイヤのリムずれを防止するためのローレット加工が施されている。

安全上の理由から、日産ではGT-R専用のホイール及びタイヤ以外の装着は認めておらず、タイヤの脱着も、ハイパフォーマンス・センター(後述)にて使用したタイヤを切断して新しいタイヤに装着する手順が必要となる。

[編集] ハイパフォーマンス・センターでの整備

GT-Rの整備や点検は、独自の研修を受けた認定メカニックが存在するハイパフォーマンス・センター店に限られる。スカイラインGT-Rが、ノーマルの2倍以上もの高出力マシンに不正改造されてきた実例を踏まえ、これを防止するために純正タイヤやエンジンオイル(他の日産車と異なり、指定油はモービル1・100%レースプルーブン)交換まで、徹底してハイパフォーマンス・センターで行うようハード、ソフト共に整えられていることが特徴である。

仮に、純正以外の部品を他店もしくは独自に装着した場合、保証の対象外となる。一般にGT-Rの部品は市販されておらず、ハイパフォーマンス・センターでの整備を経ないと、車両コンディションの維持が難しい状況となるが、NISMOから特別なパーツが販売されているほか、保障対象外になるが他のアフターパーツメーカーからも外装や吸排気系のパーツが発売、開発されている。

[編集] レース活動

[編集] SUPER GT

SUPER GT GT500仕様
SUPER GT GT500仕様

2008年1月、日産自動車はSUPER GTのGT500クラスに2007年までのZ33型フェアレディZに代わり、2008年シーズンからGT-Rで参戦することを発表した[5] 。車体は特認車両として2009年のレギュレーションを先取りし、大幅な改造がなされたが、エンジンは引き続きVK45DEをベースとした4.5L V8エンジンを使用し、ニスモホシノレーシングハセミモータースポーツKONDO Racingに計5台を供給する。なお駆動方式は、旧スカイラインGT-Rで全日本GT選手権に出場していたときと同様、オリジナルの4WDからFRに変更されている。

参戦車両は、2007年12月2日のニスモフェスティバル2007で公開され[6]、2008年1月11日から開催された東京オートサロンでカラーリングが発表された。

さらに、SUPER GTオフィシャルセーフティカーとしても、GT-Rが全戦で使用される[7]

GTデビューとなった2008年3月16日鈴鹿サーキットで行われた開幕戦では圧倒的な速さを見せ、デビューウィンをXANAVI NISMO GT-R、MOTUL AUTECH GT-Rの1‐2フィニッシュで飾った(ちなみに3月15日の予選ではカルソニックインパル GT-Rが3位に入り1-3位グリッドを独占したが、同車は本戦でクラッシュしている)。

デビュー2戦目の岡山、4戦目のセパンでも1-2フィニッシュを飾っている(XANAVI NISMO GT-RはGTにおいて10年ぶり2連勝を飾った)。

[編集] SUPER GT以外

NISMOから2008年、パーツやMOTULの特殊オイルの開発の為に十勝24時間レースに参戦し、総合21位で完走した。前述の通りSUPER GTにおいては駆動方式をFRに変更しているため、オリジナルの4WD機構を維持した形でのレース参戦はこれが初となる。

[編集] その他

[編集] ゲームソフトとのタイアップ

2007年10月20日、新型GT-Rが登場するSCE販売・プレイステーション3専用ソフト「グランツーリスモ5プロローグ」の無料体験版が2007年11月30日までの期間限定でプレイステーションストアにて配信された。なお、この時点ではGT-Rには覆面が施されていた。覆面は序幕と共に剥がされ覆面付きのGT-Rは4日間だけしかプレイが出来なかった。

また、10月24日には実車の除幕と連動した世界初の試みとして「グランツーリスモ5 プロローグ」無料体験版上でも除幕され、新型GT-Rの正式発表が行われた[9]

[編集] 関連項目

[編集] 脚注

[ヘルプ]
  1. ^ 多くのメディアは「2001年のGT-Rコンセプト発表の際に市販モデルの2007年発表が宣言された」という意味合いの報道をしていたが、実際に「市販モデルの2007年発表」が明らかにされたのは2003年のことである。
  2. ^ スカイラインGT-R(特にBNR32以降)はエンジンなどの違法改造車が多く存在している為、国土交通省がR35型GT-Rの市販に当たり、日産側に違法改造を防止する策を講じるよう求めていたとの報道が2007年11月5日付けの朝日新聞の経済面に掲載された[1]
  3. ^ Nissan GT-R Features & Specs - GT-Rのグローバルサイト(英語)
  4. ^ http://response.jp/issue/2007/1102/article101418_1.html
  5. ^ 日産自動車のプレスリリース(2008年1月31日)
  6. ^ NISMO FESTIVAL at FUJI SPEEDWAY 公式ページ
  7. ^ SUPER GT HOT NEWS(2008年3月1日)
  8. ^ ニュルブルクリンクでの最速タイム記録は、後にシボレー・コルベットZ06、ダッヂ・ヴァイパーSRT-10によって更新されることとなる
  9. ^ 無料体験版 アンヴェイル 公式ニュース

[編集] 外部リンク

ウィキメディア・コモンズ