GSPベオグラード

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バス(2009年夏季ユニバーシアード会場輸送)
トロリーバス(28番系統)
路面電車(CAF Urbos3)
路面電車の路線図
BG Vozに運用されるセルビア鉄道412系電車

GSPベオグラード(セルビア語:ГСП(Градско саобраћајно предузеће) Београд、英語:GSP Belgrade)は、セルビア共和国の首都ベオグラードバストロリーバス路面電車の運行及び都市鉄道「BG Vozen:BG Voz)」の運営管理を行う交通事業者である。ベオグラード市政府出資の公社組織であり、名称の日本語訳としては「ベオグラード市公共輸送公社」又は「ベオグラード市公共交通公社」と称されることが多い。

概要[編集]

下記の交通機関の運行・運営管理を行っている。共通のゾーン制運賃(都心部・郊外の2ゾーン制)が適用されており、同じチケットで利用できる。この運賃制度はベオグラード市内を運行する民営バスにも適用され、共通乗車ができる。2012年2月からは、ICカードを使用した運賃収受システム「BusPlus(en:BusPlus)」の運用を開始した[1]

バス[編集]

2006年時点での運行路線数は117路線、路線延長1495.7km、車両数844台である[2]。ベオグラード市には地下鉄が整備されておらず、トロリーバス・路面電車の路線網も限定されていることから、バスが公共交通の主力となっており、利用者も多い。車両の半数以上は二車体連節車となっている。

1990年代を通じて続いたユーゴ紛争では、経済制裁による燃料・補修部品の不足、車庫への空爆による損害等のため運行車両が大幅に不足し、混乱が続いた。2000年以降、紛争の終息・経済制裁の解除とともに各国の支援により車両・施設の補充・復旧が行われ、急速に復興が進められた。この頃導入された車両のうち93台は、日本政府のODAにより2002年に購入された車両(シャーシはMAN製、車体はトルコ製。93台のうち二車体連節車75台、単車18台)である[2]。その他、国内メーカーのイカルバス[3]製の新型車両の導入も進められている[2]

日本のODAで導入されたバスにはセルビアと日本の国旗が描かれており、現地では『ヤパナッツ(日本人)』と呼ばれている[4]

トロリーバス[編集]

2006年時点での運行路線数は8路線、路線延長は58kmである[2]

車両は、旧ソ連製ウリツキーZIU-9型[5]が主力であったが、老朽化により2012年までに新型車両に置き換えられた。バスと同様、二車体連節車も使用されている。

路面電車[編集]

2006年時点での運行路線数は12路線、路線延長は127.3kmである[2]

車両はチェコČKDタトラ製二車体連節車が主力で、他にヨーロッパ他都市からの譲受車も使用されている。2011年からは超低床車CAF Urbos3 が導入されている。

都市鉄道「BG Voz」[編集]

セルビア鉄道がベオグラード近郊で運行するコミュータ鉄道サービス「ベオヴォズ」の一部と線路・駅施設等を共用して運行される。2010年9月からパンチェヴォ橋(en:Pančevo Bridge) - ノヴィ・ベオグラード間で運行が開始され、2011年4月にノヴィ・ベオグラード - バタイニツァ(en:Batajnica)間が延伸された。

車両・停留所等の画像[編集]

バス
トロリーバス
路面電車
BG Voz
その他

脚注[編集]

  1. ^ http://www.beograd.rs/cms/view.php?id=1488695
  2. ^ a b c d e バスラマ・インターナショナル104号「世界の都市の公共交通 その9 セルビア・ベオグラードGSPの場合」p66
  3. ^ Ikarbus
  4. ^ “ベオグラードを走る日本製バスが伝えること”. 東洋経済. (2018年5月27日). https://toyokeizai.net/articles/-/221687 
  5. ^ 『日本のトロリーバス』(吉川文夫著 電気車研究会 1994年)p136・『トロリーバスが街を変える 都市交通システム革命』(森五宏著 リック 2001年)p83

関連項目[編集]

外部リンク[編集]