GNSサイエンス

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GNSサイエンス(ジー・エヌ・エス - 、英称GNS Science, マオリ語Te Pū Ao)は、ニュージーランドウェリントン市に所在する地質学地球物理学火山学原子核研究を主な研究対象とする研究所

1992年から2005年まで「地質・核科学研究所」(The Institute of Geological and Nuclear Science 略称:GNS ) と呼ばれたため、日本語では「ニュージーランド国立地質・核科学研究所」と呼ばれることが多いが、国立研究機関ではない。英称では「GNS」と表記される。

概要[編集]

1865年に設立された「地質観測所」に起源を持つ研究所である。1992年科学技術研究省の研究部門と地質観測所を統合。政府認可研究機関「地質・核科学研究所」として公社化された後、2006年に法人化され、有限責任会社(LLC)として業務を行っている。法人化に伴い2006年から現在の名称を採用している。

業務上の最高責任者は「最高経営責任者」(CEO)であり、2013年9月からアメリカ合衆国出身の地質学者マイケル・マックウィリアムズ(オーストラリア国立大学Ph.D., スタンフォード大学名誉教授)が務める。

主な業務は公的研究(40%-45%)、民間企業へのコンサルティング・商品開発・受託研究(20%-30%)、地震委員会からの委託監視調査(15%-20%)、政府・地方自治体への政策助言とコンサルティング(5%-10%)、助成金の管理(5%-10%)。

法人組織は、会長以下6名の理事で構成される理事会が法人としての業務執行決定とCEOの選出を行う。2009年7月からトーマス・キャンベル(ニュージーランド公正取引委員会理事を兼務)が会長を務める。

取締役会はCEO以下、調査部長1名、CFO(最高財務責任者)1名、GM4名(非研究部門)、部長3名(研究部門)、マネージャー2名(非研究部門)、法務/商業顧問1名により構成される。

研究所には20を超える国と地域から約350名の職員が所属しており、約300名の研究員が研究部門に所属している(そのうち、研究科長13名、主席研究員22名、情報技術部門責任者2名)。

研究員の専門領域は多岐に渡り、地質学(層序学古生物学堆積学海洋地質学構造地質学岩石学など)、火山学、地球物理学、地球化学、地球生物学、環境生物学、原子核物理学、放射線物理学、アイソトープ物理学、ナノテクノロジー地震学、地震工学、地盤工学、地熱工学、社会科学数学、データ操作、視覚技術、情報技術、空間情報科学など。

研究部門の研究員はニュージーランド各地の大学へ連携教授として派遣され80 - 100名の大学院生を指導している。

歴史[編集]

1865年に開設されたニュージーランド地質調査所に起源を持つ。技術顧問を務めていたオタゴ州(現・オタゴ地方)出身の地質学者ジェームズ・へクターが初代所長に任命される。当初は石炭の発掘調査を目的としていたが、へクターは単なる調査に留まらず博物館を中心とした自然科学全般の発展を提案。この提案は総督府に認められ、ニュージーランド国立博物館テ・パパ・トンガレワの前身となる「コロニアル博物館」が創設される。へクターは地質調査所長とコロニアル博物館初代館長を兼務することになる。

へクターは地質調査と並行し地図の作図を行うようになる。それまで未開拓であったニュージーランド全土の地図作成に成功。へクターらの調査でタラナキ地方油田、コロマンデル地方テムズに金(ゴールド)、ワイカト地方炭鉱などが発見され年次報告書にまとめられた。1870年代にはカンタベリー・カレッジオタゴ大学、1883年からオークランド・カレッジで鉱物学の講義が開始。1878年にオタゴ大学鉱物学術院が設立され探鉱で働く人材の育成に貢献。

しかし、1880年代の不況に伴い地質調査の予算が停止。1892年ヘクターは地質調査所長を更迭され博物館長専任に移動。

1904年カナダ出身の地質学者ジェームズ・マッキントッシュ・ベルが地質調査所長に就任。インチ表示の地図をマイル表示に変更し詳細な作図に成功。北米からの最新作図技術の導入によりニュージーランド全土の詳細な地図作成に成功。マッキントッシュ・ベルの作図技術はその後50年に渡り活用された。

1920年ハワイ火山観測所のトーマス・A・ジャガー所長はニュージーランドに火山観測所の設置を提言。1925年イギリス科学技術研究省(D.S.I.R.)のヒース長官がニュージーランドを訪問し科学技術研究機関の設立を提言。この提言を受け、1926年国立研究機関の設置に向けた法案が議会を通過。同年イギリスと同じ名称の科学技術研究省(D.S.I.R.)を設立。

イギリスの科学技術研究省は科学(Science)=第一次産業と、技術(Technology)=第二次産業を融合した研究機関を設立したが、ニュージーランドの科学技術研究省は第一次産業、とりわけ農業酪農畜産研究に重点を置く研究機関として発足した。1927年マッセー農業校(現・マッセー大学)に酪農研究所、1928年植物工学研究所(農務省との共有)を設立。1936年農務省との共有により設立した植物工学研究所を科学技術研究省に移管。この移管により研究の独立性が高まる。科学技術研究省に1951年地球物理学部門、1959年原子核研究部門、1962年植物生理学部門気象観測室を設置。1990年地質・地質物理学部門を新設。

1992年科学技術研究省の閉鎖に伴い地質・核科学研究所を新設。地質調査所と科学技術研究省の全部門を地質・核科学研究所へ移設し組織は公社化される。

2006年に有限責任会社として法人化され現在の名称を採用。

組織[編集]

研究部門
  • 地下資源系
    • 石油地質学部門
    • 地熱地質学部門
    • 古生物学部門
    • 海洋地質学部門
  • 自然災害系
    • 地質災害調査部門
    • 造構物理学部門
    • リスクと社会部門
    • 広域地質学部門
    • 火山学部門
    • 活景観学部門
  • 国立アイソトープセンター
    • イオンビーム技術部門
    • アイソトープ地球生命科学部門
    • 水文地質学
非研究部門
  • 金融部門
  • 人事部門
  • 調査部門
  • 商業開発部門
  • 戦略部門
  • マオリ戦略部門
  • 広報部門
  • 自然災害プラットフォーム部門
研究センター
  • ワイラケイ研究センター
  • ダニーデン研究センター

主な連携研究機関[編集]

オーストラリア
アジア
  • UGM(ガジャ・マダ大学、インドネシア)
  • KIGAM(韓国地質資源研究院、大韓民国)
  • VAST(ベトナム科学技術院、ベトナム)
ヨーロッパ
  • Ifremer(フランス海洋開発研究所、フランス)
  • IFM-GEOMAR(イー・エフ・エム・ゲオマー、ドイツ)
  • GFZ Potsdam(ポツダム地球科学研究センター、ドイツ)
アメリカ合衆国
国際機関

外部リンク[編集]