G.トムソン

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G.トムソン(G. Thomson、1760年-1806年11月)は、イギリス地質学者である。パレルモで46歳で死去した[1]

名前[編集]

彼の名前は、フルネームが不明のため、単にG.トムソンとしてのみ示される[2]。いくつかの二次資料では、ウィリアム・トムソン(William Thomson)やウィリアム・トンプソン(William Thompson)と表記しているものもあり[3]ウィリアム・トムソン(ケルヴィン卿)と混同しているものさえある。しかし、Atti dell'Accademia Delle Scienze di Siena誌に掲載された彼自身の論文[4]やF. A. Panethの論文[5]には、G. Thomsonと示されている。また、W. G. Thomsonと表記している文献もある[6]

ウィドマンシュテッテン構造の発見[編集]

ウィドマンシュテッテン構造は、鉄隕石を硝酸でエッチングすると現れる。

当時、トムソンはナポリに住んでいた。ある日、彼は錆を落とす目的でクラスノヤルスク隕石硝酸に浸した。隕石と硝酸が接すると、トムソンはすぐに見たこともない奇妙な構造に気付いた。これは、後にウィドマンシュテッテン構造と呼ばれるものであった。

1804年、彼はフランス語でBibliotheque Britannique誌に論文を発表しており[1][3][5]、死後の1808年にはAtti dell'Accademia Delle Scienze di Siena誌にイタリア語でも発表されている[7]

しかし、この発見は、恐らくトムソンが早逝し、また英語の論文を出さなかったために、一般的にはベッカー=ウィドマンシュテッテンのものとされている。ウィドマンシュテッテンの発見は独立であったが、それは1808年のことであり、また論文は書かなかった。そのため、年代順に従えば、発見の全ての優先権はG.トムソンに与えられるべきであった。このような理由から、ウィドマンシュテッテン構造をトムソン構造と呼ぶことを提案する研究者もいる[1][3][8]

出典[編集]

  1. ^ a b c Gian Battista Vai, W. Glen E. Caldwell. The origins of geology in Italy. Geological Society of America, 2006, ISBN 0-8137-2411-2. – p.184
  2. ^ F. Manheim, F. A. Paneth. The discovery and earliest reproductions of the Widmanstatten figures. Geoscience Abstracts, American Geological Institute (1959). p.17
  3. ^ a b c John G. Burke. Cosmic Debris: Meteorites in History. University of California Press, 1986. ISBN 0-520-05651-5
  4. ^ Gerald Joseph Home McCall, A. J. Bowden, Richard John Howarth, The history of meteoritics and key meteorite collections: fireballs, falls and finds. Geological Society, 2006. ISBN 1-86239-194-7, ISBN 978-1-86239-194-9. – p.56
  5. ^ a b F. A. Paneth. The discovery and earliest reproductions of the Widmanstatten figures. Geochimica et Cosmochimica Acta, 1960, 18, pp.176–182
  6. ^ The Journal of the Iron and Steel Institute, Iron and Steel Institute, 1964. p.968
  7. ^ G.Thomson. Saggio di G.Thomson sul ferro Malleabile trovato da Pallas in Siberia. Atti dell'Accademia Delle Scienze di Siena, 1808, IX, p.37
  8. ^ O. Richard Norton. The Cambridge encyclopedia of meteorites. Cambridge, Cambridge University Press, 2002. ISBN 0-521-62143-7.