F9C (航空機)

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F9C スパローホーク

飛行するF9C-2 9058号機 (1934年撮影)

飛行するF9C-2 9058号機 (1934年撮影)

F9C スパローホークCurtiss-Wright F9C Sparrowhawk )は、アメリカ合衆国カーチス・ライト社が開発し1930年代にアメリカ海軍で運用された艦上戦闘機である。アメリカ海軍の飛行船アクロン(ZRS-4)と、同型のメイコン(ZRS-5)に搭載されて運用された。

愛称の「スパローホーク (Sparrowhawk)」は、猛禽類であるハイタカの意。

概要[編集]

F9Cは全長が6m、全幅が7mと小型であったため、大型飛行船に搭載するのに適していた。パイロットたちにトラピーズ("the flying trapeze" 空中ブランコの意)と呼ばれた係留装置によって、上翼の上に取り付けられたフックで吊るされて使用された。その特殊な運用方法のため、車輪などの降着装置を一切装備していない機体も存在した。通常は飛行船内に収納され、飛行する場合は、トラピーズを使って飛行船から離脱させた。フックはパイロットによって簡単にはずすことができた。アクロンの最大収容機数は計5機である。

1930年6月に小型艦上戦闘機XF9C-1として発注が行なわれた。これは1931年3月に海軍が受領し、アクロンの就航から試験が始められた。1932年9月までに6機の量産型の生産がなされた。1933年にメイコンが就航した直後にアクロンが事故で失われた。1935年2月にメイコンも失われ、F9Cも同時に4機が失われている。実用的な作戦に使われることなく計画は中止された。残存機は1機が1937年まで、もう1機は1940年まで海軍の管轄下にあった。現在、1機が国立航空宇宙博物館に保存・展示されている。

飛行船メイコンと随伴して飛行する2機のF9C

各型[編集]

  • XF9C-1:試作機。1機製造。
  • XF9C-2:試作機。1機製造。
  • F9C-2:量産型。6機製造。

諸元[編集]

F9C-2 仕様[編集]

  • 乗員 1名
  • 全長: 21 ft 1 in (6.27 m)
  • 全巾: 25 ft 6 in (7.75 m)
  • 全高: 10 ft 11 in (3.34 m)
  • 翼面積: 185 ft2 (16.1 m2 )
  • 自重: 2,114 lb (961 kg)
  • 全備重量: 2,776 lb (1,262 kg)
  • エンジン: ライト R-975-22 星型空冷 離昇出力 415馬力 (310 kW)

性能[編集]

  • 最大速度: 176 mph (283 km/h)
  • 航続距離: 297 miles (475 km)
  • 最高到達高度: 19,200 ft (5,853 m)
  • 上昇率: 1,690 ft/min (515 m/min)
  • 翼面荷重: 15 lb/ft2 (78 kg/m2)
  • 出力・重量比: 0.15 hp/lb (0.24 kW/kg)

武装[編集]

  • 7.62mm機銃×2

外部リンク[編集]

関連項目[編集]