EMD GP30形ディーゼル機関車

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EMD GP30 locomotive (1030).jpg

EMD GP30形ディーゼル機関車は、1961年7月から1963年11月の間にアメリカGM-EMD(ラグランジュ工場)が製造した電気式ディーゼル機関車である。

「第2世代」と呼ばれる最初の形式である。当時、ゼネラル・エレクトリックが大型機関車製造に進出してきており、Uボートと呼ばれたU25B形が好評を博していた。その対抗馬として設計されたのが本形式である。運転席のないBユニットが存在する。

目次

詳細 [編集]

外観の特徴は、運転台屋根上から車体中央部あたりまでが一段と高くなっていることと、そのために運転台の屋根が段つきになっていることである。従来の形式では、ラジエターを排気煙突の前後に置いていたが、本形式では、初めてラジエターをロングフード後端部にまとめることができた。

当初はショート・フードの高さが低い形状をしていたが、サザン鉄道(SOU)とノーフォーク・アンド・ウェスタン鉄道(NS)の車両はハイ・フード型である。ダイナミックブレーキを搭載していない車両でも、ハイ・フード型とされたが、それ用のグリルはなかった。NS用の車両は、ロング・フード側が前として製造されている。

スー・ライン鉄道(SOO)、ミルウォーキー鉄道(MILW)、ガルフ・モバイル・アンド・オハイオ鉄道(GM&O)では、アメリカン・ロコモティブ製の車両を本形式で置き換えた。そうした形式は、アルコの機関車から流用したAARタイプB形台車を装備していた。

本形式は、Aユニットは908両が製造され、カナダに輸出した2両以外はアメリカで使用された。Bユニットは40両製造され、すべてユニオン・パシフィック鉄道(UP)に納められた。Bユニットには、蒸気発生装置を搭載した車両が8両ある。

歴史 [編集]

開発の経緯 [編集]

先述のとおり、GEのU25B形の対抗馬として開発されたのが本形式である。U25B形の製造開始は1959年4月。当時、GM-EMDのラインナップとしてはGP20形があるだけで、原動機出力は2,000馬力(1,500kw)であり、U25B形の2,500馬力(1,900kw)に対して大きく劣っていた。U25B形はまた、ロングフードが密閉され、与圧されているという特徴を持っていた。フード内への吸気口を一カ所に集中させ、そこからフィルターを通して浄化した空気をエンジンへの吸気や電気機器冷却のために使用していた。そのためにフード内部は汚れず、機器の保守性が向上したのである。

U25B形のデモンストレーション車両は、賞賛をもって迎えられ、多数の受注を実現した(最終的な製造数は476両)。他方、アメリカン・ロコモティブは2,400馬力(1,800kw)のRS-27形の製造を1959年12月より開始していたが、これの売れ行きは芳しくなかった(最終的な製造数は27両)。

GM-EMDのエンジン部門は567D2型エンジンの出力をさらに250馬力(186kw)向上させるべく、新たに567D3型を設計した。このエンジンは2,250馬力(1,680kw)のもので、GEやアルコのライバル機に及ばなかったが、GM-EMDのユーザー、すなわち各鉄道事業者には、既に取り扱い実績のあるエンジンと同系統であるという安心感に訴求力があると考えた。U25B形と同じく、密閉されたロングフード、集中化された吸気システム、保守の作業性向上といったところにも配慮した。

台枠と台車はGP20形のものを引き続き使用した。集中型の吸気システムは、運転席背後(ロングフード側)により大きなスペースを必要としたが、機関車の全長を延ばすのではなく、車高を高くすることで解決した。そのために、以前の車体を流用することはできなかった。

GM-EMDは、この新型のGP30形を視覚的にモダンで進歩したものと見せる必要があったため、ミシガン州トロイにあるゼネラルモータースのスタイリングセンターに助言を請うた。自動車のデザイナーはGP30形のトレードマークとして屋根上のコブを提案した。このコブのような膨らみは、運転席前面から吸気口を覆い、ダイナミックブレーキの抵抗器冷却用の張り出し(車体中央部側面に張り出している部分)に続けた。通常、ダイナミックブレーキを搭載しない車両はこの張り出しがないが、本形式では張り出しを設けたままとしたため、非搭載車はこの部分の吸気口がない。

当初、本形式はGP22形とされる予定であり、デモ車はそのナンバーを与えられていた。しかし、GM-EMDのマーケティング部門は「GEのU25C形よりも大きな数字のほうが、より進化した車両に見える」という判断を下し、GP20形からも世代が異なるという意味を込めてGP30形となった。

売れ行きと評価 [編集]

GP30形のリリースと成功により、GM-EMDはGEの市場進出の脅威を打ち払い、北米の機関車市場における優位性を保持することができた。GEやアルコに多少出力で劣ろうとも、堅牢性および信頼性、そして鉄道事業者におけるGM-EMD製機関車への親近感により、U25B形のほぼ2倍、948両という多くの注文を獲得することができた。しかも、その数値は、GP30形が2年4ヶ月間のものであり、U25B形は6年10ヶ月間のものなのである。

多くの大手鉄道事業者がGP30形をオーダーし、多くの中小鉄道事業者がそれに続いた。大量発注も相次ぎ、ユニオン・パシフィック鉄道(UP)は152両、SOUは120両、アッチソン・トピカ・アンド・サンタフェ鉄道(ATSF)は85両、ボルチモア・アンド・オハイオ鉄道(B&O)は77両を導入した。

GP30形の設計のよさは、2007年においてもいまだ多くの車両が使用され続けていることにも見てとれる。長めに見ても、ディーゼル機関車の設計の寿命が25年から30年であるのに対して、40年以上も使用されているのである。それだけでなく、もし車両の耐用年数が来たとしても、いくつかの鉄道はスクラップにするのではなく、車両をリビルドして使用し続けることを選ぶのである。

主要諸元 [編集]

オリジナルの所有者 [編集]

Aユニット [編集]

鉄道事業者 両数 ロードナンバー 備考
GM-EMD (デモ車)
2
5629 ユニオン・パシフィック鉄道(UP)875に
5639 シーボード・エア・ライン鉄道(SAL)534に/シーボード・コースト・ライン鉄道(SCL)1343に
アラスカ鉄道
1
2000
アッチソン・トピカ・アンド・サンタフェ鉄道(ATSF)
85
1200-1284
アトランティック・コースト・ライン鉄道
9
900-908 SCL 1300-1308に
ボルチモア・アンド・オハイオ鉄道(B&O)
77
6900-6976
チェサピーク・アンド・オハイオ鉄道(C&O)
48
3000-3047
シカゴ・バーリントン・アンド・クインシー鉄道
38
940-969 バーリントン・ノーザン鉄道(BN) 2217-2254に
シカゴ・アンド・イースタン・イリノイ鉄道(C&IM)
3
239-241
シカゴ・グレート・ウェスタン鉄道(CGW)
8
201-208 シカゴ・アンド・ノース・ウェスタン鉄道(C&NW) 802-809
シカゴ・ミルウォーキー・セント・ポール・アンド・パシフィック鉄道
16
340-355 AARタイプB形台車装備。1000-1015に改番
シカゴ・アンド・ノースウェスタン鉄道(C&NW)
14
810-832
カナダ太平洋鉄道(CP)
2
8200-8201 ゼネラル・モータース・ディーゼル(GMD。在カナダ)製造。 5000-5001に改番
デンバー・アンド・リオグランデ・ウェスタン鉄道 (DRGW)
28
3001-3028
ガルフ・モバイル・アンド・オハイオ鉄道(GB&O)
31
500-530 AARタイプB形台車装備
グレート・ノーザン鉄道 (アメリカ)(GN)
17
3000-3016 BN 2200-2216に
カンザス・シティ・サザン鉄道(KCS)
20
100-119
ルイビル・アンド・ナッシュビル鉄道(L&N)
58
1000-1057
ニューヨーク・セントラル鉄道(NYC)
10
6115-6124
ニューヨーク・シカゴ・アンド・セントルイス鉄道
10
900-909
ノーフォーク・アンド・ウェスタン鉄道(N&W)
44
552-565 ハイ・ショート・フード
ペンシルバニア鉄道(PRR)
52
2200-2251
レディング鉄道(RDG)
20
5501-5520
フェルプス・ダッジ・コーポレーション
9
24-32 ニュー・コーネリア支線の鉱山
シーボード・エア・ライン鉄道(SAL)
34
500-533 シーボード・コースト・ライン鉄道(SCL) 1309-1342に
スー・ライン鉄道(SOO)
22
700-721 AARタイプB形台車装備。18両がウイスコンシン・セントラル・トランスポーテーション へ。同番号。
サザン・パシフィック鉄道
8
7400-7407
サザン鉄道 (SOU)
120
2525-2644 ハイ・ショート・フード
セントルイス・サウスウェスタン鉄道(SSW)
10
750-759
トレド・ピオリア・アンド・ウェスタン鉄道(TP&W)
1
700
ユニオン・パシフィック鉄道(UP)
111
700-735, 800-874

Bユニット [編集]

鉄道事業者 両数 ロードナンバー 備考
ユニオン・パシフィック鉄道(UP) 40 700B-739B 8両は蒸気発生装置搭載

リビルド [編集]

バーリントン・ノーザン鉄道(BN)は、GP30形のリビルド形式をもっとも多く所有する鉄道である。出力不足となるとき、GP30形はリビルドの対象となる。70両がGM-EMDに、65両がモリソン・ヌードセン(現ワシントン・グループ・インターナショナル)にリビルドのために送られ、それぞれGP39E形およびGP39M形となった。

リビルドに際しては、新しい発電機、Dash2のモジュール式の電気制御システムを組み込み、エンジンは567D3型から645D3型に変更され、出力は2,300馬力(1,720kw)となった。これらの機関車は、現在でもBNSF鉄道の地方の小路線において使用されている。

アッチソン・トピカ・アンド・サンタフェ鉄道時代の塗装のままロゴのみBNSF鉄道としたGP30u形。

BNSFの前身であるアッチソン・トピカ・アンド・サンタフェ鉄道(ATSF)は、その間、自社のクレバーン工場(テキサス州)にて同様のアップグレードを行っていた。567型エンジンは2,250馬力を保持していたが、645型エンジンのアッセンブリーを使用して更新した。発電機と駆動用モーターも更新され、制御システムを含む電装品は交換された。台車のはハイアット社製のローラーベアリングをあてがわれ、ブレーキは片抱き式となった。運転室屋根上にはエアコンが装備され、新たなホーンも追加された。この更新車両は、前頭部を青、後部を黄色とした「イエローボンネット」塗装とされた。形式は「更新(upgraded)」の頭文字を付したGP30u形とされた。BNSF鉄道との合併時には78両が引き継がれ、現在においてもなお使用されている。

参考文献 [編集]

関連項目 [編集]