EMD F3形ディーゼル機関車

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EMD F3
BN 9762 in Yakima Aug 71 NthCstHiRP.jpg
ノースコースト・ハイアワサ号を牽引するF3
ワシントン州ヤキマ、1971年8月)
動力方式 電気式ディーゼル
製造所 GM-EMD
製造日 1945年 - 1949年
総製造数 Aユニット 1111両
Bユニット 696両
軸配置(アメリカ式) B-B
軌間 1,435 mm
出力 1,500馬力 (1,100 kW)

EMD F31946年から1949年にかけてGM-EMDで生産された電気式ディーゼル機関車である。最終組立はイリノイ州のLa Grange工場で行われ、運転席のあるAユニット1111両と運転席のないBユニットが696両生産された。F3は大いに成功したFシリーズ系列の3機種目であり、シリーズの中で2番目に多く生産された。なお、F3とほぼ同型のボディを使用しているF2及び後年F3をもとに改造されたFP10(F10)についても本稿で説明する。

F3の概要[編集]

Fシリーズ系列の3機種目であるF3は製造時期によりフェーズI - IVの種類に分けられており、形状が異なっている。また、前作のFTからの移行時に過渡的な形式としてF2があるがF3と同様のボディを持つためここで合わせて説明する他、後年F3から改造されたFP10(F10)も本稿で取り扱う。

F2[編集]

1946年に製造された形式で、外観はF3と同様であるが、出力がFTと同様の1,350馬力のエンジンを使用しており、FTからF3に移行する際の過渡的な形式でAユニット74両、Bユニット30両が製造された。

FTとの外観の違いは以下の通り。

  • FTでは丸窓が中央部に4つ接近して並んでいたが、3つ離れて設置する形状に変更。
  • 全てのFシリーズは屋根に4台の放熱器に分離型のファンがついているが、F2よりファンの形状が変更され大型化された。
  • 台車の配置を変更されF3以降の機種に引き継がれた。

FTは運転台付きのAユニットと運転台無しのBユニットの2両連結運転を基本していたため、両ユニットをつないでいる連結器は棒連結器(永久連結器)が使用されたが本形式より通常の連結器に変更された。

F3[編集]

Alberta Railway Museumに保存されているF3-9000。フェイズⅡ後期車以降の丸みを帯びた形状のファンがついている他、側面上部に金網が使用されている部分があり、網の部分からはキャブ・ユニット特有の構体のフレームが透けて見える。フェイズⅢに該当。

1946~1949年に製造されたFタイプの3機種目で出力は従来のFT・F2の1,350馬力から1,500馬力に向上している。F3より正面に点灯式大型ナンバーボードがオプションで付けられるようになったが、この大型ナンバーボードは好評だったためかその後標準装備になった。

F3は製造時期によりフェーズⅠ - Ⅳの種類に分けられ、下記の通りボディに変化が生じており、後継タイプに引き継がれた。

  • F2からフェーズIまではAユニットの側面に丸窓が3つ並んでいたが、フェーズⅡ以降はF3A-9000号の写真の通り、Aユニットの丸窓は2つになり、その間にはフィルタ格子が設けられた。(Bユニットはこれまで通り丸窓3つのままでフィルタ格子無し)
  • フェーズⅡ後期車よりファンの形状が変更になっており、角ばった形状から丸みを帯びた形状に変更(F3A-9000号写真も参照)
  • フェーズⅣでは側面上部についている金網がステンレス鋼製のグリルに変更された。なお、金網が設置時は網の部分からキャブ・ユニット特有の構体のフレームが透けて見えていたが、鋼製のグリルに変更後は見えにくくなった。

フェイズⅡのみは車体側面に設置された金網が通常設置されている個所のほかに2つある丸窓の間に設置されたフィルタ格子部分にも設置された形状になっており、その結果車体の側面が広い範囲が金網に覆われている形状になった。その姿がニワトリ小屋を想像させることに因んで"chicken wire"とニックネームがつけられた。フェイズⅢではF3A-9000号のように金網の設置個所が減少した。

後継F7では電気機器が改良されたがF3にF7の電動機を搭載した機種は"F5"とニックネームがつけられた。F7とF5との違いとしてF7には排気ブレーキ用のファンが追加で設けられたがF5には未設置である。

FP10(F10)[編集]

マサチューセッツ湾交通局のFP10。元はF3で改良して馬力をF9と同等の1,750馬力にした。
メトロノース鉄道譲渡後のF10で元はF3として製造。後ろ側の乗務員扉の後に膨らみが生じているのがわかる。

元々、シカゴ・アンド・ノース・ウェスタン鉄道→マサチューセッツ湾交通局に所属のF3を1970年代の後半にエンジンを1,500馬力から1,750馬力の出力に改良し、後に作られたF9と同等の出力になった形式。

外観も特徴的な丸窓がなくなった他、フィルタ格子が大きくなり設置数が4つから5つに変更されており、機器の変更に伴い後ろ側の乗務員扉の後に膨らみが生じる等変化がみられる。

また、F3はフェイズの違いにより側面の形状が異なっているが側面上部に金網が使用されているフェイズⅠ~Ⅲタイプからの改造車はステンレス鋼製のグリルに交換された。

F10と称されることがあるが機関車自体はFP10と同じ。[1]

そのため、FP7及びFP9はベースとなったF7及びF9より全長が1.2m長いがF10とFP10は車体の長さが同じである。

マサチューセッツ湾交通局の他、後年4両が譲渡されたメトロノース鉄道でも活躍し、非電化区間ではFL9と重連を組むこともあったが、FL9と同様にP32AC-DMやBL-20GHの投入によって引退した。

旅客列車の牽引[編集]

Fシリーズは本来貨物列車牽引用の機関車であり、最初のFT型は旅客列車の暖房用の蒸気発生装置を持っていなかったものの、Bユニット後部にある空きスペースに蒸気発生装置を設置した事例があったことから、F3では販売時に蒸気発生装置をオプションで取り付け可能とした。そのため後継のF7とともに写真のように旅客列車で牽引する機会も多く、スーパー・チーフの牽引も行った。

なお、スーパー・チーフは1948年1月25日にロサンゼルス駅構内で車止めを突破して柵をも破壊し、下の通りに転落しかけた事故があったがその際の牽引機もF3であった。[1]

F3を改良したFP10(F10)も上記写真の通り、マサチューセッツ湾交通局やメトロノースで通勤列車を牽引していた。

保存車[編集]

F3保存車両の1つF3A-663号と664号。フェイズⅡ特有の「chicken wire」とニックネームがつけられた形態がわかる
Potomac Eagle Scenic RailroadのF3-8016号。側面のフィルター設置形態に注目

F3はFシリーズ中2番目に多く製造されたことから、F7等と同様に一部の車両が保存されている。

カナダのen:Alberta Railway Museum[2]にF3A-9000号が保存。

Tri-State Railway Historical Society[3]にはF3A-663号と664号、F3B-664号が保存されているが、F3A-663号と664号は「chicken wire」とニックネームがつけられたフェイズⅡタイプで、現在も側面は金網で広く覆われた形態を保っている。

en:Potomac Eagle Scenic Railroad[4]ではF3-8016号がF7とともに観光列車の牽引機として使用されている。なお、F3-8016号は写真の通り側面のフィルター設置形態が特殊でフィルターが5つ設けられたF9から1つ取り除いた感じである。

サクラメントにあるカリフォルニア州立鉄道博物館[5]にはサンタフェ鉄道塗装のF3-347Bが保存されており同じサンタフェ鉄道塗装のF7-347C号(Aユニット)とともに保存されている。

また、F3を改造したFP10(F10)も一部の車両が保存されている。

元メトロノースに所属車の内412号が、en:Adirondack Scenic Railroad[6]に1502号と改番の上、保存。

FP10-4033号がen:Gold Coast Railroad Museum[7]に保存されている。[2]

コロラド州の鉄道en:Rio Grande Scenic Railroad[8]では元F3のFP10-1100号が観光列車の牽引機として使用されており、HPでも運用中の姿が確認できる。

なお、F2は全車解体され現存車はない。

文献資料(日本語)[編集]

関連項目[編集]

脚注[編集]

  1. ^ 英語版でもマサチューセッツ湾交通局に所属時の写真及びメトロノースの車両紹介欄等ではFP10と紹介しているが、メトロノース所属時の写真説明はF10となるなど両方の呼び名が併用されている。
  2. ^ ちなみにGold Coast Railroad MuseumのFP10-4033号紹介ページに原型のF3型の写真があるがフェーズIのAユニットの写真も掲載されており、Aユニットの側面に丸窓が3つ設置された形態や屋根に設置された角ばったファンの形状が確認可能。