緊急列車停止装置
緊急列車停止装置(きんきゅうれっしゃていしそうち、Emergency Brake)は、列車運転中に運転士が失神・睡眠・急病などの異常事態が発生した場合に、自動的に列車を停止させる運転保安装置である。EB装置とも呼ばれる。
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[編集] 概要
15km/h以上で走行中の列車の運転士が、マスコン・ブレーキ・警笛(機関車の場合はこれらに加え、「砂撒き」操作も入る)などの機器のいずれかを1分以上(あおなみ線では30秒以上)操作しないと警報ブザーが鳴動するとともに警報ランプが点灯し、5秒以内にこれらの機器を操作するか、リセットスイッチ(バーまたはボタン式)を操作しない場合、即座に非常ブレーキがかかる。
運転士のみの乗務となるワンマン対応車や、運転士1人のみの乗務が原則となる日本貨物鉄道(JR貨物)の機関車にはEB装置を搭載することが義務付けられている。
従来(国鉄時代)は、機関車や特急用車両のような夜間や長距離無停車の運用が行なわれる車両にのみ装備されていたが、最近のJRや第三セクター鉄道の車両には標準装備される場合がほとんどである。ワンマン運行されない線区の車両への採用は、運転士のみの乗務となる、回送などの非営業運転に対応する目的である。
東日本旅客鉄道(JR東日本)では209系4次車から採用された。209系では南武線仕様の8次車は未搭載、京浜東北線・根岸線用は500番台を除き未搭載である。京浜東北線・根岸線用の500番台は搭載していたものの未使用だったが、2007年(平成19年)4月より使用を開始した。
西日本旅客鉄道(JR西日本)では207系2000番台2次車及び223系2000番台2次車以降から採用された(207系及び223系は後に非装備車への追加設置が行われた)。奈良電車区所属の221系や国鉄型車両の一部にも取り付けられている。
東海旅客鉄道(JR東海)では2006年(平成18年)7月から、「運転士異常時列車停止装置」と名称が変更された。
九州旅客鉄道(JR九州)では、時間の設定を試験的に60秒から40秒に変更した車両がある。
一方で私鉄や地下鉄の場合は、マスコンから手を離すと非常ブレーキがかかる「デッドマン装置」が一般に採用されているが、デッドマン装置とEB装置を併用する事業者も存在する。
[編集] EB装置に関する問題事案
JR福知山線脱線事故以降、国土交通省の省令により、緊急列車停止装置の設置が義務付けられることになった。JR西日本は2010年6月現在で約95%の在籍車両について整備を終えている。しかし、2010年3月31日から4月1日にかけての新聞報道によると、同社が、装置を取り外したままにしていたり、スイッチが切れたりしていた車両を、福知山線や片町線、山陰本線、大糸線などで運用していたことが判明している。同社は事態を重視し、取り付け・取り外しの確認を徹底させるよう運用方針を改正したり、スイッチの点検などを義務付けるなどの対策に乗り出している[1][2]。また、同年7月にも同装置の電源が切れた状態の車両を湖西線や東海道本線、草津線などで運行していた事が判明した[3]。また、山陽本線や山陰本線などで、EB装置の警報スピーカーのカバーの内側に、一部の運転士が音量を絞るために紙などを詰め込んでいたことも発覚している[4]。
また、意図的な取り外しなどによるものではないが、2010年8月26日には、長浜発姫路行新快速として運用中の223系で、運転室の計器類と繋ぐための鎖がEB装置の配線と接触してショートを起こし、EB装置の電源が切れるトラブルがあった。この列車の運転士は、気付かないまま姫路駅まで運転を続けていた[5]。
[編集] 脚注
- ^ JR西日本:緊急停止装置外し運行 福知山線など2編成、点検後再設置怠り 毎日新聞 2010年3月31日
- ^ JR西、緊急停止装置外し運行 スイッチ切れも3件 朝日新聞 2010年4月1日
- ^ JR西:停止装置オフで走行 異常確認後も運行 毎日新聞 2010年8月5日
- ^ 緊急列車停止装置、「うるさい」と詰め物 読売新聞 2010年9月7日
- ^ JR西運転士 緊急停止装置切れたまま電車を運行 産経新聞 2010年8月30日