C型肝炎

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C型肝炎(シーがたかんえん, Hepatitis C, HC)とは、C型肝炎ウイルス (HCV) に感染することで発症するウイルス性肝炎の一種である。

目次

[編集] 病原体

フラビウイルス科へパシウイルス属に属するC型肝炎ウイルス (Hepatitis C Virus; HCV) である。

[編集] 感染・経過

HCVは血液が主な感染経路である。かつては輸血による感染が多かったが、先進国では検査体制が確立したためほとんど見られない。現在は針刺し事故や覚醒剤注射の回し打ちなどが主であるが、臓器移植によるものも見られる。性行為や母子感染はまれ。また、最近の刺青業者は衛生面に気を遣っているようだが、昔は針の使い回しが多く、刺青を入れた年代によっては感染の危険性が高い。現在の日本のHCV感染者数は約200万、世界では1億7千万(世界人口の3%近く)がキャリアであると見られている。

HCVは感染しても肝炎を発症しないことがある。これはHCVに感作された細胞障害性Tリンパ球が肝細胞を傷害するためではないかと考えられている。急性肝炎発症後もALTが高値を保ち、HCV RNAも陽性のまま持続して慢性肝炎に移行する例が多い。ALTが正常値を示した場合は通常HCV RNAも陰性となって治癒するが、HCV RNAが陽性で無症候性キャリアとなる場合もある。遷延化して慢性肝炎となる割合は70〜80%に及ぶ。なお、初感染で劇症化する例はまれである。

[編集] 症状

急性肝炎
自覚症状は比較的乏しい。発症初期に発熱全身倦怠感、その後食欲不振悪心嘔吐が出現する。黄疸となる可能性もある。
慢性肝炎
自覚症状は少なく、全身倦怠感、食欲不振、易疲労感などを認めることがある程度である。

[編集] 診断・検査

急性肝炎
問診
発症前6ヶ月間に輸血注射手術、針刺し事故、覚醒剤注射などの感染の原因となりうることがあったかどうかを確認する。
血液検査
まずIgM型HA抗体、HBs抗原、IgM型HBc抗体、HCV抗体を検査する。A型肝炎B型肝炎が除外できたらHCV-RNAを検査し、HCV抗体が低力値か陰性であればC型急性肝炎と診断する。HCV抗体が陽性であった場合は数ヵ月後に再度測定し、抗体値が上昇すれば急性肝炎、上昇しなければHCVキャリアの急性増悪とする。
慢性肝炎
まず、HCV抗体の検査を行い、抗体が陽性の場合、HCV-RNAの検査を行うのが基本である。HCV抗体が陽性でも、HCV-RNAが陰性の場合は、この病気ではない。既往症と診断する。
  • 感染確定後の継続検査
    肝硬変肝癌の早期発見により適切な治療を行うため、肝機能がよくとも定期的に医療機関に受診することが勧められている。

[編集] 治療

抗ウイルス療法
インターフェロンを投与する。慢性肝炎ではインターフェロン単独投与とインターフェロン+リバビリン併用療法が原則的な治療法である。現在ではポリエチレングリコール付加インターフェロンα(PEG-IFN alfa)とリバビリンの併用が中心となっている(ペグイントロン®+レベトール®、ペガシス®+コペガス®)。また、2008年4月から、インターフェロンとVRAD(ウイルス除去療法または血液浄化療法)を併用する治療が保険適用となった。
HCVジェノタイプⅠ型患者で、インターフェロン製剤・リバビリンの用量による治癒率に有意差はなかったとの報告がある。[1]
対症療法
急性肝炎で消化器症状が強ければ栄養補給を行う。
肝庇護療法
慢性肝炎で上記の抗ウイルス療法の予後が良くない場合、あるいは医師の判断によっては、肝機能を改善するための投薬が行われるケースもある。
主な薬品としては、グリチルリチン強力ネオミノファーゲンシー®)、ウルソデオキシコール酸ウルソ®、ウルソサン®)、肝臓加水水解物プロヘパール®など)、小柴胡湯といった漢方製剤が用いられる。
その他
血中の鉄分が肝機能に悪影響を与えるとし、瀉血療法を用いることもある。

[編集] 予後

慢性肝炎を発症した場合は20年で約60%が肝硬変へと進展する。肝硬変になった後は年間7〜8%が肝細胞癌に進展する。肝硬変に至る前は肝細胞癌への進展率は低い。

慢性肝炎例に対するインターフェロン療法は、リバビリン併用やインターフェロンのペグ(ポリエチレングリコール)化などによって治療成績が改善し、難治性の遺伝子型1b型高ウイルス量症例では5割が、2型もしくは1b型低ウイルス量症例では9割近くがウイルス学的著効が得られるようになった[2]

[編集] 予防

  • 針刺し事故では速やかに傷口を洗い流す。
  • 針刺し事故後に予防的にインターフェロンを投与することもあるが、急性肝炎発症率は1%程度と低いので必ずしもやらなくてよい。現在C型肝炎ワクチンの研究開発中である。

[編集] 歴史

  • かつてウイルスが同定されなかった時期は非A非B型肝炎と呼ばれていた疾患の1つである。1989年にChooらが患者の血漿をチンパンジーに接種し、その血漿中からウイルス遺伝子をクローニングすることで初めて同定された。
  • ウイルスが同定されないうちは輸血が主な感染経路であり、全体の約70%を占めていた。
  • 血液製剤からの感染により、血友病患者の罹患率が高くなっている。
  • 血液製剤は、非血友病患者にも投与された。非血友病患者に対する血液製剤(フィブリノゲン製剤、第IX因子製剤)の投与によるC型肝炎感染については、国と製薬会社を相手とする訴訟(薬害肝炎訴訟)が起こされている。
  • HCVコア蛋白質の一部がに移行して分解され、脂肪合成を促すこと。プロテアソームアクチベータはコア蛋白と結合したPA 28γを分解する。ノックアウトマウスCoreTg/PA28γは脂肪変性も肝発癌もしない(PNAS 2007; 104:1661-1666)。

[編集] 日本において

日本ではインターフェロンが効きにくい1b型が70〜85%を占める。以降2a型が10〜15%、2b型が約5%で他のタイプはまれである。 ただし、血友病患者では1a型が多い。これは血友病患者がC型肝炎に罹患する原因となった血液製剤の輸入元であるアメリカでは1a型が最も多いことに由来する。200万人程度の感染者がいるとされている。

[編集] 脚注

[編集] 関連項目

[編集] 外部リンク