BANANA FISH

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BANANA FISH
ジャンル アクション、ハードロマン
漫画
作者 吉田秋生
出版社 小学館
掲載誌 別冊少女コミック
レーベル フラワーコミックス
発表号 1985年5月号 - 1994年4月号
巻数 全19巻(フラワーコミックス)
全12巻(小学館文庫
テンプレート使用方法 ノート

BANANA FISH』(バナナフィッシュ)は吉田秋生による漫画作品。『別冊少女コミック1985年5月号〜1994年4月号にて連載された(1994年6月号、8・9月号、1995年1月号にて番外編掲載)。コミックス全19巻、文庫版全12巻(内番外編1巻)が刊行されている。

また、本作を元にしたラジオドラマも制作され、2005年2009年にはアクサル(Axle)により舞台化もされている。

目次

[編集] あらすじ

1973年6月、ベトナム戦争のさなか、ある若いアメリカ兵が突如、同じ分隊の兵士たちに自動小銃を発砲するという事件が起こる。その場に居合わせた彼の仲間で友人のマックス・ロボは、咄嗟の判断で彼の足を狙撃し取り押さえる事に成功する。彼がこの事件をおこしたのは粗悪な麻薬の摂取によって精神障害を発症した結果によるものと判断されたが、ロボは自身が取り押さえた時、友人が「バナナ・フィッシュ」という謎の言葉[1]をつぶやくのを耳にし、不可解な単語にその後も意識をとらわれ続けることとなる。

その12年後、ニューヨーク市ストリートギャングボスアッシュ・リンクスは、手下に殺された見知らぬ男がいまわの際に「バナナ・フィッシュ」という単語を口走ったことに疑念を抱き、事件の背景を探り始める。その言葉は廃人同然となった兄が口にするうわ言と全く同じものであり、実はかつてベトナムで仲間を襲ったアメリカ兵はアッシュの兄グリフィンその人であった。更にその時は知るすべもなかったが、その男が殺されたのはかつてアッシュを支配し、現在も歪んだ愛欲から彼を掌握しようとするコルシカマフィアのゴルツィネの命によるものだった。

その頃、日本からはフリーカメラマンの伊部が助手の奥村英二を伴い、ストリート・ギャングの取材の為にニューヨーク市を訪れていた。彼らは取材対象としてアッシュに出会った後マフィアに襲撃され、図らずも危険な暴力の支配する世界に巻き込まれていく。やがて兄の復讐と自由を求めるアッシュ、一人調査を続けていたロボ、無関係ながら後に引けなくなった伊部と英二らは協力し合うことになり、共に「バナナ・フィッシュ」の謎を追ううちに、コルシカ系の財団とCIA、そしてタカ派の連邦上院議員の間で秘密裏に進められていた恐るべき化学兵器開発プロジェクトの存在を知ることになる。ストリート・ギャングの抗争と連邦政府内部の陰謀、さらにコルシカ人財団や香港系の華僑の内紛などが複雑に絡み合い、事態は予想を超えた展開を見せる。


注意:以降の記述で物語・作品・登場人物に関する核心部分が明かされています。免責事項もお読みください。


[編集] 登場人物

[編集] 主人公とその友人たち

アッシュ・リンクス(Ash Lynx)
本作の主人公。17歳(初登場時)~19歳(最終回)。「アッシュ(灰)・リンクス(山猫)」は通称であり、本名はAslan Jade Callenreese(アスラン・ジェイド・カーレンリース、物語中盤でディノ・ゴルツィネとの間に養子縁組が成立し、以降の姓はゴルツィネとなる)生年月日は1968年8月12日生まれ。身長 5フィート12インチ(約182.4cm)体重 150ポンド(約68.3kg)マサチューセッツ州ケープコッド出身。母は幼い頃に失踪し、父は実家で小さなダイナー酒場を営んでいる。
ニューヨークスラム街のストリートキッズ(不良少年)を統括するボス。金髪、緑の瞳の並外れて整った容姿とIQ180以上(マナーハイムの調査では210)の頭脳、人の上にたつ圧倒的なカリスマ性を持ち、運動神経も抜群。射撃の腕は一流でナイフ扱いも上手い。
兄グリフィンを廃人同然にした「バナナフィッシュ」の謎を追ううちに、自らを男娼としていたディノと敵対することになる。孤独と幼少時からの精神的外傷(作中では、7歳の時に性犯罪の被害に遭っている。)、自己嫌悪、罪悪感に苛まれながらも配下・敵の前では常に冷酷非情とも取れる強い態度を崩さない。英二と出会い無償の愛情を知ることで癒され、彼だけが心の救いとなり、命を掛けて守ろうとする。しかし同時に、英二の存在が最大にして唯一の弱点となってしまうことになる。
奥村 英二(おくむら えいじ)
カメラマン助手として伊部と共にストリートキッズの取材をした際アッシュと知り合った大学生。アッシュより2歳年上だが、元々童顔なのに加え、東洋人であるためアメリカでは5歳は若く見られている。アッシュが信頼し唯一心を許す人物。アッシュの最も大切な存在として敵に狙われることも多く、彼の弱点ともなってしまうが、英二もアッシュを真に理解し救いたいという意思を持ち、その一心から行動を共にする。アッシュとは対照的に明るく穏やかな性格だが、無鉄砲で頑固な面も。
島根県出雲市出身。実家には妹が一人いる。高校時代はインターハイで2位になるほどの実力を持つ棒高跳の選手であったが、怪我のため跳べなくなった。本作より前に発表された短編「Fly boy,in the sky」に既に登場しており、この時点では島根県在住の高校2年生であった。
本編の最終話から7年後を描いた後日談「光の庭」ではマンハッタンでカメラマンとして独立。定期的に個展を開くなどかなりの売れっ子となっている。
伊部 俊一(いべ しゅんいち)
英二と同じく短編「Fly boy,in the sky」で初登場。この時点では美大の3年生であったが、英二をモデルとしたキヤノン A-1の広告写真で認められてその後、プロのカメラマンとなった。本作にはカメラマンとして登場。マックスとは友人同士。怪我のせいでスランプに陥っていた英二を伴ってニューヨークに取材のため訪れたことから事件に巻き込まれる。英二の兄貴分で、多少過保護な面も見られる。
マックス・ロボ
本名マックス・グレンリード。元アメリカ陸軍軍人、後にニューヨーク市警警官を経てフリージャーナリストとなる。アッシュの兄グリフィンとはベトナム戦争での戦友であったが例の事件の後顔を合わせる事はなかった。その事を後に出会ったアッシュに責められるが本人も気に病んでおり、単身事件に関する情報を集めていた。刑務所で知り合ったアッシュと共にバナナフィッシュを追い、作品の途中からニューズウィーク誌の契約記者となる。
自身の著述に関してはアッシュから「ルポよりコラムの方が面白い」と評される(本人はやや不本意)。
グリフィン・カーレンリース
アッシュの兄。物静かで大人しい詩人タイプの人間だったため、凄惨を極めるベトナムの戦場に耐えられずドラッグに手を出した。それがエイブラハム・ドースンがもたらした「バナナ・フィッシュ」であったため精神を破壊され廃人同然となってしまう。その後入院していた病院からアッシュによって連れ出され、彼の看護を受けながら十年間後遺症に苦しむが、一時的に匿われていた町医者の元を訪れた英二を尾行してきたエイブラハムに発見され動揺した彼に撃たれて死亡する。
ジェシカ・ランディ
マックスの元妻で雑誌記者。マックスと一度離婚し、彼との間に生まれた一人息子のマイケルを育てている。非常に気丈な上タフで、ある事件から精神・肉体共に大きな傷を負うも、後には武器を手に戦闘に加わる。
アッシュらと共にバナナフィッシュを追ううちにマックスとの愛情を再確認し復縁する。

[編集] コルシカ・マフィア

ディノ・ゴルツィネ
コルシカマフィアのボス。後にアッシュの養父となる。バナナフィッシュを用いてアメリカ政財界の支配を目論む。少年愛の性癖があり、かつてはアッシュを寵愛してその才能を見抜き後継者として育てていたが、同時に男娼として商売に利用もしていた。アッシュが背いて以降も彼に対し愛憎入り混じった感情を抱き続ける。コルシカマフィアの中でも傑物ではあるが、アッシュに惹かれてしまった為歯車が狂うことになる。
フレデリック・オーサー
アッシュと敵対する不良少年達のボス。コルシカ・マフィアと手を組み、アッシュを倒そうと目論む。過去に戦った際に指を傷つけられ銃器が使えなくなったことへの恨み、ゴルツィネが重用することへの妬みなどから、卑劣な手段でアッシュを抹殺しようと企む。ナイフでの決闘の際には互角に近い戦いをした。アッシュには軽くあしらわれる描写も多かったが、大統領首席補佐官などとも堂々と渡り合えるタフさと野望も持つ才覚の持ち主。
エイブラハム・ドースン
アレクシスの弟で同じく科学者。ユダヤ系。優秀な兄に対するコンプレックスがあり、兄が破棄しようとしたバナナフィッシュを密かにゴルツィネに売り渡してしまった。その後、コルシカ・マフィアの研究所で兵器としてのバナナフィッシュの改良に取り組む。ベトナム戦争に従軍した際、からかわれた腹いせに仲間の兵士をバナナフィッシュの実験台にしていたが、その中にはアッシュの兄であるグリフィンも含まれていた。彼に関しては完全に手違いでありアッシュに知られた際にもその様に弁明をしたが、復讐に燃える彼が耳を貸すことはなく容赦なく射殺される。
マナーハイム
国立精神衛生センターの所長。囚人を使ってバナナフィッシュの人体実験を行った。典型的なマッド・サイエンティスト。バナナフィッシュが人を容易にコントロールする事を可能にする反面高い知性や専門性が損なわれる事を遺憾に思っており、更なる改良の為の実験体としてアッシュの優秀な頭脳を欲する。
ブランカ
かつてアッシュに戦闘技術を教えた家庭教師の一人で、かつてアッシュが唯一心を開きかけた人物。その後カリブで隠遁生活を送っていたが、ディノがアッシュを捕らえるために呼び戻される。温厚な性格(少なくとも表面的には)であり常に飄々とした態度を崩さないが、アッシュすら手も足も出ず圧倒されるほどの実力があり、単純な戦闘能力では確実に本作中最強。
本名はセルゲイ・ヴァリシコフ。かつてKGB中佐だったが、政治犯の娘であった妻ナターシャ(ナタリア・カルサヴィナ)の死がKGBの手によるものと知り、国と名前を捨てた。「ブランカ(白)」のコードネームはナターシャの出身地白ロシア(現在のベラルーシ)にちなむ。
ファンブックでの対談では女性キャラクターであったが、デザインでアッシュとのベットシーンが描かれ、当時の担当編集者が生々しいとの事で男性へ変更されている。
エドアルド・L・フォックス
ディノに雇われたフランス傭兵部隊の隊長。ゲリラ戦エキスパート人質の耳を切り取るなどサディスト的性質を色濃く有し、同性愛志向を持つ。公式記録ではザイールキンシャサ上空で部隊もろとも死亡した事になっている。

[編集] 華僑

李月龍(リー・ユエルン)
アメリカ名はユーシス。整った顔立ちで長髪である為、女性に間違えられているシーンがある。6歳の頃からの学習により数万種の薬草劇薬に関する知識に長けており、バナナフィッシュの組成についてもアッシュとは別の方向から核心に迫る。チャイニーズ・マフィアを支配する李家の末弟だが、自分の母親を殺した異母兄達を抹殺し実権を握る。自分と似たような境遇にありながら英二という無二の存在を得ているアッシュに羨望と嫉妬の入り混じった感情を抱き敵対する事となる。英二に対しても強い憎しみを持ち命を狙う。
シン・スウ・リン
ショーター亡き後のチャイニーズ達のボス。あどけない子供のような風貌でありながら優れた才気・指導力を持つと同時に世話好きな性格でもあり、また俊敏で行動力がある。窮地に陥っても強気で明るさを失わない。ショーターが殺された直後はアッシュを激しく憎悪したが、真相を知って以降アッシュ、英二に協力的になる。本編終了後、急激に背が伸びる。筆者が後に発表した作品「YASHA-夜叉-」「イヴの眠り 」にも重要人物として登場する。後に「光の庭」に登場した伊部俊一の姪である暁と結婚。
ラオ・イェン・タイ
シンの異母兄で同じくチャイナタウンのストリートキッズ。親友ショーターの死の真相をシンに聞かされてもなお、アッシュに疑惑と不信感を抱き続ける。物語最終回にシンのためと称してアッシュに対して行なった行為は、既にシンはアッシュがショーターをやむを得ず殺害した事を赦しており、アッシュもシンに対して害意を一切抱いておらず【反論;シンの手下2名が李月龍の命でアッシュと英二を襲い怪我をさせたことに対するオトシマエとして、アッシュとシンが1;1の決闘をする約束になっており(シンが申し出、アッシュが受けた。実力差から言って、アッシュの勝利は確定、シンの公開処刑のようなもの)、その後アッシュがシンを許し、決闘は行わないことになっていたが、シンと絶縁していたラオはそのことを知らなかった。】、読者から「シンがアッシュに傾倒しつつある事に対する嫉妬の発露」と捉えられて批判が集中、作者も単行本後書にて「こいつ(ラオ)ひどい言われよう…」と嘆いている。

[編集] ストリート・キッズ

ショーター・ウォン
少年刑務所時代からのアッシュの親友。中国系アメリカ人。ニューヨークのチャイナタウンにおける不良少年達のボスだった。気さくな性格で仲間想い。ゴルツィネ達の手によってバナナフィッシュを投与され、英二を殺すように暗示をかけられてしまい、アッシュの手によって殺される。
実家は中華料理店で、姉のマーディアが切り盛りしている。本人の料理の腕は英二によるとまずいらしい。
アレックス
ニューヨークの不良少年でアッシュの片腕的存在。ブロンドに灰色の瞳を持ち、釣り目で鋭い顔立ちが特徴。アッシュ不在のときは彼がグループをまとめることも。その際にはナンバー・ツーらしく冷静で適切な判断力を見せるが、挑発されるとついカッとなってしまう事もある。
スキップ
アッシュの子分。小柄な黒人の少年で年齢的にはまだ10代前半~中頃に見える。仲間達も認める人柄の良さでアッシュの傍にいる機会が多かったが、アッシュをかばって撃たれ死亡。
ボーンズ
痩せ型で背の低いアッシュの子分(十代前半とみられる。)。かつてアッシュを起こそうとして殴られて前歯を折られたことがある。コングとは始終行動を共にしている。
コング
黒短髪の大男でアッシュの子分。あまり頭のできは良くないが気が良い。我慢強い性分ではない事を自覚しており、それが必要な際にはアレックスにもその事を注意されている。
ケイン・ブラッド
黒人達のグループ「ブラック・サバス」のボスで「ブラッディ・ケイン」の異名を持つ。オーサーの卑怯なやり方を嫌いアッシュと共同戦線を張ることに。常にサングラスをかけており容姿は強面だが人情にも篤く男気がある。

[編集] ニューヨーク市警

ジェンキンズ
カリフォルニア物語」から引き続いて登場。ニューヨーク市警の警部。大の甘党糖尿病に悩む一方、次々と事件を起こすアッシュにも心を痛めるが、性的暴行の被害者であった彼に理解も示し、救おうと奔走する。刑事コロンボを髣髴とさせる外見が特徴。
チャーリー・ディキンソン
「カリフォルニア物語」から引き続いて登場。マジメな優等生タイプの21分署刑事。ポリス・アカデミー時代からのマックスの友人でもある。ジェンキンスらに「坊や」と呼ばれるほど未熟なところがあり、優しくお人好しな性格。ショーターの姉マーディアと深い関係になっている。

[編集] その他

アレクシス・ドースン
カリフォルニア大学に勤務する病理学者。学生時代にバナナフィッシュの原型となる薬物を偶然、生成してしまう。金が必要だったためにそれを売ってしまうが、バナナフィッシュの恐ろしさを知った後は弟に残った薬を破棄するように命じ、自身も表向きにはそのようにしていた。しかし科学者としての好奇心は抑え切れず、わずかに残しておいたバナナフィッシュを使って秘かに研究を続けていた。後に悪性腫瘍の研究者として全米で知られた存在となるが、バナナフィッシュを巡る陰謀に再び巻き込まれる。

[編集] ラジオドラマ

1994年の初夏と1995年の初夏に、NHK-FM青春アドベンチャー」枠内で放送された。

[編集] キャスト

[編集] 登場人物のモデル

各人物のモデル(キャラクターデザインのモチーフ)として、『オフィシャルガイドブック BANANA FISH REBIRTH』(2003年小学館刊)中において作者自身が「当初アッシュはステファン・エドバーグ、英二は野村宏伸、オーサーはスティングだった」と明かした。

[編集] 脚注

  1. ^ この単語はJ・D・サリンジャー短編集「ナイン・ストーリーズ」に納められた短編"A Perfect Day for Bananafish"(邦題:「バナナフィッシュにうってつけの日」「バナナ魚日和」など)に由来すると本作の中で語られている。本作ではバナナフィッシュを「見ると死にたくなる魚」とされている。なお、サリンジャーの短編は、ある青年がバナナを見ると見境無く食べてしまう架空の魚「バナナフィッシュ」についての会話を見知らぬ少女と交わした後、拳銃自殺するという筋書きであり、「見ると死にたくなる」という記述は存在しない。
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