An-72 (航空機)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動: 案内検索

An-72

エストニアのAn-72

エストニアのAn-72

An-72(アントノフ72;ロシア語:Ан-72スィェーミヂスャッドヴァー)は、ソ連のアントノフ設計局(現ウクライナANTKアントーノウ)が開発した双発短距離離着陸ジェット輸送機である。NATOコードネームは「コーラー」(Coaler:石炭商)。

概要[編集]

正面から見たAn-72

軍用輸送を主目的に1970年代に開発された。初飛行は1977年12月22日An-74はAn-72の後期生産型/民間型といえるものであり、さまざまな派生型がある。

兵員などを輸送する場合にはキャンパスシートを用いることで68人、空挺部隊ならば57人を乗せることが可能である。このAn-72ならびにAn-74はSTOL輸送機であり、そのためにコアンダ効果によるパフォーマンスを向上させるために、押し上げる翼の上面の上に吹きつけられる(USB方式)ように、エンジンを主翼の上面に設置している。

このような輸送機のコンセプトはアメリカ合衆国も開発しており、ボーイング社がYC-14としてAn-72よりも早い1976年8月に初飛行したが、アメリカの方は計画が中止されたので、世界で唯一のUSB方式による実用輸送機である。そのため極地砂漠など環境が苛酷な地域で運用できる商業的な貨物機として成功しており、各種の派生型が存在している。

胴体後部にランプを持ち、尾翼はT字尾翼。主脚は胴体側面のバルジに収容される。

現在は、ウクライナのハルキウにあるハルキウ航空機工場で開発が続けられている。

正面から見るとエンジンが大きな耳のように見えることから、「チェブラーシカ」(ロシアの絵本・アニメのキャラクター)の愛称で呼ばれる。 他の旧ソビエト製の輸送機同様に未舗装の滑走路での短距離離発着能力を持つ。その為、1997年と1998年のパリ・ダカールラリーでは2機のAn-72が使用され、1999年には合計4機がラリーで使用された。

派生型[編集]

An-72
原型機。(コーラーA)
An-72A
軍用輸送機。原型機よりも2mストレッチされている。(コーラーC)
An-72P
洋上哨戒機型。23mm機銃などを装備。1990年代に開発。
An-74A
後期生産型/民間型。
An-74T
An-74TK-100
An-74P-200D
An-74TK-300
An-71
空中早期警戒機

諸元・性能[編集]

三面図

出典: Aerospaceweb.org (2011年4月21日). “Aerospaceweb.org - Aircraft Museum - An-72 / An-74 'Coaler'” (英語). 2011年12月26日閲覧。
fas.org (2000年6月17日). “An-72 COALER (ANTONOV)” (英語). 2011年12月26日閲覧。

諸元

性能

  • 最大速度: 705 km/h (381 kn)  ※ 高度10,000 m (32,810 ft) 時
  • 巡航速度: 600 km/h (320 kn)
  • 航続距離:  
    • フェリー時: 4,800 km (2,600 nmi)
    • 最大積載時: 800 km (430 nmi)
  • 実用上昇限度: 11,000 m (36,000 ft)
  • 離陸滑走距離: 400–450m (1,300–1,480ft)
  • 着陸滑走距離: 350–400m (1,150–1,300ft)


お知らせ。 使用されている単位の解説はウィキプロジェクト 航空/物理単位をご覧ください。
主な中型戦術輸送機の比較
C-1
日本の旗
G.222
イタリアの旗
C-27J
イタリアの旗
C-295
スペインの旗
An-26
ソビエト連邦の旗
An-72
ソビエト連邦の旗
乗員 5名 4名 3名 2名 5名 3〜5名
全長 29.0 m 22.7 m 24.50 m 23.80 m 28.07 m
全幅 30.6 m 28.7 m 25.81 m 29.20 m 31.89 m
全高 9.99 m 9.8 m 8.60 m 8.58 m 8.65 m
空虚重量 23,320 kg 14,590 kg 17,000 kg 11,000 kg 15,200 kg 19,050 kg
最大離陸重量 38,700 kg 28,000 kg 30,500 kg 23,200 kg 24,000 kg 34,500 kg
最大積載量 8,000 kg 9,000 kg 11,500 kg 9,250 kg 5,500 kg 10,000 kg
発動機 P&W JT8D ×2 GE T64-GE-P4D ×2 RR AE 2100-D2A ×2 P&Wカナダ PW127G ×2 プログレスAI-24VT ×2 I-P D-36 ×2
ターボファン ターボプロップ ターボファン
巡航速度 650 km/h 439 km/h 583 km/h 480 km/h 440 km/h 600 km/h
航続距離 0 t/2,400 km
6.5 t/2,185 km
8 t/1,500 km
フェリー時/4,633 km
9 t/1,371 km
フェリー時/5,926 km
6 t/4,260 km
11 t/1,852 km
フェリー時/5,220 km
4.5 t/4,300 km
9.2 t/1,445 km
0 t/2,550 km
5.5 t/1,100 km
フェリー時/4,800 km
10 t/800 km
最短離陸
滑走距離
460 m 662 m 580 m 670 m 1,240 m 400 m
初飛行 1970年 1999年 1997年 1969年 1977年

運用者[編集]

民間[編集]

2006年の時点で合計51機のAn-72とAn-74が運用されている。主な運行会社はBadr Airlines (3), Air Armenia (3), Enimex (5), Gazpromavia (12), とShar Ink (8)である。他に17社が少数の運用を行っている。[1]

アルメニアの旗 アルメニア
エストニアの旗 エストニア
ラトビアの旗 ラトビア
フランスの旗 フランス
メキシコの旗 メキシコ
ロシアの旗 ロシア
スーダンの旗 スーダン
ウクライナの旗 ウクライナ

軍用[編集]

アンゴラの旗 アンゴラ
エジプトの旗 エジプト
グルジアの旗 グルジア
イランの旗 イラン
リビアの旗 リビア
モルドバの旗 モルドバ
ペルーの旗 ペルー
  • ペルー空軍 – 2 (1990年代末まで運用、その後民間市場へ売却)
ロシアの旗 ロシア
ウクライナの旗 ウクライナ

など

関連項目[編集]

出典[編集]

脚注
  1. ^ Flight International, 3–9 October 2006
文献
  • Gunston, Bill. The Osprey Encyclopaedia of Russian Aircraft 1875–1995. London: Osprey, 1995. ISBN 1-85532-405-9.

外部リンク[編集]