AVCHD
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
AVCHD(Advanced Video Codec High Definition, エーブイシーエイチディー)とはハイビジョン映像をビデオカメラで記録するための規格の一つであり、パナソニックとソニーの商標である。
目次 |
[編集] 概要
AVCHDは2006年5月に松下電器産業(現:パナソニック)とソニーが基本仕様を策定したハイビジョン動画記録フォーマットである。8センチDVDの記録容量でも十分な高画質の動画が撮影できるよう、映像には高効率符号化が可能なH.264/MPEG-4 AVC方式を採用、音声にはドルビーデジタル(AC-3)方式(LPCM:オプション)を採用、多重化にMPEG2-TSを採用したものである。
またハイビジョン以外に従来の標準方式である480/60iもサポートしている。
AVCHDでは従来のHDV規格などのように1つの記録メディア向けの規格ではなく、ファイルシステムを介して、複数の記録メディアをサポートできるように設計されている。システムビットレートは最大で24Mbps、DVDに記録する場合は18Mbpsまでになっている。
2009年1月27日、720p(1280×720)で撮影するビデオカメラやデジタルカメラ向けに「AVCHD Lite」を追加した。AVCHD規格の一部なのでAVCHD対応プレイヤーなどで再生できる。
パナソニックからは放送向けにフレーム単位での編集性を確保したAVC Intraというフォーマットも発表され製品が発売されているが、AVCHD規格とは無関係である。
[編集] 経緯
- 2006年5月 松下電器産業(現・パナソニック)とソニーが基本仕様策定(DVDメディア用)を発表
- 2006年7月 拡張規格として埋め込み型ハードディスクドライブ(HDD)、SDメモリーカード、メモリースティック PRO対応規格を発表し、同時にライセンスを開始
- 2006年7月 キヤノン、サムスン等企業が規格賛同を表明
- 2006年8月 初のAVCHD規格対応、DVD記録のHDR-UX1がソニーから発売
- 2006年9月 ソニーからHDD記録のHDR-SR1発売
- 2006年11月 AVCHD規格メディア(DVD・メモリーカード等)の再生に対応したプレイステーション3が発売
- 2006年12月 パナソニックからSDメモリーカード記録のHDC-SD1が発売
- 2006年12月 ソニーとパナソニックの両社から、AVCHD規格に対応したBDレコーダーが相次いで発売
- 2007年4月 パナソニックからAVCHD記録SDメモリーカード直接再生に対応したプラズマテレビ・VIERA PZ700シリーズ発売
- 2007年7月 ソニーからメモリースティック記録のHDR-CX7発売
- 2007年8月 キヤノンからDVD記録のHR10発売
- 2007年11月 パナソニックから初のAVCHD対応DVDレコーダー発売
- 2008年7月 ビクター、AVCHDとMPEG-2両フォーマットに対応したフルHDカメラ発売
- 2008年7月 日立初のAVCHD対応(内蔵HDDとSDカードにAVCHD記録)Blu-rayビデオカメラ発表。
- 2009年1月 720p撮影カメラ向け規格「AVCHD Lite」発表。
[編集] 対応機器
- 2009年1月現在、AVCHD対応機器として下記の製品が存在する(発表のみで正式販売前の製品を含む・業務用除く)。
[編集] カムコーダ
| 発売元メーカー | 記録媒体 | ||||
|---|---|---|---|---|---|
| SDメモリーカード | メモリースティック PRO Duo | ハードディスク | 8cmDVD | ||
| ソニー | |||||
| パナソニック | |||||
| キヤノン | |||||
| ビクター | |||||
| 日立 |
|
||||
- (*) HDD・SDカードのみAVCHD規格で記録して、ブルーレイ・DVDに記録する場合はそれぞれのメディアに準拠した規格で記録する。
[編集] デジタルカメラ
[編集] ビデオ編集ソフト
- アップル
- Final Cut Pro(ファイナル・カット・プロ)-Mac用ノンリニア編集ソフト(プロフェッショナル向け)
- iMovie(アイムービー)-Mac用ノンリニア編集ソフト(コンシューマ向け)
- カノープス
- EDIUS(エディウス)-Windows用国産ノンリニア編集ソフト
- コーレル
- VideoStudio(ビデオスタジオ)-Windows用ノンリニア編集ソフト
- CyberLink
- PowerDirector(パワーディレクター)-Windows用ノンリニア編集ソフト
- Adobe
- Adobe Premiere(アドビ・プレミア)-Windows・Mac用ノンリニア編集ソフト(Premiere Pro CS4 / Premiere Elements 7 より対応)
AVCHDの編集に対応しているノンリニア編集ソフトとして、カノープスのEDIUSシリーズやアップルのFinal Cutシリーズ、コーレルのVideoStudioシリーズ、PowerDirectorシリーズなどがある。圧縮率が高いAVCHDは高性能なパソコンでもネイティブコーデックのまま編集ができない。そこで独自コーデックに変換してハイビジョン画質のまま快適なリアルタイムの編集を行うことができる。EDIUSはCanopus HQ、 Final CutはProRes 422に変換をする。VideoStudioは、中間のSD画質であるプロキシファイルを生成して編集する。それぞれパソコンの負荷が軽減するメリットがあるが、カラー調整などの細かな編集には向かない。
[編集] オーサリングソフト
- コーレル
- DVD MovieWriter - Windows用マルチメディア編集・オーサリングソフト
[編集] エンコードソフト
- ペガシス
- TMPGEnc 4.0 XPress(v4.5以降) - Windows用国産ビデオエンコードソフト
最新アップデートでAVCHDの入力に対応し、用途に応じた様々な形式に変換できる。出力は、AVCHDに準拠しないが、H.264/MPEG-4 AVC形式の出力は可能。
[編集] レコーダー
- ソニー(メーカーサイトにリンクが張ってあるのは現行機種。)
- ブルーレイディスクレコーダー
- BDZ-V9/V7
- BDZ-X90/A70/L70/T90/T70/T50
- BDZ-X100/X95/L95/L55/T75/T55/A750/A950
- ブルーレイディスクレコーダー
- パナソニック(メーカーサイトにリンクが張ってあるのは現行機種。)
- ブルーレイDIGA
- DMR-BW200/BR100
- DMR-BW900/BW800/BW700
- DMR-BR500/BR630V
- DMR-BW930/BW830/BW730
- ハイビジョンDIGA
- DMR-XW300/XW100/XW200V
- DMR-XW320/XW120
- DMR-XP12/XP22V
- ブルーレイディスクプレーヤー
- DMP-BD60
- ブルーレイDIGA
- 三菱電機
- REALブルーレイ
- DVR-BZ100
- DVR-BZ200
- REAL DVDレコーダー
- DVR-DW100
- DVR-DW200
- REALブルーレイ
[編集] テレビ
- パナソニック VIERA
- PZ700シリーズ - プラズマテレビ
- PZ750シリーズ - プラズマテレビ
- PZ800シリーズ - プラズマテレビ
- PZR900シリーズ - プラズマテレビ
AVCHDはビデオ記録用としては新しい規格(ディスクメディアが従来のものを使用しているだけで、従来のDVDビデオ規格とはアプリケーションフォーマットが全く異なる)である。そのため本規格に対応していない機器では同方式で記録されたDVDメディアは再生できない。誤って、一般的なDVDプレーヤーなどAVCHD非対応の機器に挿入すると、機器によってはディスクが取り出せなくなる恐れもある。
今後、対応機器は増えていくものと期待され、DVD/Blu-ray Discレコーダーの新製品ではAVCHDで記録されたディスクを再生する機能が搭載されるようになってきた。
[編集] 記録フォーマットについて
上でも一部触れているとおり、販売広告の表現上では「DVDにハイビジョンが録画できる」というものであるが、ここでいう「DVD」とは既成のDVDレコーダーやDVDプレーヤーで録画・再生が可能なものや市販のDVDビデオソフトなどのようなAVCHDが登場するまでの一般的なDVDビデオソフト(厳密な規格区分としてはDVD-Video形式とDVD-VR形式がある)を意味しているわけではなく、記録メディアの物理的な器としてのDVDを表している。
つまりAVCHDディスクとは、従来のDVDビデオソフトとは異なる圧縮方式(コーデック:CODEC)や異なる規格(記録フォーマット)でデータを記録したものを指し、従来のDVD記録方式のカムコーダで作成したディスクと物理的には同じものであるが、論理的に記録されているデータが異なる。つまりこれを通常のDVDプレーヤーで再生することはできない。なお、メーカーは故障の原因となるのを避けるようにと、カタログやWEB等で明記している。
AVCHDでは多重化には従来技術のMPEG2-TSが用いられているが、DVDビデオにおけるMPEG-2圧縮方式の代わりにH.264圧縮方式でハイビジョン動画ファイルを記録する。但し、従来のDVDビデオソフトがMPEG-2ファイルを直接記録しているだけではないのと同様に、H.264のファイルをMPEG2-TSで多重化した上にさらに独自の形式に加工・変換処理したものが記録されている。
上記カムコーダに付属するソフトウェアを用いるか、同一メーカーによるカムコーダに直接接続するDVDライター等を用いると、メニューを含んだAVCHD方式のハイビジョンを再生できるAVCHDディスクを作成することも可能であり、AVCHDカムコーダーからハイビジョン画質を損なわずに、安価な12cmDVD-Rなどへのバックアップ可能なソリューションとなる。
このDVD記録AVCHDカムコーダで撮影時に記録された8cm DVDもファイナライズ後はAVCHDディスクであり、プレイステーション3・BDレコーダー・パソコン等で、ハイビジョン画質で再生できる(ただし8cmメディアに非対応な機器もある)。
AVCHDディスクは国際標準規格として制定されたものではなく、Blu-ray Disc陣営であるソニーとパナソニックが中心となって決められたカムコーダー用デファクトスタンダードであり、各社の付属ソフト等で作成したAVCHDディスクは、8cm・12cmディスクとも互換性がある。将来的にこの方式のハイビジョン映画ソフト等が出現する可能性は低いが、個別のH.264圧縮方式やディスクの論理フォーマット(UDF2.5)などはBlu-ray Disc(BD)やHD DVDでも採用されている一般的な新しい規格であり、各メーカーは今後とも開発・発売されるBlu-ray Disc(BD)レコーダー製品やパソコンでの再生や編集をサポートしていくと明言している。
なお、上記のBD/DVDレコーダーはAVCHDの再生ができるだけで、テレビ放送をAVCHD形式で録画できるわけではない。テレビ放送をハイビジョン解像度でMPEG-4/AVC圧縮記録する規格としてAVCRECがあるが、基本的にはAVCHDとは別個の規格である。
[編集] 関連項目
- High Definition Video(HDV)
- Blu-ray Disc(BD)
- BDMV(BD-Video) - AVCHDで記録されたメディアにはBDMVフォルダが含まれる。
- AVC Intra
- H.264/MPEG-4 AVC - AVCHDで使用しているコーデック
- AVCREC

