AMV装輪装甲車

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AMV装輪装甲車
Patria AMV Karlovac 2009 5.jpg
基礎データ
全長 7.7m
全幅 2.80m
全高 2.30m
重量 16-26t
乗員数 3名+兵員12名
装甲・武装
機動力
整地速度 100km/h以上
不整地速度 10km/h(水上)
エンジン スカニア DI 12 ディーゼル
480hpもしくは543hp
懸架・駆動 6×6もしくは8×8
行動距離 800km
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パトリア AMV(Patria AMV)は、フィンランドのパトリア社が設計した8輪式ないし6輪式の軍用多目的装輪装甲車である。AMVとは"Armored Modular Vehicle"の略称である。

歴史[編集]

AMV装甲車の開発は、1995年フィンランド陸軍司令部が新しい装甲車両のコンセプトの研究をパトリア社に依頼したことがきっかけである。1996年から開発が開始され、既存のPasi装甲車の後継車両には8輪式が最もふさわしいと判断した。

フィンランド軍はパトリア社に対して1999年に正式にコンセプトの研究を発注し、翌2000年に研究が完了した。2001年には試作車の製造と運用試験が開始され、2003年には量産が開始された。

AMVには6輪式と8輪式のほかに10輪式の車両も試作されたが、後に10輪式は製作が中止された。

現在、海兵隊向け高速揚陸装甲車『EFV』開発計画が頓挫したアメリカ合衆国では、老朽化が進むAAV7の代替案として装軌型揚陸装甲車(ACV)開発計画と共にロッキード・マーティン社がパトリア社と組みAMVをベースにした『ハボックAMV』を装輪型揚陸装甲車(MPC)として提案、他の三案と共にトライアルを受けているが、防護力で有利な20トン超級ながら浮航能力も持ってる本装甲車が他案をリードしていると見られている。

概要[編集]

AMV装甲車の最大の特徴は、車体のモジュラー構造化された車体であり、各種の砲塔や兵装、センサー、通信システムを必要に応じて組み合わせて運用することを可能としている。これにより、ほぼ同一の車体構造とパワーパックを持ちながら、装甲兵員輸送車歩兵戦闘車、指揮通信車、装甲救急車、戦車駆逐車自走迫撃砲機動砲車両などの派生形を製造することが可能である。

AMV装甲車の車体はかなり高度な防御力も有しており、10kgまでのTNTの爆発に耐えられるほどの対地雷IED防御能力のほかに、口径30mmまでのAPFSDSの直撃にまで耐えることが可能な前面装甲を有している。

また、機動力もかなり高く、不整地走行においても速度と登坂力、乗員の乗り心地を高いレベルで両立させているほか、車体後部の左右に1基ずつのスクリューを備えており、最大時速10kmで水上航行も可能である。

派生型[編集]

AMV装甲車は、大きく分けて以下の3種類に分類される。

AMV基本型
装甲兵員輸送車歩兵戦闘車、指揮通信車、戦場救急車、偵察車迫撃砲運搬車、対戦車ミサイル車、機動砲車両などに使用される。
AMV SP(System Platform)
基本型よりも車体後部の兵員区画の天井を高くして車内容積を稼いだ型。上級部隊用の指揮通信統制車両や大型の戦場救急車、工作車両などに使用される。
AMV MC(Module Carrier)
車体からエンジン操縦士区画、後部兵員区画を分離するとともに、各種のモジュラーや兵装、そのほかの補給物資などを運搬する。

ポーランド[編集]

KTO ロソマク
オート・メラーラ社製Hitfist-30P砲塔を搭載した、歩兵戦闘車仕様の基本型。砲塔には赤外線暗視装置を組み合わせた先進的な射撃管制装置のほか、Obraレーザー警報装置に連動した発煙弾発射機を搭載している。兵装はATK Mk 44 ブッシュマスター IIチェーンガンUKM-2000C同軸機関銃である。
KTO ロソマク-M1
ロソマクをアフガニスタンでの作戦行動に最適化するように改造した型。防御力強化のために追加装甲を装着しているが、その代償に水上浮航能力が失われている。
運転席前や砲塔にワイヤーカッターを追加したほかに通信装置を改良し、後方・側面監視用のCCDカメラを追加し、兵員区画内に2基のLCDスクリーンを搭載している。この他にも射撃を受けた方角を割り出すPilarシステムが搭載されている。
KTO ロソマク-M3
装甲兵員輸送車仕様。増加装甲などはロソマク-M1と同様の改良が施されているが、兵装はOSS-DオープンターレットMk19グレネードマシンガンブローニングM2重機関銃を搭載する。
KTO ロソマク-WEM(Wóz Ewakuacji Medycznej
装甲救急車。乗員3名のほかに、担架に乗せた3名と座席に乗せた4名の合計7名の負傷兵を乗せることができる。
KTO ロソマク-S
スパイクLR対戦車ミサイルを運用する2個対戦車班が搭乗する、装甲兵員輸送車仕様。
KTO ロソマク-WD(Wóz Dowodzenia
大隊長を搭乗させる指揮通信車仕様。
KTO ロソマク-Łowcza
Łowcza防空システムを搭載した、防空指揮車仕様。

採用国[編集]

AMV装甲車の採用国

フィンランドの旗 フィンランド

XA-180シリーズの後継として86輌を導入。そのうちの62輌はXA-360装甲兵員輸送車であり、Protector M151RWSを介してブローニングM2重機関銃H&K GMWを装備する。残りの24輌はAMOS連装後装式自動迫撃砲システムを搭載したXA-361自走迫撃砲である。

クロアチアの旗 クロアチア

2007年に84輌を発注。2008年12月に42輌を追加発注し、現在126輌を保有。

スロベニアの旗 スロベニア

当初は135輌を発注し、その中の一部はNEMO自動迫撃砲システムを搭載した自走迫撃砲である。後にパトリア社のスロベニア軍将校に対する贈賄疑惑(Patria case)が持ち上がったほか、経済危機により発注を80輌に縮小。

マケドニア共和国の旗 マケドニア

2006年クロアチアでのトライアルの結果から採用を決定(国内ではトライアルができなかった)。発注予定数は不明であるが、あまり多くはない模様。

ポーランドの旗 ポーランド

OT-64 SKOTの後継として採用し、KTO ロソマクポーランド語: kołowy transporter opancerzony Rosomak)として833輌をライセンス生産アフガニスタンに派遣されている国際治安支援部隊にも配備されている。

南アフリカ共和国の旗 南アフリカ共和国

ラーテル歩兵戦闘車の後継として採用、デネル・ランド・システムズ社がライセンス生産し、バジャー(Badger)として264輌を発注。対弾丸・対地雷防御力を向上させる改良を施しており、歩兵戦闘車、指揮通信車、戦車駆逐車、自走迫撃砲、機動砲車両などの派生形が開発されている。

アラブ首長国連邦の旗 アラブ首長国連邦

2008年1月に導入を発表し、初期評価用に15輌を導入。一部はNEMO自動迫撃砲システムを搭載し、その他の車両はBMP-3砲塔を搭載させている。
不採用もしくは先行き不明

スウェーデンの旗 スウェーデン

113輌を発注するが、同国の裁判所が制式採用トライアルのやり直しを命じたため、発注の見通しは不明。

チェコの旗 チェコ

売り込みも行われたが、チェコ陸軍オーストリア製のパンデュールIIを制式採用した。

リトアニアの旗 リトアニア

リトアニア陸軍の新型装甲兵員輸送車/歩兵戦闘車の採用候補の一つ(競合出品はピラーニャIIIとパンデュールII)としてトライアルの最中。

ギャラリー[編集]

クロアチア
ポーランド

関連項目[編集]

外部リンク[編集]