アタカマ大型ミリ波サブミリ波干渉計
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アタカマ大型ミリ波サブミリ波干渉計(Atacama Large Millimeter/submillimeter Array,ALMA) は、チリ・アタカマ砂漠に建設中の、次世代大型電波干渉計である。2002年から建設が始まっており、完成予定は2011年であり、運用開始予定は2012年となっている。
なお、略称 ALMA(アルマ)は、スペイン語で『たましい』や『いとしい人』を意味する単語である。
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[編集] 概要
東アジア(日本・台湾)・北米(アメリカ合衆国・カナダ)・ヨーロッパの国際共同プロジェクトである。アンデス山脈中の標高約5000mの高地砂漠(アタカマ砂漠)に、高精度パラボラアンテナを合計80台設置し、それら全体をひとつの電波望遠鏡として観測可能な開口合成型電波望遠鏡として活用する。観測に用いる波長帯は1cm(30GHz)から0.3mm(900GHz)である。あまりに高い標高に位置し人の常駐が難しいため、ごく少数の人数で運用可能な天体観測施設を目指している。
また、始めに述べたように、電波天文学分野における国際共同利用施設であり、観測テーマに応じた研究計画によって、天体観測研究が行える施設でもある。
[編集] 設置場所について
アタカマ砂漠に設置することが決定したのは、後述する観測対象という点と、砂漠地帯ならば水蒸気の影響を受けないため、高い周波数(短い波長)の電波の観測が可能である点である。特に、高地砂漠の場合には、平野などの低地に比べて比較的高い周波数の電波の観測が容易である。
[編集] 国際共同利用機関としての組織
ALMA計画は、各国を代表する天文学研究組織が、長い時間を掛けて研究開発を行い、推進を行っているプロジェクトである。日本からは国立天文台(NAOJ)ALMA推進室、アメリカ合衆国からは、アメリカ国立科学財団と天文学研究を行う大学連合を中心とするアメリカ国立電波天文台(NRAO)、ヨーロッパ連合からは、南米を拠点に観測を行う天文学研究組織であるヨーロッパ南天天文台(ESO)を中心として実施しているプロジェクトである。
チリ共和国内に設置された、各国中央天文台などからの専門研究者によって組織されている、ALMA合同オフィスが観測計画などの実務を担当する。ALMA合同オフィスは、上部団体として、ALMA評議会、ALMA科学諮問委員会の組織によって管理が行われている。
ALMA評議会は、ALMA計画に参画する各国中央天文台の管理責任者からなる組織であり、会社等で云えば取締役会に相当する。ALMA科学諮問委員会は、ALMA評議会直属の専門委員会であり、ALMA合同オフィスに提出された観測計画や観測利用計画について諮問を行う。諮問の目的は、大型の天体観測施設であり、コスト面などにおける採算面や今後の技術開発、更には合同利用施設建設などの建設を行うために設置されている機関である。
[編集] 沿革
1980年代に日本天文学会の天体電波研究委員会とアメリカ天文学会の天体電波研究連合が相互別々に精度の高い天体電波研究に関する次世代計画のコンセプトを作り上げた。
アメリカ国立電波天文台では、口径10mアンテナ50台のミリ波干渉計による観測計画と、設置場所としてチリのアタカマ高原を提案。アメリカ国立電波天文台では、ヨーロッパ(ヨーロッパ南天天文台:ESO)のチームとカナダの研究者も参加。日本の国立天文台では、口径8mのアンテナ40台のサブミリ波干渉計による観測計画を提案した(これは、1990年代に野辺山宇宙電波観測所にて石黒正人教授(現:ALMA日本プロジェクトリーダー)らが作成した基本構想である)。
北米、ヨーロッパ、日本の学術機関に所属する技術者及び研究者が、国際学会での議論やプロポーザルを実施。1990年代後半には、技術仕様を初めとして、設置場所を含めて、計画としてまとまった。
各国の研究者チームは、それぞれ自国の政府に対して建設予算の要求を実施。参加各国の中央天文台では、第三者評価を行い、それを下にして、財務当局及び立法府へ提案を実施。最終的には各国政府の合意によって現在の計画となるに至った。なお、2001年に計画承認が行われたのは、NRAO・ESO。日本は、所轄官庁である文部科学省では調印が2001年(科学技術政策局長による調印)。国会承認については、行政改革などの様々な事情により遅れたため、最終計画承認は2004年になってしまった(他にも、様々なプロジェクトが影響を受けた)。
装置開発においても、観測機器開発においても、運営計画においても各国が不平等にならないようにするために、ALMA事業委員会及びALMA合同オフィスを設置。そこに、各国の技術者及び研究者が、常勤もしくは非常勤で参加し、現在も準備を進めている。
2004年から装置開発においては、アメリカ国立電波天文台のアリゾナサイトで、国立天文台・アメリカ国立電波天文台・ヨーロッパ南天天文台が開発した口径12mパラボラアンテナのテストをそれぞれ実施した。この実験は2007年で終了。各望遠鏡に基づいて製作した望遠鏡を運用予定順に現地に搬入を実施している。
アメリカ国立電波天文台のVLAや国立天文台野辺山宇宙電波観測所のNMAのような移動型の電波干渉計になる予定である。
日本の担当するアンテナ本体は三菱電機及び電子機器類は富士通で製作しており、ACA用の12mサイズのアンテナ16台のうち4台が2008年に調整を終了している。2011年に全ての観測機器が揃って試験観測を実施し、2012年から本格運用が開始される予定である。
機器調整の状況などを、公に明らかにするため、各国ALMAのサイトで情報公開を実施しているところである。日本では、機器の調整データをALMAサイトで公開、日本天文学会の春季年会中の2008年3月18日には、日本が担当するパラボラアンテナの1台を用いて試験観測中に撮影した、月の電波写真を公開した。
2008年12月19日、日本の製作したACA用の12mアンテナが、ALMAの第1号アンテナとして観測所に引き渡された。
[編集] 性能
口径12mのアンテナ64台と、「アタカマコンパクトアレイ(ACA)」と呼ばれる口径7mのアンテナ12台および口径12mのアンテナ4台からなるシステムとの、合計80台からなる。ミリ波・サブミリ波領域では世界最大の基線長を誇り、分解能・感度ともに世界一となる予定。
ALMA望遠鏡は、18kmの範囲に80台の電波望遠鏡を配置する。ACAは16台のアンテナをコンパクトに配置し、分解能は低いものの、広がった天体構造を高い感度で観測できる。一方で64台の干渉計は広がった天体構造に対する感度はないが、細かい構造を高分解能で観測できる。両者のデータをフーリエ空間上で画像合成することにより、高い感度・高い分解能の双方を備えた信頼性の高い観測結果を得ることができる。
各アンテナには、10の観測周波数帯に対応した10個の受信機が搭載される予定である。このうち国立天文台が3つ、カナダ・米国・オランダ・フランスがひとつずつを担当している。本観測プロジェクトで用いられる、開口合成観測時に基準となる観測時刻を刻む原子時計は、水素メーザー型となる予定である。また、電波分光観測を行う電波分光計は、テスト運用でもXF型及びFX型の両方で機能試験が行われた。最終的には、FX型64台並列型となる予定であるがFPGA型ではなく、最終的には処理解析速度等の関係から、ASIC型になる予定(FPGA型の場合には、ch数が増えると計算速度面などに問題が起こるため。ALMAプロジェクト開始時期に、FPGA型の試作機を製作してテストサイトでは運用試験を行った)。
[編集] 技術仕様
- 共通基本仕様
- 口径:12m電波式天体望遠鏡/開口合成口径 ALMA全体 18km/ACA 600m
- 口径:7m電波式天体望遠鏡
- 光学系:カセグレイン式+ビーム伝送光学系
- 鏡面材質:鏡面アルミパネル+コート
- 鏡面精度:目標値 13μm(日本製作のパラボラ面の実測値は、10μm)
- 鏡面補正:ビーム干渉型ホログラム測定装置(製造時)、衛星ビーム補正装置(運用時)
- 架台:経緯儀式
- 制御:自動制御(ACサーボ制御方式。機械機構はフリクションドライブ機構で実現した)。
- 追尾精度:目標値 0.01秒角(実測値 0.005±0.005秒角)
- 観測装置:超伝導半導体型(周波数が高いため、効率良く電波を受信することを目的としている)。
- 観測補助装置:並列分散型デジタル分光計(FX型及びXF型の並列機)
[編集] 観測対象
ミリ波・サブミリ波という波長の短い電波を使って、銀河の形成、星と惑星系の形成、宇宙における物質進化(有機分子の合成等)などを解き明かすことが主目的だが、その他にも天文学・惑星科学の分野で汎用の装置として活用される。また、南半球のチリに設置されるため、いて座の方角にあって日本からは観測しにくい銀河中心部や、日本からは全く見ることのできない大マゼラン雲・小マゼラン雲など、南天の天体の観測にも適している。
[編集] 建設及び運用体制(予定)
チリ共和国の国立チリ大学内に設置された合同ALMAオフィスを中心として、各国の代表機関の責任者並びに常駐している専門研究者からなる、ALMA評議会、ALMAマネジメント諮問委員会、ALMA科学諮問委員会により、プロジェクトマネジメントを実施。各国が得意とする担当分野を持ち寄り、電波望遠鏡の技術開発、建設計画等のマネジメントを実施。今後の、観測対象や運用に関しても、ALMA評議会の議決を経て採択する予定である。 運用体制に関しては、チリの観測所が観測実施とデータの配布・装置のメンテナンスを行い、東アジア・北米・欧州に設置されたALMA地域センターが各地域における研究者の支援や建設を分担した装置の保守、広報活動を行う予定である。
[編集] 関連項目
[編集] 学問・技術
[編集] 研究推進組織
- 日本国 - 国立天文台
- アメリカ合衆国 - アメリカ国立電波天文台
- ヨーロッパ連合 - ヨーロッパ南天天文台

