四日間の奇蹟

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

四日間の奇蹟』(よっかかんのきせき)は、浅倉卓弥小説、またその小説を原作とする日本映画

小説[編集]

2003年平成15年)1月宝島社から刊行された。第1回『このミステリーがすごい!』大賞の金賞受賞作品。2004年(平成16年)1月に文庫化され、累計127万部。また、瓜生花子の作画による漫画版も発刊されている。

ストーリー[編集]

新進ピアニストとして将来を嘱望視されていた如月敬輔は、留学先のオーストリアで強盗事件に巻き込まれた少女をかばい、薬指を負傷しピアニストの道を絶たれる。両親を失った知的障害の少女・楠本千織を引き取った敬輔は、彼女のサヴァン症候群による優れたピアノの才能を見出し、彼女と各地を演奏して廻ることとなる。

そうして招待された療養センターで敬輔たちは、敬輔の高校時代の後輩だった岩村真理子と出会う。真理子はかつて農家の息子に嫁入りし、子供が出来ないために夫の家族に一方的に離婚を言い出された、という辛い過去の持ち主だった。真理子と親しくなっていく敬輔・千織だったが、落雷による事故に巻き込まれて真理子は意識不明の重傷を負い、その真理子の心が千織の体に宿る。

真理子に与えられた期間は4日間。最期の時が来るまで、真理子は敬輔と共に自分の人生を見つめ直していくこととなる。

映画[編集]

四日間の奇蹟
監督 佐々部清
脚本 佐々部清
砂本量
原作 浅倉卓弥『四日間の奇蹟』
製作 菊池淳夫
間瀬泰宏
岡本みね子
出演者 吉岡秀隆
石田ゆり子
西田敏行
音楽 加羽沢美濃
主題歌 平原綾香Eternally
撮影 坂江正明
編集 大畑英亮
製作会社 「四日間の奇蹟」製作委員会
配給 東映
公開 日本の旗 2005年6月4日
上映時間 118分
製作国 日本の旗 日本
言語 日本語
興行収入 5.1億円[1]
テンプレートを表示

2005年平成17年)6月4日に公開された。監督の佐々部清の出身である山口県下関市豊北町に位置する角島が主な舞台になっている。なお京都唯一の東映直営封切館“大宮東映劇場”閉館最後の上映作品でもある。

映画撮影用に建てられた教会 現在はキャンプ用の施設に再利用されている
「つのしま自然館」は、映画の序盤で真理子(石田ゆり子)と千織(尾高杏奈)が出会う療養所として登場
映画の物語で度々登場する角島灯台 日没とともに三方へ光を放ち始める
ロケで使用された特牛駅。ロケで使われた「伊上畑駅」の看板がある。

キャスト[編集]

如月 敬輔(きさらぎ けいすけ)
演 - 吉岡秀隆
千織の引き取り手。千織からは、“敬パパ”と呼ばれている。敬輔と千織のことをとある新聞記事を見た真理子により依頼を受け、センターでミニコンサートをする千織の付添いで訪れる。真理子の初恋の相手だが、高校時代は天才ピアニストと称されるも練習に追われるあまり彼女のことやクラスメイトの顔も覚えていない。過去の強盗事件に巻き込まれて左手の薬指を負傷し、手術を受けたが曲げられない状態。
岩村 真理子(いわむら まりこ)
演 - 石田ゆり子、(高校時代:松山まみ)、(少女時代:山田果琳
療養センター職員。藤本によると「センターの利用者にとって母のような存在」とのことで、多くの利用者から慕われている。食べ物の玉子が苦手。敬輔と同じ高校の一年後輩で、軽音楽部に所属しホルンを担当していた。敬輔の高校卒業時に、彼がピアノを弾いているすきにこっそり第2ボタンをもらった。敬輔の高校卒業以来12年ぶりに再会する。大学時代は、ワンダーフォーゲル部に所属。銀色の葉に赤いテントウムシがついたブローチ。
楠本 千織(くすもと ちおり)
演 - 尾高杏奈
敬輔と共に生活。敬輔からピアノを教わり曲は弾けるが、彼によると「曲名や作曲者のことは覚えていない」とのこと。人見知りが激しく極端な引っ込み思案な性格だが、真理子とはその日の内に親しくなる。ウサギのぬいぐるみがお気に入り。好物は、オムライス。
長谷川 未来(はせがわ みく)
演 - 中越典子
療養センターの看護師。真理子と親しくしており、職場で一切愚痴を言わずに明るくテキパキこなす彼女を尊敬している。敬輔と千織の2人と親しくなる。しかし落雷事故後の千織が普通に話す所を目撃し「実は敬輔が千織に天才的な障害者のフリをさせていたのでは?」と疑い始める。
倉野 順次(くらの じゅんじ)
演 - 西田敏行
脳科学研究所勤務医。センターに来た敬輔から千織の音楽の才能に気づいたきっかけを聞き、サヴァン症候群について説明する。日々の仕事をしながら、和枝の介護生活を送る。数年前に和枝ととある山に散策に行った帰りに駅で、離婚して夫の家を出た真理子と知り合った。
倉野 和枝(くらの かずえ)
演 - 松坂慶子
医師・倉野の妻。2年前に車が崖から落ちる事故に遭い、現在は研究所のベッドで寝たきりの状態で意識がない。離婚して傷心していた真理子に、自身が身につけていたブレスレットをお守りとして譲った。真理子にとって第二の母のように色々と気遣っていた。
後藤 則幸(ごとう のりゆき)
演 - 西村和彦
真理子の前夫。老舗旅館の長男。真理子が大学生の頃に出会い、結婚した。しかし2年後祖母から、愛する真理子をかばいきれず泣く泣く離婚した。真理子が意識不明になったことを知らされ、研究所に駆けつける。
後藤 小夜子(ごとう さよこ)
演 - 小林綾子
則幸の妻。則幸との間にできた男の赤ん坊を育てている。
藤本 正造(ふじもと しょうぞう)
演 - 平田満
療養センター所長。作中の療養センターは、脳疾患を患った人たちが暮らす施設で家族と一緒に暮らすことができる。倉野夫妻以外で、真理子の結婚・離婚の経緯を知る人物。
萩原 誠(はぎわら まこと)
演 - 鳥羽潤
療養センターの調理師。調理の他配膳業務も担当。無愛想だが優しい性格。未来と交際している。
長谷川 隆(はせがわ たかし)
演 - 石橋蓮司
未来の父。脳疾患により右半身が不自由になった苛立ちからか、気難しい言動をしている。パソコンのタイピングで右手のリハビリをしている。ピアノ曲で一番好きな曲は、「子犬のワルツ」。
岩村秀雄
演 - 小倉一郎
真理子の父。真理子が幼い頃に妻を亡くした後、娘と2人で暮らしてきた。過去の娘の結婚後の宴会の席では人前もはばからず涙した。離婚して出戻った真理子のことを心配しながら亡くなった。
真理子の母
演 - 大沼百合子
故人。真理子が幼い頃に夫と3人で動物園に行った回想シーンに登場。
則幸の祖母
演 - 佐々木すみ江
実質旅館を取り仕切っている存在。高齢なこともあり旅館の跡取りである5代目の誕生を待ち望んでいる。しかし2年経っても則幸・真理子夫婦に子供ができないことに彼女にその責任を押し付けプレッシャーをかける。
則幸の父
演 - 中原丈雄
旅館の嫁として忙しい仕事をすることになった真理子にも思いやりを持って接する。なかなか子供が生まれない真理子にも優しく声をかける。旅館の四代目だが、母(則幸の祖母)の意見には表立って逆らえないでいる。
則幸の母
演 - 宮下順子
則幸と真理子の結婚の席では嬉しそうにしていたが、2年後則幸の祖母と同じく息子夫婦に子供が生まれないことを真理子に原因があると思い不満を募らせる。
後藤則子
演 - 岩本美佑紀
詳細は不明だが、則幸の妹らしき女性。後藤家のご飯の支度などの家事をしている。
新田満
演 - 谷津勲
高齢の患者。言葉が話せない様子。センターで妻の世話を受けながら暮らしている。
老婦人
演 - 山本緑
新田の妻。自身も食事をしながら満の食事の介助をしている。
老人ホームのスタッフ
演 - 岡本麗
センターに来る前の敬輔と真理子が訪れる高齢者福祉施設らしき場所で働き、利用者たちと彼女のピアノを一緒に聽く。
千織の両親(父:永倉大輔)、(母:中村栄子
オーストリアの強盗事件に巻き込まれ、犯人に銃で撃たれる。偶然目の前にいた敬輔に恐怖でその場に立ち尽くす千織を助けるよう頼むが、そのまま息絶える。
市役所職員(演 - 井上肇金子藍
千織を連れて日本に帰国した敬輔に、身寄りがない彼女が児童福祉施設に行くことになることを告げる。
警備員
演 - 田村三郎
センター近くにある脳科学研究所の警備をしている。車でやって来た敬輔にセンターへの行き方を教える。
坂口看護婦
演 - 小林麻子
理学療法士
演 - 竹内和彦
患者
演 - 鈴木信明
患者
演 - 八巻博史
患者
演 - 渡辺直樹[要曖昧さ回避]
患者の家族
演 - 松尾晶代
ヘルパー
演 - 森川絢
警備員
演 - マイケル・リース
警備員
演 - ディーン・マクレラン

スタッフ[編集]

劇中ピアノ曲[編集]

脚注[編集]

  1. ^ 「2005年度 日本映画・外国映画 業界総決算 経営/製作/配給/興行のすべて」『キネマ旬報2006年平成18年)2月下旬号、キネマ旬報社、2006年、178頁。 

関連項目[編集]

外部リンク[編集]