パコと魔法の絵本

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
パコと魔法の絵本
PACO and The Magical Book
監督 中島哲也
脚本 中島哲也
門間宣裕
原作 後藤ひろひと
出演者 役所広司(主演)
アヤカ・ウィルソン(主演)
妻夫木聡
土屋アンナ
阿部サダヲ
加瀬亮
木村カエラ
音楽 ガブリエル・ロベルト
撮影 阿藤正一
尾澤篤史
編集 小池義幸
製作会社 「パコと魔法の絵本」製作委員会
配給 東宝
公開 日本の旗 2008年9月13日
中華民国の旗 2009年3月6日[1]
上映時間 105分
製作国 日本の旗 日本
言語 日本語
興行収入 23.6億円[2]
テンプレートを表示

パコと魔法の絵本』(パコとまほうのえほん)は、2008年公開の日本映画

派生アニメーション作品『いつもワガママガマ王子』についても本項で説明する。

概要[編集]

2004年に全国8都市で公演された後藤ひろひと原作の舞台MIDSUMMER CAROL ガマ王子 vs ザリガニ魔人』を、『下妻物語』や『嫌われ松子の一生』などの監督を手がける中島哲也が、長編日本映画としては初めて3DのフルCGと実写を駆使し、新たな解釈で映像化。

2008年7月29日には東京都内で行われた完成披露記者会見で、約400万円の制作費をかけて作られた高さ3m、幅4.2mの絵本が登場。「世界最大の飛び出す絵本」としてギネスブックに申請された[3]

キャッチコピーは「子どもが大人に、読んであげたい物語。」。

興行成績[編集]

2008年9月13日に日本全国292の劇場で公開され[4]、週末興行成績で初登場2位となった。1位は公開3週目の『20世紀少年 第1章 -終わりの始まり-』が堅守した。客層は男女比26対74で、家族や女性を中心とした広い客層を呼び込み、初日からの連休3日間で382,700人を動員、興行収入467,929,100円を上げた[5]。公開3週目には動員数が100万人に達し、興収は13億円を突破[6]。日本国内の公開年度内最終収益は23.6億円に達した[2]

あらすじ[編集]

そう遠くはない昔、あるところに変人ばかりが集まる病院があった。院内一の嫌われ者で偏屈な“クソジジイ”と呼ばれていた大貫は、ある日パコという少女と出会う。彼女にも意地悪に接することしかできない大貫は、紛失した純金のライターをパコが盗んだと誤解して頬を引っ叩き、泣かせてしまう。

翌日、大貫は再びパコと出会うが、パコは大貫のことを覚えていなかった。パコは事故で両親を失い、彼女だけは奇跡的に助かったが、事故の後遺症でたった1日しか記憶を保てないという記憶障害を持っていたのだ。今日起こった出来事は、明日になれば全て忘れてしまう。その翌日も、何事もなかったかのように大貫に近づいて来たパコだったが、彼が自分の頬に「触れた」ことは覚えていた。

パコと接していくうちに彼女の記憶に“何か”を残すことが出来るかもしれない。彼女のために“何か”出来るかもしれない。そう考えた大貫は、パコのために何か自分にできる事はないかと、病院の皆に頭を下げ、一緒にパコの愛読する絵本の演劇をしたいと懇願する。

キャスト[編集]

括弧内はクリスマスの劇中で演じた役名。

大貫(ガマ王子)
演 - 役所広司
入院患者。浩一のおじで大会社の会長。傲慢で乱暴者。悪態をつき、意地悪ばかりしているため、入院患者からは「クソジジイ」と呼ばれていたが、パコに出会ってから変わっていき、パコのために何か記憶に残せるものを作ろうと、彼女の愛読している絵本の演劇をしようと奔走する。
パコ
演 - アヤカ・ウィルソン
入院患者の少女。交通事故の後遺症で、1日しか記憶が保てない記憶障害を持つ。両親は同じ交通事故で亡くなっている。大貫には最初は意地悪されていたが、ある出来事をきっかけに大貫の良き理解者となる。
滝田(サカナ)
演 - 劇団ひとり
入院患者。消防車に轢かれて怪我を負った消防士。人命救助を生きがいにしている。
龍門寺(ミズスマシ君)
演 - 山内圭哉
入院患者。銃の暴発で怪我を負い、入院しているヤクザ。
木之元(ガマ姫・ガマ王子の母)
演 - 國村隼
入院患者。ジュディ・オング好きのオカマで、子持ち。怪我は治っているが、賠償金を吊り上げるため入院を無理に延ばしている。
室町(ザリガニ魔人)
演 - 妻夫木聡
薬物依存症の入院患者。自殺癖が強く、その度に入退院を繰り返している。子供の頃は売れっこの子役だったため、大人の俳優になりきれないことを悩んでいる。
堀米(ヤゴ)
演 - 阿部サダヲ
神出鬼没で掴み所のない謎の入院患者。空気が読めない。なぜ入院しているのかは不明だが、作中での医者 浅野との会話から精神疾患系での入院患者と推測される。
浩一(アメンボ・ガマ王子の家来)
演 - 加瀬亮
大貫ので、雅美の夫。弱気で妻には頭が上がらない(所謂、恐妻家)。
雅美(沼エビの魔女)
演 - 小池栄子
看護師。浩一の妻で、大貫の甥嫁。悪魔のような性格で、ことあるたびに夫に噛みつく癖がある。金のため大貫に媚びを売る。浩一からは「雅美ちゃん」と呼ばれている。
タマ子(メダカちゃん)
演 - 土屋アンナ
強面で髑髏バラタトゥーを入れた、悪魔のような不良看護師。
浅野(タニシ)
演 - 上川隆也
変装好きで陽気な性格の医者。
包帯バンド
劇中で音楽を演奏する包帯ぐるぐる巻きの入院患者たち。

スタッフ[編集]

主題歌[編集]

受賞歴[編集]

いつもワガママガマ王子[編集]

いつもワガママガマ王子
アニメ:いつもワガママガマ王子
監督 べんぴねこ
アニメーション制作 DLE
製作 「いつもワガママガマ王子」製作委員会
放送局 テレビ東京テレビ大阪
テレビ愛知テレビせとうち
テレビ北海道TVQ九州放送
放送期間 2008年4月 - 2008年9月
話数 17
テンプレート - ノート
プロジェクト アニメ
ポータル アニメ

『いつもワガママガマ王子』(いつもわがままがまおうじ)は、『パコと魔法の絵本』のスピンオフ作品として作成された日本のアニメーション。2008年4月から9月までの月曜20:54 - 21:00に、テレビ東京系列で全17話が放送された。『パコと魔法の絵本』内の劇中劇に登場するキャラクターが登場し、ナビゲーターとしてパコが実写で出演する[12]

キャスト
テレビ東京 月曜日20:54 - 21:00枠
前番組 番組名 次番組
柔道ワールドグランプリへの道
いつもワガママガマ王子

関連商品[編集]

書籍[編集]

著者:関口尚、映画のノベライズ作品。
著者として、パコが読んでいた絵本の作者であり入院患者の一人である「堀米けんじ」の名が書かれている。
映画「パコと魔法の絵本」のオフィシャルブック。ストーリー、キャラクターを写真で紹介し、監督インタビューも掲載。
著者:えんどうしゅうこ、イラスト:マクティコ、スピンオフアニメ『いつもワガママガマ王子』の絵本化作品。

映像作品[編集]

  • パコと魔法の絵本(2009年3月8日、アミューズソフトエンタテインメント
    • 通常版DVD DSL-10015:映画本編(視聴覚障碍者向けに、場面説明音声、セリフ字幕、場面説明字幕を収録)
    • 特別版DVD 2枚組 DSL-10016:映画本編、メイキング、主題歌PV、予告、CM
    • Blu-ray DSL-10017:映画本編
  • メイキング オブ「パコと魔法の絵本」と「いつもワガママガマ王子」(2008年8月30日、よしもとアール・アンド・シー)YRBN-90023
『いつもワガママガマ王子』の1話から5話、予告編、メイキング、および『パコと魔法の絵本』のメイキングを収録。
  • 映画「パコと魔法の絵本」スピンオフアニメ『いつもワガママガマ王子』(2009年3月6日、よしもとアール・アンド・シー)YRBN-90050
放送されたアニメ17話および特別編4話を収録。

脚注[編集]

  1. ^ 幸福的魔法繪本”. 星光大道. 2009年3月2日時点のオリジナルよりアーカイブ。2009年2月16日閲覧。
  2. ^ a b 2008年興行収入10億円以上番組 (PDF) - 日本映画製作者連盟
  3. ^ 「パコと魔法の絵本」、役所広司ら完成披露会見”. 文化通信.com (2008年7月30日). 2008年8月1日閲覧。
  4. ^ 『パコと魔法の絵本』も健闘20億確実”. Variety Japan (2008年9月13日). 2008年9月14日閲覧。
  5. ^ 映画興行成績ランキング 2008年9月13日~2008年9月14日(全国集計)”. goo映画. 2008年9月20日閲覧。
  6. ^ 映画興行成績ランキング 2008年9月27日~2008年9月28日(全国集計)”. goo映画. 2008年10月7日閲覧。
  7. ^ Asia Filmfest 2008”. Asia Filmfest. 2012年7月19日時点のオリジナルよりアーカイブ。2009年4月3日閲覧。
  8. ^ Asian Film Awards 2009”. Asian Film Awards. 2009年4月3日閲覧。
  9. ^ 第63回(08年)毎日映画コンクール 受賞者及び受賞作品 決定!”. 毎日映画コンクール. 2009年2月12日時点のオリジナルよりアーカイブ。2009年4月5日閲覧。
  10. ^ 第32回日本アカデミー賞”. 日本アカデミー賞. 2009年2月22日時点のオリジナルよりアーカイブ。2009年4月3日閲覧。
  11. ^ 映画館大賞|受賞作品&投票結果 21位〜216位”. 映画館大賞実行委員会. 2009年4月7日閲覧。
  12. ^ FLASHアニメ「いつもワガママガマ王子」4月21日から放送”. アニメ!アニメ!. iid (2008年4月22日). 2014年5月11日閲覧。

外部リンク[編集]