タイム・オブ・ザ・ウルフ

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タイム・オブ・ザ・ウルフ
Le Temps du loup
監督 ミヒャエル・ハネケ
脚本 ミヒャエル・ハネケ
製作 ファイト・ハイドゥシュカ
マルガレート・メネゴス
製作総指揮 ミヒャエル・カッツ
出演者 イザベル・ユペール
ベアトリス・ダル
撮影 ユルゲン・ユルゲス
公開 フランスの旗 2003年10月8日
日本の旗 劇場未公開
上映時間 109分
製作国 フランスの旗 フランス
ドイツの旗 ドイツ
 オーストリア
言語 フランス語
興行収入 フランスの旗 $106,000
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タイム・オブ・ザ・ウルフ』(: Le Temps du loup: Time of The Wolf)はフランス・ドイツ・オーストリアの合作で2003年に制作された、ディストピア的な終末を描いたドラマ映画である。

カンヌ国際映画祭コンペティション外出品作品。シッチェス国際映画祭最優秀脚本賞受賞。

あらすじ[編集]

(物語の舞台は、何らかの危機的な災害が起き、や食糧不足に陥ったヨーロッパである。しかしこの物語において、どんな災害が起きたのかは語られることはない。描かれるのは、この世界における人々の姿であり、それ以外は重要ではないのだ)

一家四人は僅かな貯えを携えて、住んでいた街から別荘へとやって来た。しかし、そこには見知らぬ男とその家族が居座っており、男は彼らにを突きつける。説得を試みた夫・ジョルジュ射殺され、物資とを奪われた妻・アンヌは、娘・エヴァ、息子・ベンを連れ、残った自転車で逃げ出す羽目になる。

この状況では、警察も彼らを助けてはくれず、知人も「親切のお返し」として僅かな食料を恵むばかりだ。当て処もなく彷徨う母と幼き姉弟はとある農家――そこでは無数の家畜が炎に焼かれていた――の小屋で一晩を過ごした。アンヌが食料調達に出払った時に、二人の子はベンが大事に飼っていた小鳥を逃がしてしまう。どうにかエヴァが小鳥を捕まえ、ベンはそれを自分の服の中に入れて眠りについたが、その結果として小鳥は死んでしまった。翌日の夜、新たに身を寄せた納屋でそれを埋葬した後、ベンは姿を消してしまう。アンヌは必死の思いで探しに出るが、その間にエヴァが起こした焚き火で納屋が焼け落ちてしまう。結局、ベンは夜明けに戻ってきた―――夜の内から近くへ来ていた、見知らぬ少年に捕まった状態で。

何とか少年と合流し、四人となった一行は南にある鉄道貨物駅を目指す。少年の情報によると、そこに来る列車に乗って避難することが出来るというのだ。線路伝いに進む途中で、少年はヒツジの死骸を漁り、転がっている死体から上着を剥ぎ取り、親子に僅かな嫌悪感を抱かせる。すると、そこへ貨物列車がやって来た。彼らは止まるように呼びかけるが、列車は無視して通り過ぎる―――その列車には既に数多くの難民が乗っていた。

貨物駅にたどり着いた一行は、既にそこに着いていた人々と共同生活を送りながら、新たな場所へと導いてくれる列車を待つことになる。だが、その駅舎内のコミュニティもまた、当然のことながら彼らに安息をもたらしてはくれなかった。不足している水、食糧、物資を巡って争いが絶えなくなる。

そんな中、アンヌは、別荘でジョルジュを射殺した男と遭遇し、他の難民たちに被害を訴えるが、加害家族は嘘だと主張し、証拠を示せないアンヌたちは泣き寝入りせざるを得なかった。 民族や国籍の違いも争いに拍車をかけ、疑心暗鬼に陥った難民たちの混迷はさらに深まる。

希望を見出せない状況に、ベンの不安は募り、線路上に焚かれたを見つめながら服を脱ぎ、の中に入ろうとするが、かろうじて見張りの男に止められる。

キャスト[編集]

外部リンク[編集]