401k

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401(k)(フォー・ゼロ・ワン・ケー または フォー・オー・ワン・ケー)は、アメリカにおいて採用可能な確定拠出型年金制度の一つ。

[編集] 概要

その名前は1978年米国内国歳入法(Internal Revenue Code of 1978)の条項名(401(k))にちなみ、退職所得補償金積立に対する課税上の恩典が与えられている。対象は企業の従業員である。なお、他の確定拠出型年金制度には、非営利団体の従業員向けの403(b)や州・地方自治体職員をカバーする457などがある。

401(k)では、例えば企業などの雇用者が被雇用者のために一定条件の下で支出する拠出金を退職後所得補償であると認め、一般の所得課税と区分してその運用益課税が繰り延べられることを認める税制が適格であることを規定している。雇用者は、年金制度の受託者となって、その年金制度の策定計画のほか、年金基金の投資先選定、運用成績のモニタリングを行う責任がある。

従業員は、給料の一部について、直接給与として支払う、もしくは401(k)ファンドへ繰延べ払いとするよう依頼する。加入者運用指示型のプランにおいては、そうすることで従業員は多くの投資選択肢から選択することができる。受託運用型の401(k)プランでは、雇用者が受託者を任命し、受託者はプランの資産がどこに投資されるかを決定する。

401(k)プランから金銭が引き出されるまで、401(k)プランへの拠出金と拠出金の運用益に対する課税は延期される。プランから金銭が引き出されたときに所得として課税される。引き出しは、典型的には引退時点もしくは引退後に行なわれるが、従業員が引退可能年齢(現行の法律では59歳半)に達する前に口座から金銭を引き出す場合、ほとんどの場合通常の所得税に加えてIRS(内国歳入庁)への10パーセントの罰金を課せられる。

シアドア・ベナ(ジョンソン社で働くコンサルタント)は1980年に最初の401(k)制度を作成した。1990年代の十年間で、それがIRAと呼ばれる個人退職金勘定よりも柔軟性があるという理由から、労働者に人気があると分かった。例えば、通常は「最低在籍期間」のような制限はなく労働者は就職初日から拠出可能であり、拠出した基金は労働者個人の口座に属し、労働者が転職して他の会社に移っても、基金の残高をそのまま前の会社のプランの口座に保持し続ける、新しい会社(に401(k)プランがあれば)の401(k)プランの口座に移転する、あるいは「ロールオーバ(転換)IRA」と呼ばれる特別の個人退職基金口座に移転することを労働者が自由に選択できる。

401(k)制度は、IRAよりも毎年の拠出限度額が高い。2012年の拠出限度額は労働者の賃金からの天引きが17,000ドルに加え、50歳以上の労働者はさらに天引きで5,500ドル追加拠出可能で、企業側が「マッチ」(下記参照)などの名目で直接拠出する金額との合計限度額は年間50,000ドルにも及ぶ。これに対して、同年のIRAへの拠出限度額は5,000ドル(50歳以上の場合は6,000ドル)に過ぎない。さらに、401(k)制度は1974年エリサ法(ERISA)によってカバーされる税制適格の制度であり、それにより制度が保有する資産は債権者から保護される。同じ保護はIRA勘定には状況によって適用されない。また労働者の子弟の大学進学時の奨学金などのファイナンシャル・エイドの申請時の家庭の資産申告には、他の退職基金と同様、401(k)の資産を含める必要はない。

年間の拠出限度額は、就業する企業やプランではなく、労働者個人に属する。例えば、年度(暦年と同じ)の途中でA社からB社に転職して、A社のプランで既に7,000ドル拠出している場合は、B社のプランではその年度内では10,000ドルまでしか拠出できない。通常はB社に入社時に経理部門に「前社で既に7,000ドル拠出している」と申告すれば給与計算で自動的に調整される。401(k)プランへの加入は決して強制されるものではなく、(IRSが定める年間拠出限度額以内なら)拠出金額を含めて労働者個人の自由意志に任されており、通常のプランでは、年度内に賃金の支払い時期毎の拠出金額を増減したり拠出を一時停止したりすることも自由にできる(ただし多くのプランでは、賃金支払い時期毎の一回の拠出金額に50ドル程度の最低金額が決められている)。しかしながら、一旦拠出した資金は、労働者が退職可能年齢(59歳半)に達していなければ原則として引き出すことはできず、「止むを得ない事情」で引き出した場合には当該金額は所得税と上記の罰金の対象となる。

引き出し時には、引き出し金額が所得と見做され通常の所得税が課せられるが、労働者が拠出した資金とその運用益は引き出し時まで課税が延期されるので、運用益が即座に課税される通常の課税後資産による運用よりも多額の運用益が見込めることに加え、通常退職後は現役時代に比べ所得が減るので、累進課税制度では現役時代より低い税率が期待されることも、401(k)制度を一層魅力的なものにしている。

一部の企業では、従業員が自分の賃金から拠出した資金の一定割合を「マッチ(match)」として給付する。この給付金は従業員の手元に渡らず、直接その従業員の401(k)口座に組み入れられるが、その運用は従業員が拠出した資金と同様に、100%従業員に任される。例えば、「従業員の拠出1ドルあたり50セントを6,000ドルまでマッチする」というプランなら、従業員が年間3,000ドル拠出した場合は会社からは1,500ドルが、従業員が6,000ドル(以上年間拠出限度までいくらでも)拠出した場合は3,000ドルが会社から直接その従業員個人の401(k)口座に入金される。

多くのプランでは、従業員による自分の401(k)からの低利の固定金利による借入れも認められているが、その分は課税後資産から返金されなければならない。こうして借入れた支払い利息は当該401(k)勘定の一部に戻される(つまり、自分自身に「借入れ利息」を払うことになる)。

401(k)プランは、また年金コスト削減手段を求める雇用者側にとっても需要があることが判明した。ほとんどの場合、確定拠出型制度のほうが確定給付型制度よりも雇用者側の負担は少なくなる。確定給付型年金プランのコストが年々変わって予測不可能であり、企業はもはや雇用していない退職者のための費用を延々と負担し続けるのに対して、401(k)プランでは企業の責任は労働者を雇用している間に限られ、雇用者のコストを予測可能なものとする。例えば、2009年ゼネラルモーターズ破綻した大きな原因の一つは、退職者に対する企業年金の支払いはもとより、その家族の医療補助などまでも会社が負担すると言う、退職者に対する過剰とも言える手厚い保障であった。

このため、例えば新興企業の起業・消滅と労働者の転職が頻繁で雇用関係が著しく流動的なシリコンバレーのハイテク企業では、ごく普通の退職基金プランとして普及・定着しており、2012年現在全米で約6千万人が利用している。

また、401(k)は政府にとってもメリットがある。なぜなら、労働者が名実共に自分の退職基金口座を維持することにより、退職後の生活資金に関する自助意識が高まり、相対的に社会保障のような公的年金公的扶助に対する依存度が低下することが期待されるから。

しかし、401(k)の数多くのメリットを享受できるのは、一定規模(通常は従業員10人程度)以上の私企業に雇用されている中流以上の階層の労働者に限られることも事実である。雇用されている企業にプランが存在していても、最低賃金を少々上回る程度の賃金から401(k)に拠出する余裕などない労働者や、そもそもプランを持たない零細企業の従業員は401(k)の恩恵を受けることはない。例えば夫婦共に50歳以上のカップルの場合、年間最高4万5千ドルまで(2012年度)課税前賃金から拠出でき(ただし拠出限度いっぱいに拠出している利用者は全体の5%程度と推計される)、その基金は課税繰り延べで運用益を産む一方、401(k)を利用できない労働者にはこの税制上の特典は全く無価値である。このため、富める物はさらに富み、窮する者はさらに窮するという経済格差拡大の原因の一つであると言う批判的な見方もある。

実際の401(k)基金の運営は企業が直接行うのではなく、チャールズ・シュワブフィディリティ・インベストメントのような証券会社投資銀行に委託し、その傘下にある投資信託で運用する例が多い。投資信託は、株式債券リートなどに特化したもの、その中でも国内優良企業の株式、成長企業の株式、外国投資など投資先を細分したもの、および利用者の期待するリターンと許容できるリスクに応じて色々な投資先を組み合わせたものなど、少なくとも5~6、多い場合は20個以上の複数のファンドをプランに含めることが一般的である。プランには超低リスク(=低リターン)のマネー・マーケット・ファンドを少なくとも一つ含めることが義務付けられており、企業は、401(k)を利用する労働者に401(k)の仕組みとリスクなどについて十分理解させるための教育の機会を提供しなければならない。企業によっては、プランに自社株式専門のファンドを含めることもあるが、多くの専門家はリスクの点からそのようなファンドを避けるように警告している。なぜなら、もしその企業の業績が悪化すると、自社株式の価値(=退職基金の価値)が低下するだけでなく仕事まで失うという二重のリスクがあるから。自分の口座に拠出した資金を、プラン内のどのファンドにいくら投資するかは、100%労働者個人の判断と責任で行われ、プラン内のファンド間相互の資金の移動も自由である(ただし労働者が雇用されている間は加入しているプランから外部の口座に資金を移動することも、その逆もできない)。通常の投資信託と同様、各ファンドの勘定は完全に独立しており、万が一親会社に当たる証券会社が破綻してもファンドの基金は保護される(ファンドの投資先の破綻などによる基金価値の減少のリスクはある)。

[編集] 日本版401k

日本においては、2001年10月から施行された確定拠出年金法にもとづく確定拠出年金が、従業員以外を対象とした制度を含めて日本版401k(通常「にっぽんばんよんまるいちケー」と呼ばれる)と通称されている。「企業型」と「個人型」の2つがあり、前者の場合は企業側が掛け金を支払うので、従業員は掛け金を負担しなくてよい。個人型は逆に、個人が掛け金を拠出する形であり、自営業者や、企業年金を導入しない企業の従業員が加入出来る。この2つの両方に加入することは出来ない。また、公務員、専業主婦、国民年金保険料を納めていない者は加入することが出来ない。

税制上の優遇措置が大きい、転職した際には前勤務先の資産残高を持運べる(ポータビリティ)、個人勘定が設定されるので、運用成績が明確にわかる等のメリットがある。デメリットとしては、運用リスクは全て個人が負うことである。

企業側としては、運用リスクを負わなくて済む反面、従業員に適切な投資教育を十分に行わなければならない。

[編集] 関連項目

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