3dfx
3dfx Interactive(スリーディーエフエックス インタラクティブ)は、かつてアメリカ合衆国に存在していたハードウェアメーカー。3dfxのブランドでビデオチップ及びビデオカードを製造していた。
1994年に米国のカリフォルニア州サンノゼ市で設立される。1995年にゲーム向けの3DアクセラレータチップVoodooを発表。抜群の高性能で一世を風靡した。その後もVoodoo2、更に2Dの処理も可能となったVoodoo Banshee、Voodoo3などを発表し、順調に業績を伸ばした。また、独自の高性能APIであるGlideに対応するゲームも数多く発売され、特にゲーマーの間で圧倒的な支持を得た。
しかし次第に苦戦するようになり、2000年の終わりにその主要技術と資産は7000万ドルの現金と100万株のNVIDIA社株と引き換えに同社に売却され[1]、3dfx社は業務停止に至った。
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[編集] 歴史
[編集] Voodoo Bansheeまで
3dfxは1995年にCOMDEXにてVoodooを発表。これは一般的なPCに取り付けると、基本となるVGA互換コントローラに代わって3Dの高速描画を実現するグラフィックアクセラレータである。その仕組みは、通常のGDI描画をはじめとする2D描画については既存のビデオカードやオンボードのグラフィックコントローラが実行し、3D描画に限ってPCIバスに追加されたVoodooが実行する、というものである。このため、既存のビデオカードやグラフィックコントローラのアナログRGB出力をVoodooの入力端子に接続、VoodooのアナログRGB出力をモニターに接続するというもので、2D描画時にはVoodooのデバイスドライバがVoodoo上のリレースイッチ経由で入力されたアナログRGB信号をそのままパススルー出力し、3D描画時のみこのスイッチを切り替えてVoodooの画像出力をモニターに表示させるという仕組み[2]を取っていた。同時期に同じく独自規格のAPIを利用する3D専用アクセラレータとして、イギリスのビデオロジック社が開発しNECなどがチップ生産を担当したPowerVRが存在したが、こちらは既存のビデオカードのVRAMにPCIバス経由で直接表示データを書き込んで表示するというものであり、既存のビデオカードの性能にも左右される、チップセットなどと相性があるなどの問題があった[3]。
3dfxは1997年にVoodooチップのサブセット版に他社製VGA互換チップ[4]を組み合わせることで、他のグラフィックカードなしでのスタンドアローン動作を可能としたVoodoo Rushを発売している。もっともこのVoodoo Rushはカード上のメモリに対する読み書きで3D描画にかかわる処理を完結していた初代Voodooと比較すると、テクスチャメモリは独立して搭載されているものの、実際の画面表示は2D描画を担当するVGAチップに接続されているフレームバッファ用VRAMに対し、画面リフレッシュの隙を縫う形で3D側で演算・描画した表示データを書き込む、という動作[5]を行うため3D性能の低下が顕著で、Glide対応にもかかわらずこのカードのみ非対応とされたソフトが少なからず存在した。また、同時期の競合他社製品と比較して2D用VGA互換コントローラの性能が著しく低く交換できないことや、VGA互換コントローラを含め3つのコントローラチップと多数のEDO DRAMチップを搭載せねばならず低価格化が難しかったこともあって市場での評価は低く、このシリーズは比較的早く生産中止になっている。
1998年には、テクスチャ演算ユニットを2基搭載として3D描画を高速化、加えてSLI(Scan Line Interleave)を採用、2枚搭載とすることで更なる高速化を可能としたVoodoo2の発売により、3dfx社は高性能3Dアクセラレータメーカーとしての地位を確固としたものにする。しかし、Voodooはあくまで3D描画専用の補助装置であったので、通常のビデオチップ、ビデオカードメーカーとの市場の住み分けが出来ていた。
1998年の年末に発売されたVoodoo BansheeはVoodoo2のアーキテクチャを基本としつつVoodoo系チップとしては初めてVGA上位互換の2D描画機能を搭載、メモリインターフェイスをEDO-DRAM対応から当時最新のSDR-SDRAM対応に変更、テクスチャ演算ユニットを1基搭載としてVoodoo2から半減、その代わりコアの動作クロックを引き上げてバス幅を128ビットに倍増、1チップ構成ながらカード単独では3チップ構成のVoodoo2に迫る3D性能を実現した。このVoodoo Bansheeはメモリインターフェイスの128ビット化などの威力によって同時期の他社製品と比較して2D描画も非常に高速で、2D/3D共に高性能なバランスのとれた製品となった。このため、安価で優れた製品を開発できるアジア勢のビデオカードメーカーもこぞってVoodoo Bansheeを採用したビデオカードを製造し、その結果、1998年のクリスマス商戦の際にはVoodoo Banshee搭載製品が多数市場に出回った。このVoodoo Bansheeの成功によって3dfxは有力グラフィックコントローラメーカーとなり、ATIやMatrox、S3といった有力メーカー各社とシェアを争うようになった。
[編集] Voodoo3以降
1998年末、3dfxはビデオカードメーカーSTB社のメキシコ工場を純正ビデオカードの製造・販売のため買収すると発表した。Voodoo Bansheeの後継製品Voodoo3搭載カードは自社工場での製造を中心とし、ビデオカードメーカーには積極的には供給しない方針への転換でもあった。
これは「ビデオチップベンダ」から、Matrox、ATIのような自社ブランド重視の「メーカー」へと脱皮する試みであり、ビデオカードメーカー各社との協力体制で生産しお互いに利益を得ていくモデルから、自社で全ての利益を総取りするという3Dfxの一方的な路線変更であった。しかし、当然ながらこの路線変更はそれまで3dfx社の製品を採用していたビデオカードメーカーにとっては死活問題となった。3D性能において常にトップパフォーマンスのVoodooシリーズは、ビデオカードの購入層であるゲーマーにとって魅力ある製品であり、売れ筋だったからである。
3DfxはVoodoo3のチップは3Dfx社のみで使い、旧式のVoodooBansheeとVoodoo2なら供給しても良いという、ビデオカードメーカーを馬鹿にしたような対応を行った。この対応は多くの友好的だったメーカーを不快にさせ、それらのメーカーは次善の策としてそれまでVoodooに比べ3Dゲームの性能面では劣るとされていたS3やNVIDIAの製品を採用するようになった。
だが、この時点でのVoodooシリーズの優勢を背景としたこの路線変更は3dfxにとって致命傷となった。Voodoo3搭載カードを自社工場のみで製造するという試みを行った結果、製品の発売が予定から大幅遅延、収益に深刻な打撃を与えたのである。
チップベンダであれば研究・開発・設計までを行えば良い。しかし一元生産を行うメーカーとなれば、それまで各ビデオカードメーカーが行っていた、その後の カード試作・生産準備・調達・生産・販売・アフターフォローといった、工程のすべてを自社にて行う必要がある。
3Dfx社の誤算は、チップ製造以降の各工程こそがもっとも莫大なコストがかかり、かつ人的管理などが難しい工程であったことであった。
多数の人間を雇用し、安全管理や労務者の健康管理まで行う工場経営は簡単にできるものではなかった上、自社で販売するとなれば、世界中に販売のための現地法人を作るなり、協力会社と提携するなど、世界的規模での投資が必要となる。
マーケティング上においてもそれまでせっかく友好的な関係にあった世界中のビデオカードメーカーとの関係の悪化を招くなど、世界最高峰の性能を持つ製品を作っているという驕りが、自らの首を絞める結果となっていった。
結果、1998年11月に発表されたVoodoo3が実際に販売開始されたのは1999年4月。 その間の収益悪化は避けられず、しかもビデオカードメーカーはNVIDIAやS3といった他社のチップベンダの製品を採用することになり、3dfxは磐石だったシェアを自ら明け渡した格好であった。
発売されたVoodoo3 3000の3D描画はVoodoo Bansheeの仕様を踏襲し16bitカラーレンダリング限定とすることで3Dゲーム向けでは24bit/32bitカラーレンダリングに対応した他社製品と比較して高い性能を叩き出し[6]Glide対応ゲーム用として高性能カードを求めるゲームユーザーの人気は絶大であった。
当時の最高スペックのゲームである「Unreal」や「Quake2」といったゲームでは、MATROX、S3、ATI、NVIDIAが生産するDirect3Dのみ対応のビデオカードでは高解像度にすると非常に重く、場合によってはゲームプレイが困難なほどであったが、Voodoo3はGlideとの組み合わせで圧倒的な高性能を叩き出した。
Voodoo3は機能面では前作のVoodoo Bansheeと大差なかったが、グラフィックコアの高クロック動作(183MHz駆動)でGlide対応ソフトにおいてSLI構成のVoodoo2を上回る圧倒的な描画スピードと優れた画質を実現しており、RIVA TNTやRAGE 128、Permedia 3といった発売時点での他社のライバル製品をまったく寄せ付けなかった。さらに、この時期にはATIのALL IN Wanderに対抗したビデオキャプチャ機能付きのVoodoo3 3500TVも発売され、話題を呼んだ。
しかし、華々しくデビューし、性能面でNo.1としてゲームユーザーからは圧倒的な支持を得たVoodoo3ではあったが、上記のような路線変更の影響から3Dfx社に対して報道ではすでに将来に懸念を投げかける声が出ていた。
[編集] 解散まで
そして、1999年9月にNVIDIAが発表したGeForce 256の登場と、MicrosoftによるDirectX 7での3D描画機能サポートの大幅強化により、それまでトップパフォーマンス・メーカーであった3dfxの斜陽が明確化する。
GeForce 256は次元の異なる新世代のグラフィックチップであり、画期的な新機能が数多く盛り込まれていた。このGeForce 256はDirectX 7で機能強化されたDirect3Dでの描画において、Voodoo3とGlideの組み合わせに匹敵する、ゲームによってはVoodoo3を引き離す性能を叩き出し、Voodoo3とGlideの優位性が大きく揺らいだ。
ことに、3D描画=全画面モード動作を事実上意味していたGlide環境とは異なり、デスクトップ上に表示されたウィンドウ上での3D描画を当然にサポートしていたDirect3Dの機能実装強化は、ゲームを楽しむユーザーにプレイスタイルについての新しい提案を含んでいた。
それまでも3Dfx製品のみでしか使えないGlideから、汎用性の高いOpen GLやDirect3Dへ流れる動きはあったが、16bitカラーレンダリングでのVoodoo+Glideのパフォーマンスに対抗するのに十分な性能の製品が他に存在しないという点がその妨げとなっていた。高解像度24bit/32bitカラーレンダリングの下でなお、Voodoo3+Glideに対抗しうる性能を発揮するGeForce 256の登場は、その障壁を一気に取り除いてしまったのである。
この時期、1999年11月開催のCOMDEX/Fall'99で3Dfxは次世代製品としてVSA-100を搭載したVoodoo4、Voodoo5の発売を発表した。VSA-100はハードウェアT&L機能はサポートしないものの、ようやく32bitカラーレンダリングをサポート、ハードウェアによるフルシーンアンチエイリアス(FSAA)機能などの画質向上に効果の大きい新機能を多数搭載し、SLI接続による複数搭載を前提とした画期的なグラフィックチップであった。
Voodoo4はVSA-100チップを1基、Voodoo5はVSA-100を2基ないしは4基搭載し、Voodoo5はこれらVSA-100をカード上でSLI接続することでスケーラブルな性能向上を実現することを目指したもので、スペックシート通りの性能を発揮できるのであればゲーマーにとって福音となりうるものであった。
だが、1998年の経営路線変更のゴタゴタからVoodoo4、Voodoo5の開発は大幅に遅れて発売のめどはまるで立たず、これほどの衝撃的なライバル製品が出現しシェアを伸ばしているのに、3Dfxは相も変わらずVoodoo3を販売し続けていた。 この時点で3Dゲーム開発は、確実により高性能であるGeForce 256+DirectX 7をメインターゲットとするようになってきており、ハードウェアT&L機能を持たず16bitカラーレンダリングにしか対応しない旧世代のVoodoo3+Glideでは対応できない[7]ゲームが登場するのは時間の問題であった。さらに、VSA-100は製造プロセスが同世代の他社製チップと比較して明らかに旧式[8]で、トランジスタ数の割に消費電力が過大である、という問題があった。これは上位機種ほど搭載されるVSA-100の数が増えるVoodoo5では特に深刻な問題で、補助電源入力を別途カードに搭載せねばならず、また競合他社の製品と比較して明らかに大きな発熱にも悩まされることとなった。
Voodoo4・Voodoo5が発表から一向に発売に進まない中、NVIDIA社がセールス・開発に積極的に動き、アジアメーカーの安価なビデオカードに採用されることでGeForceの価格も下がり、低価格な上に高性能なチップとユーザーの評価とシェアが磐石になりつつあった。
2000年4月にはGeForce 256を基本としつつテクスチャ処理などを大幅に強化したGeForce2 GTSが登場。
3dfxの新チップVSA-100を2基搭載したVoodoo5 5500は発売が大きく遅れ、2000年の6月にようやく登場し、当時のベンチマークテストなどでNVIDIAのGeForce2 GTS以上の性能を発揮した。
Voodoo5は当時としては画期的な新技術が搭載された豪華なカードではあったが、もはやGeForce2 GTSに対して若干優れてはいても、それほどの性能差の違いはなく、優位を完全に取り戻すことはできなかった。しかも、2000年8月にはNVIDIAがGeForce2 GTSをより高クロックでの動作に対応させたGeForce2 Ultraを発表、同年10月には製品が出回り始め、GeForce2 GTS比で20パーセント前後の性能向上を達成、Voodooを再び引き離し始めた。
Voodoo5は扱いの困難なフルサイズカードであり、ミドルタワー以上のケースでなければ搭載が難しい、搭載されたVSA-100は先述の通り旧式な製造プロセスを採用した結果、発熱が非常に激しく適切なエアフローが確保されたケースでなければしばしば熱暴走を起こす、拡張スロットからの給電では必要な消費電力をまかなえず、別途外部電源接続をしなくてはならないなど、パワフルな性能にこだわるあまり、この時期の市場におけるPCの小型化志向、エコな省電力性、ユーザーの利便性、製品の普及性や製造コストなどからは完全に時代に逆行するようなカードになってしまっていた。コンパクトで十分に高性能、かつ気軽に使えるGeForce2 GTSに比べ、余程のへヴィーユーザーでもなければ購入を躊躇するような商品だったのである。
VSA-100を1基搭載した低価格帯向けのVoodoo4 4500は2000年9月にようやく発売されたが、すでにパフォーマンス市場・メインストリーム市場ともにGeForceシリーズが完全にシェアを抑え、普及していた。
また、この時期にはATIもGeForceシリーズ対抗としてハードウェアT&LをサポートしたRadeonシリーズを市場に投入し始めており、高い評価を獲得しつつあった(その後、3dfxとは逆にチップベンダとしてビデオカードメーカーに供給する方針に転換する)。
半導体業界のアナリストの中には1999年のクリスマス商戦までにVoodoo5を投入できなかった時点ですでに3dfx社の運命は決まっていたと見る者もいる[9]。
かつて3dfxのVoodooチップを購入していたビデオカードメーカーも、Voodoo3時代の3dfxのチップ供給停止からNVIDIA、ATIチップの採用をしており、世界中のビデオカードメーカーがGeForce、Radeonを普及させることとなり、市場競争で価格も下がっていく中、高価な自社ブランドの新製品を出しても、取り残された感は否めなかった。
2000年11月には工場も売却[10]。ハイエンドモデルとして計画されていた、VSA-100を4つ搭載するVoodoo5 6500 AGP(Voodoo6ともVoodoo5 6000とも呼ばれる)の発売がないまま、2000年12月にはついにグラフィックスに関連する資産をNVIDIAに売却し、解散することになった。
2001年9月に買収が完了している。ちなみに解散以前はNVIDIA社と3dfx社はお互いを特許侵害していると訴えあっていたのだがこの買収をもって和解が成立している[11]。
なお、その後NVIDIAの看板ブランドとなったGeForceFXシリーズは名前のFXからもわかるように吸収された3Dfx開発チームが開発したものであり、Voodoo5で搭載された技術の多くは現在になって定番の技術として普及、息づいている。
[編集] 製品
Voodooシリーズ 以下は3dfxが販売したグラフィックカードである。発表日時順に説明、スペックが掲載されている[12]。
Voodoo Graphics(ブゥードゥー グラフィックス) 1995年11月6日発表。
初代Voodoo。テクスチャ処理とピクセル処理の2つの機能を別々のチップに搭載した2チップ構成で3Dグラフィック機能のみを提供し、2Dグラフィック機能は持たない。そのため、2Dグラフィック機能を持つカードのアナログRGB出力端子とVoodooカードの入力端子をケーブルで接続し、Voodooカードに搭載されたリレースイッチで2D、3D時に表示を担当するグラフィックカードを切り替えるようになっていた。 接続バス:PCI
- Voodoo[Core:50MHz Mem:50MHz(EDO-RAM 最大6MB 64bit * 2)]
Voodoo Rush(ブゥードゥー ラッシュ) 1996年8月21日発表。
2Dと3D両方のグラフィック機能を持つエントリーモデル。Voodoo Rushそのものは初代Voodooの機能を簡素化した2基の3Dグラフィックチップで構成され、DAC内蔵のVGA互換グラフィックチップとしてAlliance社のProMotion AT25などを同一基板上に別途搭載する。こうすることで、2Dと3Dの双方のグラフィック機能を1枚のカードで実現している。2D用フレームバッファに4MB、3D用テクスチャメモリに2MBか4MBのEDO-DRAMを搭載可能であった。ただしVoodoo Rushは前述のように機能簡素化と性能低下が響いて初代Voodooに最適化したGlide対応ゲームで非対応とされるケースが少なからず存在したことなどから不評を買った。 接続バス:PCI
- Voodoo Rush[Core:75MHz Mem:75MHz(EDO-RAM 最大8MB 64bit * 2)]
Voodoo 2(ブゥードゥー ツー) 1997年11月3日発表。
初代Voodooと同じく3Dグラフック機能のみを提供する。初代Voodooと比較してテクスチャ処理チップを2基とピクセル処理チップを1基の3チップ構成とすることで、テクスチャ処理パイプラインを並列化して描画処理を高速化している。表示方法も初代Voodooと同様に2D用のグラフィックカードとケーブルで接続し、2D、3D時に映像出力を切り替えて表示する。また、2枚のVoodoo2カードを専用ケーブルで内部接続し、演算処理を並列化させることで3Dグラフィック描画性能を向上させるSLI技術が採用された。 接続バス:PCI
- Voodoo 2[Core:90MHz Mem:90MHz(EDO-RAM 最大12MB 64bit * 3)]
Voodoo Banshee(ブゥードゥー バンシー) 1998年6月22日発表。
2Dと3D両方のグラフィック機能を持つ。メモリインターフェイス変更に伴うデータ転送レートの低下でやや劣るものの、3D描画性能は概ねVoodoo2カード単体に相当する。Voodoo Rushと違い、1チップで2D・3Dグラフィック機能を共にサポートしており、Direct Xへの対応も改善されている。この製品以後の3dfx製グラフィックチップには全て2Dグラフィック機能が搭載されている。 接続バス:PCI/AGP 1x
- Voodoo Banshee[Core:100MHz Mem:110MHz(SDRAM/SGRAM 最大16MB 128bit)]
Voodoo 3(ブゥードゥー スリー) 1998年11月16日発表。
Voodoo Bansheeの改良型であり、Voodoo2のSLIと同程度の3D性能を発揮する。TVチューナー機能付の製品も発売された。なお、このシリーズではPower Macintosh対応BIOSが提供されるようになっており、以後はMac対応モデルも発売された。 接続バス:PCI/AGP 2x
- Voodoo 3 1000[Core:125MHz Mem:125MHz(SGRAM 最大8MB 128bit)]
- Voodoo 3 2000[Core:143MHz Mem:143MHz(SDRAM/SGRAM 最大16MB 128bit)]
- Voodoo 3 3000[Core:166MHz Mem:166MHz(SDRAM/SGRAM 最大16MB 128bit)]
- Voodoo 3 3500[Core:183MHz Mem:183MHz(SDRAM/SGRAM 最大16MB 128bit)]
Velocity(ヴェロシティ) 1999年7月27日発表。
Voodoo3のローエンドモデル。 接続バス:AGP 2x
- Velocity100[Core:143MHz Mem:143MHz(SGRAM 最大8MB 128bit)]
- Velocity200[Core:143MHz Mem:143MHz(SGRAM 最大12MB 128bit)]
Voodoo 4(ブゥードゥー フォー) 1999年11月15日発表。
Voodoo5の下位製品。Voodoo5で2基(未発売に終わったVoodoo5 6000であれば4基)搭載されたVSA-100チップを1基のみ搭載したカード。 Voodoo4、5に搭載されているVSA-100チップは発表当時、搭載する事がトレンドであったハードウェアT&L機能を搭載していなかった。 この為にハードウェアT&L機能を利用したゲームではVoodoo4・Voodoo5は競合製品に比べて性能の低下幅が大きい。その一方でVSA-100チップはハードウェアFSAA(フルシーンアンチエイリアシング)機能を持っており、FSAAを有効にしても当時の競合製品に比べ、性能の低下幅が小さかった。 これは、既存のゲームであってもFSAAに対応している事が多く、新規開発しなければいけないハードウェアT&L機能よりもハードウェアFSAA機能の方が有効であるという判断によるものであった。 接続バス:PCI/AGP 2x(カードエッジは2ノッチだったのでAGPx4専用スロットにも装着可能)
- Voodoo 4 4500[Core:166MHz Mem:166MHz(SDRAM 最大32MB 128bit)]
Voodoo 5(ブゥードゥー ファイブ) 1999年11月15日発表。
SLI技術により、VSA-100チップを並列動作させたカード。補助電源として4ピン電源を接続する。未発売に終わったVoodoo5 6000はVSA-100チップを4基搭載したカードであったが、カードサイズが長大で、専用電源が必要であった。なお、Voodoo4、5に搭載されていたVSA-100チップのVSAとは、Voodoo Scalable Architectureの頭文字をとっている。AGPモデルのVoodoo 5 5500はPentium4以降主流になったAGPx4専用スロットには装着不可。 接続バス:PCI/AGP 2x
- Voodoo 5 5000[Core:166MHz * 2 Mem:166MHz(SDRAM 最大32MB 128bit * 2)]
- Voodoo 5 5500[Core:166MHz * 2 Mem:166MHz(SDRAM 最大64MB 128bit * 2)]
- Voodoo 5 6000[Core:183MHz * 4 Mem:183MHz(SDRAM 最大128MB 128bit * 4)]
[編集] 技術
[編集] SLI
SLI(Scan-Line Interleave)は3dfxが開発しVoodoo2で導入された技術である。2基のVoodoo2チップをシステムに搭載させ、画面の走査線を奇数と偶数で分けることでそれぞれのVoodoo2チップが並列して描画する。当時の3D描画機能としては極めて高い水準にあり、他社製品を大きくリードした。
なお、Voodoo2の時代に開発されたSLI技術は、(3Dfx買収後の)NVIDIAがPCI Express用に改良し、Geforceシリーズの機能の1つであるSLI(Scalable Link Interface)として実装された。
[編集] Glide
3dfxの提供していた3Dゲーム専用API。ライブラリは商用提供されていたが、1999年にオープンソース化されている。当時の他のAPIに比べ扱いやすく、優れた3Dゲームが多数生まれる原動力にもなった。
この当時の3Dゲームの多くはもっとも画質が悪く描画が遅い「ソフトウェアレンダリングモード」、ハードウェアアクセラレーションによるそこそこ高画質な「Direct3Dモード」、最高峰の美麗画質と高速描画ができる「Glideモード」が搭載されているものが多かった。
「ソフトウェアレンダリングモード」は文字通りビデオカードの3D性能を使えない環境のユーザー向けの救済措置であり、かろうじて描画できるといったもので、画質、描画スピードともに最低であった。
「Direct3D」はMicrosoftの開発したAPI、DirectXによるライブラリであり、現在では主流のAPIである。しかし、当時はその3D描画性能はGlideに遠く及ばず、かつ、ビデオカードへの負担も大きく、高解像度には向かなかった。
「Glide」は3Dfxの開発したAPIであり、その高速性、描画の美しさは圧倒的であった。「Quake」「Tomb Raider」などに代表される3Dゲームの発展は「Glide」と「Voodoo」の存在があってこそであり、実際に「Quake」の開発は3Dfxの協力があったため可能となったのである。 実際、当時のゲームをGlideとDirect3Dで描画し比べれば、その画質と高速性ははっきり体感できるほど、Voodoo&Glideの性能差は抜きん出ていた。
他のメーカーのビデオカードはDirect3Dのみの対応だが、3DFXのVoodooシリーズだけはGlideとDirect3D両方に対応しており、Glide対応のゲームでは自動的にGlideモードで描画されるようになっていた。 GlideとVoodooの組み合わせは非常に描画スピードが速く、NVIDIAやS3、Matrox、ATIなど他社のビデオチップの性能では描画できない表現でも容易く描画できたため、ゲーム開発者が存分に腕を振るいたい場合はGlideモードは必ず搭載していたのである。「Glideモード」による高速描画と高画質はVoodooシリーズ所有者のみの特権であったが、Voodoo Bansheeの時代には、世界中の多くのビデオカードメーカーがVoodooシリーズのチップを購入、生産していた。このため優れたゲームをプレイしたいユーザーは容易く、安価に様々なメーカーのVoodooビデオカードを購入でき、初代Voodoo以来の絶大なシェアもあり、安心して開発できたという事情もあった。
しかし、1998年に3DFX社がVoodoo3を自社生産のビデオカードのみで使用し、他のビデオカードメーカーに供給しないという路線変更を発表したことから、世界中のビデオカードメーカーがDirect3Dしか対応できないnvidia、S3のビデオチップを採用するしかなくなるという事態になった。3Dfxが自ら明け渡した市場シェアをGlideに対応しない他のメーカーの製品が埋めていくに従い、絶対数が多くなっていったそれらのチップを搭載するビデオカードのユーザーに配慮して、3Dゲームの開発メーカー各社もGlide依存を止め、Direct3DでもGlide程ではないものの相応の画質で遊べるゲームを開発するようになった。 3Dfxの戦略転換は、単にVoodooという商品の販売シェアばかりではなく、それまで市場を支配していたGlideというゲーム用3DグラフィックAPIのシェアまでDirect3Dに明け渡していく結果となった。 そして、当初はGlideに比べ画質面や性能全般で劣っていたDirect3Dも、市場からの要求に従ってMicrosoftがDirectXのバージョンを上げる度にGlideとの性能差や機能差を急速に縮め、やがてこれを追い越すに至った。
[編集] その他
3dfxの開発したGPUがセガのドリームキャストで使用される可能性があった[13]が、日本チームのPowerVR2が採用されることとなった。
タイトーのアーケードゲームシステム、「WOLFシステム」にVoodooが採用されている。
[編集] 関連項目
[編集] 注釈
- ^ NVIDIA To Acquire 3dfx Core Graphics Assets December 15, 2000 NVIDIA Press Release
- ^ この種の機構はPC-9800シリーズ用グラフィックアクセラレータボードでは1990年代初頭から一般に用いられていた。
- ^ 一方、Voodooの方式にはカードの基板設計が適切でない、あるいは使用されるパススルー用アナログRGBケーブルの品質が低品質である、といった状況ではVGA互換コントローラからVoodooのリレースイッチを経由して出力されるRGB信号の品質が本来のそれよりも著しく劣化し実用可能な解像度が低下する、という問題があった。このため、製造を担当とするカードベンダのアナログ信号回路設計技術や実装されるリレースイッチの品質の差が目に見える形で示されることとなり、各社製品間の品質格差が非常に大きかった。
- ^ Alliance Semiconductor社製ProMotionAT25など。
- ^ その描画方法は当時ライバルであったPowerVRのそれに近い。
- ^ 同程度のトランジスタ数、集積度のチップ同士ならば色数を減らした処理に特化した設計の方が見かけ上、より高度かつ高速処理が出来るのは自明である。さらに、この仕様はゲームなどで24bit/32bitカラーレンダリングが一般化した段階で16ビットカラーレンダリングにしか対応しないVoodoo Banshee・Voodoo3がサポート対象外として排除され、急速に陳腐化する一因となった。
- ^ 特に、ハードウェアT&Lが前提となるソフトの場合、非対応のグラフィックチップではフレームレートが致命的に低下するため実用にならない。
- ^ Voodoo3と同じ250nmプロセスが採用されていた。なお、同時期のRadeon 256では既に当時最新の180nmプロセスが採用されており、同じトランジスタ数でチップ面積は半分、つまり同程度の集積度ならば約半分のコストで生産でき、同程度の面積ならば倍の性能のチップが生産できるようになっていた。また、NVIDIAは1世代古い220nmプロセスでGeForce 256を生産したが、これでもVSA-100の1.5倍の集積度であり、同程度の性能ならばVSA-100の約66パーセントのサイズのチップで実現できた。この面での3dfxの出遅れは致命的であった。
- ^ 『ブードゥー』など3Dfx社の資産を買収したヌビディア社(下) WIRED.jp 2000年12月22日
- ^ 米3dfx、グラフィックス・ボード製造から撤退 日経BP Net 2000年11月17日
- ^ 『ブードゥー』など3Dfx社の資産を買収したヌビディア社(上) WIREDjp 2000年12月22日
- ^ 3dfx Timeline
- ^ 3dfx's Dream is Cast Aside