3dfx
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
3dfx Interactive(スリーディーエフエックス インタラクティブ)は、かつてアメリカ合衆国に存在していたハードウェアメーカー。3dfxのブランドでビデオチップ及びビデオカードを製造していた。
1994年に米国のカリフォルニア州サンノゼ市で設立される。1996年にゲーム向けの3DアクセラレータチップVoodooを発表。抜群の高性能で一世を風靡した。その後もVoodoo2、更に2Dの処理も可能となったVoodoo Banshee、Voodoo3などを発表し、順調に業績を伸ばした。また、独自の高性能APIであるGlideに対応するゲームも数多く発売され、特にゲーマーの間で圧倒的な支持を得た。
しかし次第に苦戦するようになり、2000年の終わりにその主要技術と資産は7000万ドルの現金と100万株のNVIDIA社株と引き換えに同社に売却され[1]、3Dfx社は業務停止に至った。
目次 |
[編集] 歴史
[編集] Voodoo Bansheeまで
3dfxは1996年にVoodooを発表。これは、一般的なPCに取り付けるとPCのVGAに代わって3D描画の高速化を実現するグラフィックアクセラレータである。その仕組みは、既存のビデオカードを抜かずにPCIバスにVoodooを追加し、既存のビデオカードのモニタ出力からVoodooに接続、そこからさらにモニターに接続するというもので、3D利用時に画面出力がVoodooに切り替わるというものであった。同時期に同じく3D専用アクセラレータとして、NECのPowerVRが存在していたが、こちらは既存のビデオカードのVRAMに直接表示データを書き込んで表示するというものであり、既存のビデオカードの性能にも左右される、チップセットなどと相性があるなどの問題があった。
3dfxは1997年にVoodooを搭載したビデオカードに他社の2Dチップを追加したVoodoo Rushを発売しているが、ボードの設計上今ひとつ性能の面でぱっとしなかったため、このシリーズは比較的早く生産中止になっている。
1998年に、SLI(Scan Line Interleave)を採用したVoodoo2の発売により、高性能3Dアクセラレータメーカーとしての地位を確固としたものにする。しかし、Voodooはあくまで3D描画専用の補助装置であったので、通常のビデオチップ、ビデオカードメーカーとの市場の住み分けが出来ていた。
1998年の年末に発売されたVoodoo Bansheeは3dfx純正品として初めて2Dアクセラレーションを搭載し、VooDoo2と比べれば3D性能こそ劣ったものの、他社製品と比較して2D/3Dともに非常に高速であった。Voodooは補助装置からメインのビデオチップとなり、他社とシェアを争うようになった。安価で優れた製品を開発できるアジア勢のビデオカードメーカーもこぞってVoodoo Bansheeを採用したビデオカードを製造した。結果、市場には優れたVoodoo Banshee搭載製品が多く出回った。
[編集] Voodoo3以降
1998年末、3dfxはビデオカードメーカーSTB社のメキシコ工場を純正ビデオカードの製造・販売のため買収すると発表した。Voodoo Bansheeの後継製品Voodoo3搭載カードは自社工場での製造が中心とし、ビデオカードメーカーには積極的には供給しない方針への転換でもあった。
これはMatroxのような自社ブランド重視のメーカーへと脱皮する試みだったが、それまで3Dfx社の製品を採用していたビデオカードメーカーはS3やNVIDIAの製品を採用するようになった。3dfx自身はVoodoo3を自社工場のみで製造するという試みを行った結果、発売が遅れに遅れた。1998年11月に発表されたVoodoo3が実際に販売開始されたのは1999年4月。その間の収益悪化は避けられず、しかもビデオカードメーカーはすでに他社チップを採用しており、シェアを自ら明け渡した格好であった。だが発売されたVoodoo3 3000の3D性能は16bitカラーレンダリングに留まることでゲーム向けでは高い性能を叩き出し、ゲームユーザーに人気は高かった。この時期にはビデオキャプチャ機能付きのVoodoo3 3500TVも発売され、話題を呼んだ。
[編集] 解散まで
1999年9月にNVIDIAが発表したGeForce 256の登場以降、トップパフォーマンス・メーカーであった3dfxの斜陽が始まる。 NVIDIA社がセールス・開発に積極的に動きGeForceの地位が上がる中、3dfxの新チップVSA-100を2基搭載したVoodoo5 5500は大きく遅れ2000年の6月に登場した。 これはNVIDIAのGeForceシリーズやATIのRage 128シリーズより高性能なカードではあったのだがその頃にはGeForce 2シリーズが発売されていたためパフォーマンス面での優位を完全に取り戻すことはできなかった。VSA-100を1基搭載した低価格帯向けのVoodoo4 4500は同年9月に発売したが、すでにパフォーマンス市場・メインストリーム市場ともにGeForceシリーズが普及していた。 また、この時期にはATIもRadeonシリーズを市場に投入しており、高い評価を獲得しつつあった。半導体業界のアナリストの中には1999年のクリスマス商戦までにVoodoo5を投入できなかった時点ですでに3dfx社の運命は決まっていたと見る者もいる[2]。
かつて3dfx製品を購入していたビデオカードメーカーもNVIDIAチップの採用をしており、市場競争で価格も下がっていく中、高価な自社ブランドの新製品を出しても、取り残された感は否めなかった。 2000年11月には工場も売却[3]。ハイエンドモデルとして計画されていた、VSA-100を4つ搭載するVoodoo5 6500 AGP(Voodoo6ともVoodoo5 6000とも呼ばれる)の発売がないまま、2000年12月にはついにグラフィックスに関連する資産をNVIDIAに売却し、解散することになった。2001年9月に買収が完了している。ちなみに解散以前はNVIDIA社と3dfx社はお互いを特許侵害していると訴えあっていたのだがこの買収をもって和解が成立している[4]。
[編集] 技術
[編集] SLI
SLI(Scan-Line Interleave)は3dfxが開発しVoodoo2で導入された技術である。2基のVoodoo2チップをシステムに搭載させ、画面の走査線を奇数と偶数で分けることでそれぞれのVoodoo2チップが並列して描画する。当時の3D描画機能としては極めて高い水準にあり、他社製品を大きくリードした。
なお、Voodoo2の時代に開発されたSLI技術は、(3Dfx買収後の)NVIDIAがPCI Express用に改良し、Geforceシリーズの機能の1つであるSLI(Scalable Link Interface)として実装された。
[編集] Glide
3dfxの提供していた3Dゲーム専用API。ライブラリは商用提供されていたが、1999年にオープンソース化されている。当時の他のAPIに比べ扱いやすく、優れた3Dゲームが多数生まれる原動力にもなった。
[編集] その他
3dfxの開発したGPUがセガのドリームキャストで使用される可能性があった[5]が、日本チームのPowerVR2が採用される事となった。
[編集] 関連項目
[編集] 注釈
- ^ NVIDIA To Acquire 3dfx Core Graphics Assets December 15, 2000 NVIDIA Press Release
- ^ 『ブードゥー』など3Dfx社の資産を買収したヌビディア社(下) Wired Vision News Archives 2000年12月22日
- ^ 米3dfx、グラフィックス・ボード製造から撤退 日経BP Net 2000年11月17日
- ^ 『ブードゥー』など3Dfx社の資産を買収したヌビディア社(上) Wired Vision News Archives 2000年12月22日
- ^ 3dfx's Dream is Cast Aside

