2006年のパシフィック・リーグプレーオフ
この項では、2006年のプロ野球パシフィック・リーグレギュラーシーズンの上位3球団で行われたプレーオフについて記す。
概要
レギュラーシーズン2位球団と3位球団が先ず第1ステージを行い、その勝者が1位球団と第2ステージを行い、3勝先取した球団をパシフィック・リーグ優勝チームとするという点では2004年、2005年と同じである。だが本年の第2ステージは過去2年とは異なり、1位球団にはゲーム差の数値に関係なく予め1勝分のアドバンテージが与えられた事で最大4試合となり、本拠地開催権は第1戦・第2戦が1位球団に、第3戦・第4戦が第1ステージ勝者球団にそれぞれ与えられる事に改められた(第3戦・第4戦は試合が行われる場合のみ)。
これは、前2年間のレギュラーシーズンを1位で通過しながらいずれも第2ステージで敗れ、優勝を逃した福岡ソフトバンクホークス(2004年は福岡ダイエーホークス)の提案によるものである。
出場球団は、シーズン1位の北海道日本ハムファイターズ、2位の西武ライオンズ、3位の福岡ソフトバンクホークスである。この年の出場3チームのペナントの順位争いはシーズン終盤までもつれ込んだ事もあり、1位日本ハムと2位西武の差は1.0、日本ハムと3位ソフトバンクのゲーム差も4.5と僅差であった。そのため、今回のアドバンテージによるルール変更の影響が生じた形となった。
なお、3位のソフトバンクは王貞治監督が胃癌手術による休養のため、森脇浩司が監督代行を務めた。
トーナメント表
1stステージ(準決勝) | 2ndステージ(決勝) | |||||
(4戦3勝制) 札幌ドーム (福岡ヤフードーム) | ||||||
日本ハム | ☆○○ | |||||
(3戦2勝制) インボイスD |
||||||
ソフトバンク | ★●● | |||||
西武 | ○●● | |||||
ソフトバンク | ●○○ | |||||
- 2ndステージは日本ハムに対するアドバンテージ1(☆)含む
戦評と結果
第1ステージ
第1戦
10月7日(土)インボイスSEIBUドーム 開始13:01(試合時間:2時間51分)観衆29,187人
ソフトバンク | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
西武 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | × | 1 |
(西武1勝)
ソフトバンク | 西武 | |
---|---|---|
(遊) 川崎 | 1 | (中) 赤田 |
(中) 大村 | 2 | (右) 福地 |
(三) カブレラ | 3 | (遊) 中島 |
(左) 松中 | 4 | (一) カブレラ |
(一) ズレータ | 5 | (左) 和田 |
(右) 柴原 - 打 稲嶺 |
6 | (指) リーファー |
(指) 田上 - 打指 城所 |
7 | (三) 中村 |
(二) 本多 | 8 | (二) 片岡 |
(捕) 的場 | 9 | (捕) 細川 |
西武・松坂大輔、ソフトバンク・斉藤和巳の両エースが息の詰まるような投手戦を演じ、7回裏に和田一浩の二塁打で挙げた1点を守り抜いた松坂が13奪三振で完封勝利。ソフトバンク打線は松坂から6安打・4死球で得た走者を活かせず、9奪三振の斉藤和の好投に報いることが出来なかった。これで松坂はプレーオフ通算3勝0敗、斉藤和は0勝3敗。
第2戦
10月8日(日)インボイスSEIBUドーム 開始13:00(試合時間:3時間38分)観衆31,338人
ソフトバンク | 0 | 0 | 0 | 4 | 0 | 1 | 0 | 1 | 5 | 11 |
西武 | 1 | 0 | 0 | 0 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 3 |
(西武1勝1敗)
ソフトバンク | 西武 | |
---|---|---|
(遊) 川崎 | 1 | (右) 佐藤 - 打右 栗山 |
(中) 大村 | 2 | (二) 片岡 |
(指) 大道 - 走指 稲嶺 - 打指 田上 |
3 | (遊) 中島 |
(左) 松中 - 左 城所 |
4 | (一) カブレラ |
(一) ズレータ - 三 森本 |
5 | (左) 和田 |
(三)一 カブレラ | 6 | (三) 平尾 - 打 高木 |
(二) 仲澤 - 打二 本多 |
7 | (指) 江藤 - 打指 リーファー |
(右) 井手 - 打右 柴原 |
8 | (捕) 細川 - 打 石井義 |
(捕) 山崎 | 9 | (中) 赤田 |
- (ソ)和田、○柳瀬(1勝)、H藤岡、馬原-山崎
- (西)●松永(1敗)、ギッセル、星野、山岸、三井、石井貴-細川
- 【本塁打】中島1号(ソロ、1回裏・和田)、松中1号(3点、9回表・石井貴)、ズレータ1号(ソロ、9回表・石井貴)
- 【審判】津川(球)秋村、中村、柳田(塁)川口、山本(外)
福岡ソフトバンク打線が大爆発。4回表にホルベルト・カブレラが二死満塁から四球を選び、レギュラーシーズンから数えて28イニングぶりの得点を挙げ同点に追いつくと、仲澤忠厚の走者一掃の二塁打で逆転。9回表には松中信彦、フリオ・ズレータの連続本塁打などで5点を奪い、11-3で快勝した。西武はソフトバンクの先発・和田毅の後を継いだ投手から僅か1安打しか放てなかった。なお西武の先発・松永浩典は2004年以降のパ・リーグプレーオフにおける初の新人先発投手であり、ソフトバンクの柳瀬明宏は初の新人勝利投手である。
第3戦
10月9日(月・祝)インボイスSEIBUドーム 開始13:00(試合時間:3時間34分) 観衆27,344人
ソフトバンク | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 4 | 1 | 6 |
西武 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 |
(西武1勝2敗)
ソフトバンク | 西武 | |
---|---|---|
(遊) 川崎 | 1 | (右) 福地 |
(中) 大村 | 2 | (二) 片岡 |
(右) 柴原 - 打三一 仲澤 |
3 | (遊) 中島 |
(左) 松中 | 4 | (一) カブレラ |
(一) ズレータ - 三 森本 |
5 | (左) 和田 |
(二) 本多 | 6 | (指) 石井義 |
(三)右 カブレラ | 7 | (三) 中村 |
(指) 田上 | 8 | (捕) 細川 |
(捕) 山崎 - 打 稲嶺 - 捕 的場 |
9 | (中) 赤田 |
- (ソ)寺原、○柳瀬(2勝)、藤岡、馬原-山崎、的場
- (西)西口、●星野(1敗)、山岸、三井、小野寺-細川
- 【本塁打】中村1号(ソロ、5回裏・寺原)、ズレータ2号(3点、8回表・山岸)
- 【審判】山本(球)柳田 川口 秋村(塁)津川 中村(外)
5回裏に中村剛也のソロ本塁打で先制した西武だったが、ソフトバンクも7回表に代打・稲嶺誉のタイムリーヒットで追い着く。そして8回表には3番手の山岸穣からズレータが決定的な3ラン本塁打を放ち勝ち越しに成功、その後も的場直樹のタイムリー二塁打、9回表には松中のタイムリー二塁打で5点差をつけた。西武は9回裏に抑えの馬原孝浩を攻めて無死一・二塁とするが、後続が打ち取られ、最後の打者・中村が中飛に倒れ試合終了。ソフトバンクの第2ステージ進出が決定した。2004年以降のパ・リーグプレーオフで、レギュラーシーズン3位の球団が第2ステージに進出したのはこれが初。西武は前年に続き第1ステージで敗退となった。
第2ステージ
第1戦
10月11日(水)札幌ドーム 開始18:00(試合時間:3時間27分)観衆42,380人
ソフトバンク | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 |
日本ハム | 0 | 0 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | × | 3 |
(日本ハム2勝 ※アドバンテージ1勝を含む)
日本ハム | ソフトバンク | |
---|---|---|
(左) 森本 | 1 | (遊) 川崎 |
(二) 田中賢 | 2 | (中) 大村 |
(一) 小笠原 | 3 | (右) 柴原 |
(指) セギノール | 4 | (左) 松中 |
(右) 稲葉 | 5 | (一) ズレータ |
(中) SHINJO | 6 | (二) 本多 |
(三) マシーアス - 三 飯山 |
7 | (三) カブレラ |
(捕) 鶴岡 | 8 | (指) 稲嶺 |
(遊) 金子 | 9 | (捕) 山崎 - 打 本間 - 捕 的場 - 打 城所 |
札幌ドームに舞台を移して行われた第2ステージの第1戦は、1回表にソフトバンクが松中の犠飛で1点を先制する。しかし、日本ハムが3回裏にソフトバンクの先発杉内俊哉からフェルナンド・セギノールとSHINJOのタイムリーで2点を取って逆転。8回裏にも金子誠のタイムリーで追加点を挙げた。日本ハムの先発ダルビッシュ有は9回を投げきり11奪三振で1失点完投勝利。リーグ1位の日本ハムには1勝分のアドバンテージがあるため、25年ぶりのリーグ優勝に王手をかけた。
第2戦
10月12日(木)札幌ドーム 開始18:01(試合時間:2時間51分)観衆42,380人
ソフトバンク | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
日本ハム | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1× | 1 |
(日本ハム3勝 ※アドバンテージ1勝を含む)
日本ハム | ソフトバンク | |
---|---|---|
(左) 森本 | 1 | (遊) 川崎 |
(二) 田中賢 | 2 | (中) 大村 |
(一) 小笠原 | 3 | (指) 田上 |
(指) セギノール | 4 | (左) 松中 |
(右) 稲葉 | 5 | (一) ズレータ |
(中) SHINJO | 6 | (三) カブレラ |
(三) 稲田 | 7 | (二) 仲澤 |
(捕) 鶴岡 | 8 | (右) 井手 |
(遊) 金子 | 9 | (捕) 的場 |
- (ソ)●斉藤和(1敗)-的場
- (日)○八木(1勝)-鶴岡
- 【審判】丹波(球)林 山本 柿木園(塁)秋村 柳田(外)
日本ハムの先発は新人の八木智哉。後がなくなったソフトバンクは第1ステージ第1戦に先発した斉藤和を中4日で送り込み、お互いに一歩も譲らぬ白熱した投手戦となった。幕切れは9回裏、二死一・二塁の場面で稲葉篤紀のセンターへ抜けそうな痛烈なゴロを二塁手・仲澤が好捕し、一塁走者小笠原道大を二塁フォースアウトにしようと遊撃手・川崎宗則へ送球したが、好捕によって体勢が崩された状態だったため送球は僅かに逸れ、川崎も懸命に捕球したものの小笠原の激走もあり二塁塁審の判定はセーフ。二塁走者だった森本稀哲は、この判定の時点で既に三塁ベースを通過しており、一気に本塁を狙っていた。川崎もすぐさま本塁へ送球するも間に合わず、森本が本塁生還に成功しサヨナラ勝ち(稲葉の記録はタイムリー内野安打)。3勝先取となった日本ハムのリーグ優勝が決定した。
これによりパ・リーグの最終順位はプレーオフ前と変わらず、1位日本ハム、2位西武、3位ソフトバンク。2004年以後のプレーオフで、レギュラーシーズン1位チームがプレーオフで優勝したのは日本ハムが初となった。対するソフトバンクは、第3戦からのホームでの試合に持ち込むことすらできず、結果的には自身の提案でこの年は無条件で付与されることとなった1位チームのアドバンテージが災いして3年連続の敗退となった。2004年からのプレーオフ・翌2007年以降のクライマックスシリーズで、日本シリーズ進出がサヨナラで決定したのは、今回と2010年の中日である。即ち、敗退チームがその瞬間を守備時に迎えたため、特にマウンド上で泣き崩れた斉藤和巳の姿は、後年まで敗退チームの印象的なシーンの1つとして挙げられている。
プレーオフ、クライマックスシリーズを含め、第1ステージの試合数(3試合)が第2ステージの試合数(2試合)を上回ったのは、このシリーズが唯一である。
テレビ・ラジオ放送
テレビ中継
第1ステージ
- 第1戦:10月7日
- 第2戦:10月8日
- BS-CS
- BS朝日(テレビ朝日同時放送)
- 実況:中山貴雄(EX) 解説:東尾修(EX)、栗山英樹(EX)、大塚光二(EX)、小宮山悟
- 放送時間:12:55~15:55
- 第3戦:10月9日
BS-CS
- BS朝日(テレビ朝日同時放送)
- 実況:中山貴雄(EX) 解説:東尾修(EX)、栗山英樹(EX)、大塚光二(EX)、小宮山悟
- 放送時間:15:00~16:00
第2ステージ
- 第1戦:10月11日
- 第2戦:10月12日
- 地上波
- テレビ東京系列の一部放送局では、系列局があるにもかかわらず中継局がなく、放送が見られなかった住民からの苦情が殺到した。特に日本ハムの地元・北海道からは、全く入らない道東からの苦情が相次いだ。
- CS
- GAORA
- 実況:城野昭 解説:光山英和
- 放送時間:17:57~22:00
なお、第3戦と第4戦はテレビ朝日系列で放送する予定だった。
ラジオ中継
この節の加筆が望まれています。 |